特定目的会社(TMK)とは?設立の手順、合同会社(GK)との比較表あり

特定目的会社(TMK)とはどのような法人形態なのか、よくわからないという方もいるかもしれませんが、特定目的会社(TMK)はうまく活用すると非常に有用です。

この記事では、特定目的会社(TMK)とは何か、設立の手順や設立する目的、合同会社(GK)や特別目的会社(SPC)との違いなど解説します。

特定目的会社(TMK)とは?

特定目的会社(TMK)とは、不動産などの資産を売買しやすくする「流動化」のための法人です。「資産の流動化に関する法律(資産流動化法・SPC法)」という法律で規定されており、株式会社のように会社法で規定された法人とは異なる形態になっています。

ここでいう資産の流動化に関する法律(資産流動化法・SPC法)とは、特定目的会社(TMK)の設立のルールを定めたものであり、1998年に公布された比較的新しい法律です。

特定目的会社(TMK)は名前に「会社」とついていますが、会社とは正確にいえば利益を上げるための活動を目的とする、会社法で定められた株式会社・合名会社・合資会社・合同会社を指します。

よって、特定目的会社(TMK)とは厳密な意味での会社ではないともいえますが、法人格は持っているので社団法人の一種ではあります。

また、特定目的会社(TMK)とは資産の流動化のための法人であり、普通の株式会社のような利益を上げるための財やサービスの製造・販売は行いません

株式会社は破産や任意解散などをしない限り存続しますが、特定目的会社(TMK)は所定の目的を達成したら解散するのも特徴です。

資産の流動化とは

特定目的会社(TMK)とは資産の流動化のための法人ですが、資産の流動化とはどういう意味なのでしょうか。

資産とは一般にあらゆる有形資産・無形資産を指しますが、特定目的会社(TMK)で資産について話す時は、ほとんどの場合において債権と不動産を指すことが多いです。

流動性とは資産の買いやすさ、売りやすさのことで、流動化とは流動性を高める、つまり売買しやすくすることをいいます。

例えば、不動産は一般に高額で売買の手続きも複雑なため、売りたいと思っても買い手がなかなかみつからないことがあります。また、買い手にとっては、買いたいと思っても高すぎて手がだせないこともあります。

このように、売ったり買ったりするハードルが高くて売買しにくい状態は、流動性が低い状態です。

逆に、上場企業の株式は市場を通して誰でも売買できるので、売ったり買ったりするハードルが低く、流動性が高くなっています。

特定目的会社(TMK)を利用すれば、債権や不動産といった流動性の低い資産を、証券化などの手法で流動化することができます

特定目的会社(TMK)が設立される意味

特定目的会社(TMK)とは資産を流動化するための法人ですが、設立する目的・意味には資金調達・リスクヘッジ・資産のオフバランス化の3つが挙げられます。

【特定目的会社(TMK)が設立される意味とは】

  1. 資金調達の選択肢を増やす
  2. 資産を保有するリスクを投資者に負わせる
  3. 資産をオフバランス化して財務指標を改善する

1.資金調達の選択肢を増やす

資金調達といえば、普通は会社の信用力や不動産などの有形資産を担保に行いますが、特定目的会社(TMK)で行われる資産の流動化では、保有する不動産に加え、事業が将来もたらすであろう利益を担保に資金調達します。

特定目的会社(TMK)の資金調達方法は通常の調達方法とは異なるため、特定目的会社(TMK)を利用すれば資金調達の選択肢を増やすことができます

会社の信用による資金調達を「コーポレートファイナンス」と呼ぶのに対して、特定目的会社(TMK)が行う事業の利益予想を担保にする資金調達は「プロジェクトファイナンス」と呼ばれます。

2.資産を保有するリスクを投資者に負わせる

特定目的会社(TMK)が不動産を証券化して投資家がそれに投資すると、不動産に関するリスクは投資家が負うことになります。リスクヘッジができるのは、大きなメリットの1つです。

投資家はリスクを負うことになりますが、リスクと引き換えに投資で利益を得ることができます

3.資産をオフバランス化して財務指標を改善する

資産をオフバランス化して財務指標を改善するのも、特定目的会社(TMK)を利用する重要な意味の1つです。

オフバランス化とは不動産などの負債を貸借対照表から消すことであり、会社が保有している負債を特定目的会社(TMK)に移すことで実行できます。

資産のオフバランス化は便利な手段ですが、含み損のある不動産を特定目的会社(TMK)に移すのは、場合によっては飛ばし行為にあたるため注意が必要です。

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特定目的会社(TMK)と特別目的会社(SPC)との違い

特定目的会社(TMK)と並んでよくでてくる用語に、特別目的会社(SPC)というものがあります。特別目的会社(SPC)は特定目的会社(TMK)と同じ意味で使われることもありますが、正確には別なものです。

特別目的会社(SPC)とは、ある事業が将来生み出すであろう利益を担保にした資金調達、または資産の証券化といった、特別な目的のために設立された法人のことです。

特別目的会社(SPC)は、特定目的会社(TMK)だけでなく、合同会社(GK)・投資法人などの法人形態をとることができます。

つまり、特定目的会社(TMK)とは特別目的会社(SPC)の一種で、あらゆる法人形態を含めた包括的な概念が特別目的会社(SPC)だといえます。

特定目的会社(TMK)設立の手順

特定目的会社(TMK)設立の手順は、定款の作成など株式会社の設立と同じ部分もありますが、異なる部分も多いので注意が必要です。

特定目的会社(TMK)は資産のオフバランス化を目的として設立できますが、悪質な飛ばし行為を防ぐために、全体的に合同会社(GK)と比べて設立の条件が厳しくなっています

特定目的会社(TMK)設立の手順で重要なのは、資産流動化計画の作成です。資産流動化計画とは、特定目的会社(TMK)を設立してどのような業務を行うのか、その期間はいつまでかなどを記したものです。

また、特定目的会社(TMK)の設立では、業務を開始する届出書を内閣総理大臣に提出しなければなりません。もし資産流動化計画の内容に変更があった場合は、その旨も内閣総理大臣に届け出る必要があります。

役員に関しては、取締役以外に監査役を設置する必要があること、資産流動化計画の内容によっては会計監査法人が必要な場合があることが注意点です。

特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)との比較

特定目的会社(TMK)以外に特別目的会社(SPC)としてよく利用される法人形態として、合同会社(GK)があります。

合同会社(GK)とは何か、特定目的会社(TMK)との違いとは何かを知っておくと、特定目的会社(TMK)を利用した資産の流動化についても理解しやすくなります。

合同会社(GK)とは

合同会社(GK)とは、会社法に基づいて設立される法人形態の1つです。会社法に基づく法人形態には、株式会社・合同会社・合資会社・合名会社の4つがあります。

「GK」というのは合同会社をアルファベット表記した「Goudou Kaisha」の頭文字で、アメリカの「Limited Liability Company」にならって「LLC」と書かれる場合もあります。

合同会社(GK)は株式会社よりシンプルで設立しやすいのが特徴で、かつての有限会社に変わる法人形態として、小規模な事業の法人化によく利用されます。

ただし、合同会社(GK)は外資系の大企業でもよく利用されており、例えばグーグルやアマゾンジャパンは合同会社(GK)の形態をとっています。

合同会社(GK)は、基本的には株式会社と同じように営利活動を行うための法人です。しかし、匿名組合(TK)を利用した「GK-TKスキーム」によって、特別目的会社(SPC)として使うことができます

特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)との違い

特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)は、どちらも特別目的会社(SPC)として利用されますが、両者にはさまざまな違いがあります。特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)の主な違いとしては、以下の点が挙げられます。

【特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)との違いとは】

  1. 根拠となる法律の違い
  2. 資本金の違い
  3. 内閣総理大臣への届出の違い
  4. 出資者の議決権の違い
  5. 登録免許税の違い
  6. 解散の時期の違い

1.根拠となる法律の違いとは

特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)との違いとして、まず根拠となる法律が違うという点が挙げられます。

合同会社(GK)は会社法で規定されているのに対して、特定目的会社(TMK)は資産流動化法(SPC法)で規定されています。

2.資本金の違いとは

資本金は合同会社(GK)は1円から可能で、特定目的会社(TMK)は最低10万円からとなっています。

3.内閣総理大臣への届出の違いとは

特定目的会社(TMK)の設立の際は内閣総理大臣への届出が必要ですが、合同会社(GK)では必要ありません

4.出資者の議決権の違いとは

合同会社(GK)の出資者は議決権を持つのに対して、特定目的会社(TMK)の出資者である優先出資社員は議決権を持ちません

合同会社(GK)の出資者の議決権は、出資額に関わらず一人1議決権となっており、株式会社のように出資額に比例しないのが特徴です。ただし、議決権の与え方は定款で変更可能で、出資額に比例した議決権を与えることもできます。

5.登録免許税の違いとは

特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)どちらも設立の登記が必要ですが、登録免許税は特定目的会社(TMK)が3万円合同会社(GK)が6万円と、特定目的会社(TMK)のほうが優遇されています。

ただし、株式会社の登録免許税は最低15万円なので、合同会社(GK)も株式会社よりは優遇されています。

6.解散の時期の違いとは

特定目的会社(TMK)は特定の資産を運用するための法人なので、資産流動化計画に基づく資産運用が終われば原則として解散します。

一方、合同会社(GK)は株式会社と同様、定款で定めた解散事由の発生や破産が起こらない限り、解散することはありません

特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)との比較表

特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)の違いを、表にして比較すると下のようになります。

合同会社(GK)はかつての有限会社に変わる簡易な法人を想定しているので、全体的に特定目的会社(TMK)よりシンプルな形態になっています。

一方で、特定目的会社(TMK)は簿外債務の飛ばし行為防止の観点から、合同会社(GK)よりも手続きが面倒で形態が複雑になっています。

【特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)との比較表】

  特定目的会社(TMK) 合同会社(GK)
根拠となる法律 資産の流動化に関する法律(資産流動化法・SPC法) 会社法
資本金 最低10万円 1円から可能
内閣総理大臣への届出 届け出なければならない 届け出る必要なし
出資者の議決権 優先出資社員は議決権を持たない 出資者は議決権を持つ
必要な役員 取締役と監査役、場合によっては会計監査法人が必要 社員1人のみ必要
登録免許税 3万円 6万円
解散の時期 資産を処分したら原則として解散する 破産や解散事由の発生

M&Aにおすすめの仲介会社

特定目的会社(TMK)や合同会社(GK)などの特別目的会社(SPC)は、レバレッジドバイアウト(LBO)やマネジメントバイアウト(MBO)といった、M&A・事業承継の手段としても使われます。

M&A・事業承継の手続きには専門的な知識や経験、売却先のネットワークなどが必要なので、M&A仲介会社のサポートは不可欠といえるでしょう。

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M&Aでは、特定目的会社(TMK)や合同会社(GK)を利用した資金調達も有効ですが、仲介会社の手数料などのコストを削減することも大切です。

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まとめ

特定目的会社(TMK)とは、資産流動化法という会社法以外の法律で規定されたやや特殊な法人で、不動産など流動性の低い資産を流動化できます。

合同会社(GK)も似たような目的で利用することができ、こういった特別な目的のための会社は特別目的会社(SPC)といいます。

特定目的会社(TMK)や合同会社(GK)とは何かを理解すれば、資金調達や資産管理の選択肢を増やすことができます。

【特定目的会社(TMK)が設立される意味】

  1. 資金調達の選択肢を増やす
  2. 資産を保有するリスクを投資者に負わせる
  3. 資産をオフバランス化して財務指標を改善する

【特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)との違い】

  1. 根拠となる法律の違い
  2. 資本金の違い
  3. 内閣総理大臣への届出の違い
  4. 出資者の議決権の違い
  5. 登録免許税の違い
  6. 解散の時期の違い

【特定目的会社(TMK)と合同会社(GK)との比較表】

  特定目的会社(TMK) 合同会社(GK)
根拠となる法律 資産の流動化に関する法律(資産流動化法・SPC法) 会社法
資本金 最低10万円 1円から可能
内閣総理大臣への届出 届け出なければならない 届け出る必要なし
出資者の議決権 優先出資社員は議決権を持たない 出資者は議決権を持つ
必要な役員 取締役と監査役、場合によっては会計監査法人が必要 社員1人のみ必要
登録免許税 3万円 6万円
解散の時期 資産を処分したら原則として解散する 破産や解散事由の発生