M&A詐欺が横行!?買い手、売り手で本当にあった事例を紹介

M&A詐欺が横行!?買い手、売り手で本当にあった事例を紹介

M&Aは、一度の取引で億単位のお金が動く世界です。そのようななか、M&A取引の関係者を騙す詐欺行為やお金にまつわるトラブルが後を絶ちません。

これらのトラブルを避けながらM&Aを成功させるためには、防衛意識を高める必要があります。本記事では、実際にあったM&A詐欺の手口を確認することで対策を考えていきます。

M&Aと詐欺

M&Aと詐欺

M&Aとは、合併や買収の総称です。会社や事業を売買する際に用いられる手法で、会社を大きく成長させるための経営手段として、巨大な金額が投資されることが一般的です。

その際は、買収資金や専門家のサポート費用など、大金が必要となるので、M&A取引の規模は大きくなる傾向にあります。この大金の動きに目を付けたのがM&A詐欺です。

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M&A詐欺とは

M&A詐欺とは、M&A取引の関係者を対象にした詐欺行為です。M&A取引で動く大金は、売り手や買い手が背負うリスクであり、M&A詐欺に引っかかってしまうと損失は膨大なものとなってしまいます。

よく見受けられるものには、M&Aの検討者にM&Aに関する知識がないことに付け込んで大金を騙し取ろうとするケースがあります。

現在M&A詐欺が増加傾向にある?

裁判沙汰になるような分かりやすいM&A詐欺はあまり起きていません。裁判所による判決も判例不足でどのような判断が下されるか全く分からないほどです。

しかし、水面下では被害者が泣き寝入りするしかないようなM&A詐欺が横行しているのではないか、という懸念が持たれています。

その理由は、近年のM&A需要の高まりからM&A業界に次々に参入するM&A業者です。不十分なサポート体制や専門性の低い業者も目立つようになっており、最初から成約させる気がない悪質なM&A業者も見受けられるほどです。

このようなM&A業界の動きもあり、経営者自身のM&A詐欺に対する防衛意識が求められています。

M&A詐欺の加害側・被害側

M&A詐欺の加害側・被害側

M&A詐欺に引っかかった時の損失は計り知れません。ここでは、実際に損失を負う被害者と、その加害者を確認しておきましょう。

M&A詐欺を行うのは誰?

M&A詐欺の加害者は、M&A業者やM&A業者を装う者がほとんどです。M&Aサポートの手数料の獲得を目的に、M&Aに関する知識をあまり持たない依頼者を騙してM&Aを強行させます。

通常のM&Aは、慎重に交渉を進めながら買い手と売り手のM&Aの目的・条件のすり合わせを行うものですが、専門性が低い場合このプロセスに多大な労力を要したり、そもそも実行できなかったりするため、意図的に省略しようとするM&A業者が存在します。

このようにM&Aが強行されると、叩き売りや高値づかみ、M&A後の簿外債務の発覚などの被害が起こりえます。

M&A詐欺の対象となるのは買い手? 売り手?

M&A詐欺は、買い手と売り手の両方が被害者になりえます。M&Aのプロセスは基本的にM&A業者を介して進められることになります。

買い手の取引に対する姿勢や売り手の財務状況を示す企業概要書など、M&A業者の意向一つでコントロールされて都合の良い方向に進められてしまう可能性があります。

この場合、買い手と売り手のどちらが対象になってもおかしくはありません。全ての人が防衛意識を持たなければならないでしょう。

本当にあったM&A詐欺の事例

本当にあったM&A詐欺の事例

M&A詐欺の手口について理解するなら、M&A詐欺の事例をみるのが早いでしょう。この章では、実際に起きたM&A詐欺を売り手と買い手のケースに分けて紹介します。

売り手が被害にあったケース

まずは売り手が被害にあったケースを見ていきます。

1.売却案件キープ

こちらは、介護サービス業の売却を検討する経営者が被害にあった事例です。介護業は少子高齢化の中で需要と重要性が増していますが、同時に人材確保が難しいことも問題になっています。

本件の経営者も同様に人材確保に悩みを抱えており、将来性の不安から、とあるM&A業者に売却の可能性に相談したところ、「すぐに買い手が見つかる可能性が高い」という回答を受けて、M&Aによる売却を決意されました。

しかし、実際にマッチングしたのは、依頼から1年近く経ってからのことです。依頼を受けた業者は売却案件をキープしただけで、買い手探しを積極的に行っていませんでした。

結果的に売却はできましたが、1年近く経過する中で経営状況の悪化が進み、当初の予想売却額よりも大幅ダウンする結果となってしまいました。

加害者 被害者 被害・損失
M&A業者 売り手 売却額の低下

2.偽りの高額評価

こちらは、M&A業者にM&Aサポートを依頼するものの結局売却できず、着手金を支払うだけに終わった事例です。

これだけであれば、M&A詐欺ではなくただの失敗と受け取ることもできますが、今回の例は半年の間、一切進められている様子がないというものでした。

M&A業者の真意はわかりませんが、着手金を獲得するために故意に高額な査定を行い、売却の意思決定を誘った可能性が高いとみられています。

経営者にとって、自社が高く評価されることは嬉しいことに違いありません。M&Aに対して不安を持つ心理をついた悪質な手口といえるでしょう。

加害者 被害者 被害・損失
M&A業者 売り手 着手金の支払い

3.M&Aを利用した会社のノウハウの吸収

こちらは、会社のノウハウを盗むことを目的としたM&A詐欺事例です。海外の会社が、クロスボーダー(海外M&A)において絶対に最終契約書を締結せずに日本の会社の情報だけを盗み取るという手口です。

M&Aは、売り手企業の財務データを示すために技術・ノウハウも公開しなくてはなりません。M&Aの成約に向けてあらゆる情報を提示するものの、結局成約せずに会社の技術・ノウハウは流出してしまう結果となりました。

加害者 被害者 被害・損失
海外のM&A業者を装う者 売り手 会社のノウハウ

買い手が被害にあったケース

続は、買い手が被害にあったケースを紹介します。

1.財務データの隠蔽

こちらは、取引対象事業の財務データが適正ではなかったことから発生したM&A詐欺です。

正常なM&Aでは、買い手はM&Aの是非を判断するために売り手の財務データを参考にします。その際に提出されるものは、実態を反映させたものでなければ正しい判断をすることができません。

しかし、売り手は売却を優先するあまり、意図的に営業利益をかさ増しすることで優良売却案件としてアピールする手段を取りました。

これを巡って、買い手は売り手に対して裁判を起こし、財務データの隠蔽が意図的に行われたものと判断されたことがポイントとなり、契約の取り消しが認められることになりました。

加害者 被害者 被害・損失
売り手 買い手 事業の高値づかみ

2.架空会社のでっち上げ

こちらは、実在しない会社をでっち上げて複数の投資家から資金をだまし取ったM&A詐欺です。

会社を成長させるためのM&A買収費用という名目で、複数の投資家に対して多額の出資を要求するというものです。

今後の成長で必ず株価が上がるから、という巧みな話術で未公開株の購入を勧められ、多くの投資家が騙される結果となりました。

加害者 被害者 被害・損失
専門家を装う者 買い手(複数) 総額3億円

3.会社資金の横領

こちらは、売り手会社の経営者がM&A後に会社のお金を横領した事例です。売り手会社が保有する金銭は会社の価値として取引価格に盛り込まれているため、買い手は大きな損失を受けることになります。

売り手会社の経営者は横領したお金を使い込み、そのまま海外に逃亡します。国内の法律が及ばないため回収は困難を極めることとなりました。

加害者 被害者 被害・損失
売り手 買い手 売り手が保有していた資産

事例から考えるM&A詐欺対策

事例から考えるM&A詐欺対策

前章ではM&A詐欺の事例を紹介しましたが、M&A詐欺の加害者は必ずしもM&A業者に限られるわけでもなく、売り手と買い手の間でトラブルになる事例も見受けられます。この章では、前項の事例を基にM&Aを検討する経営者が取りうる対策を考えていきます。

売り手が被害にあったケースの対策

まずは、売り手が被害にあったケースの対策です。

1.売却案件キープの対策

売却案件キープの対策は、M&A業者が起こす行動に注目することです。M&A業者からすると、売却案件のキープはとても都合がよいものです。

1つ1つの案件に対して積極的に動かずに、適当な買い手が現れたらマッチングさせればよい、という認識で行われています。

つまり、多くの売却案件をキープするほど、買い手に対して豊富な選択肢を提示することができるという仕組みです。

M&A業者が買い手を探すために起こしている行動を確認してみましょう。頻繁に連絡を行い、何社に対して打診したのか、何社が反応を示したかなど、こまめなやり取りが大切です。

もし、担当のアドバイザーと連絡が付かない状況になったら、それは高確率で意図的な案件キープです。

時間をかけてマッチングが実現したとしても、満足する結果が得られる可能性も低いので、ほかのM&A業者に乗り換える方が懸命でしょう。

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2.偽りの高額評価の対策

偽りの高額評価に対しては、複数社への相見積もりで対策できます。会社の価値評価方法は複数用意されており、複雑な仕組みなので実際に評価が正しいものか自力で判定するのは極めて困難です。

相場に沿った妥当な評価であるか確認するためには、他のM&A業者や会計の専門家に見積もりを依頼するのが最も効果的な対策方法です。

M&A業者が意図的な詐欺行為を目的としていない場合においても、より適正な評価を受けやすくなるので、M&Aを検討する際の相見積もりはとても大切です。

3.M&Aを利用した会社のノウハウの吸収の対策

これはM&A交渉を無駄に伸ばされたことによる被害です。対策はこちらから契約破棄を申し出ることです。

相手にM&Aの意思があるか確認することは難しく、必要以上に伸ばされていると感じた段階で交渉を打ち切るくらいしかありません。

幸い最終契約書の締結を行っていないため、損害賠償問題にはなりません。被害が大きくなる前に決断することも大切です。

買い手が被害にあったケースの対策

次は、買い手が被害にあったケースの対策です。

1.財務データの隠蔽の対策

財務データの隠蔽は、デューデリジェンスの徹底で対策するしかありません。デューデリジェンスとは、取引対象の価値・リスクを調査する行為をいい、財務・法務・税務の観点から潜在的なリスクが存在しないか徹底的に調べます。

財務データの隠蔽が後に発覚したということは、財務デューデリジェンスが不完全であったことが原因と特定できます。

基本的に、デューデリジェンスは相談先のM&A業者に依頼しますが、稀にコストカットを目的に省略することがあります。これでは売り手が抱えるリスクを把握しないままM&A取引を行うことになってしまいます。

省略を提言したり、そもそもデューデリジェンスについて触れなかったりするようであれば、デューデリジェンスのみをほかのM&A業者に依頼することもできます。

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2.架空会社のでっち上げの対策

架空会社のでっち上げは、実在する会社か確認することで対策が可能です。国税庁の法人番号公表サイトで確認できます。

会社の商号・本店所在地・法人番号のいずれかを、インターネットで検索してみましょう。実在する会社であればヒットするはずです。

また、実在する会社の社員を名乗るケースは相手にする必要もありません。M&Aの情報を外部に流すことは絶対にありませんので、間違いなくM&Aを利用した悪意ある詐欺行為です。

3.会社資金の横領

会社資金の横領の対策は、クロージングの引き渡しの徹底です。M&Aは引き渡し準備をするため、最終契約書の締結から一定の期間を開けてクロージングを実施します。

クロージングは、取引対象の引き渡しと取得対価の支払いを行う場です。買い手は法人名義の通帳やクレジットカードなど、会社の資産に関係する全てのものを受け取ります。

引き渡しに漏れがあると元経営者が資産を握ったままとなり、金銭トラブルに発展してしまう恐れがあるというものです。

【関連】M&Aがクロージングまでの手続きや期間とは?条件や引継ぎも解説

M&A詐欺から会社を守るためにおすすめの仲介会社

M&A詐欺から会社を守るためにおすすめの仲介会社

近年は多くの人にとってM&Aが身近になりつつあり、誰がいつM&A詐欺の標的になるか分かりません。その手口は巧妙で、実際に被害にあっている会社や経営者の方も少なくないと考えられます。

これらM&A詐欺に合わないためには、信頼できるM&A仲介会社に相談することが一番です。

M&A総合研究所は、分野のM&A専門家で構成されるM&A仲介会社です。コンサルティング会社や金融機関の出身が中心となっており、M&Aの全ての工程において徹底的に取り組む姿勢を崩しません

また、担当の専門家の一存でM&Aを強行することはありません。M&Aに対する不安・疑問点も適宜お答えしながら、共に進行する仕組みを取っています。

無料相談は24時間お受けしています。M&A詐欺に不安のある方はぜひ、M&A総合研究所にご連絡ください。

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まとめ

まとめ

M&A詐欺の被害に合わないためには、経営者自身の防衛意識が大切です。近年は、後継者問題の深刻化の原因からM&A需要が高まりをみせており、中小企業の経営者を狙った悪意あるM&A業者が増えることも想定されます。

M&A詐欺にかかわらないようにするためにも、M&A詐欺の動向にも気をつける必要があるでしょう。

【M&A詐欺】

  • M&A詐欺はM&A取引の関係者を対象にした詐欺行為
  • M&A詐欺は水面下で増加している恐れがある

【M&A詐欺の加害側・被害側】

  • M&A詐欺の加害者はM&A業者やM&A業者を装う者が多い
  • M&A詐欺の対象は買い手と売り手の両方