
「不動産会社の事業承継にM&Aは利用できるのかな?」とお悩みではないでしょうか。
近年の不動産業界では、市場縮小の傾向を受けて業界再編が進んでいます。
それに伴い、事業規模の拡大や顧客の獲得を狙って、M&Aにより不動産会社を売買するケースが増加中です。
この記事では、そんな不動産業界でのM&A売却を有利に成功させるための条件や注意点を紹介します。
不動産業界での成功事例も確認して、事業承継問題を解決していきましょう。
目次
1. 不動産会社はM&Aで事業承継できる!業界動向は?

近年の不動産業界では、事業規模の拡大や顧客の引き継ぎを目的として、M&Aにより不動産会社を買収するケースが増加しています。
ちなみに、不動産事業を大きく3つに分類すると、「開発」と「流通」と「管理」の3事業です。
「開発」とは、商業施設やオフィスビルなどの開発事業を手がけていて、デベロッパーと表現されることもあります。
「流通」の代表例は不動産の仲介事業であり、「管理」は物件のメンテナンスを手がける事業です。
近年では不動産業界全体において、市場縮小の傾向や競争激化を受けて、業界再編が進んでいます。
そのため、シェアを広げて市場縮小に対応すべく、不動産会社を買収するM&Aが増加しているのです。
したがって、特定地域で大きなシェアを持っている会社は、M&Aで有利に売却できる可能性が高いので、納得できる事業承継が叶いやすいでしょう。
もしもあなたの会社も経営に不安があるなら、安定させることで業界で生き残っていくためにも、M&Aを活用した売却を検討してみてください。
以上、不動産業界のM&A動向について解説をしました。
ここで、「不動産会社のM&Aでの売却価格はどれくらいなのだろう?」と思う人も多いのではないでしょうか。
では、売却価格の相場はどのようになっているのかお話していきます。
2. 不動産業界M&Aの売却価格の相場

不動産業界M&Aでの売却価格の相場は幅広く、中小企業の不動産会社であれば3,000万円〜2億円程度が一般的です。
また、大手の不動産会社であれば、売却価格が100億円に及ぶこともあります。
相場に影響する代表的なポイントは、「人材」と「地域に根ざした事業運営」です。
つまり、経験豊富な従業員や特定地域で大きなシェアを持っているほど、売却価格が高額になる傾向があります。
以上、不動産業界M&Aでの売却価格の相場を紹介しました。
相場の計算は専門性が高いので、具体的な価格が知りたいならM&A仲介会社に相談するべきです。
そして、不動産業界のM&Aでは、売却利益以外にもメリットがあります。
では、どのような点がメリットとなり得るのかについてもお話していきますので参考にしてみてください。
3. 【売り手側】不動産会社M&Aで得られるメリット

不動産会社のM&Aで売り手が得るメリットは以下の3つです。
- 承継先として外部企業を選べる
- 資金獲得の選択肢となる
- 経営安定化を目指せる
こうしたメリットが得られることで経営を安定化させて今後を見据えた動きもできるようになります。
それぞれわかりやすく解説していきますので、買い手側も参考にしてみてください。
メリット1. 承継先として外部企業を選べる
不動産会社の承継先として外部企業を選べます。
なぜなら、後継者問題を抱えているが適格者を見つけることができない場合、買収先から選出してもらうことができるからです。
親族・従業員に後継者がいなければ廃業をしようと考える人は多くいます。
ですが、外部企業を承継先としてしまって経営を引き継いでもらうことができれば会社は存続し続けることができるのです。
また、従業員の雇用に関しても悩む必要はありません。
雇用形態や待遇などまで細かく話し合いをしておけば、従業員も離職して新しい仕事を見つけなければならないリスクがなくなるのです。
こうした多くの利点があることから、承継先として外部企業を選ぶということは廃業よりも先に検討したいこととなります。
メリット2. 資金獲得の選択肢となる
不動産会社を売却することになるので、資金を獲得できます。
つまり、運営資金やリタイア後の資金獲得の選択肢としてM&Aは検討できるのです。
また、ただ売却するだけではなく個人保証や担保などの負債も交渉し、引き継いでもらえます。
特に中小企業であるケースでは、個人で負債を抱えていることが多いですから資金獲得と負債の解消は大きなメリットとなるでしょう。
こうした資金獲得の選択肢としても優秀ですから、M&Aは検討の余地あると言えます。
メリット3. 経営安定化を目指せる
不動産会社の経営が苦しいといったケースでもM&Aは効果的です。
売却して買い手に引き継いでもらうことで、買い手の資金を活用できるようになります。
すると、資金不足で安定化できなかった経営を盤石なものとし、基盤を強化できたことで新たな事業に動き出すといったアクションも検討できるようになるのです。
必ずしも売却後はリタイアしなければならないわけではなく、そのまま経営の責任者として継続して事業を続けることもできます。
経営が安定したらしたかったこと、従業員の待遇の改善など多くの選択肢を得られるのもリソースがあるからです。
もし、不動産会社の経営が難しいということでしたら大手の子会社になるなどの売却を検討してみてください。
では、買い手のメリットについてもお話していきますので見ていきましょう。
4. 【買い手側】不動産会社M&Aで得られるメリット

不動産会社のM&Aで買い手が得るメリットは以下の3つです。
- 売り手のリソースを獲得できる
- サービス内容を充実できる
- 人材の確保を同時にできる
経営戦略の一手として、非常に効果的なメリットが多くありますから確認してみましょう。
メリット1. 売り手のリソースを獲得できる
不動産会社をM&Aで買収すれば、売り手となる企業が持つノウハウや人材、顧客から取引先までのリソースをすべて獲得できます。
例えば、今まで自社が委託していた外部の注文を買収先が行えるとなるとどうなるでしょうか。
経営を一本化できるだけではなく、依頼するコストの削減と綿密な計画によって生産性の向上が見込めるはずです。
他にも、他社では融通の利かなかった部分まで自社であれば可能となることがあるでしょう。
こうした売り手のリソースの獲得は、不動産会社に限らず多くの企業でもメリットと言える部分です。
M&Aを検討したのであればリソースの活用で何ができるのかまで着目してみると良いでしょう。
メリット2. サービス内容を充実できる
先ほどお話したリソースの活用によってサービス内容を充実できるのも不動産会社をM&Aで買収するメリットです。
自社だけで補えなかった事業を試してみる、今まで提供できなかった周辺サービスも検討してみるなど多くのことが可能になります。
もちろん、買収先をしっかりと調べ上げてからどのような利益・収益性が高まるのかは必ず確認しなくてはなりません。
しかし、そのような手間を考えても有り余るほどのメリットとしてサービス内容の充実を図れるはずです。
買い手としてはこうしたメリットにも目を向けて幅広い検討をしてみることが良い売り手を見つけるポイントにもなりますので検討してみてください。
メリット3. 人材の確保を同時にできる
そして、リソースの中には人材も含まれていますから、同時に確保できるのもメリットです。
新しいサービスや事業を展開するときには、優秀な人材が必要不可欠となります。
不動産会社の人材は不足しやすいですから、買収と同時に人材まで確保できるのは見逃せません。
ただし、注意点として待遇や経営方針の変更による離職のリスクだけは十分に検討すべきです。
多くの人が変化を嫌う傾向があり、モチベーションの低下によって生産性の低下や離職は十分にあり得ます。
こうしたリスクまで丁寧に考えておけば、人材の獲得として買収に動き出してみるのも良いでしょう。
ここまで売り手・買い手にとってのメリットをお話してきました。
お互いのメリットと目的が合えばM&Aの成立はしやすいはずです。
よりイメージを深めるためにも成功事例を紹介しますので、目的はどうなのか、何を見ていたのかなどを参考にしてみてください。
5. 不動産業界M&Aの成功事例5選

ここからは、不動産業界M&Aで成功を収めた事例5つを紹介します。
- アジアゲートホールディングスと東日本不動産の事例
- APAMANとプレストサービスの事例
- 日本社宅サービスと全日総管理の事例
- ケイアイスター不動産とフレスコの事例
- ハウスフリーダムとシティホームの事例
それぞれが違う目的によって動いているので、なぜ買収・売却に至ったのかも考えながら参考にしてみてください。
事例1. アジアゲートホールディングスと東日本不動産の事例

最初にご紹介するのは、アジアゲートホールディングスと東日本不動産の事例です。
2018年、ゴルフリゾート事業や建設事業や不動産事業を主に手がけているアジアゲートホールディングスは、東日本不動産をM&Aによって買収しました。
東日本不動産は、アパートやマンション、オフィスビルの賃貸事業を東北地本で運営していた会社です。
同業種でのM&Aでは、お互いのリソースを使うことにより今まで以上に事業を効率よく進めることができます。
つまり、事業規模を拡大して市場への影響を強める目的で行われたのです。
こうした動きはシナジー効果も大きく期待できます。
お互いの相乗効果により、今後も事業を手広く展開して進めることができるようになるはずです。
※シナジー効果について詳しく知りたい人は以下の記事を参考にしてみてください。
【関連】シナジー効果とは?正しい意味とM&Aでシナジー効果を生み出すコツ
事例2. APAMANとプレストサービスの事例

2つ目の事例は、APAMANとプレストサービスの事例です。
2018年、賃貸管理業などを営むAPAMANは、プレストサービスをM&Aによって買収しました。
プレストサービスは、全国主要都市での賃貸管理で勢力を持っています。
この事例では、プレストサービスが持つサービスを取り込むことによる周辺サービスの強化が狙いです。
さらには、お互いのリソースをうまく合わせることで新しい事業の拡大を狙う動きも可能となるでしょう。
付帯サービスや勢力の拡大を目的としたM&Aも、経営戦略としては非常に効果的なことがこの事例でわかります。
事例3. 日本社宅サービスと全日総管理の事例

3つ目の事例は、日本社宅サービスと全日総管理の事例です。
2017年、社宅のアウトソーシング事業を行う日本社宅サービスは、全日総管理をM&Aによって買収しました。
買収された全日総管理は、不動産管理業務を手がけている会社です。
M&Aによる買収の目的は、首都圏を中心に展開するサービス事業のノウハウを吸収することでした。
これによって、買い手側では売上や収益の向上に貢献できると見込まれています。
このように、得意分野のノウハウを吸収する目的でもM&Aは活用可能です。
事例4. ケイアイスター不動産とフレスコの事例

4つ目の事例は、ケイアイスター不動産とフレスコの事例です。
2018年、埼玉県に本社を置くケイアイスター不動産は、フレスコをM&Aによって買収しました。
買収されたフレスコは、千葉県を中心に戸建住宅の分譲や注文住宅事業を手がけている会社です。
M&Aによる買収の目的は、戸建分譲事業の拡充を図ることでした。
現在では、これを足がかりに、グループ全体での事業拡大の加速が期待されています。
このように、事業拡大の足がかりとしてM&Aを活用する場面も少なくありません。
事例5. ハウスフリーダムとシティーホームの事例

最後にご紹介するのは、ハウスフリーダムとシティホームの事例です。
2015年、大阪や福岡を中心に不動産仲介事業を手がけるハウスフリーダムは、シティホームをM&Aによって買収しました。
買収されたシティホームは、愛知県を中心として地域に根ざした不動産の売買仲介事業を展開する会社です。
M&Aによる買収の目的は、中部地方への進出を果たすことでした。
これによって、東日本への進出の足がかりとして期待されています。
このように、事業エリアの拡大を図るため地域に特化した企業を買収するM&Aが行われることも多いです。
以上、不動産業界M&Aでの5つの成功事例でした。
次は不動産業界M&Aで有利に売却する条件を見ていきましょう。
※もっと事例を知りたい、成功させるための参考にしたいということなら以下の記事を参考にしてみてください。
【関連】M&A事例50選!成功への鍵を徹底解説!【2020年最新版】
6. 不動産業界M&Aで有利に売却する条件

不動産業界でのM&Aは非常に盛んに行われていますが、全ての会社がM&Aで有利に売却できるというわけではありません。
不動産業界のM&Aにおいて売却に有利となるのは、以下の3つの条件を満たすことです。
- 地域性を活かした運営を行っている
- 取引先企業を抱えている
- 有資格者が多く在籍している
これら3つの条件を満たすことで、あなたの会社を良い条件で売却しやすくなります。
それでは、それぞれの条件を順番に見ていきましょう。
条件1. 地域性を活かした運営を行っている

地域性を活かした事業運営を行っていると、M&Aで有利に売却できる可能性が高まります。
なぜなら、地域に特化した会社を買収することで、買い手側は既存事業の補完を行うことができるためです。
近年のM&Aでは、大手企業が事業の補完を目的に地域性を活かした運営を行う企業を買収する事例が増加しています。
このような理由から、地域に特化した事業運営を行う不動産会社は高値で買収されることが多いです。
条件2. 取引先企業を抱えている

定期的に仕事を受注している取引先があれば、M&Aでの売却において高い評価額となる可能があります。
なぜなら、取引先を抱えている企業を買収すると、買い手ではM&A直後から業績の向上が見込めるためです。
それに加えて、確実な事業規模の拡大も狙えます。
このような理由から、十分に取引先を持っている・安定した取引ができているというケースでは買収価格も高くなりやすいのです。
もしもM&Aでの売却までに時間があるならば、可能な限り取引先を増やす努力をしておくことで、納得できるM&Aを行いやすいでしょう。
条件3. 有資格者が多く在籍している

有資格者が多く在籍している会社は、M&Aで有利に売却できる可能性が高まります。
なぜなら、不動産業界では、従業員の人材不足が深刻な問題となっているためです。
しかしその一方で、事業の運営に必要不可欠となる従業員を募集するには、手間と費用がかかります。
そこで、M&Aの買収によって有資格者である従業員を引き継ぐことができれば、人材不足を改善できるのです。
売却に影響する資格には、以下のようなものがあります。
- 賃貸不動産経営管理士
- マンション管理士
- 宅地建物取引士
一般的には、上記のような資格を持つ従業員が多いほど、有利な条件で売却できる可能性が高まります。
以上、不動産業界M&Aで有利に売却するための条件を紹介しました。
これら3つの条件を押さえておけば、不動産会社を有利に売却できる可能性が高いです。
しかしその一方で、不動産業界のM&Aでは注意するべき点もあるので、ここで確認しておきましょう。
7. 不動産業界M&Aの注意点は?

不動産業界におけるM&A仲介会社の注意点は、以下の2つです。
- 債権者からの反発を受ける可能性がある
- 従業員からの未払い賃金請求のリスクがある
不動産会社の生き残りや承継に便利な手段ではありますが、失敗してしまうと大きな損害を受けてしまう可能性もあります。
ですから、必ず注意点は守って動くようにしてみてください。
注意点1. 債権者から反発を受ける可能性がある

M&Aによる会社売却の有用性や将来的に得られる利益について、あらかじめ債権者に説明をして同意を得ておくようにしてください。
M&Aで不動産会社を売却することは、業界で生き残るための前向きな経営戦略と言えます。
しかし、経営・方針に対する変更があれば、不安になった債権者が異論を唱える可能性は捨てきれません。
ですから、必ず何が変更になって、将来的な有用性や収益性について納得できるまで話し合いはするべきでしょう。
注意点2. 従業員からの未払い賃金請求のリスクがある

不動産業界のM&Aを行う上で最も注意しておきたいのは、従業員への未払い賃金についてです。
一般的な傾向として、不動産会社は、他の業界と比べて拘束時間が長時間化しやすいと言われています。
そのため、これらの従業員に対する給料が固定費となり利益を圧迫しやすいです。
なので、少しでも固定費を削減しようとする経営者は少なくありません。
これにより、不適切な労務管理が行われるケースが多く存在します。
不適切な労務管理には、労働条件の明示不足や、時間外労働に対する賃金の未払いなどが考えられるのです。
こういった状況でM&Aを行おうとすると、売り手側に多額の賃金が請求されてしまうリスクがあります。
さらには、M&Aの成約後にこれらの事実が発覚した場合、売り手側が損害買収請求を受けるおそれもあるのです。
そこで、もしも未払い賃金について不安があるならば、あらかじめ不適切な部分は解決しておくと良いでしょう。
以上が、不動産業界のM&Aを行う際の注意点でした。
M&Aを行う際には、これら2つに気をつけてください。
そして、どうしても不動産業界のM&Aを成功させたいという人は、専門家である仲介会社に相談するのが最適です。
8. 不動産業界M&Aの成功には仲介業者が重要!

不動産業界でのM&A事例はとても多いです。
しかし、多くの企業が成功しているのには、自社にピッタリのパートナーを見つけることができているという理由があります。
そこで活用したいのが、M&A仲介会社です。
M&A仲介会社に相談すると、買い手を見つける・手続きをサポートする・書類を作成するなどトータルサポートを受けることができます。
多くの仲介会社では無料相談サービスを行っており、不動産会社M&Aに不安を感じている人や自社の売却価格について気になる人は、まず仲介会社に相談するのが最適です。
M&A仲介会社に相談すれば、高値で買い取ってもらえるように経営状態を整えるためのアドバイスももらえます。
もしどこのM&A仲介会社に相談したらいいんだろうとお悩みであれば、M&A総合研究所を一度ご検討ください。
M&A仲介会社については、『【M&A仲介会社BEST5を発表】有名企業5社を徹底比較!!』で詳しく書いているので、参考になるはずです。
それでは、不動産業界の主要企業ランキングを確認しておきます。
業界について理解し、M&Aの戦略作りに役立ててください。
9. 【補足】不動産業界主要企業ランキング

M&Aで不動産会社を売却するときは、日本国内の不動産業界における主要企業について知っておけば、業界の動向をより深く理解できます。
業界を深く理解しておくことも、有利な条件で売却するためには大切です。
ここでは、不動産事業を手がけている不動産業界の主要企業TOP10社の一覧を売上高と合わせて見ておきましょう。
企業名 | 売上高(単位:億円) |
三井不動産 | 15,679 |
飯田グループHD | 11,360 |
三菱地所 | 10,094 |
住友不動産 | 8,549 |
東急不動産HD | 8,154 |
大東建託 | 7,748 |
野村不動産HD | 5,695 |
レオパレス21 | 5,114 |
大京 | 3,348 |
東京建物 | 2,600 |
(引用:業界動向サーチ「不動産業界 売上高ランニング(平成27年〜28年)」)
このように、不動産業界では上位数社が大きなシェアを占めている状況です。
そのため、上記のような大手不動産会社に買収されれば、より安定した経営が見込まれます。
もしもあなたの不動産会社が中小企業であるなら、事業を生き残らせるためにも積極的にM&Aの活用を検討してみてください。
メリットや成功事例を理解して、不動産業界のM&Aを有利な条件で成功させましょう。
それでは最後に、通常のM&Aよりも有利な条件で売却しやすい不動産M&Aについて紹介しておきます。
10. 【補足】会社をたたむ前に不動産M&Aを検討すべき!

あなたの会社が不動産会社であるならば、会社をたたんでしまう前に不動産M&Aも検討すべきです。
不動産M&Aとは、不動産の取得を目的としたM&Aのことを指します。
ちなみに、通常のM&Aでは、事業や会社を取得することが目的です。
このように目的が異なっていますが、どちらのM&Aであっても売却するということ自体は同じだと言えます。
不動産M&Aを活用することで、売り手と買い手の双方に通常のM&Aとは異なったメリットがあります。
それでは、売り手と買い手が得られるメリットを順番に確認しておきましょう。
10−1. 不動産M&Aの売り手にとってのメリット

不動産M&Aを活用することで、通常のM&Aと比べて売却時の手取り額が大幅に増える可能性があります。
なぜなら、不動産M&Aは株式譲渡と類似した手続きを取るので、株式譲渡の利益のみが課税されるためです。
そのため法人税や住民税を支払う必要がありません。
また株式の譲渡で得た利益は株主に直接帰属するため、株主に対して配当金を支払う必要もないのです。
したがって、不動産M&Aを活用すれば20%の所得税の支払いで済むため、売り手にとってメリットとなります。
過去には、不動産M&Aの活用によって、不動産を売却して会社を解散させた場合と比較して、手取り金額がおよそ8000万円程度増えた事例もあるのです。
そのため、M&Aによる会社売却を行う際は、不動産M&Aを検討してみると良いでしょう。
10−2. 不動産M&Aの買い手にとってのメリット

不動産M&Aを活用することで、買い手側では登記申請が不要となります。
つまり、株式変更のみで手続きを完了させることができるのです。
また、不動産売買の手続きで必要となる収入印紙を購入することもありません。
したがって、買い手側では手続きの手間や費用がかからないメリットがあります。
以上、不動産M&Aの様々なメリットを紹介しました。
売り手と買い手双方にメリットがあるので、M&Aを活用する際は不動産M&Aも検討してみてください。
まとめ
不動産業界では、市場縮小や競争激化による生き残りを図るためM&Aでの買収が増加傾向にあります。
また高齢化の影響を受け、事業承継の手段として会社を売却するM&Aが盛んです。
ただし、自社だけでM&Aを完結させるのは非常に大変と言えます。
信頼できるM&Aを仲介業者に相談し、経営している不動産会社の課題を前向きに解決していきましょう。