M&Aでの資金調達の種類や流れ・注意点を解説!

M&Aと資金調達

M&Aと資金調達には、どのような関係があるのでしょうか。ここでは、M&Aにおける資金調達の重要性を解説します。

M&Aにおいて資金調達が重要な理由

M&Aによる事業譲渡は会社間での取引にあたるため、その対価には原則として現金を用います。取引の対象となるのは、無形資産の営業権や有形資産の設備機器などであり、現金による支払いが求められます。

また、株式譲渡・株式交換といったM&Aの手法でも、多くの場合、対価に現金が用いられます。株式交換では自社株式を対価とする

ことも可能ですが、交換できる株式の金額に制限があったり、未上場の株式のために現金に換えにくかったりすることから、現金による支払いも見られます。

このように、M&Aでは多くの場合に現金を対価とするため、買い手側が必要な現金を用意できない場合には、融資などを活用した資金調達を行う必要があります。

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M&Aでの資金調達の種類

M&Aで資金調達をする場合、どのような手法が利用できるのでしょうか。M&Aにおける資金調達では、以下の2種類の方法が用意されています。

  • 直接金融
  • 間接金融

直接金融

1つ目の資金調達の方法は、直接金融です。直接金融とは、株式や債券を発行して、投資家などから直接資金を調達する方法です。

銀行などを間に入れることなく資金調達を行うため、直接という言葉が用いられています。直接金融による資金調達には、以下の3つの方法があります。

公募増資

1つ目の直接金融の方法は、公募増資です。公募増資とは、上場企業が新株を発行して、投資家から資金調達を行う手法です。

対象とする投資家を限定しないので、多くの資金を調達することが可能な点がメリットですが、発行する株式の価格は時価よりも安い価格に設定するため、1株あたりの価値が下がり既存株主に不利益を与えてしまう可能性もあります。

株主割当

2つ目の直接金融の方法は、株主割当です。株主割当とは、既存の株主に新株を発行して、資金調達を行う手法です。

株主たちが保有する株式数に応じて、新株の割当てを行うものの、発行の有無は株主の裁量に任されています。そのため、割当てを行っても株主が新株の発行に応じないこともあります。

株主割当は、株式の保有割合に応じて新株を発行するため、発行による不利益を抑えることができます。

しかし、新株発行の対象を既存の株主に限定しているため、資金調達で多くの資金を確保したい場合には不向きといえるでしょう。

第三者割当

3つ目の直接金融の方法は、第三者割当です。第三者割当とは、新株を発行する相手を限定して資金調達を行う手法です。新株を発行する対象には、業務提携を結ぶ企業・取引のある企業や金融機関・自社の役員などが挙げられます。

そのため、第三者割当は関係企業とのつながりを強めたり、財務状況の改善を図ったりする場合に利用されることの多い手法です。そのほか、敵対的買収を仕掛けられた際にも、経営権を保持するために第三者割当が利用されています。

ただし、第三者割当による資金調達は、新株の発行により既存株主に不利益を与える可能性があります。時価よりも低い価格での発行には株主総会の特別決議を必要となるので注意しましょう。

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間接金融

間接金融とは、第三者を介した資金調達の手法です。金融機関を介した融資を例に挙げると、お金を借りるのが企業で、お金を貸すのが預金者にあたり、金融機関を間に挟んで資金調達を行います。

借入

企業は、借入という形で金融機関からM&Aの資金調達を行います。直接金融のように、株主を増やすことがないので、自由度の高い経営を維持することができます

しかし、借入を受けるためには金融機関による審査に通らなければならず、当然のことながら期限までに金利を加えた借入金を返さなければなりません。そのため、M&Aで借入による資金調達を検討する場合には、返済についての注意が必要です。

M&Aでの資金調達の流れ

M&Aでの資金調達は、どのような手順で行われるのでしょうか。ここでは、先に取り上げた4つの資金調達法の流れをみていきましょう。

  • 公募増資の流れ
  • 株主割当の流れ
  • 第三者割当の流れ
  • 借入の流れ

公募増資の流れ

公募増資を選択した際は、以下のような流れでM&Aの資金調達が行われます。

【公募増資の流れ】

  1. 決定機関による募集事項の取り決め
  2. 募集事項の通知・公告
  3. 引受希望者への通知
  4. 新株引受の申し込み・割当ての決定
  5. 割り当てた株式数の通知
  6. 払い込み
  7. 登記申請

決定機関による募集事項の取り決め

公募増資は、まず決定機関によって、募集事項を取り決めます。非公開会社の場合は、株主総会による特別決議を経なければなりません。

募集対象を譲渡制限株式とする場合は、種類株主総会の特別決議が必要になります。また、公開会社の場合は、取締役会による決議を経なければなりません。

募集事項の通知・公告

非公開会社では株主への通知を必要としませんが、公開会社の場合は、新株の払込日か払込期間が始まる日の2週間前までに通知・公告を行わなければなりません。

なお、上記の期日・期間までに、有価証券届出書などの書類を届け出ていたり、提出していたりする場合には、株主へ通知する必要はありません。

引受希望者への通知

新株の引受希望者を募るために、必要な情報を伝えます。

【引受希望者へ伝える情報】

  • 会社の商号
  • 株主名簿管理人の氏名と名称、住所、営業所
  • 募集事項
  • 払い込みの取り扱い場所
  • 発行可能な株式の総数
  • 単元株数
  • 株式の内容(発行株式に特別な定めを設けている場合)
  • 種類株式の内容(種類株式を発行する会社が、異なる内容の株式を発行する場合)
  • 特別な定款
  • 定款のなかで引受希望者により通知の請求した事項

新株引受の申し込み・割当ての決定

新株の引受希望者からの申し込みを受け付け、株式を割り当てる人物・割り当てる株式数を決定します。譲渡制限株式以外の割当てでは、取締役または取締役会がこれらの決定を行います。

譲渡制限株式の割当ては、定款に特別な定めを設けていない場合、株主総会の特別決議や取締役会(取締役会を設置する会社)が決定します。

割り当てた株式数の通知

株式数の割当てが決定したら、払い込み日や払込期間の開始日までに、申し込み者に対して割り当てた株式数を通知します。

払い込み

指定した払い込みの取り扱い場所へ、引受希望者からの払い込みが行われます。

登記申請

公募増資の効力発生日から2週間以内に法務局へ登記申請を行って、公募増資の手続きは完了です。

株主割当の流れ

株主割当を選択した際は、以下のような流れでM&Aの資金調達が行われます。

【株主割当の流れ】

  • 決定機関による募集事項の取り決め
  • 募集事項の通知
  • 引受希望者への通知
  • 新株引受の申し込みの受付
  • 払い込み
  • 登記申請

決定機関による募集事項の取り決め

非公開会社では、株主総会の特別決議で募集事項を取り決めます。ただし、定款に定めている場合は、取締役や取締役会(取締役会を設置する会社)によって決定します。

公開会社においては、取締役会の決議を経なければなりません。また、どちらの会社でも種類株主の利益を損なう場合、定款に特別の定めを設けていなければ、種類株主総会による特別決議が必要になります。

【決定する募集事項】

  • 募集事項
  • 株主へ募集する株式の割当てを受ける権利を付与すること
  • 株式引き受けの申込期日

募集事項の通知

株式の引き受け申込日の2週間前までに、株主に決定した事項を通知しなければなりません。

【通知する事項】

  • 募集事項
  • 割り当てる株式数
  • 株式の引き受け申込日

新株引受の申し込みの受付と払い込み

期日までに希望者から新株引受を受け付けて、希望者からの払い込みを待ちます。

登記申請

株主割当による増資の効力発生日から2週間以内に法務局に変更登記の申請を行い、株主割当によるM&Aの資金調達の手続きが完了します。

第三者割当の流れ

第三者割当を選択した際は、公募増資と同じ流れでM&Aの資金調達が行われます。

【第三者割当の流れ】

  1. 決定機関による募集事項の取り決め
  2. 募集事項の通知・公告
  3. 引受希望者への通知
  4. 新株引受の申し込み・割当ての決定
  5. 割り当てた株式数の通知
  6. 払い込み
  7. 登記申請

ただし、募集株式を引き受ける人物が、募集株式のすべてを引き受ける契約を結ぶ場合は、割当と申込の手続きは必要ありません。公募増資との違いを押さえておきましょう。

借入の流れ

借入の場合は、金融機関に借入の申し込みを行い、決算書などの書類審査と面談を経て、決済が承認されると口座に借入金が入金されます。

3期分の決算書・事業計画書・登記簿謄本・定款・印鑑証明書などが必要になるため、M&Aの資金調達で借入を選択する場合は事前に用意しておくとよいでしょう。

M&Aでの資金調達の際の注意点

M&Aで資金調達を行う場合、どのような点に注意を払えばよいのでしょうか。ここでは、M&Aで資金調達を行う場合に注意すべき4つのポイントについて解説します。

  1. 公募増資は難しい
  2. 株主割当の権利行使は必須ではない
  3. 第三者割当にはメリット・デメリットがある
  4. 中小企業は借入が難しい

1.公募増資は難しい

1つ目の注意点は、公募増資の難しさです。公募増資では、新株を引き受けてもらう株主を限定しないため、募集をかけても必要な資金を集められない場合もあります。

また、多数の株式を発行するため、公募増資による資金調達を行ったあとは、株価の維持が求められます。

株式を増やして株価を下げてしまえば、既存の株主へ不利益を与えることになるので、M&Aの資金調達における公募増資には難しさが伴うといえるでしょう。

2.株主割当の権利行使は必須ではない

2つ目の注意点は、株主割当の権利行使は株主の裁量に委ねられている点です。株主割当では、発行する新株を既存の株主に引き受けてもらうことで、資金調達を行います。

しかし、既存の株主には新株の引受についての権利が与えられているため、必ずしも引き受けに応じるとは限りません。

株主割当では、M&Aに必要な資金調達の額を大まかに予測することはできますが、既存の株主すべてが新株の引受に応じてくれるわけではないことを覚えておきましょう。

3.第三者割当はメリット・デメリットがある

3つ目の注意点は、第三者割当にはメリットとデメリットがあることです。以下では、第三者割当を選択した場合のメリット・デメリットを紹介しますので、よく理解しておきましょう。

第三者割当のメリット

第三者割当のメリットには、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 関係者とのつながりを強化できる
  • 株式を売却しないため、経営権の保持も可能
  • 資本金が増えるので、会社の信用度を挙げられる
  • 敵対的買収を防ぐ手段としても利用できる

第三者割当のデメリット

一方で、第三者割当のデメリットには、以下のようなものがあります。

  • 1株あたりの価値が下がることで、既存の株主に不利益を与えてしまう
  • 非公開会社による新株の発行価格は、公平性を問われやすい
  • 資本金額の増加によって、納める税金が増える事態も考えられる

4.中小企業は借入が難しい

4つ目の注意点は、中小企業では借入が難しいことです。中小企業の借入が難しいとされる理由には、以下のようなものがあります。

  • 上場企業には信用がある
  • 中小企業は不動産などの担保が必要

上場企業には信用がある

上場企業と中小企業を比べた場合、信頼度が高いのは上場企業です。そのため、中小企業が金融機関からの借入を希望しても、返済能力が低いと判断される場合もあり、上場企業のような融資を受けることは容易ではありません

中小企業は不動産などの担保が必要

財務状況・事業の成長性・借入金の返済能力・会社が保有する技術力などがよほど十分でなければ、中小企業が金融機関から無担保で借入を行うことは難しいといわざるを得ません。

金融機関も利益を求める企業であり、貸したお金を回収できなければ、株主に対する利益還元が難しくなることも考えられます。そのため、中小企業による借入の場合は、金融機関から不動産などの担保が求められます。

M&Aにおける資金調達の相談はM&A総合研究所へ

M&Aで資金調達が必要な場合は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業の案件を取り扱うM&A仲介会社です。

M&A総合研究所では、アドバイザー・会計士・弁護士の専門家3名によるフルサポートを行っていますので、資金調達に関するサポートも万全です。

料金体系は、レーマン方式による完全成功報酬型を採用しているので、成約に至らなければ費用は一切かかりません。

高レベルのサポートにより、平均3カ月でのクロージング、希望額を上回る譲渡額の提示(希望額より平均124%のアップ)を実現しています。

無料相談は24時間年中無休でお受けしておりますので、M&Aや資金調達をご検討の際は、どうぞお気軽にお問い合わせください。

会社名 株式会社M&A総合研究所
問い合わせ先 0120-401-970
サイトURL https://masouken.com/lp01

M&Aの際の借入による資金調達方法

M&Aの資金調達で借入を選択したくても、中小企業は金融機関からの融資が下りにくいのが現状です。ここでは、M&Aの資金調達で借入よる資金調達の方法を紹介します。

LBO

LBOとは、レバレッジドバイアウトの略称で、売り手企業が将来得るキャッシュ・フローや資産を担保として、M&Aの資金調達を行う方法です。

買い手にとっては少ない資金で、M&Aで買収するための資金を集められますが、業績の悪化により資金繰りが厳しくなれば、借入金の額が大きいため債務不履行に見舞われるリスクが高くなります。

MBO

MBOとは、マネジメントバイアウトの略称で、経営陣が会社の株式を取得する方法です。

経営陣は会社から独立するため、LBOの活用・ファンドからの出資によって買収の資金を調達し、会社・一部の事業についての経営権を獲得します。

MOBを行う際は、経営陣が株式を取得するための会社を設立し、金融機関からの融資(LBO)やファンドらの出資を受け、会社の株式を購入すれば経営権を獲得することができます。

MOBは、経営陣のみでは株式の買収にかかる費用を捻出できないという場合に、用いられる方法です。

まとめ

当記事では、M&Aでの資金調達について、重要性・資金調達の種類・各資金調達方法の流れなどを紹介しました。

M&Aのスキームでは、多くの場合まとまった額の現金を必要になるため、金融機関からの融資を受けることも多いです。しかし、金融機関からの融資が受けられなければ、直接金融や間接金融によって、必要な資金を確保しなければなりません。

【M&Aでの資金調達の種類/直接金融】

  • 公募増資
  • 株主割当
  • 第三者割当

【M&Aでの資金調達の種類/間接金融】

  • 借入

【M&Aでの資金調達の流れ】

  • 公募増資の流れ
  • 株主割当の流れ
  • 第三者割当の流れ
  • 借入の流れ

【M&Aでの資金調達の際の注意点】

  • 公募増資は難しい
  • 株主割当の権利行使は必須ではない
  • 第三者割当にはメリット・デメリットがある
  • 中小企業は借入が難しい

上記のように、M&Aにおける資金調達は手法ごとに注意すべき点が異なり、どれが適しているかを判断するのは難しいため、専門家に相談して方法を決めるとよいでしょう。

M&Aの資金調達をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業に対するM&A仲介を行う会社です。

M&A総合研究所では、アドバイザー・会計士・弁護士の3名の専門家が就き、M&Aをクロージングまでサポートいたします。

M&Aに精通した会計士が在籍しているので、資金調達に関するサポート・アドバイスも万全です。

会社名 株式会社M&A総合研究所
問い合わせ先 0120-401-970
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