保育園のM&Aは狙い目!メリットと相場、成功事例5つを徹底解説

保育園のM&Aを行おうかどうかお悩みですね。

待機児童問題の高まりなどもあり、保育園のM&Aは近年注目を集めています。

しかし、本当に保育園M&Aをするべきなのか悩んでいる方も多いはずです。

この記事では、保育園M&Aのメリットや注意点、M&A成功のための条件について詳しく解説しています。

保育園M&Aの成功事例について理解し、あなたもM&Aを成功させましょう。

目次

1.保育園のM&Aは狙い目!業界の動向や売却価格は?

入園希望の児童が増えている今、保育園M&Aは狙い目です。

ニュースでも大きく待機児童問題が取り上げられ、保育園の需要は特に都市部で高まっていると言えます。

そのためM&Aを行い保育園経営を続ければ、事業拡大や収益アップのチャンスも見えてきます

また保育園を売却した場合、まとまった資金を生かし経営改善につなげていくことも可能です。

まずは保育園を売却した時の価格相場について、確認していきましょう。

1-1.保育園M&Aの買収価格の相場

保育園のM&Aの場合、買収価格の相場は1億円~数十億円となります。

保育園の運営状況や立地など、ケースにもよりますが都市部にある保育園であれば1億円前後の買収金額を見込めるでしょう。

さらに複数の保育園を経営している場合、まとめてM&Aを行えばさらに高い金額で合意に至るケースもあります。

また保育園のM&Aは、基本的に株式譲渡という形で行われます。

株式譲渡とは、現経営者が買い手に株式を譲渡し、経営権も移転されることです。

株式譲渡については、「M&Aの種類について分かりやすく簡単に解説!知識が浅い方にも嬉しい図解付き」の記事を参考にしてください。

次はM&Aを行った場合の、メリットについて詳しく見ていきます。

2.保育園M&Aの売り手側のメリット

売り手目線から見るM&Aのメリットは、4つあります。

  1. 後継者を見つけられる
  2. 従業員の雇用を継続できる
  3. 経営改善が見込める
  4. 従業員の待遇改善につながる

経営者にとって、従業員や今後の経営に関する問題は非常に重要です。

ここからはそれぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

メリット1.後継者を見つけられる

後継者をM&Aによって見つけられるというのは、売り手にとって大きなメリットです。

経営層の高齢化に伴い、保育園業界でも後継者不足は大きな問題になっています。

しかしM&Aにより今までの事業の一部を売却したり、株式譲渡で経営権を移転させることで新たな経営者を見つけることが可能です。

思い入れのある保育園をこのままたたんでしまうより、後継者を見つけ経営を続ける方が、心情面でも良いでしょう。

メリット2.従業員の雇用を継続できる

2つ目のメリットが、従業員の雇用を継続できるということです。

M&Aを行わず保育園を閉園してしまうと、現在保育士などとして働く従業員を解雇せざるを得ません

解雇が決定してしまうと、安定した雇用が失われるということで、従業員から大きな反発を受けてしまいます。

しかしM&Aを行えば、従業員の雇用を守り、生活を助けることができます

また現在保育園に通う子供たちを転園させる必要もなくなるため、安心して経営を続けることができるでしょう。

メリット3.経営改善が見込める

M&Aにより他会社の経営ノウハウを学べば、現在の経営を見直せて経営改善ができます。

特に小規模な保育園の場合、経営の専門家が少なく非効率的な経営が行われていることも少なくありません。

他企業と経営を共にしていく中で、自分の保育園が抱える課題が明らかになり、経営改善への道が見えてくるでしょう。

メリット4.従業員の待遇改善につながる

M&Aにより経営改善を成功させれば、利益を従業員に還元し待遇を改善できます。

保育士の待遇改善は、社会全体で注目されている課題です。

M&Aによりまとまった資金を得ることが出来れば、従業員に今より良い環境を与えることにも繋がります。

従業員の待遇改善により、短期離職も防げるため今後も保育園経営を続けるうえで、M&Aのメリットは大きいでしょう。

ここからは買い手側のメリットについても、説明していきます。

3.保育園M&Aの買い手側のメリット

買い手側から見る保育園M&Aのメリットは、4つあります。

  1. 人材や土地を確保できる
  2. 新たに認可を受けられる可能性がある
  3. 新規開業する必要がない
  4. 効率的な経営ができる

保育園を売りたいと考えている方も、買い手側のメリットを知れば今後の戦略作りに役立つはずです。

ここからはそれぞれのメリットについて詳しく解説していきます。

メリット1.人材や土地を確保できる

買い手側は、M&Aによって人材や土地を確保できます。

待機児童問題の高まりもあり、保育園経営者にとって人材や土地の確保は非常に重要な問題です。

特に保育士不足が問題となっている現在、自分たちだけの力で保育園を運営するのに十分な人材を集めるのは非常に困難だと言えるでしょう。

しかしM&Aを行い、他企業の人材資産、土地を利用すれば今より保育園の経営状態を良くすることができるでしょう。

メリット2.新たに認可を受けられる可能性がある

M&Aによって新たに認可を受けられる可能性があるのも、買い手のメリットです。

保育園には、都道府県から認可を受けた認可保育園と、都道府県基準に満たない認可外保育園の2種類があります。

認可を受けていないとは言っても、きちんと行政の指導を受けているため安全性に問題はないのですが、認可保育園の方が保護者から人気です。

そのため、「できれば土地や設備を確保し、新たに認可を受けたい」と考えている買い手は多いと言えます。

保育園M&Aを行い新たな設備、土地を確保することで認可を受けられる可能性があるため、認可外保育園を運営する買い手にとってM&Aには大きなメリットがあります。

メリット3.新規開業する必要がない

買い手側が新たに保育園業界に参入するなら、M&Aをすれば新規開業しなくて済みます。

新たに保育園業界に進出したいと考えている買い手にとって、保育園の運営ノウハウ、土地、人材の確保は大きな課題です。

特に保育園運営をしたことのない買い手が、一から人材、土地の確保、保育園経営をするのは困難だと言えます。

しかしM&Aによりすでに開業している保育園を買収すればゼロから開業準備をする必要がなくなるため、低コストで保育園事業をスタートできます。

メリット4.効率的な経営ができる

運営する保育園の数が多いほど、適切な人材配置やコスト管理が可能になり、効率の良い経営が可能となります。

保育園一つ当たりの経営コストをなるべく下げるなら、園を一つだけ運営するよりいくつかの園をまとめて管理した方がお得なことが少なくありません。

M&Aにより複数の保育園を買収、運営することで人材、土地をさらに効率良く利用できるようになるのです。

以上が、M&Aにおけるメリットでした。

さまざまなメリットがあるので、保育園M&Aの成功事例はたくさんあります。

ここまでのメリットを踏まえ、次は保育園M&Aの成功事例を見ていきましょう。

4.保育園M&Aの成功事例5選

保育園のM&Aを行うのは主に同じ保育園経営を行う会社、または教育関係の会社となっています。

しかし最近は、児童育成に関わる企業以外も保育園M&Aを行うことが少なくありません。

ここから紹介するM&Aの成功事例は以下の5つです。

  1. 双日グループとアンジェリカ
  2. 城南進学研究社とJBCナーサリー
  3. 資生堂とJPホールディングス
  4. ヒューマンホールディングスとみつば
  5. 桧家ホールディングスとPURE SOLUTIONS

それぞれの成功事例について解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

成功事例1.双日グループとアンジェリカ

大手総合商社、双日グループに属する双日総合管理は保育園業界へ新規参入するため、都内で複数の保育所を運営するアンジェリカの全株式を取得しました。

買い手側の目的は、人の住まいや生活に関する総合サービス企業として保育面での付加価値を高めることにあります。

もともと双日総合管理はビルやマンション管理を行ってきた会社なので、保育園の運営ノウハウや人材の確保を狙い双日はアンジェリカの株式取得を行ったのです。

またアンジェリカ側も、双日グループが持つ土地を生かし新規保育所の設立を目指しています。

株式譲渡価格は非公開ですが、ライフサービス面でのシナジー効果が期待できるM&Aです。

成功事例2.城南進学研究社とJBCナーサリー

予備校の運営や幼児教育を手掛ける城南進学研究社は2017年、1億5千万円で保育施設を運営するJBCナーサリーの全株式取得を行いました。

このM&Aにおける目的は、事業拡大と新規サービスの展開にあります。

城南進学研究社は今後成長の見込みがある保育事業への新規展開を目指し、JBCナーサリーは地域ニーズに応える新規サービスを始めるための経営パートナーを探していました。

今回の株式取得は、2社の目的が一致したことによる前向きなM&Aであると言えます。

成功事例3.資生堂とJPホールディングス

化粧品メーカーとして有名な資生堂は、保育園運営を行うJPホールディングスと合弁会社を設立する形でM&Aを行いました。

資生堂はこれまでも女性の社会進出に役立つ様々な事業を展開してきた会社です。

今回の合弁会社設立も、女性が働きやすい環境づくりのための新たなチャレンジの一つだと言えます。

事業所内保育園の充実により待機児童の問題を解決し、保育業界の発展に貢献することで「女性の活躍」という企業理念の達成に近づいたのです。

成功事例4.ヒューマンホールディングスとみつば

様々な教育、研修プログラムを手掛けるヒューマンホールディングスは、2015年に神奈川県を中心に保育所運営を行うみつばの株式を全取得し、子会社化しました。

このM&Aによるヒューマンホールディングスの目的は、教育、研修プログラムにより育成した人材に活躍の場を提供することです。

そしてみつばの目的はより充実した保育サービスの提供と、さらなる事業拡大にあります。

取得価格は非公開となっていますが、保育に力を入れる2社によるシナジー効果でより高度なサービス提供が可能になるでしょう。

成功事例5.桧屋ホールディングスとPURE SOLUTIONS

住宅事業を行う桧家ホールディングスは2017年認可外保育園の運営を行うPURE SOLUTIONSの株式を8千万円で全取得し、子会社化することを決めました。

桧家ホールディングスがあえて認可外保育園の買収を行ったのは、補助金に頼らない利益取得の方法を模索するためです。

PURE SOLUTIONSは独自の英語教育を行い、幼児英語教育に力を入れています。

英語教育のノウハウを学び事業を拡大させれば、「子供に英語教育を受けさせたい」という保護者のニーズに応えることも可能なので売り手側にも大きなメリットがあると言えるでしょう。

以上が、M&Aの5つの成功事例でした。

ここからは成功事例をもとに有利な売却につながる条件を見ていきます。

5.保育園M&Aでの売却につながる有利な3つの条件

保育園M&Aの成功事例は多数ありますが、「どんな保育園でも絶対に買収してもらえる」ということはありません。

保育の条件が悪ければ買い手がなかなか見つからず、M&Aの合意に時間がかかってしまうこともあります。

保育園M&Aにおける有利な条件は3つです。

  1. 立地の良さ
  2. 敷地面積の広さ
  3. 従業員の多さ

ここからはM&Aを行うため、それぞれの条件について解説していきます。

具体的なM&Aのプランを考える前に確認しておくと、プランが立てやすくなるはずです。

条件1.立地の良さ

優位にM&Aを進めるため、大切なのは保育園の立地です。

一般的に新興住宅街や都市部など、待機児童が多く、需要の高いエリアにある保育園ほど買収価格は上がります

また自治体によっては保育園建設のため補助金を多く出すところもありますので、そういったエリアに土地を持つ保育園はM&Aを優位に進められます。

反対に保育園の数にゆとりのある地方エリアや、周辺に競合の保育園が多いエリアの場合、他の条件にもよりますが買収価格が大きく下がる可能性もあります。

条件2.敷地面積の広さ

特に都道府県から認可を受けるため、大切なのは敷地面積です。

敷地面積が広ければその分入れる児童の数も増えますし、認可に必要な設備も整えることができます

そのため特に都市部など需要の高いエリアで、広い敷地を持っている保育園を買収したいと考える買い手は多く、買収価格は相場より高額になります。

条件3.従業員の多さ

保育士が不足している保育園は多く、「M&Aによりたくさんの保育士を確保したい」と考えている買い手は多いです。

そのため従業員を多数抱えている保育園は、M&Aの候補として大きな価値を持ちます。

認可保育園に必要な保育士の数を以下の表にまとめました。

児童の年齢 0歳児 1~2歳児 3歳児 4歳児以上
必要保育士数 3人につき1人以上 6人につき1人以上 20人につき1人以上 30人につき1人以上

この人数より従業員に余裕があればあるほど、保育士が多い幼稚園だと言えるでしょう。

保育園運営においては設備、土地だけでなく人材の確保が非常に重要なので、優秀な人材を多数抱える保育園の買収価格は高く設定されます。

以上が、M&Aを優位に進めるための保育園の条件でした。

ここまでの条件を踏まえ、次は保育園M&Aの注意点について確認しておきましょう。

6.保育園M&Aの注意点

保育園のM&Aはメリットばかりではありません

M&Aを行うことで経営状況は大きく変わるので、今までになかった問題点が出てくる可能性もあります。

保育園M&Aで注意しておきたいのは、以下の2つです。

  1. 認許可が下りるか分からない
  2. 債権者の同意が得られない可能性もある

ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説していきます。

注意点1.認許可が下りるか分からない

M&Aを行うことにより保育園の経営状況、土地、人材などの資産が変化し、今まで受けられていた認許可が受けられなくなる可能性があります。

保育園をM&Aする場合、今までの認許可に関わらずM&A終了後、新たに都道府県へ許可申請を行う必要があります。

もちろん土地や人材、設備が増え新たに認可を受けられる可能性も高いです。

しかし、M&A先の経営状況によっては認可取り消しになってしまうリスクも十分にあります。

「認可保育園のままM&Aを行いたい」という場合、認可条件を満たす買い手かどうか、事前にしっかり確認しておきましょう。

注意点2.債権者の同意が得られない可能性がある

多数の保育園運営を行っている場合、保育園に関わる債権者の人数も多いので全員の同意が得にくいです。

M&A自体経営改善のための前向きな決断であっても、経営体制が変化することへの不安から反対の意を唱える債権者も出てくるでしょう。

債権者がM&Aに反対し資金提供を辞めた場合、保育園経営に大きな影響が出てしまう可能性もあります。

債権者からの同意を得るためM&Aの有用性や今後の利益について、きちんと説明を行うことが重要です。

以上が、保育園のM&Aを行う際に注意しておくべきことでした。

すべての注意点を事前に押さえておくことで、M&Aが失敗する可能性は下がります。

ここからは保育園M&Aを成功させるためのコツについても見ていきましょう。

7.保育園のM&Aを成功させるには?

保育園のM&Aを成功させるには、自分だけですべてをやろうとしないことが重要です。

保育園業界でのM&A事例は、増加傾向にあります。

しかし自分で一からM&Aの勉強をし、買い手となってくれる会社を探すのは、非常に大変なことだと言えます。

そこで試しておきたいのが、M&A仲介会社の利用です。

M&A仲介会社は保育園を売りたい人と買いたい人のマッチングを行ってくれるため、M&A初心者の方でも気軽に候補会社の検討を行えます。

M&Aに必要な事務手続きや経営相談も仲介会社に頼めるので、保育園M&Aを前向きに検討したい場合、相談してみると良いでしょう。

M&A仲介会社に関しては、『【M&A仲介会社BEST5を発表】有名企業5社を徹底比較!!』で詳しく解説しています。

M&A仲介会社を利用して、保育園のM&Aを成功させてください。

最後に、もうご存知かもしれませんが保育業界の事業形態について確認しておきます。

8.【補足】保育業界の事業形態とは

M&Aのメリット、M&Aの成功事例について理解するのはもちろん、保育業界の事業形態について知っておけば、M&A相手の経営状況をより深く理解できます。

ここからは保育園、幼稚園、認定こども園の3つに分け保育業界の事業形態について確認しておきましょう。

認可保育園と認可外保育園の違いについても触れているので、保育園の認可を重視したい方はぜひ参考にしてください。

8-1.保育園(保育所)

行政の区分上、保育園と保育所は同じ事業形態の施設で、設置には都道府県の許可が必要です。

保育園(保育所)の対象年齢は0歳~小学校入学までとなっており、保育時間は8時頃~19時頃となっています。

また、保育園はさらに一定の基準を満たした認可保育園と、都道府県からの認可を受けていない認可外保育園の2つに分けられます。

2つの違いを表にしたので、ぜひこちらで確認してください。

  都道府県認可 定員 面積 保育料 開園時間 入園申込
認可保育園 あり 20~60名 1歳までの児童一人当たり3.3㎡ 1~4万円(月) 11時間程度 各市町村
認可外保育園 なし 定めなし 定めなし 定めなし 定めなし 各保育園

8-2.幼稚園

幼稚園に認可、認可外の差はなく設立には都道府県教育委員会か知事、どちらかの許可が必要です。

幼稚園の対象年齢は3歳~小学校入学まで、開園時間は9時頃~14時くらいまでとなっています。

保育園と比べ幼稚園は幼児教育に力を入れているところが多く、音楽や英語など、そのエリアの需要に合わせ様々な分野に特化した教育を行っている園もあります。

8-3.認定こども園

認定こども園は待機児童問題を解消するため、内閣府が管轄する保育施設です。

認定こども園は幼稚園で行われる幼児教育、子供を預かる保育園それぞれの特徴を併せ持つ施設で、保護者の就業状況に関わらず利用できます。

そのため幼稚園としての利用もできますし、保育園としての利用も可能です。

認定こども園の歴史はまだ浅いため数は多くありませんが、待機児童の多いエリアでは空きスペースでの認定こども園開設に注目が集まっています。

M&Aのしやすさや保育園経営の安心感、という観点でいうと共働き夫婦からの需要が大きい認可保育園が最も有利だと言えます。

しかし少ない資金で保育園経営を行いたい買い手の場合、規模の小さい認可外保育園や認定こども園の買収を希望することも少なくありません。

また、児童教育のノウハウを得たい買い手は、独自教育に力を入れる幼稚園に注目する傾向があります。

M&Aを行う際には、自分の経営する保育園の事業形態を確認した上で、戦略を立てていきましょう。

まとめ

待機児童問題の高まりにより、保育園のM&Aは増加傾向にあります。

しかし、自分たちだけでM&Aを完結させるのは非常に大変です。

信頼できるM&A仲介会社に相談し、経営している保育園の課題を前向きに解決していきましょう。