警備会社の事業譲渡・株式譲渡のポイントとは?動向/事例/相談先も紹介

警備会社の事業譲渡・株式譲渡のポイントとは?動向/事例/相談先も紹介

近年、消費者の防災・防犯意識の向上から、警備会社の需要が高くなっています。これを好機とみた大手による業界内の買収の動きが強まっており、警備会社を事業譲渡するタイミングとして絶好の機会が訪れています。

本記事では、警備会社のM&A動向や事業譲渡・株式譲渡を行う際のポイントについて解説します。

警備会社とは

警備会社とは

警備会社とは、警備対象を外的要因から守ることを事業として営む企業です。警備対象はさまざまであり、警備業法では1号~4号に分類されています。

【警備業法の定義】

  • 1号警備業務・・・空港保安・施設
  • 2号警備業務・・・雑踏・交通誘導
  • 3号警備業務・・・貴重品等運搬
  • 4号警備業務・・・身辺

ガードマンと呼ばれる身辺警護以外にも、交通整理や貴重品の護送なども警備業務に含まれます。システムで防犯機能を果たすホームセキュリティは、1号警備業務に該当します。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、事業の全部あるいは一部を譲渡するM&A手法です。ここでいう事業とは、企業が保有する事業・資産のことを指します。

事業以外にも、土地・建物などの有形資産や技術・ノウハウなどの無形資産も譲渡することができます。

企業にとって不要な部分を切り出すこともできるため、選択と集中の際に活用されることが多いM&A手法です。

その他のM&A手法

株式譲渡も事業譲渡と並んで広く活用されています。株式譲渡は売り手の保有する株式を譲渡することで経営権を移転するM&A手法です。

株式会社は株式の持分比率に応じて経営に関する権力を持つため、買い手が経営権を取得できる範囲まで譲渡することで株式譲渡が完了します。

【関連】M&Aのやり方をわかりやすく解説!具体的な手法/手順/相談先

警備会社業界が直面している問題

警備会社業界が直面している問題

警備会社業界は抱えているいくつかの問題によって、現況はあまりよくないとされています。警備会社業界が直面している問題には以下の3つがあります。

【警備会社業界が直面している問題】

  1. 競争が激化しており受注単価が低下している
  2. ブランド力がなく従業員が集まらない
  3. 取引先による選別が始まっている

①競争が激化しており受注単価が低下している

警備会社業界のシェアは、最大手セコムと綜合警備保障の2社が全体の80%を占めています。残されたシェアを中小の警備会社で奪い合うという市場になっており、業界内の競争が激化しています。

そのような状況で顧客を獲得するためには、受注単価を引き下げるしかないという動きが警備会社業界内で広まっています。

②ブランド力がなく従業員が集まらない

警備会社はブランド・認知度が低いことから、優秀な従業員が集まらないという問題もあります。

大手警備会社は芸能人を起用したテレビCMも放映しており、顧客と新規人材の獲得を両立させていますが、それができる企業はごく一部です。業界内の圧倒的なブランドを持つ大手の存在は、中小にとって悩みの種になっています。

③取引先による選別が始まっている

警備市場の顧客が大手に依頼しない理由は、警備にかける費用を削減したいというものがほとんどです。

利用者は、日本に存在する中小警備会社9,000社超えのなかから、安い費用で請け負ってくれる警備会社を探しています。

こうした選別は、中小警備会社の受注単価引き下げに応じざる得ない状況を作り出しており、経営状況を圧迫させる要因にもなっています。

警備会社業界の今後の動向予測

警備会社業界の今後の動向予測

警備会社が抱える問題は、今後どのように推移していくのでしょうか。この章では、警備会社業界の今後の動向予測をみていきましょう。

【警備会社業界の今後の動向予測】

  1. 大手の勢いは更に強まる傾向にある
  2. 一般家庭向けのサービス需要が増加すると予測
  3. 警備会社業界の事業譲渡・M&A動向

①大手の勢いは更に強まる傾向にある

警備会社業界の大手は現在も圧倒的なシェアを誇っていますが、事業譲渡・M&Aを活用した経営戦略でさらに規模を拡大させています。

特に、警備会社業界は新規顧客の獲得が難しいとされており、事業譲渡・M&Aで顧客ごと獲得しようとする動きが強まっています。

一定の顧客を保有する警備会社を大手が買収することで、中小の警備会社のシェアがさらに減っていってしまう恐れがあります。

②一般家庭向けのサービス需要が増加すると予測

従来のホームセキュリティは、富裕層が導入するものという認識がありましたが、近年は消費者の防犯意識の高まりから一般家庭でも急速な普及がみられます。

大手のホームセキュリティサービスは月々3,500円~4,500円前後です。スマホの平均利用料金は6,400円であることから、月々の経費で考えると気軽に導入することができる金額に抑えられていることが分かります。

③警備会社業界の事業譲渡・M&A動向

警備会社業界の動向として、大手による新規顧客獲得を目的とした事業譲渡・M&Aは継続して行われていくものと考えられます。

また、ホームセキュリティではIT企業の高い技術力を必要とします。安心・安全のホームセキュリティを提供するために、警備会社によるIT企業の事業譲渡・M&Aも活発になっていくでしょう。

このように、さまざまな形で企業再編が活発に見られる業界は、事業譲渡・M&Aにおいては売り手市場であると言えます。

警備会社の評価を高めるポイント

警備会社の評価を高めるポイント

警備会社を事業譲渡するなら、成功率の底上げや売却益の最大化を図る必要があります。事業譲渡の際に、警備会社の評価を高めるポイントは主に以下の2点です。

【警備会社の評価を高めるポイント】

  1. 現役世代の従業員が多い事
  2. 幅広いサービスを提供している事

①現役世代の従業員が多い事

警備会社の警備業務は、ビルや工場の日常的な警備もあれば、ライブやイベントのような突発的な警備など幅広く存在します。

これらの警備は、即座に対応することができる警備員が常駐していないと成り立たないため、警備会社より現役の従業員が派遣されて警備業務につきます。

規模によっては、1つの案件で数十人以上の警備員を必要することもあるため、現役世代の従業員は多ければ多いほど高い評価に繋がります。

異例ではありますが、2020年の開催が予定されていた東京オリンピックでは、警察官・ボランティアを含めた警備員5万人体制が敷かれることで話題になりました。

②幅広いサービスを提供している事

警備会社の警備業務は、事故を未然に抑えることが目的であるため、他社との差別化が難しいという問題があり、業務内容ではなく、幅広いサービスで勝負することが一般的とされています。

大きく分けて4つ存在する警備業務から、さらに細かなサービスに分けられます。これらの幅広いサービスに対応していると多くの顧客に対してアピールすることが可能となり、警備会社としての企業価値を高めることに繋がります。

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警備会社の事業譲渡・M&Aは新しい参入業者が大切

警備会社の事業譲渡・M&Aは新しい参入業者が大切

警備会社の事業譲渡・M&Aは新規参入者にも大きく影響されます。参入に関する大きなポイントは以下の2つです。

異業種からの参入が増加

近年の警備会社業界の需要を受けて、異業種からの業界参入も目立っています。例えば、人材不足を補うITシステムによる業務効率化です。

警備会社大手である綜合警備保障は30年以上前から人材不足を危険視しており、人の代わりに警備業務を果たす警備ロボット開発に注力しています。

近年の急速に進化する最新技術であれば、高度な警備ロボットを配置して人件費を削減することも可能であると考えられており、今では警備会社大手のほとんどが積極的な取り組みをみせています。

地方から都市部への進出の増加

近年、都市部への人口集中が急速に進んでいます。人口が少ない地方と人口が多い都市部では、警備業務の需要に大きな違いがあるため、必然的に警備会社も都市部へ進出せざるを得ない状況です。

地方の警備会社が複数進出すると、都市部の市場争いはさらに激化するという見方がされています。

警備会社の事業譲渡のポイント

警備会社の事業譲渡のポイント

警備会社のM&Aは事業譲渡を用いることが多いですが、その際はあるポイントを押さえておくことで成功率を大きく底上げすることができます。この章では、警備会社の事業譲渡のポイントと事例を紹介します。

警備会社を事業譲渡する際の注目点

警備会社の事業譲渡のポイントは、従業員の待遇です。事業譲渡は包括承継ではないため、従業員の転籍に関して個別に同意を得る必要があります。

しかし、雇用条件に関しても新たに見直しがされることもあるため、条件次第では転籍に応じてくれないケースも珍しくありません。

また、転籍の同意以外にも、事業譲渡後に雇用条件が変更されることで、従業員の退職に繋がる恐れもあるため、従業員の処遇については、事業譲渡の交渉段階で慎重に検討を進めておく必要があります。

事業譲渡の仕組みや流れについては以下での記事でくわしく解説していますので、ぜひ併せてご覧ください。

【関連】事業譲渡とは?仕組みや手続きを理解し、効果的に事業を売却しよう!

警備会社の事業譲渡事例

警備会社業界では、事業譲渡が活発に行われています。ここでは、事業譲渡の事例をピックアップして紹介します。

【警備会社の事業譲渡事例】

  1. 東武鉄道グループによる警備輸送事業の譲渡
  2. テルウェウ東日本による警備事業の譲渡
  3. 日産グループによるセキュリティ事業の譲渡

東武鉄道グループによる警備輸送事業の譲渡

2017年4月、東武鉄道の100%子会社東武デリバリーは同社の警備輸送事業を吸収分割を経て綜合警備保障に譲渡することを公表しました。

東武デリバリーの警備輸送事業は、首都圏を中心に展開しています。顧客は流通・小売業が中心となっており、現金・貴重品などの分野で豊富な実績を持っています。

今後、綜合警備保障は取得した事業のノウハウと自社の経営資源を合わせることで、さらなる事業価値を生み出していくとしています。

テルウェル東日本による警備事業の譲渡

2016年12月、NTTグループのテルウェル東日本は、同社の警備事業を綜合警備保障の新設会社に承継することを公表しました。新設会社の持分比率は綜合警備保障80%、テルウェル東日本20%です。

テルウェル東日本は、オフィス環境改善やセキュリティ対策などグループ内のサポート分野を担当する企業です。警備事業においては、NTTグループの各社ビルの警備を担当しています。

今後は両者の経営資源を活用することで高精度のサービスを提供していくとしています。

日産グループによるセキュリティ事業の譲渡

2013年7月、日産自動車の100%子会社日産クリエイティブサービスは同社のセキュリティ事業及びビルメンテナンス事業を、吸収分割を経て綜合警備保障に譲渡することを公表しました。

日産クリエイティブサービスは日産グループのサービスサポートを主たる事業とする企業です。今回譲渡した事業は、同グループのセキュリティやメンテナンスを担う事業です。

綜合警備保障は、今回のM&Aによって獲得したセキュリティ分野のノウハウを今後の事業に活用していきます。

事業譲渡に適した警備会社とは

事業譲渡に適した警備会社は、特定事業が不採算となっている企業です。事業譲渡の譲渡対象は事業となっており、売却益は会社の事業資金として活用できます。

事業譲渡によって不採算事業を切り離したり、採算事業の売却益を活用して不採算事業を立て直したりという使い方が可能です。

今後の経営を見据えた経営戦略の一環として活用することで、行き詰まった状態を打破するきっかけにすることもできます。

警備会社の株式譲渡のポイント

警備会社の株式譲渡のポイント

警備会社のM&Aは事業譲渡を用いることが一般的です。しかし、企業そのものの売却を検討される際は、株式の売買が伴う株式譲渡を用いる必要があります。この章では、警備会社の株式譲渡のポイントと事例を紹介します。

警備会社を株式譲渡する際の注目点

警備会社の株式譲渡のポイントは、一定の顧客を抱えていることです。特に地方における顧客は強みとなり、独自の顧客リストは株式譲渡で自社の魅力としてアピールすることができるでしょう。

また、都市部と比較するとライバルの警備会社が少ないのも利点です。顧客を奪われる可能性が低く、安定した収益性を期待することができるため、買い手から高い評価を受ける傾向にあります。

株式譲渡の進め方や特徴は以下の記事でくわしく解説していますので、ぜひ参考になさってください。

【関連】株式譲渡とは?正しく意味を理解し高い価格で売却しよう

警備会社の株式譲渡事例

警備会社のM&Aは株式譲渡も多く見受けられます。ここでは、近年の警備会社の株式譲渡事例を紹介します。

【警備会社の株式譲渡事例】

  1. 北日本警備によるトスネットへの株式譲渡
  2. 東芝セキュリティによるセコムへの株式譲渡

北日本警備によるトスネットへの株式譲渡

2019年7月、北日本警備は全発行済株式をトスネットへ株式譲渡することを公表しました。北日本警備は、北海道において交通誘導や常駐警備を中心に警備事業を展開する警備会社です。

イベント等の雑踏警備にも対応しており、幅広いサービスを手掛けている特徴があります。トスネットは札幌市内のグループ子会社2社との警備事業シナジーを図るとしています。

東芝セキュリティによるセコムへの株式譲渡

2018年4月、東芝セキュリティは発行済株式80.1%をセコムへ株式譲渡することを公表しました。

東芝セキュリティは東芝グループの各オフィス・向上の警備・点検を担当する警備会社です。大型設備のメンテナンスも可能とする柔軟性が高く評価されています。

セコムは、東芝セキュリティの大型設備における経験やノウハウを活用することで、警備に留まらない価値の創出を目指すとしています。

株式譲渡に適した警備会社とは

株式譲渡の適した警備会社は、多くの従業員を抱えている企業です。株式譲渡は包括承継となるため、在籍している従業員を自動的に引き継ぎすることが可能です。

転籍などの手続きがいらないため、事業譲渡と比較すると従業員の流出リスクが圧倒的に低くなるメリットがあります。

買い手からしても安心材料となるため、従業員の確保を目的とする場合は大きな評価ポイントに繋がることが多いでしょう。

警備会社のその他のM&A手法

警備会社のその他のM&A手法

警備会社のM&A手法は会社分割が用いられることもあります。会社分割とは、事業の全てあるいは一部を権利義務と共に譲渡するM&A手法です。

事業譲渡と異なる点は、権利義務の包括承継という点です。対象の事業に関わる権利義務に関して個別の同意や手続きを踏む必要がなくなるので、M&Aを円滑に進められる特徴があります。

経営権を維持しつつ、多数の従業員の転籍や取引先の引き継ぎが伴うM&Aは、会社分割を用いるメリットが非常に大きいと言えます。

警備会社を事業譲渡・株式譲渡する際の引き継ぎ・手続きについて

警備会社を事業譲渡・株式譲渡する際の引き継ぎ・手続きについて

M&Aの手法によって、引き継ぎに必要な手続きが異なります。事業譲渡は基本的に権利義務に関する手続きを個別に行う必要があるため、注意しなければなりません。

特に、債務を抱えている警備会社が業譲渡で債務を買い手に引き継ぎする場合、債権者より同意を得たうえで、免責的債務引受契約を取り交わす必要があります。

同意に関しては買い手の方が母体が大きいことがほとんどなので、債権者の同意が得られずに引き継ぎできないことは滅多にありません。しかし、欠かすことができない手続きとして念頭に入れておくとよいでしょう。

また、警備会社の営業は警備業の許認可が必要です。事業譲渡は許認可を再取得しなければならないため、買い手が異業種からの新規参入事業者である場合などは、早期から申請準備を進めておく必要があります。

  事業譲渡 株式譲渡
売掛金 債権譲渡の通知 自動的
買掛金 免責的債務引受契約 自動的
従業員 個別の同意 自動的
取引先 個別の同意 自動的
許認可 再取得 引き継ぎ可能
地位 買い手との交渉のうえで決定 会社に残る場合は別途交渉

警備会社を事業譲渡する際の相談先

警備会社を事業譲渡する際の相談先

警備会社業界はさまざまな問題に直面しており、事業譲渡の必要に迫られている企業も少なくありません。

事業譲渡の際は、業界の動向を正確に把握したうえでポイントも押さえて進める必要があるため、事業譲渡・M&Aの専門家のサポートが欠かせません。

M&A総合研究所は、事業譲渡・M&Aの仲介を専門的に請け負っているM&A仲介会社です。警備会社の業界に精通している専門家が在籍しており、警備会社の事業譲渡に関するノウハウを蓄積しています。

案件ごとにアドバイザー・会計士・弁護士が3名体制でサポートにつき、クロージングまでを支援いたしますので、スムーズな事業譲渡・M&Aが可能です。

料金体系は完全成功報酬制を採用しています。事業譲渡が成約した段階で初めて成功報酬が発生する仕組みですので、無駄に手数料を払うことはありません。

無料相談は24時間お受けしています。警備会社の事業譲渡・M&Aの際は、M&A総合研究所にご相談ください。

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まとめ

まとめ

当記事では、警備会社の業界動向や事業譲渡のポイントを解説しました。近年は、警備会社の需要の高まりに応じて業界内の再編も活発になっており、売り手にとっても好機が訪れていると言えます。

事業譲渡を実行する際は、得られるメリットを最大化するためにも、事業譲渡・M&Aの専門家に相談することをおすすめします。

【警備会社業界が直面している問題】

  1. 競争が激化しており受注単価が低下している
  2. ブランド力がなく従業員が集まらない
  3. 取引先による選別が始まっている

【警備会社業界の今後の動向予測】

  1. 大手の勢いは更に強まる傾向にある
  2. 一般家庭向けのサービス需要が増加する
  3. 大手警備会社による新規顧客獲得のためのM&Aが増加する

【警備会社の評価を高めるポイント】

  1. 現役世代の従業員が多い事
  2. 幅広いサービスを提供している事