MBOとは?社内風土を維持しながら事業継承を行うポイントを解説

社内風土を維持しながら事業継承を行うポイントを解説

MBOについてお調べですね。

MBOとは、企業や事業部門の経営陣が、企業や事業を買収して経営権を獲得することを指します。

社内の人間に継承するという点で、M&Aとの違いがあります。

後継者不足が蔓延する日本企業では、増えている手法になっています。

しかし、正しい方法やМ&Aとの違いを理解しておかなければ、不必要なコストや上場廃止による企業価値低下などデメリットが生じてしまう可能性があるのです。

今回は、MBOの意味や特徴、М&Aとの違いを確認していきましょう。

MBOを正しく理解することで、社内風土を維持しながら事業継承を行うことができますよ。

1.MBOとは

.MBOとは

MBOとは、企業や事業部門の経営陣が企業や事業を買収し、経営権を獲得することを指します。

Management Buyout(マネジメント・バイアウト)の略です。

経営陣、役員、従業員が株主から株式を買いとる形で、経営権を引き継ぐことができます。

M&Aの手法のひとつであり、買い手が企業内の人間である特徴があるのです。

MBOは、家族経営でやってきた企業など第三者に譲渡することに抵抗のある経営者などに活用されます。

MBOを実施するにあたり、該当企業は非上場企業でなければいけません。

そのため、すでに上場している企業は上場廃止を実施する必要があります。

MBOには、以下の3種類の手法に分けることが可能です。

  1. EBO
  2. MEBO
  3. MBI

では、1つずつ見ていきましょう。

種類1.EBO

EBO

EBOは、従業員が自社を買収するM&Aの手法です。

Employee Buy Outの略語となっています。

EBOの特徴は、役員ではなく従業員が会社を買収するという点です。

EBOは、以下のような場合で使用されます。

  • 事業承継である事業従業員が引き受ける場合
  • 事業部門の部長が本社から事業を譲り受ける形で実施する場合

上記のようなケースにおいて、EBOが実施されるのです。

種類2.MEBO

MEBO

MEBOとは、経営陣と従業員が共同出資して、自社を買収するM&A手法です。

Management Employee Buy outの略語となっています。

EBOとは、出資者が異なるのです。

種類3.MBI

MBI

MBIは、金融機関が企業の株式を買収し、経営に参画するMBOの手法です。

Management Buy Inの略語となっています。

MBIを行う目的は、企業再生の為です。

ブランド力や技術力のある企業の再生に実施されます。

2.MBOと上場廃止との関連

MBOと上場廃止との関連

MBOを行う際には上場廃止を行う必要があります。

MBOは、上場会社の経営陣が株式を買い取るので、株式非公開となるのです。

上場をしていると社会的信用が得られやすいので「上場廃止をするのは・・」と気が引ける人も多いでしょう。

上場廃止を行うことで以下のようなメリットがあります。

  • 経営の舵取りがしやすくなる
  • 上場維持のコストがかからない

メリットを1つずつ見ていきましょう。

メリット1.経営の舵取りがしやすくなる

経営の舵取りがしやすくなる

上場廃止を行うことで、経営の舵取りがしやすくなります。

なぜなら、社外の株主がいなくなるからです。

社外の株主がいると、経営に関する意思決定のスピードが遅くなります。

また、経営者の意思が通るとは限りません。

なぜなら、株主総会での承認が得られなければ経営者のしたいことができないからです。

そのため、上場廃止で経営の舵取りがしやすくなります。

メリット2.上場維持のコストがかからない

上場維持のコストがかからない

MBOで上場廃止を行う際には、株式公開買い付けを実施します。

この場合は、売買手数料なしに保有株式を買い付けできるのです。

株式価格が安すぎたり、株主が異議を唱える場合においては裁判になる可能性もあります。

そのため、株主価格は専門家に相談して慎重に決定しなければいけません。

3.MBOとМ&Aの違い

MBOとМ&Aの違い

MBOはМ&Aと非常に似ているため、混同して考えられることがよくあります。

しかし、MBOとM&Aは違うものです。

違いは以下の2点です。

  1. 譲渡先
  2. 事業継承後の風土

では、1つずつ見ていきましょう。

違い1.譲渡先

譲渡先

MBOとM&Aは、譲渡先が異なります。

MBOの場合は、企業内の経営者、従業員、金融機関などです。

一方、М&Aの場合は譲渡先が社外となっています。

このように、М&AとMBOは社外か社内かという違いがあるのです。

違い2.事業継承後の風土

事業継承後の風土

М&AとMBOでは、事業継承後の風土が違います。

М&Aは、第三者である他の企業によって継承されるので企業の雰囲気や風土が変わる可能性があります。

一方、MBOの場合には企業内の人間です。

そのため、風土や文化の変化は少なく、従業員も変わらず働くことができます。

企業のブランドや風土、文化などがそのままに近い状態で継承されるのです。

4.MBOの目的

MBOの目的

MBOは、どのような目的で使用されるのか気になりますよね。

MBOの目的は以下の3点です。

  1. 中小企業の事業承継や事業譲渡
  2. 自社の事業部門を事業会社化
  3. グループ企業が親元からの分離

では、1つずつ見ていきましょう。

目的1.中小企業の事業承継や事業譲渡

中小企業の事業承継や事業譲渡

MBOは、中小企業の事業継承や事業譲渡の際に使用されます。

М&Aと比較してかかるコストが非常に安いです。

そのため、資金や株主が多くない中小企業などでよく利用されます。

目的2.自社の事業部門を事業会社化

自社の事業部門を事業会社化

MBOは、自社の事業部門を事業会社化したい際にも使用されます。

М&Aは、第三者である他の企業に譲渡することが一般的です。

一方で、MBOの場合は譲渡先が社内の人間となっています。

そのため、社内のある事業を会社化したい際にも適用できるのです。

目的3.グループ企業が親元からの分離

グループ企業が親元からの分離

MBOは、グループ企業が親元からの分離する際にも使用されます。

簡単に言うと、日本でもなじみのあるのれん分けのことです。

のれん分けとは、従業員が独立する際に、屋号の使用を許可する仕組みを指します。

グループ企業の株を社内の人間に譲渡することで、企業として分離することができるのです。

5.MBOのメリット

MBOのメリット

MBOは、社内の人間に企業や事業を継承することができる手法です。

具体的にどんなメリットがあるのか気になりますよね。

MBOのメリットは、以下の3点です。

  1. 長期的視点の経営が可能
  2. 意思決定の迅速化
  3. 従業員からの反発が比較的少ない

では、1つずつ見ていきましょう。

メリット1.長期的視点の経営が可能

長期的視点の経営が可能

MBOを実施することで、長期的視点の経営が可能となります。

MBOを行う際には、上場廃止をして非上場企業にならなければいけません。

そのため、自社の株が非公開化されます。

株式が非公開となると、現金化が難しくなるため株を手放す株主が増えるのです。

結果的に、短期的な利益を追求する株主の目に晒されることがなくなります。

そして、長期的な視点で経営戦略を練りやすくなるのです。

メリット2.意思決定の迅速化

意思決定の迅速化

MBO実施することで、意思決定が迅速化します。

なぜなら、上場廃止で株主構造が少数化・単純化されるからです。

上場維持に伴う開示規制を受けることがないため、経営戦略の意思決定を迅速に行うことができます。

メリット3.従業員からの反発が比較的少ない

従業員からの反発が比較的少ない

MBOは、他のМ&A手法と比較しても従業員からの反発が少ないでしょう。

なぜなら、従業員はMBO実施後も今まで通り働くことができるからです。

また、継承者も社内の人間であるため企業の風土や雰囲気も変わりにくくなっています。

そのため、取引後に大きな変化がなく従業員の反発も少ないです。

6.MBOに適している企業

MBOに適している企業

MBOのメリットを目に通し、ぜひ検討したいと思っている場合も多いでしょう。

しかし、実際に取引を行う前にMBOに適している企業を確認しておくことをおすすめします。

なぜなら、下記の条件に当てはまっていない場合には、MBOよりも他の手法のほうがより利益がある可能性があるからです。

MBOが適している企業は以下の3つです。

  1. 経営やマーケットが安定している
  2. 組織体制が確立されている
  3. 株主が社外に分散していない

では、1つずつ見ていきましょう。

5-1.経営やマーケットが安定している

経営やマーケットが安定している

MBOを実施する際に、経営やマーケットが安定していることが非常に大切です。

なぜなら、非上場企業となるので、今後企業の売却をしようとなると、現金化が難しいからです。

また、MBOは、経営のプロではなく社内の人間に継承します。

そのため、経営者が変わっても売り上げ低下に直結しない安定したマーケットや仕組み作りが必要です。

5-2.組織体制が確立されている

組織体制が確立されている

MBOを実施する際には、社内の組織体制が確立されている必要があります。

いわば、経営者(自分)がいなくても社内が問題なく回る状態です。

社内の人間に継承するということは、経営経験が浅い場合もあるでしょう。

その場合でも、問題なく業務を遂行できるような確立された組織体制が大切です。

5-3.株主が社外に分散していない

株主が社外に分散していない

MBOを実施する際には、株主が社外に分散していないほうが良いでしょう。

なぜなら、上場廃止を行わなければいけないからです。

社外に株主が沢山いると、その株式買い取りや手続きに非常に時間がかかってしまいます。

また、反発なども起きかねないため、社外に5割以上の株主がいる場合にはおすすめできません。

7.MBOのスケジュール

クロージング

MBOを具体的に検討していきたいという場合には、スケジュールを確認しましょう。

MBOのスケジュールは大きく分けて以下の4ステップです。

  1. 事前調査
  2. 事業計画と資金計画
  3. 各種交渉
  4. クロージング

では、1つずつ見ていきましょう。

ステップ1.事前調査

事前調査

まずは、MBOを行うための事前調査を実施します。

調査内容は以下の通りです。

  • 業界、市場分析による事業の収益性
  • 企業の将来性
  • キャッシュフローの安定性
  • 経営陣の能力

上記の内容を総合的に評価し、MBOの事前調査を実施します。

上記の点が安定していれば、MBO実施が可能です。

経営陣だけで判断するのは難しいので、М&A専門家に相談しましょう。

ステップ2.事業計画と資金計画

事業計画と資金計画

MBO実施可能と判断された場合、事業計画を練っていきます。

より具体的かつ緻密な事業計画を練り、その計画をもとに取引を進めていくのです。

決定内容は以下の通りです。

  • 全体のスケジュール
  • 法務、会計、税務に関する計画
  • 買収金額

上記の内容を決定し、具体的な手続きに進んでいきます。

ステップ3.各種交渉

各種交渉

MBO取引にかかわる各種交渉を行います。

この際に交渉するのは、売り手側である親企業、金融機関、他の経営者や従業員、取引先です。

各方面の担当者と交渉を行い、トラブルなく取引を行えるように調整します。

また、交渉内で計画の変更が必要な際には、変更しなければいけません。

ステップ4.クロージング

クロージング

交渉の後、契約条件や売買価格を再確認して契約を行います。

契約完了後に、出資や融資の実行を行い、企業もしくは事業の引渡しを実施するのです。

以上で、MBOは完了となります。

8.MBOの事例

MBOの事例

MBOは、家族経営の多い日本企業では非常に増えてきています。

実際にどのような事例があるか気になりますよね。

今回は、USENのMBOの事例を確認しましょう。

株式会社USENは、完全親会社の株式会社U-NEXTの代表取締役社長及びその支配株主である株式会社UNO-HOLDINGSのMBOにより、株式の非公開化を行いました。

このMBO実施理由は、主力事業の映像配信事業と通信事業で、運営コストに見合った利益が挙げられていないという点です。

コスト削減と事業圧縮を行うことで、利益の創出を図りました。

MBOの結果、主力である音楽事業に注力することができ企業価値向上に繋がったのです。

このように、MBOは社内の人間に企業を継承するだけではなく、コスト削減などの観点でも活用されます。

9.MBOをするならМ&A専門家に相談しよう

MBOをするならМ&A専門家に相談しよう

MBOを実施する際にはМ&A専門家に相談しましょう。

特に上場廃止の手続きは複雑で、経営者のみで実施することは難しいです。

正しい株式買い付け金額を提示しなければ、最悪の場合裁判に発展してしまいます。

そのため、MBOは慎重に行う必要があるのです。

MBOを実施する際には、知識と経験豊富なМ&A専門家に相談することをおすすめします。

そうすることで、М&Aと比較した際のメリットやデメリットを知ることができるでしょう。

MBOを実施して親切丁寧に、MBO成功まで導いてくれますよ。

本当にMBOの手法が正しいのかどうかという点も含めて、まずは相談してみましょう。

М&A仲介会社についての詳細は、『【M&A仲介会社BEST5を発表】有名企業5社を徹底比較!!』を併せて確認してくださいね。

まとめ

MBOとは、企業や事業部門の経営陣が、企業や事業を買収し、経営権を獲得することを指します。

また、上場を廃止するので長期的かつ安定的に経営を行うことが可能です。

MBOに適している企業は以下の通りです。

  1. 経営やマーケットが安定している
  2. 組織体制が確立されている
  3. 株主が社外に分散していない

上記に該当している場合でも、М&A専門家に相談し取引を行いましょう。

経験豊富な専門家に相談することで、スムーズに譲渡することができますよ。

正しい方法でMBOを実施し、社内風土を維持しながら事業継承を行いましょう。

М&A手法についての詳細は、『M&Aの基本的な手法とは?手法を分類する3つのポイントから解説!』を併せて確認してくださいね。