M&Aのディールとは?ディールメーカー、ディールブレーカーも解説

M&Aのディールとは?ディールメーカー、ディールブレーカーも解説
M&Aディールをどのように進めるか、どのような専門家に依頼するかはM&Aの成否を左右します。
本記事では、M&Aディールの意味や進め方、注意点、成功のポイントなどをご紹介していきます。
また、ディールメーカーやディールブレーカーの意味についても解説します。

M&Aとは

M&Aとは
 
M&Aとは、さまざまな手法を用いて合併や経営統合、事業ごとの売買、企業間提携などを行うことを指します。
 
企業はM&Aを行うことで、自社の経営リソースだけでは実現が難しい経営上の課題を解決したり、飛躍的な成長を達成したりすることが可能です。しかし、ただM&Aを実行すればよいわけではありません。
 
目的に合った相手と交渉を進め、最適なM&Aスキームを用いて手続きを進めていく必要があります。
 
そのため、専門家のサポートによって計画的・戦略的なM&Aを実施することは、目標達成には欠かせいことであり、そこで必要となるのがM&Aのディールです。

M&Aのディールとは?

M&Aのディールとは?
 
M&Aのディールは、企業がM&Aによって目的を果たすためにかかせないプロセスです。ここでは、M&Aにおけるディールの意味について解説します。

ディールとは

M&Aにおけるディールとは、M&A相手と交渉して契約を成立させるまでのプロセス全般のことを指します。
 
M&A相手と交渉し、M&A価格などの諸条件をまとめて最終契約に至るまでがディールの中です。
 
しかし、企業がM&Aを活用して経営上の課題を解決するためには、よい相手と出会う必要があります。
 
そのためには、M&Aの目的を定めて戦略を策定し、専門家のネットワークなどを活用してM&A相手を探さなければなりません。このプロセスを「プレディール」と呼びます。
 
また、よい相手と出会い好条件で契約が成立したとしても、実際の統合で失敗しては意味がありません。この統合を行うプロセスを「ポストディール」と呼びます。

ディールサイズとは

ディールサイズとは、M&Aの案件規模のことです。ディールサイズを大まかに分けると、数億円~数十億円の規模で行われるM&A、数百億円以上の規模でM&Aを行うビッグディール、1億円以下の規模でM&Aを行うスモールM&Aがあります。
 
ディールサイズによってM&Aに必要なリソースは大きく変わるので、M&Aアドバイザーごとに対応しているディールサイズは異なります。そのため、自社のディールサイズに合ったM&Aアドバイザーを選ばなければなりません。
 
例えば、ディールサイズが大きい場合は大手証券会社やメガバンク、小規模から中規模のディールサイズであればM&A仲介会社や地方銀行などが対応しています。

M&Aにおいてディールが持つ意味

一方的にこちら側の条件を相手に提示してM&Aが成立するのであれば、複雑なディールのプロセスを踏む必要はないでしょう。
 
しかし、実際には売り手と買い手双方が何かしらのメリットを求めて交渉に臨み、多くの場合利益相反となります。
 
利益相反関係にあるM&A相手と、関係を良好に保ちながらM&Aの目的を達成するには、いかに適切なディールのプロセスを経るかが重要です。
 
また、多くの場合、ディールのプロセスでは複雑で高度な専門性が求められます。そのような状況で的確かつ柔軟な対応を行うのが、M&Aアドバイザーの役割です。
 

ディールメーカーとは

ディールメーカーとは
 
ディールメーカーとは、M&Aのプロセスをコントロールする当事者、つまりM&AのプレーヤーやM&Aアドバイザーを指します。各ディールメーカーはそれぞれの目的を果たすためにM&Aを行います。
 
買い手側と売り手側は、それぞれM&Aによって会社の成長や生存を図ります。そして、売り手と買い手のどちらか、または両方の目的達成をサポートするのがM&Aアドバイザーの役割です。

ディールメーカーの具体例

ここでは、M&Aを成功させたディールメーカーの具体例を、M&A総合研究所の成功事例から紹介します。
  1. 売上20億円の飲食業を事業承継したケース
  2. 相談から3ヶ月で10億円のディールが成立した創業3年のIT企
  3. 業績が悪化した介護施設運営会社の会社売却

1.売上20億円の飲食業を事業承継したケース

M&A総合研究所がディールメーカーとしてM&Aをサポートしたケースの1例目は、売上20億円の飲食業を事業承継したケースです。
 
飲食業経営者のKさんは、会社の事業承継を検討しM&A総合研究所に相談しました。M&A総合研究所には公認会計士による専門家のネットワークがあるので、買い手が見つかるまで時間はかかりませんでした。
 
また、会計士と弁護士がディールをフルサポートすることにより、M&A総合研究所に相談してから4ヶ月でのスピード成約となっています。
 
M&Aアドバイザーをディールメーカーとして選ぶ際は、どのような情報ネットワークを持っているかが重要です。迅速に最適なM&A相手をみつけられるかが、ディールの成否を左右します。

2.相談から3ヶ月で10億円のディールが成立した創業3年のIT企

M&A総合研究所がディールメーカーとしてM&Aをサポートしたケースの2例目は、相談から3ヶ月で10億円のディールが成立した創業3年のIT企業のケースです。
 
IT企業経営者のTさんは、会社の成長に行き詰まりを感じていたことから、会社売却によって他社の傘下に入ることを決意します。
 
最初に相談したM&Aアドバイザーでは買い手が付かなかったため、M&A総合研究所に相談したところ、M&A専門の会計士による迅速なディールによって短期間での成約が実現しました。
 
ディールが成功するかどうかは担当するアドバイザーの専門性も影響します。このケースでは、M&A専門の会計士がいたこと、IT業界にコネクションが強い仲介会社であったことがよい結果へとを導いています。

3.業績が悪化した介護施設運営会社の会社売却

M&A総合研究所がディールメーカーとしてM&Aをサポートしたケースの3例目は、業績が悪化し従業員や入居者の今後を考え会社売却した介護施設運営会社のケースです。
 
業績悪化や後継者問題などを抱えていた介護施設運営会社を経営するAさんは、今後のことを考えM&A総合研究所に会社売却の相談をしました。
 
M&A総合研究所のアドバイザーはディールメーカーとしてAさんの話を丁寧に聴き、希望を踏まえたうえで交渉を取りまとめました。
 
それにより、Aさんが最も心配していた従業員や入居者の待遇については、満足のいく結果となっています。
 
M&Aディールを成功させるにはディールメーカー間の信頼関係が重要です。特に中小企業同士のディールでは、満足のいく条件であったとしても、ディールメーカー同士の関係が良好でなければディールが頓挫するケースも少なくありません。
 

ディールブレーカーとは 

ディールブレーカーとは 
 
ディールブレーカーとは、M&Aディールを阻害する要因のことです。何がディールブレーカーとなるかはディールによってさまざまです。企業自体に問題があることもあれば、外部要因がきっかけとなることもあります。
 
買い手がディールブレーカーを発見し買収後のリスクを減らすには、売り手企業に対して行うデューデリジェンス(企業監査)が重要です。
 
また、売り手側もディールの中止を避けるため、事前に自社のディールブレーカーを洗い出し解決しておかなければなりません。以下ではディールブレーカーの具体例を紹介します。

ディールブレーカーの具体例

買い手がデューデリジェンスを入念に行ったとしても、ディールブレーカーを洗い出しきれないこともあります。
 
ソフィアホールディングスの子会社であるルナ調剤は、2019年、山口県で調剤薬局を運営するエイエムファーマの買収手続きを進めていました。
 
交渉は順調に進み、基本合意書の締結まで至ったものの、最終契約を前にしてエイエムファーマに表明保証違反があることがわかりました。
 
表明保証とは、M&A相手に対して提供した企業情報に対して、間違いがないことを保証する条項です。
 
ソフィアホールディングスは表明保証違反の内容が買収後の経営に大きなマイナス要因になると判断し、ディールを中止しています。
 
また、新型コロナウイルスの感染拡大が著しい米国では、新型コロナウイルスがディールブレーカーとなってM&Aディールが中止となるケースが相次いでいます。

M&Aにおけるディールの流れ・プロセス 

M&Aにおけるディールの流れ・プロセス 
 
M&Aにおけるディールは、以下の流れで進められます。
  1. M&Aの基本戦略の策定
  2. M&Aを行う交渉先の選定
  3. 交渉先の価値評価
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 最終契約書の締結
  7. クロージング

プレディール期間

M&Aの準備段階にあたるプレディールは、以下のプロセスで進められます。
  1. M&Aの基本戦略の策定 
  2. M&Aを行う交渉先の選定
  3. 交渉先の価値評価

1.M&Aの基本戦略の策定

まずは、M&Aアドバイザーの助言も参考にしながらM&Aの目的を明確にし、基本戦略を固めていきます。戦略は、M&A後の経営も見据えた中長期的な視点で行う必要があります。
 
目先の買収メリットに意識が奪われると、統合後に想定していたシナジーが得られず失敗に終わる可能性が高くなりかねません。

2.M&Aを行う交渉先の選定

最初に固めた戦略に合った交渉先をリスト化していきます。自社の関係先からリスト化する場合は、情報漏えいリスクに注意が必要です。
 
また、アドバイザーから交渉先を提示してもらう場合は、なぜそのリストを選んだのか説明してもらうとよいでしょう。ただし、あまり最初から選定にこだわりすぎず、ある程度幅を持たせた選定が必要です。

3.交渉先の価値評価

交渉先企業の企業概要や収集した初期情報から、基本的なビジネスデューデリジェンスを行います。
 
基本的なビジネスデューデリジェンスで得た企業価値によって、M&A価格の交渉を想定したり、M&Aスキームの枠組みを想定したりするための参考資料とします。
 
この時点でのデューデリジェンスは、あくまで基本的な部分だけなので、詳細なデューデリジェンスはあらためて実行します。

ディール実行期間

プレディールが完了したら、以下のディールを実行します。
  1. 基本合意書の締結 
  2. デューデリジェンスの実施
  3. 最終契約書の締結
  4. クロージング

1.基本合意書の締結

プレディールで準備した結果を基に相手先企業と条件を調整し、合意に至ったら基本合意書を締結します。
 
基本合意書に法的拘束力は原則ありませんが、M&Aディールに問題が生じても何も責任がないということではありません。
 
そのため、基本合意書の文言などは企業法務に詳しい弁護士監修の下、入念に作り込む必要があります。
 
なお、小規模のM&Aディールでは基本合意書を作成しないケースも少なくありません。しかし、トラブルが生じた際に責任の所在を明確にするためにも、基本合意書は作成した方がよいでしょう。

2.デューデリジェンスの実施

基本合意書の締結後は、詳細なデューデリジェンスを実施します。プレディールの時とは違い、ここではビジネスデューデリジェンスのほか、法務デューデリジェンスや会計デューデリジェンスなど、より徹底したデューデリジェンスを行います。
 
グループ企業の子会社を買収する場合や事業部門を買収する場合は、特に入念なデューデリジェンスが必要です。
 
グループや企業から切り離されることによって事業の強みを失う、スタンドアローン問題が生じるケースがあります。

3.最終契約書の締結

デューデリジェンスの結果から、あらためて合意内容の見直しを行い、条件が固まったら最終契約書の締結となります。
 
特に、M&A価格の再検討は重要です。この段階で交渉が行き詰まりM&Aディールが長引くケースもあります。
 
中小企業の場合、小さな問題点が詳細なデューデリジェンスによって数多くみえてしまうことも少なくありません。どこまで妥協するか、価格に反映するかも判断が難しいポイントでしょう。

4.クロージング

M&Aディール完了後、必要な手続きと対価の支払いなどを終えたら、統合作業に入っていきます。
 
統合作業はポストディールと呼ばれ、M&Aのシナジー効果が得られるかどうかを左右する重要な段階です。
 
プレディールの段階でポストディールまで想定したり準備ができているかどうかが、結果に影響します。
 

M&Aのディールが失敗するケースとは?

M&Aのディールが失敗するケースとは?
 
M&Aディールが失敗に終わる要因は、案件によってさまざまですが、特に以下の要因が影響して失敗に終わることが多いです。
  1. 情報漏えい
  2. 簿外債務などの発覚
  3. 交渉中のマイナス要因

1.情報漏えい

情報漏えいは従業員や取引先を混乱させ、離職や取引解消などを招く可能性があるので注意が必要です。情報漏えいの結果、M&Aディールの中止もあり得ます。
 
情報漏えいを防ぐには、M&A相手を選定する際の情報管理を徹底しなければなりません。専門家のネットワークではなく、自社とつながりのある企業に声をかける場合は特に注意が必要です。
 
また、M&Aの専門家のネットワークを活用する場合でも、専門家がどのようなネットワークを持っているか、案件管理の仕方をしているかなどを確認する必要があるでしょう。
 
一般的にM&A相手を選定する際は、ロングリストのなかからショートリストを作成し、交渉相手を絞り込んでいきます。
 
ロングリストには自社に興味を持ちそうな相手や相性の良さそうな相手を選びますが、情報ネットワークの弱い専門家の場合、とりあえず業種や企業規模が近い企業をリスト化することがあります。
 
そうすると、気がつかないうちに自社と何かしらつながりのある相手に情報が漏れことにもなりかねません。

2.簿外債務などの発覚

帳簿に反映されていない簿外債務の有無は、M&Aディールの成立に影響を与えるので注意しなければなりません。売り手企業に簿外債務がみつかった場合、M&A価格の変更を余儀なくされます。
 
簿外債務の規模が大きかったり、売り手企業が意図的に隠していたりした場合は、M&Aディール自体が中止になりかねません。
 
買い手側は、簿外債務のリスクを減らすためにも、デューデリジェンスの徹底が必要です。
 
一方、売り手側も、M&Aディールが始まる前に自社の財務状況を整理し、自社の簿外債務に気が付かなかったということがないようにしなければなりません。
 
また、もし簿外債務をあえて買い手側に申告しなかったとしてもいずれみつかるものであり、みつかった場合は賠償リスクなどを抱えることになります。

3.交渉中のマイナス要因

情報漏えいや簿外債務以外にも、何かしらのディールブレーカーによってM&Aディールが失敗に終わる可能性があります。
 
交渉中のマイナス要因によって、M&Aディールが中止になった事例には、ジャパンインベストメントアドバイザーとインベストオンラインのケースがあります。
 
ジャパンインベストメントアドバイザーは、2019年、投資用不動産情報サイトの運営などを行うインベストオンラインを買収することを決定しました。しかし、両社の交渉は長引き、最終的にM&Aディールの中止に至っています。
 
ディールブレーカーとなったのは、インベストオンラインの親会社であるTATERUであったとされています。
 
TATERUは、ジャパンインベストメントアドバイザーとインベストオンラインの交渉期間中に、融資資料の改ざんで業務停止命令を受けたり、早期退職者の募集を行ったりしました。
 
これがジャパンインベストメントアドバイザーにM&Aディールを中断させる要因となったのではないかとされています

M&Aのディールを成功させるには

M&Aのディールを成功させるには
 
M&Aのディールを成功させるには、以下の点を押さえておく必要があります。
  1. M&Aの専門家に相談する 
  2. 相手にとって有益な条件を提示する
  3. 交渉力・信頼されること

1.M&Aの専門家に相談する

M&Aのディールを成功させるには、アドバイザーのサポートが欠かせません。
 
アドバイザーを選ぶポイントとしては、担当者との相性が良いか、信頼できるか、相談しやすいかが重要です。
 
M&Aディールは、最終的には人間関係が成否を左右するということを念頭に置いておく必要があります。
 
一方で、アドバイザーに任せきりになってもよくありません。自身もM&Aの基礎知識を身につけておき、アドバイザーと対等に話ができる状態が理想といえるでしょう。

2.相手にとって有益な条件を提示する

M&Aディールは、こちらの希望条件を一方的に要求しているだけでは成立しません。M&Aはよく結婚に例えられます。
 
お互いを尊重し合い協力し合うことによって、M&A後に事業シナジーを得ることができます。
 
M&Aディールの際は相手に有益な条件を提示しながらも、必要以上に自社を安く売らないバランスが大事です。

3.交渉力・信頼されること

M&Aディールを成功させるには、よい相手と出会うこととよい交渉を行うことが重要です。そのためには、高い交渉力と信頼関係を築ける誠実さが欠かせません。
 
ポイントとしては、交渉にあまり時間をかけすぎないこと、最初から細かい条件にこだわりすぎないこと、相手を尊重することなどを重視する必要があります。
 

M&Aに関するおすすめの相談先

M&Aに関するおすすめの相談先
 
M&Aディールの成功には、M&Aアドバイザーのネットワークと交渉能力が欠かせません。
 
M&A総合研究所は広範な専門家ネットワークがあり、迅速に最適なディール相手をみつけることができます。
 
また、M&A総合研究所ではM&Aディール専門の会計士と弁護士がフルサポートするので、円滑な交渉が可能です。
 
M&A総合研究所の報酬体系は、M&Aが完了するまで発生しない完全成功報酬制を採用しています。無料相談は随時受付中なので、M&Aディールのサポートをご希望の際はお気軽にご相談ください。
 

まとめ 

まとめ
 
本記事では、M&Aディールの重要性について解説しました。M&Aは、売り手と買い手が互いを尊重し合い協力し合うことによって、事業シナジーを得ることができます。

M&Aディールの際は、相手にとって有益な条件を提示することも大切ですが、必要以上に自社を安売りはしないといったバランスが重要です。

 
【M&Aにおけるディールのプロセス】
  1. M&Aの基本戦略の策定
  2. M&Aを行う交渉先の選定
  3. 交渉先の価値評価
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 最終契約書の締結
  7. クロージング
 
【M&Aディールが失敗に終わる要因となるもの】
  1. 情報漏えい
  2. 簿外債務などの発覚
  3. 交渉中のマイナス要因
 
【M&Aディールのプロセスを成功させるポイント】
  1. M&Aの専門家に相談する 
  2. 相手にとって有益な条件を提示する
  3. 交渉力・信頼されること
 
M&Aディールのプロセスを成功させるには、アドバイザーのネットワークと交渉能力が欠かせません。M&Aを行うのであれば、M&Aディールを得意とする専門家への相談をおすすめします。