後継者がいない=廃業?事業を存続させるM&A・事業承継について解説

日本政府は中小企業の貴重な経営資源と地域経済を守るため、後継者がいないことを理由に廃業を検討している中小企業に対してM&Aの活用支援を行っています。

その効果もあってか後継者不在の企業は減少傾向にあり、現在では「後継者いない=廃業」という式が成り立たなくなってきています

本記事では、後継者不在により廃業する企業の特徴や、廃業しない中小企業でいるために後継者に求められる能力などについて解説します。

後継者がいない中小企業は廃業となる?

後継者いない中小企業が必ずしも廃業となるわけではありません。廃業を迫られている企業であったとしても、M&Aを活用して会社売却を行い、買収する価値がある企業であると判断されれば、廃業を回避することが可能です。

万が一廃業となれば、事業が停止し従業員や顧客が困ることになる可能性もありますが、M&Aを活用することにより貴重な経営資源や顧客・従業員・取引先を守ることができます。そのため、日本政府も後継者いない中小企業のM&Aを支援しています。

後継者問題に直面する中小企業の現状

帝国データバンクの調査によると、2020年の後継者不在率は、65.1%となっています。これは、全国約26万6000の企業のうち、約17万社が後継者不在の問題を抱えているということになります。

全国的な後継者不在率の推移をみると、2017年に66.5%を記録して以降、2018年の66.4%、2019年の65.2%、2020年の65.1%と、3年連続でわずかではあるものの減少しており、国の政策や支援が効果を発揮しているという見方もできます。

しかしながら、経営者の高齢化などにより後継者いない状況にあり、廃業の危機に立たされている中小企業が数多く存在していることに変わりはありません。

特に、北海道・沖縄県・鳥取県では後継者不在率が高く70%を超えている一方、茨城県・和歌山県・熊本県など50%を下回っている都道府県もあり、地域によって大きな差があります。

後継者問題により廃業する中小企業とは

日本政府の後継者問題に対する政策もあり、M&Aを活用して後継者いない企業が事業を第三者に承継することは、以前よりもずいぶん身近になってきています。

しかしながら、まだまだ後継者不在を理由に廃業する中小企業が存在していることも事実です。実際に、後継者いないことで廃業を選択している企業には以下のような特徴がみられます。

【後継者いないことで廃業する企業の特徴】

  • 経営者・従業員の高齢化
  • 経営者に跡継ぎがいない
  • 子どもや親族が引き継ぐ意志がない
  • 従業員に経営に向いた人材がいない
  • 創業者としての利益が確保できない

経営者・従業員の高齢化

経営者や従業員が高齢となり、体力的な問題や健康上の都合による退職とともに廃業せざるを得ないケースがあります。

例えば、経営者が高齢でも親族や従業員が後継者となって事業を引き継いでくれるような場合や、従業員が高齢でも新しく若い社員に技術やノウハウを引継ぐことができるような場合には、廃業リスクは低く大きな問題にはなりません。

しかし、経営者も従業員ともに高齢である場合は、後継者探しが一層難しくなります。高齢の従業員が会社を承継することは望ましいとはいえず、たとえ親族に後継者候補となるような人がいても、従業員が高齢であれば近い将来には人材不足に陥ることが目に見えているためです。

少子化も進み今後ますます人材確保が困難となるため、高齢従業員の退職に伴い事業規模を縮小したり、最悪の場合は廃業となる可能性も秘めています。

将来に不安を抱えた状態で、事業を引き継ぐという意思を持つ後継者はなかなか現れないのが現状です。

経営者に跡継ぎがいない

経営者に跡継ぎとなる子どもがいないケースも、後継者いないために廃業する中小企業の特徴のひとつです。

出生率が下がり少子化や晩婚化が進む日本では、子どもがいない家庭が増加して跡継ぎがいないがための廃業も増加することが予想されます。

跡継ぎとなる子どもがいないことは引退する年齢になる前に分かることなので、廃業せざるを得なくなる前に後継者を決めておくかM&Aを検討するなどの早めの対処が必要です。

子どもや親族が引き継ぐ意志がない

跡継ぎとなる子どもや親族がいたとしても、事業を承継する意思がないというケースもあります。遠い昔は長男が家業を継ぐことが当たり前でしたが、時代が変わり多様な生き方や働き方が認められている現代社会では、子どもや親族が跡を継ぐという文化や風習が薄れてきています。

このような時代のなか、後継者いない中小企業が廃業を回避するために、親族外承継や第三者承継が積極的に行われるようになっています。

従業員に経営に向いた人材がいない

親族外承継と呼ばれる方法によって、子どもや親族に後継者いない場合に会社の役員や従業員などの関係者が事業を承継するケースもあります。

しかし、役員や従業員に経営に向いた人材がいなかったり承継の意思がない場合もあり、迅速な事業承継ができないまま廃業に至ることもあります。

経営に適した資質には、リーダーシップ・人間性・人柄など、大人になってからは身につけることが難しい能力もあり、経営に向いた人材をみつけることは簡単なことではありません

創業者としての利益が確保できない

創業者の心理としては、会社をゼロから立ち上げ苦労して成長させてきたのだから、経営から離れる際には創業者利益を獲得したいものです。

親族間承継であれば、子や兄弟などの身近な親族に経営権が移るので、創業者利益がなくとも大きな問題となることはあまりありません。

しかし、親族外承継の場合、従業員や関係者とはいえ他人に資産が渡ることになるので、創業者利益が確保できないことを創業者が嫌がるケースもあります。

創業者利益が得られないからといって親族外承継を候補から外してしまうと、後継者不在による廃業の危機に瀕する可能性もあります。

そのようなケースでは、M&Aなどにより株式譲渡などを行えば、会社の規模や経営状況によっては大きな創業者利益を獲得することができる可能性もあり、廃業も回避することができます。

後継者がいない中小企業が廃業しないための戦略

後継者いないことで会社が廃業すれば、従業員は職を取引先は仕事を失うことになります。さらに地域経済への影響も懸念されるなど、さまざまな方面に大きな影響を与えるため、廃業には多くのデメリットがあります。

経営者にとっても、必死に働き大きくしてきた会社が廃業で消滅することは、大きなストレスとなります。後継者いない中小企業が廃業を回避して会社を存続するためには、M&Aを活用することが非常に有効な方法です。

日本政府では多額の予算を組んで、後継者いない中小企業の廃業を防ぎ、貴重な経営資源と地域経済を守るためにさまざまな支援を行っています。

廃業(清算)とM&Aを比較!事業承継、事業譲渡も【比較表あり】

後継者がいない会社を存続させるM&A・事業承継とは  

前章で述べたように、子どもや兄弟などの親族に後継者がいなくとも、親族以外の従業員や関係者に事業を引継いだり、M&Aを活用することで第三者に会社を売却することで、廃業せずに会社を存続させることは可能です。

本章では、廃業を回避するために、後継者いない中小企業が活用できるM&Aや事業承継について解説します

M&Aとは

M&Aとは「Mergers and Acquisitions」の略で、日本語に直訳すると「合併と買収」という意味になります。その言葉通り、合併や買収はM&Aの一種ですが、それ以外にも会社分割や資本業務提携、合弁企業設立なども広い意味でのM&Aとして取扱われています。

特に、買収はM&Aの代表的な手法であり、大企業のみならず多くの中小企業が事業拡大や事業承継、経営基盤の強化などを目的として行っています。

経営不振や後継者不在により、廃業の危機に瀕している中小企業であっても、特別な技術があったり地域で高いシェアを誇っているなどの強みがあれば、高い値段で売却できる点はM&Aの大きなメリットです。

事業承継とは

事業承継とは、親族・従業員・会社の関係者・第三者に会社の事業を引継ぐことをいい、廃業せずに事業を継続することや事業を発展させることが主な目的です。

例えば、経営者の引退に伴い事業存続のためにその子どもが跡を継ぐことも、中小企業が安定経営と会社発展のために経営権を譲渡し大企業の傘下に入るケースなどがあります。事業承継は、誰に事業を承継するかによって、親族内事業承継か親族外事業承継かに分類されます。

親族内事業承継

親族内事業承継とは、その名の通り、経営者の親族が事業や会社を承継することです。子どもを後継者とするケースが多いですが、配偶者や兄弟が引継ぐこともあります。

親族外事業承継よりも、従業員・取引先・金融機関に受け入れられやすく、スムーズな事業承継ができることがメリットです。

親族内に後継者がいるため時間をかけて後継者を育成することができる一方、後継者の能力不足により円滑な事業承継ができなかったり、事業承継後に経営不振や廃業に陥るなどの問題が発生するケースもあります。

親族外事業承継

親族外事業承継とは、親族以外の従業員・役員・会社の関係者などが後継者となり事業を引継ぐこと、および、M&Aなどにより第三者が事業を承継することです。

一般的に親族外事業承継と呼ばれるのは、自社の従業員や役員などを後継者とする場合です。親族に適切な後継者いない場合に利用されることが多く、経営者としての資質がある従業員を選定し、事業承継に向けた教育に時間をかけることができることがメリットです。

また、M&Aによる事業承継では、すでに存在している会社に事業を売却するので、事業承継後の廃業の心配も少なく、後継者を選定する必要もありません。しかし、適切なM&A先をみつけることが難しい場合もあります。

事業承継とは?基礎知識から成功のためのポイントまで徹底解説!

M&A・事業承継のための準備

事業承継は、自社を後継者や第三者に引継ぐことですが、経営を引継ぐということは単純で簡単なことではなく、その過程においてさまざまなトラブルが発生するケースもあります。

そのようなトラブルを防ぎながら廃業リスクを回避するためには、M&Aや事業承継を行うにあたって準備を整えておくことが重要です。

1.会社の現状を把握する

事業承継の第一歩は、会社の現状を把握することです。会社の現状を理解するためには、ヒト・モノ・カネを把握することが重要です。

後継者候補はいるのか、会社の保有資産にはどのようなものがあるのか、株式評価額はいくらになるのかなどを洗い出します。

現状を把握することで、事業承継の方法や後継者の教育スケジュールなどを明確にすることができ、結果として廃業リスクを避けることになります。

2.事業や経営の改善・磨き上げ

もし後継者いないのであれば、M&Aによる第三者承継を選択することになりますが、その場合には、より高い価額で売却するために事業や経営の改善および磨き上げが必要になります。

事業や経営の改善は、たとえ親族内承継であったとしても、事業承継後の健全な経営や会社の発展、廃業リスクの低減のために非常に重要なポイントになります。

会社の価値を高めるためには、例えば、業績の改善や無駄な支出の削減、会社の保有する知的財産や強みの明確化などを行い、買収側が買いたいと思うような企業になることが求められています

3.事業承継計画を策定する

事業承継計画の策定も、円滑な事業承継には重要です。後継者がいる場合は数年にわたる長期的な計画を立てることが可能であり、長期的に後継者の教育を行うことで事業承継後のトラブルや廃業リスクなどを防ぐことができます。

一方、M&Aによる第三者承継の場合には、短期的な計画を策定しなければなりません。というのは一般的なM&Aは3ヶ月~1年程度で決着がつくことが多いためです。事業承継計画には、中長期の経営計画や事業承継のタイミング、具体的な対策などが盛り込まれます。

4.事業承継の手法を決める

円滑な事業承継のためには、それぞれの会社に合った手法を決定することも重要なポイントです。適切な後継者がいる場合は、事業承継計画に基づいて後継者に事業を承継することになります。

もし、第三者承継を行うのであれば、M&Aの専門家に相談するなどして、短期間で積極的に事業承継を進めていかなければなりません。

事業承継の計画や対応が後手になると、円滑に会社を引継げなくなります。高齢の経営者が突然倒れて仕事ができなくなるというようなケースも考えられ、最悪の場合は事業承継できずに廃業となる可能性もあるので注意が必要です。

事業承継する後継者に求めるべき能力

後継者不在が叫ばれるなか、後継者をみつけて廃業することなく事業を承継している中小企業も数多く存在しています。しかし、事業承継は、ただ後継者をみつけて事業を引継げばいいというわけではありません。

事業承継後、新しい経営者に変わっても安定した経営を続け、会社を発展させることができてはじめて事業承継は成功といえるからです。

たとえ、スムーズに後継者に事業を承継できたとしても、後継者に経営者としての適性がなければ、事業承継後に経営不振となり、最悪の場合は廃業や倒産という可能性もあります。

後継者の経営能力やリーダーシップなどの個人の能力が、事業承継には非常に重要です。本章では、承継後に失敗しないための後継者に求められる能力や資質について解説します。

経営に対する覚悟

事業に成功している経営者の多くは、経営に対して大きな覚悟を持っています。例えば、経営を安定させて経営者自身や従業員の生活を守らなければならないこと、事業拡大などの際に抱えた多額の借金の返済義務など、さまざまなプレッシャーのなかで覚悟を持って経営をしています。

その一方で、安定した収益をあげている会社を引継ぐ後継者は、その覚悟やプレッシャーを感じにくい状況にあります。

経営に対する覚悟がない経営者は、うまくいかないことを従業員や会社のせいにしたり、迅速な決断ができなかったり、自身の発言や部下の失敗などに責任をもてないなど、さまざまな問題となります。

結果として、従業員や顧客との関係性にほころびが生じ、経営不振や廃業へと追い込まれていく可能性もあります。

事業に関する専門的な知識

経営者となる人は、事業に関する専門的な知識は持っておかなければいけません。しかし、病気などによる経営者の急な退任で十分な経験のないまま事業を承継した場合、知識不足のまま経営者となるケースもあります。

知識がない経営者は、従業員だけではなく顧客や取引先にも軽んじられてしまい、先代の妻や息子というレッテルが貼られ、お飾りの社長として取り扱われることもあります。

そのような状況においては、社内外に対して経営者の影響力や発言力は乏しく、求心力が低下することは目にみえています。

結果的に従業員の離職や顧客離れを引き起こし、経営不振や廃業に陥る可能性もあるため、事業承継までに先代の指導のもとで専門的な知識を身に着けることが重要です。

教育の時間が短く知識不足のまま経営者となったとしても、本人の努力次第で後から身につけることができるので、経営者の気持ち次第で解決することができる問題でもあります。

リーダーシップ

リーダーシップは、経営者に必要な資質のなかでも最も重要なものといえます。社長がリーダーシップをもって会社を牽引していくことで従業員の士気が上がり、売上の増加や新規顧客獲得などの結果を生み出します。

しかしながら、リーダーシップは育ってきた環境や子供の頃に受けた教育などで身につくことが多く、大人になって後天的に身につけるのは簡単ではないという面もあります。

そのため、後継者選びの際はリーダーシップを重視する必要があります。リーダーシップのある後継者を選ぶことは、事業承継後の会社の発展や成長にもつながります。

人間性や人柄

人間性や人柄も、経営者に必要な能力のひとつです。リーダーシップと同様、後天的には身につけにくい資質なので、後継者選びの際は重視する必要があります。

もし、経営者の人間性や人柄に問題があれば、従業員や顧客は経営者を信頼することができず、会社から離れていく従業員もでてくるでしょう。従業員の離職や顧客離れは、経営に大きなダメージを与えかねません。

また、人材不足となっても、経営者の人間性からパワハラやモラハラといった問題に発展し、会社の評判が下がったりブラック企業のレッテルが貼られるなど、人材を集めにくくなる可能性もあります。

事業承継後にも廃業することなく、健全な経営と会社の発展を進めていくためには、後継者の人間性や人柄は大切なポイントとなります。

後継者問題に悩む経営者におすすめの相談先

後継者いない会社が廃業を回避するためには、M&Aなどを活用した第三者承継を選択することができます。しかし、M&A経験に乏しい後継者いない会社がM&Aを成功させるためには、専門的な知識と適切な買収先の選定が重要です。

M&A総合研究所は、さまざまな分野でのM&A成功実績と業過で培った独自のネットワークを活用し、後継者いない中小企業への最適な買収先の選定からM&A成功までを支援いたします。

経験豊富な専門家が一貫したサポートを行っており、料金システムには完全成功報酬制を採用しているため安心してご相談いただけます。

ご相談は無料でお受けしておりますので、後継者いない中小企業でM&Aをお考えなら、M&A総合研究所にお気軽にご相談ください。

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まとめ

本記事では、後継者いないことで廃業する企業の特徴やM&A・事業承継のための準備、事業承継する後継者に求めるべき能力について解説してきました。

後継者いない会社が65%を超える日本では、後継者不在による中小企業の廃業が大きな問題となっています。

日本政府は、中小企業の経営資源と地域経済を守り後継者不在による廃業を防ぐため、中小企業のM&Aによる事業承継を手厚くサポートしており、現在では、「後継者いない=廃業」という式は成り立たなくなってきています

【後継者いないことで廃業する企業の特徴】

  • 経営者・従業員の高齢化
  • 経営者に跡継ぎがいない
  • 子どもや親族が引き継ぐ意志がない
  • 従業員に経営に向いた人材がいない
  • 創業者としての利益が確保できない

【M&A・事業承継のための準備】

  1. 会社の現状を把握する
  2. 事業や経営の改善・磨き上げ
  3. 事業承継計画を策定する
  4. 事業承継の手法を決める

【事業承継する後継者に求めるべき能力】

  • 経営に対する覚悟
  • 事業に関する専門的な知識
  • リーダーシップ
  • 人間性や人柄