廃業の費用はどのくらい?スケジュール・手続き、弁護士に相談するメリットも解説

廃業の費用はどのくらい?スケジュール・手続き、弁護士に相談するメリットも解説
経営の出口には、M&A・事業承継・再生・倒産・廃業といった方法があり、それぞれのメリット・デメリットを考えながら、適切な解決方法を選択する必要があります
 
本記事では、廃業の費用やスケジュール、廃業の際の手続き方法などについて解説します。

廃業を検討する企業は増えている?

廃業を検討する企業は増えている?
 
現在、日本では毎年数多くの企業が廃業しており、その数は開業する企業を上回っている状態です。
 
原因のひとつとなっているのは経営者の高齢化であり、90年代には50代だった経営者の平均年齢が現在では60代にまで上がっています。
 
また、帝国データバンクの調査によると、後継者がいない企業は全体の6割を超えている状況です。会社を継続させたいと思っても、子どもがいない、子どもに継ぐ意思がない、子どもに継ぐ能力がないなどの理由で、親族内承継を断念するケースも増えています。
 
廃業を回避するために第三者への事業承継を行う企業は急増していますが、全体の数からするとまだごく一部にすぎません。
 

廃業の費用はどのくらい? 

廃業の費用はどのくらい? 
 
廃業するためには、登記費用として解散登記・清算人選任登記・清算結了登記が必要となり、合わせて約4万円かかります。そのほかにも、登記簿謄本・印鑑証明書・官報公告で、登記費用と合わせて7万円以上の費用が必要です。
 
官報公告は中小企業の場合11行での申し込みが一般的であり、11行の場合の費用は約3万円になります。さらに、司法書士や弁護士に依頼する場合は、併せて25万円から40万円の費用がかかります。
 
案件規模が大きい場合はさらに費用がかかることもあります。また、状況によっては弁護士に相談することもあり、その場合はさらに費用がかかることになります。
 
解散登記費用 3万円
清算人専任登記費用 9,000円
清算結了登記費用 2,000円
登記簿謄本費用(2通) 1,200円
印鑑証明書費用 450円
官報公告費用(11行) 31,394円
司法書士費用 5万円~10万円
税理士費用 20万円~30万円

廃業するベストなタイミング

廃業するベストなタイミング
 
廃業のタイミングで考えなければならないのは、廃業後の生活プランです。廃業後の生活費用確保など、生活に支障がでないようなタイミングで廃業することが大切であり、具体的には以下のタイミングで廃業を検討する必要があります。
  1. 後継者がおらず会社が引き継げない時 
  2. 経営状態が悪化し債務超過に陥った時 
  3. 廃業資金がなくなりそうな時

1.後継者がおらず会社が引き継げない時

後継者がおらず、いずれ廃業することが決まっている場合、経営者の年齢や体調などを考えながら廃業タイミングを検討する必要があります。しかし、廃業も事業承継もできずに、経営者が高齢になるまで働いているケースは少なくありません。
 
従業員や取引先のことを考えて廃業に踏み切れないのであれば、第三者への事業承継を検討するのも選択肢のひとつです。

2.経営状態が悪化し債務超過に陥った時

経営状態が悪化し債務超過に陥った段階で、速やかに廃業できるかどうかも重要です。しかし、生活費用にまで影響が及びながらも、限界までなんとかしようとする経営者も多くみられます。
 
廃業後の生活費用なども考えると、追い込まれる前に速やかに撤退できるかどうかがポイントとなります。

3.廃業資金がなくなりそうな時

廃業するためには前述のように廃業費用がかかり、その費用は決して安くはありません。廃業後の生活費用さえ危うくなるほど追い込まれてしまっては手遅れなので、廃業費用をあらかじめ把握しておき、廃業費用を支払っても十分余裕がある段階で廃業することが大事です。
 

廃業するまでのスケジュール

廃業するまでのスケジュール
 
株式会社の廃業手続きは、一般的に以下のスケジュールで進めていきます。
  1. 営業を終了する
  2. 株主総会を開く
  3. 解散登記を行う
  4. 官報公告を行う
  5. 解散確定申告を行う
  6. 資産・負債を取り片づける
  7. 財産が残った場合は株主に分配
  8. 清算確定申告を行う
  9. 清算結了登記
 
廃業するまでのスケジュールは、大きく「解散」「清算」に分けられます。営業を終了した後は、株主総会での承認を得て解散となります。多くの中小企業はオーナー経営者が大半の株式を保有しているので、経営者の判断で解散することになります。
 
また、清算人も経営者が担うことがほとんどです。解散後の会社は清算会社と呼ばれ、清算会社となってから速やかに解散登記を行います。
 
解散登記後は清算作業を進めることとなり、官報公告や資産整理・負債整理を行います。最後に清算結了登記を済ませれば、清算は終了です。

廃業までにかかる期間

廃業までにかかる期間
 
廃業を完了させるまでには最短でも2ヶ月半の期間が必要であり、現実的には3ヶ月以上の期間をみておかなければなりません。
 
廃業で時間がかかるのは債権者に対する官報公告です。公告期間は2ヶ月以上とる必要があります。
 
廃業手続きは煩雑なので、スムーズに行うために専門家に依頼するケースがほとんどです。登記に関する相談は司法書士、税務に関する相談は税理士、その他トラブルなどの相談は弁護士に行うこととなります。
 
前述のように、専門家に依頼することで廃業費用は増加することになりますが、トラブルなく手続きを終えるためにも専門家の力は不可欠といえるでしょう。

廃業する際の手続き 

廃業する際の手続き 
 
本章では、前述した廃業スケジュールの手続き内容をひとつずつ解説していきます。
  1. 営業終了・株主総会で解散決議
  2. 解散登記・清算人専任登記・官報公告
  3. 解散確定申告・資産と負債の整理
  4. 清算確定申告・清算結了登記

1.営業終了・株主総会で解散決議

まず、営業終了に向けて商品の仕入れを減らしていき、営業終了後は在庫や設備の処分などを行います。
 
主な処分方法には、取引先や同業者に譲ったり、リサイクル業者に買い取ってもらったり、自身で廃棄する方法があります。自身で在庫処分する場合は、処分費用を見込んでおかなければなりません。
 
営業終了後は株主総会で解散決議と清算人の選任を行います。前述のように、多くの中小企業はオーナー経営者が大半の株式を保有しているので、解散決議は経営者の判断で決まることがほとんどです。

2.解散登記・清算人専任登記・官報公告

廃業の際は法務局で解散登記を行い、解散登記費用が3万円かかります。また、清算人選任登記も併せて行います。清算人選任登記費用は9,000円です。
 
同時に税務署へ解散の届出も行います。税務署への解散届出は解散後速やかに行う必要があります。
 
登記を終えたら、債権者に対して官報公告を行います。官報公告費用は11行で約3万円です。債権者は解散に異議がある場合に申し出ることが可能です。

3.解散確定申告・資産と負債の整理

解散後は2ヶ月以内に解散確定申告を行う必要があります。解散確定申告をしたら、資産と負債の整理を進めます。
 
資産と負債の整理をしていく際には、関係者に廃業する旨を伝えなければなりません。その際に重要なのが、廃業を伝えるタイミングと伝える順番です。
 
特に、取引先と役員・従業員へ伝えるタイミング・内容は、あらかじめよく考えたうえで実行する必要があります。

4.清算確定申告・清算結了登記

解散確定申告に続いて必要となる確定申告が、清算確定申告です。清算確定申告は、残余財産確定日の翌日から1ヶ月以内に行う必要があります。
 
最後に、法務局へ清算結了登記を行って廃業手続きは終了となります。その際は、清算結了手続き費用として2,000円がかかります。
 
前述の解散登記費用が3万円、清算人専任登記費用が9,000円、清算結了登記費用が2,000円で、合わせて41,000円の登記費用がかかります。
 

廃業する際の各種書類の提出先

廃業する際の各種書類の提出先
 
廃業する際は、必要な書類を各所に提出しなければなりません。下表は、廃業に必要な書類・届け出の一覧です。
 
解散の届出 税務署など
清算結了の届出 税務署など
給与支払事務所の廃止届出書 税務署
消費税事業廃止届 税務署
雇用保険適用事業所廃止届 ハローワーク
雇用保険被保険者資格喪失届 ハローワーク
離職証明書 ハローワーク
健康保険・厚生年金保険被保険者喪失届 年金事務所
適用事業所全喪届 年金事務所
健康保険任意継続被保険者資格取得申出書  協会けんぽなど
労働保険確定保険料申告書 労働基準監督署
労働保険料還付請求書 労働基準監督署
許認可の廃業届出 所轄行政機関

なお、廃業手続きを行わなければ会社はそのまま存続することとなります。会社が存続していたとしても、売上がなければあまり問題はありません。

また、休眠届を提出して休眠会社となっていれば、そのままにしておくこともできます。その場合はまたすぐに会社を始めることが可能となりますが、確定申告の無申告が続くと青色申告が取り消されてしまう点に注意が必要です。

廃業する際に弁護士に相談するメリット

廃業する際に弁護士に相談するメリット
 
廃業する際は税理士や司法書士だけでなく、弁護士に相談するケースもあります。弁護士に相談するメリットには、主に以下の4つがあります。
  1. 廃業完了までのは明確に把握している 
  2. 会社法に精通し、各種手続きを安心して任せられる 
  3. 従業員や取引先への説明なども任せられる 
  4. 廃業ではなく、M&Aや事業承継の選択肢も相談できる

1.廃業完了までのは明確に把握している

弁護士は法務の専門家であるため、廃業の際に起き得るトラブルなどに適切に対応することができます
 
廃業の際には債権者や従業員などとトラブルになることもありますが、そのような場合は弁護士に相談することで解決を図ることができます。

2.会社法に精通し、各種手続きを安心して任せられる

弁護士は会社法に精通しているので、各種手続きを任せることもできます。また、廃業手続きだけでなく、会社の倒産や再生、個人事業主の破産手続きにも精通しています。
 
弁護士に相談することにより、廃業するかそれともほかの選択肢を選ぶかなどを的確に検討することができます

3.従業員や取引先への説明なども任せられる

弁護士は法務だけでなく、交渉のスペシャリストでもあります。廃業の際に、従業員への給与の未払や取引先へ買掛金の未払など、十分な説明が必要となるケースもあります。
 
そのような場合に、弁護士に説明してもらうことで、円滑な廃業手続きが可能となります。

4.廃業ではなく、M&Aや事業承継の選択肢も相談できる

弁護士のなかにはM&A・事業承継に対応している弁護士もいます。廃業だけでなくM&A・事業承継も選択肢として検討したい場合にも、弁護士に相談することもできます。
 
ただし、すべての弁護士がM&A・事業承継に精通しているわけではないため、相談する際は、企業法務に詳しい弁護士を選ぶ必要があります。
 

廃業ではなくM&Aや事業承継の相談はM&A仲介会社がおすすめ

廃業ではなくM&Aや事業承継の相談はM&A仲介会社がおすすめ
 
ここまで述べたように、廃業するにも廃業費用がかかり、その費用負担はけっして小さくありません。
 
M&A・事業承継であれば、廃業費用がかからないだけでなく売却益を得ることが可能です。しかし、M&A・事業承継には相手先探しや交渉などが必要になるため、M&Aの専門家によるサポートは不可欠といえるでしょう。
 
M&A総合研究所では、経験豊富なM&AアドバイザーがM&A・事業譲渡による譲渡金額や譲渡可能性を分析・判断してお伝えします。
 
また、料金体系は完全成功報酬制となっており、M&Aが成立するまで費用負担はございませんので、安心してご利用いただけます。
 
無料相談は随時お受けしていますので、M&A・事業承継も選択肢としてご検討の際は、どうぞお気軽にご連絡ください。
 

まとめ 

まとめ 

本記事では、廃業の際の費用やスケジュール、手続き方法などを解説しました。廃業するにはさまざまな費用がかかり、その負担額はけっして安いものではありません。

そのため、廃業を検討する際は費用負担も考慮するとともに、M&Aや事業承継などの選択肢についても検討するとよいでしょう。

【廃業の際にかかる費用】
解散登記費用 3万円
清算人専任登記費用 9,000円
清算結了登記費用 2,000円
登記簿謄本費用(2通) 1,200円
印鑑証明書費用 450円
官報公告費用(11行) 31,394円
司法書士費用 5万円~10万円
税理士費用 20万円~30万円
 
【廃業するベストなタイミング】
  1. 後継者がおらず会社が引き継げない時 
  2. 経営状態が悪化し債務超過に陥った時 
  3. 廃業資金がなくなりそうな時
 
【株式会社の廃業手続きスケジュール】
  1. 営業を終了する
  2. 株主総会で解散決議を行い清算人を決める
  3. 解散登記と清算人専任登記
  4. 官報公告を行う
  5. 解散確定申告を行う
  6. 資産・負債の整理
  7. 財産が残った場合は株主に分配
  8. 清算確定申告を行う
  9. 清算結了登記

【廃業する際の各種書類の提出先】

解散の届出 税務署など
清算結了の届出 税務署など
給与支払事務所の廃止届出書 税務署
消費税事業廃止届 税務署
雇用保険適用事業所廃止届 ハローワーク
雇用保険被保険者資格喪失届 ハローワーク
離職証明書 ハローワーク
健康保険・厚生年金保険被保険者喪失届 年金事務所
適用事業所全喪届 年金事務所
健康保険任意継続被保険者資格取得申出書  協会けんぽなど
労働保険確定保険料申告書 労働基準監督署
労働保険料還付請求書 労働基準監督署
許認可の廃業届出 所轄行政機関