不動産M&Aとは?スキーム、メリット・デメリット、注意点を解説【事例あり】

不動産M&Aとは?スキーム、メリット・デメリット、注意点を解説【事例あり】

不動産M&Aとは、不動産の取得を目的に行うM&Aのことです。通常の売却と比較すると節税効果が高くなっており、多くの資金を残しやすい特徴があります。

本記事では、不動産M&Aのスキームやメリット・デメリット、注意点について解説します。

不動産M&Aとは?

不動産M&Aとは?

不動産M&Aとは、不動産の売却・取得を目的に行われるM&Aのことです。近年はM&Aを活用した経営戦略が浸透しつつあり、そのなかで不動産M&Aが活用されるケースも増えてきています。

不動産M&Aの対象は、不動産と不動産を所有する会社もしくは事業です。対象が不動産のみの場合は不動産取引となるため、M&Aのスキームとして行うためには事業や資産と一緒に売却する必要があります。

不動産M&Aを行う目的

不動産M&Aを行う目的は、不動産の現金化です。M&Aで不動産に関連する事業をまとめて売却すれば、個別に売却するよりも手続きを簡略化させることができます。

また、通常の売却と比較すると高い節税効果が得られるというメリットもあり、不動産の売却益にかかる税率よりも、M&Aの株式譲渡益にかかる税率のほうが低く設定されています。

所有する不動産が多いほど得られる節税効果が高くなるので、少しでも資金を多く残したい場合は、不動産M&Aが適しているといえるでしょう。

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不動産M&Aが行われる理由

不動産M&Aが行われる理由は、不動産を所有するリスクが高まっているためです。少子高齢化による空き家問題の深刻化しているなか、家賃収入は安定しなくても固定資産税や管理費などの維持費は継続して支出しなければなりません。

空き家問題は年々深刻化していて、安定した入居者が確保できるのは都心くらいしかないともいわれています。

今後も少子高齢化や人口の都市部集中は続くとされているため、不動産の価値が下がる前に不動産M&Aで売却を検討するケースが増えています。

不動産M&Aのスキーム

不動産M&Aのスキーム

M&Aには多くのスキームがあり、それぞれ得られる効果が異なります。したがって、M&Aを行う際は、目的に合わせたスキームを選択することが大切です。

不動産M&Aで利用されている主なスキームは「会社分割」と「株式譲渡」です。ここでは、2つの手法の特徴について解説します。

会社分割

会社分割とは、事業の一部あるいは全部を切り離して、ほかあの会社に譲渡するM&A手法です。会社の事業を整理しやすいスキームであり、グループ再編で活用されることが多くなっています。

不動産M&Aに会社分割を選択するメリットは、税金負担の軽減です。会社分割は法人税法上、原則として時価評価による譲渡になりますが、税制上の適格組織再編成に該当するM&Aであれば、簿価による引き継ぎが認められます。

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不動産M&Aのメリット・デメリット

不動産M&Aのメリット・デメリット

不動産M&Aは、利点ばかりに気を取られていると思わぬ落とし穴にはまってしまう恐れもあるため、デメリットも把握しておく必要があります。この章では、不動産M&Aの売却側と買収側のメリット・デメリットを解説します。

不動産M&Aのメリット

まずは、不動産M&Aで得られるメリットを売却側・買収側それぞれみていきます。

売却側

売却側が不動産M&Aで得られる利点は、高い節税効果です。通常の不動産売却にかかる税率は、不動産の所有期間5年を境にして大幅に変わるため、不動産M&Aの方が税金負担を大幅に抑えられることが多いです。

また、会社の廃業コストがかからない点もメリットです。会社の廃業は、解散登記・清算人登記・清算決了登記などの登記費用がかかるほか、保有する資産の処分費用も計算に入れておく必要があります。

不動産M&Aの場合、M&Aの手続きを行うだけなので個別に廃業コストがかかることはなく、一括して売却することができるので、手続きもシンプルです。

買収側

不動産M&Aは、売却側も高い節税効果が見込めます。通常の不動産取得の場合、所有権が移転するため登記申請に関連する税金を納めなくてはなりません。

しかし、不動産M&Aであれば不動産取得税や登録免許税が不要になるので、手続き・費用の両面で負担軽減に繋がります。

また、不動産価格を抑えやすい利点も存在します。通常の不動産売却の場合、高額納税が伴うため、価格交渉に応じる余裕がありません。

不動産M&Aの場合は売却側の税金負担も減少するので、価格交渉に応じやすい環境が整っているといえるでしょう。

不動産M&Aのデメリット

不動産M&Aは、双方の節税効果が大きい一方でいくつかの問題点も存在します。ここでは、売却側・買収側がそれぞれ注意しなければならない点を解説します。

売却側

不動産M&Aの売却側は、手続きに時間がかかるというデメリットがあります。不動産M&Aは売却する資産・事業の対象が広くなることで、交渉や手続きにかかる時間が長くなってしまいます。

平均成約速度は6~12ヶ月とされていますが、不動産単体の売却と比較すると成約してから現金を手にするまでの期間が長くなるで、即座に現金が欲しい場合は有効活用するのが難しい手法であるといえるでしょう。

また、売却先を探すことが難しいという問題もあります。M&Aの売却先の選定はM&Aに関する知識や幅広いネットワークが求められるので、個人の繋がりだけでは好条件の相手をみつけることは極めて困難です。

さらに「所有する不動産を有効活用できる相手」という条件も加わると、必要になる知識・ネットワークも変わります。専門家によるサポートを受けるなど、何かしらの対策を施さなければ売却先を探すことは難しいでしょう。

買収側

不動産M&Aの買収側は、簿外債務の引き継ぎリスクに注意が必要です。現金主義の会計処理(現金の支出・収入時点で計上)を行っている場合、退職給付引当金や未払い給与などの債務が計上されず、潜在リスクになっている可能性があります。

会社そのものを購入することは、簿外債務を引き継ぐリスクが伴うことを意味するため、事前のデューデリジェンスを徹底するなど、万全の対策を施さなければなりません。

また、不動産の含み益も注意が必要です。取得する不動産の事業利益が多い場合、今後の不動産運用で生み出される利益に対して税金が発生する可能性があります。

取引にかかる税金は一時的なものですが、含み益による税金負担は将来に渡って発生します。今後の事業に大きく関わることなので、より計画的に運用していく必要があります。

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不動産M&Aの注意点

不動産M&Aの注意点

不動産M&Aは高い節税効果が得られる方法ですが、実施する際は注意すべき点もあります。注意点を押さえておくことで成功率を上げることもできるので、あらかじめ把握しておくことが大切です。

【不動産M&Aの注意点】

  1. 不動産取引の知識が求められる
  2. M&Aに精通した知識が求められる
  3. 投資に関する知識も求められる
  4. 幅広いネットワークをもつ専門家のサポートが必要

1.不動産取引の知識が求められる

不動産取引においては、不動産価値・リスクを適正に見極めるための知識が必要です。知識が伴っていなければ、不良物件や事故物件を掴まされてしまうリスクが高くなります。

これは、不動産M&Aにおいても同様のことがいえるので、M&Aの手続きばかりに気を取られてしまうと不動産の調査が不十分になり、望んだ結果が得られなくなる可能性もあります。

2.M&Aに精通した知識が求められる

不動産M&Aは必要な手続きが多岐に渡るため、M&Aに精通した知識も求められます。買い手の選定・交渉や各種契約書の締結など、不備があると取引の有効性が失われてしまうものも多いです。

買い手にとっては簿外債務も問題になるので、デューデリジェンスを通して徹底的に調査を行わなければ、不動産以外の部分で余計なリスクを背負ってしまう可能性が高くなります。

3.投資に関する知識も求められる

不動産投資に関する助言業務を行う不動産投資顧問業というものがあります。不動産取引は高額投資が前提になるので、投資に失敗して大きな損失を被ることを防ぐために欠かせない存在です。

これは不動産M&Aにおいても同様であり、不動産投資に関して冷静な投資判断を行えるだけの知識・分析力が求められます。

4.幅広いネットワークをもつ専門家のサポートが必要

不動産M&Aを実施するうえで難しいのは、取引先の選定です。不動産を手放したい売却側と、不動産を取得した買収側はそれぞれ存在していますが、通常のネットワークでは引き合わせることは難しいのが現状です。

さらに条件が一致する相手をみつけなければならないため、不動産やM&Aに関するネットワークを保有する専門家のサポートは必要不可欠といえるでしょう。

不動産M&Aのご相談はM&A総合研究所へ

不動産M&Aは売却側・買収側の双方に大きなメリットがありますが、不動産やM&Aに関する知識も求められるなど、気をつけなければならないポイントも多く存在します。

不動産M&A円滑に進めてメリットを最大限享受するためには、専門家のサポートが必要不可欠です。

不動産M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小規模のM&A仲介を請け負っているM&A仲介会社です。

M&A総合研究所では、M&A経験の豊富なアドバイザー・会計士・弁護士の3名体制で、ご相談からご成約まで一貫したサポートを行います。不動産に精通した専門家も在籍しているので、不動産の個別調査も安心してお任せいただけます。

料金体系は完全成功報酬制を採用しています。成約時に支払う成功報酬なので、万一交渉が成立しなかった場合の手数料負担はありません。

無料相談は24時間お受けしています。不動産M&Aを検討の際は、M&A総合研究所までご連絡ください。

マンション管理会社のM&A・事業承継ならM&A総合研究所

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不動産M&Aの事例

不動産M&Aの事例

不動産M&Aには多くのメリットがありますが、実際に活用されている事例はどのようなものがあるのでしょうか。この章では、不動産M&Aの活用事例を紹介します。

1.株式譲渡による不動産の一括売却事例

こちらは、卸売業の会社による不動産M&A事例です。業績好調の時期に事務所・倉庫として不動産を3件購入して事業規模を拡大させていましたが、社長の高齢化や業界の競争激化により業績が一転、廃業を視野に入れるようになります。

問題は、購入した不動産の長期借入が数年分残っていることです。このまま廃業する場合は不動産を個別に処分することになりますが、個別にかかる税金負担が重くなり、債務を返済しきれない可能性が高くなってしまいます。

そこで目を付けたのが株式譲渡による不動産の一括売却です。個別に不動産の売却手続きを行う必要がない上、税金負担は株式譲渡益にかかるものだけです。シンプルな手続きと高い節税効果を両立させた株式譲渡により、不動産M&Aを実施しました。

2.不動産と不採算事業の売却事例

こちらは、大手企業の子会社による不動産M&A事例です。東京にスポーツクラブを2店舗展開して運営していましたが、全体的な健康志向の高まりに連れて需要が上がるなか、業界内の顧客獲得競争が激しくなり業績が悪化します。

親会社の決断により、スポーツクラブ運営会社の売却で事業整理を行うことが決定します。幸い、好立地なこともあり、開発素地としての利用価値が見積もられています。買い手が見つかる可能性も高い判断がされていて、さほど時間をかけることなく買い手候補が現れます。

現れた買い手はスポーツクラブ事業ではなく、不動産の取得を目的とする会社です。数年かけて同事業を再編を図り、スポーツクラブを主力事業とする別会社への売却します。最終的に残された不動産は分譲マンションとして有効活用するべく再開発に着手しています。

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まとめ

まとめ

不動産M&Aを行うメリットは主に節税効果です。通常の不動産売却と比較すると税金負担が押さえられるのでうまく活用することで多くの資金を手元に残すことができます。

しかし、デメリットや注意点も当然存在しています。不動産M&Aに必要になる知識もあるため、節税効果を得るために満たさなければならない条件も多くなっています。

その際は、不動産とM&Aの知識を持つ専門家に相談することで成功率を高めることができます。確実に節税効果を得るためにも、早めに相談しておくことをおすすめします。

  メリット デメリット
売却側 ・節税効果が高い
・廃業コストがかからない
・手続きに時間がかかる
・売却先を探しにくい
買収側 ・節税効果が高い
・不動産価格を押さえやすい
・簿外債務の引き継ぎリスク
・含み益による税負担

【不動産M&Aの注意点】

  1. 不動産取引の知識が求められる
  2. M&Aに精通した知識が求められる
  3. 投資に関する知識も求められる
  4. 幅広いネットワークをもつ専門家のサポートが必要