エステサロンの事業譲渡・株式譲渡のポイントとは?動向/事例/相談先も紹介

エステサロンの事業譲渡・株式譲渡のポイントとは?動向/事例/相談先も紹介

エステサロン業界は競争が激しいうえに廃業も多くみられます。このような状況下でエステサロンの売却を成功させるためには、戦略的に実行していくことが重要です。

本記事では、エステサロンの業界動向や、エステサロンの事業譲渡・株式譲渡を成功させるポイントなどについて、実際の事業譲渡・株式譲渡事例を交えながら解説します。

エステサロンとは

 
エステサロンとは
 
エステサロンとは、施術や機器、化粧品などによって肌や体型を美しく健康にするサービスを提供する施設を指します。
 
エステサロンのサービスには、大きく分けて美顔・痩身・脱毛がありますが、近年ではエステサロンのサービスは細分化してきています。
 
エステサロン事業を売却する方法にはさまざまなものがありますが、多く用いられているのは事業譲渡です。

事業譲渡とは

事業譲渡とは、事業を部分的に譲渡したり全事業を譲渡したりすることです。エステサロンの場合は一部店舗を譲渡したり、エステ事業と化粧品事業営んでいる会社がどちらかを譲渡して事業の選択と集中を図るなど、柔軟な取引が可能です。
 
事業譲渡は柔軟性がメリットではありますが、譲渡内容によっては手続きに手間がかかることもあります。

その他のM&A手法

エステサロンのM&Aで事業譲渡以外によく使われるのは、株式譲渡です。株式譲渡は譲渡の負担が比較的少なく済む便利な手法です。
 
しかし、株式を売買することで経営権を渡す手法なので、エステサロン業界に多い個人事業主は株式譲渡による売却ができません。
 
そのほかにも、大手・中堅エステサロングループの場合は、組織再編を目的として株式移転や株式交換を用いたり、吸収合併といった手法が用いられることもあります。

エステサロン業界が直面している問題

エステサロン業界が直面している問題
 
現在エステサロン業界では、3つの課題に直面しています。ここでは、それぞれの課題について詳しく解説します。
 
【エステサロン業界が直面している問題】
  1. 優秀なエステティシャンを雇用できない
  2. 競合が増え競争が激化している
  3. 経営者が高齢になり引退を考えている

①優秀なエステティシャンを雇用できない

近年は機器によるエステやセルフエステの需要も高くなっていますが、特定のエステティシャン目当てでエステサロンに行く顧客も依然として多くみられます。
 
しかし、エステサロン業界は女性が多く、仕事も夜まで営業しているケースが多いので、結婚・出産をきっかけに退職してしまうエステティシャンが多い点が問題のひとつとなっています。
 
そのため、研修制度や産休・育休・時短勤務などを取り入れても、優秀なエステティシャンの雇用を維持できずに苦しんでいるエステサロンが多く存在します。

②競合が増え競争が激化している

エステサロンは新規参入しやすい業界であるため、個人や少人数による小規模エステサロンが乱立し、競争が激しくなっています。
 
それに加えて、近年は美容医療や美容家電、スポーツジムといった分野とも競わなければならず、多くの小規模エステサロンが厳しい経営を強いられています。
 
競争に勝つために低価格競争も加速しており、十分な収益が得られずに廃業や事業譲渡を選ぶエステサロンも少なくありません。

③経営者が高齢になり引退を考えている

新規参入や事業歴の浅い若手経営者が多い一方で、高齢になり引退を考えなければならない経営者も増えています。
 
エステサロン業界は新規参入は容易な業界ですが、事業の維持はかなり難しい業界でもあります。
 
そのため、親族や従業員への引き継ぎを躊躇するケースも多く、事業承継せずに廃業を選択したり、第三者へ事業譲渡するケースが多くみられます。
 

エステサロン業界の今後の動向予測

エステサロン業界の今後の動向予測
 
この章では、今後予測されるエステサロン業界の動向について解説します。
 
【エステサロン業界の今後の動向予測】
  1. 人材不足は今後も変わらないと予測される
  2. 競争相手が激化する事で施術単価が下落する
  3. エステサロン業界の事業譲渡・M&A動向

①人材不足は今後も変わらないと予測される

エステサロン業界の人材不足は、今後も続いていくと予測されます。新型コロナウイルスの影響で人材採用数を減らす業界が多くみられるなか、エステサロン業界は採用を増やしたほど人材確保に困っています。
 
現状では、人材数自体が大幅に減っているというよりも、エステサロンの増加率に対して人材数が追いついていない状況です
 
しかし、今後はエステサロンの専門学校に通う生徒数が減り続けていることなど考えると、業界が対策を打たないでいると人材の絶対数自体が大幅に減少する段階に入っていくと推測されます。

②競争が激化する事で施術単価が下落する

現在エステサロン業界では、サービスの細分化や新しいサービスジャンルの増加、医療機器の進化、他業界からの参入などにより競争が激化しており、施術単価の引き下げ競争が起きています。
 
しかし、価格競争は自らの首を締めることにもなり、一時的に客数は増えても収益が上がらず、多くのエステサロンが苦しい経営状況に陥っています。
 
収益力を高めるため、オリジナルの商品開発や新しい施術メニューの導入を進めるエステサロンもありますが、簡単に状況が改善しないのが現状です。

③エステサロン業界の事業譲渡・M&A動向

エステサロン業界の事業譲渡の特徴としては、小規模エステサロンの事業譲渡が多い点や、業歴浅いエステサロンの事業譲渡も多くみられる点、大都市圏のエステサロンによる事業譲渡が多い点などが挙げられます。
 
今後は、新型コロナウイルスの影響もあり、廃業やM&Aによる譲渡が増えていく可能性が考えられます。
 
業績が悪化してM&Aの条件が不利になる前に、事業譲渡の準備を進めておくことも場合によっては必要でしょう。

エステサロンの評価を高めるポイント

エステサロンの評価を高めるポイント
 
M&Aでエステサロンの評価を高めるには、以下のポイントを押さえておく必要があります。
 
【エステサロンの評価を高めるポイント】
  1. 店舗の立地が良い場所にある事
  2. メンズエステやネイルケアなど幅広く経営している事

①店舗の立地が良い場所にある事

エステサロンの多くは都市部に集まっており、商圏にライバル店はあるか、土地代・家賃と収益のバランスは取れているかなど、立地環境も事業譲渡の評価に影響します。
 
近年は、郊外でもSNSや口コミなどでうまく集客できているエステサロンもあり、ブランディングができている場合は多少立地が悪くても事業譲渡で高い評価がつくこともあります。

②メンズエステやネイルケアなど幅広く経営している事

エステサロン業界は流行り廃りが激しく、単一のサービスでは差別化ができず、業績が落ちていく可能性が高くなります。
 
また、競争に流されて低価格をウリにしてしまうと、事業譲渡の買い手からみると強みとは判断されないこともあります
 
価格よりも付加価値のあるサービスを複数展開できているか、現在トレンドのサービスを提供できているかなどが評価を高めるポイントになります。
 

エステサロンの事業譲渡・M&Aは業務展開が大切

エステサロンの事業譲渡・M&Aは業務展開が大切
 
前述のように、エステサロンの事業譲渡ではどのようにサービスを展開し、付加価値を持たせているかが買い手からの評価ポイントにつながります。ここでは、エステサロンの事業譲渡・M&Aで重視される業務展開のポイントを紹介します。

顧客ニーズに対応した業務展開を行っている

エステサロンの事業譲渡では、顧客ニーズに対応した業務展開ができているかどうかも評価ポイントとなります。
 
具体的には、顧客ニーズに合わせた施術メニューやオプションを取り揃えているか、オリジナル商品を持っているか、ニーズに合った宣伝・集客ができているかなどがポイントです。
 
しかし、多くの中小エステサロンは、これらの施策が必要と感じていながらも時間やノウハウがないために取り組めていないという現実もあります。
 
逆にいえば、これらの施策をうまくできているエステサロンは、経営も事業譲渡もうまくいく可能性が高くなります。

高級店からカジュアルなエステまで経営している

現在、エステサロン業界は低価格化と高級化が二極化している状況です。低価格のエステサロンは顧客を集めやすいメリットはありますが、利益率が低い・顧客が離れやすいといった課題もあります。
 
一方、高級エステサロンの場合顧客は集めにくいものの、サービスに独自性を出しやすい・利益率が高い・常連が付くと強いといったメリットがあります。
 
近年は、低価格エステと高級エステの両方を展開しているエステサロン企業が、事業譲渡でも高い評価がついているケースがみられます。

エステサロンの事業譲渡のポイント

エステサロンの事業譲渡のポイント
 
ここからはエステサロンの事業譲渡のポイントについて、事例を交えて解説します。

エステサロンを事業譲渡する際の注目点

エステサロンの事業譲渡では、情報管理に注意が必要です。買い手はさまざまな情報を参考に買収条件などを決めますが、エステサロン業界は個人経営のお店も多いので、情報管理がきちんとなされていないケースも少なくありません。
 
また、エステサロンの事業譲渡では買い手にとってスタッフの存在が貴重なので、スタッフが買い手と雇用契約を結ばず離職するといった事態は防がなければなりません。
 
M&Aの専門家に相談するなどして、情報管理とスタッフのフォローはしっかりと行う必要があります。

エステサロンの事業譲渡事例

ここでは、エステサロンの事業譲渡事例を3つ紹介します。
 
【エステサロンの事業譲渡事例】
  1. 凛によるエステサロン事業の事業譲渡
  2. 資生堂によるサロン向けヘアケア事業の事業譲渡
  3. グロワール・ブリエ東京による美容脱毛サロン事業の事業譲渡

①凛によるエステサロン事業の事業譲渡

エステサロンの事業譲渡事例1

       出典:https://factoryjapan.jp/

エステサロンの事業譲渡事例1件目は、凛によるエステサロン事業の事業譲渡です。
 
2018年、株式会社凛は、整体とエステサロンの「和み庵」事業を、ファクトリージャパングループに事業譲渡しました。整体・アロマ・エステサロンを行う和み庵は、大阪府を中心に関西で7店舗展開しています。
 
ファクトリージャパングループは、顧客から高い評価を受けている和み庵を事業譲受し、さらに社員のスキルアップを図ることで、同事業の関東展開など事業拡大を進めています。

②資生堂によるサロン向けヘアケア事業の事業譲渡

エステサロンの事業譲渡事例2

       出典:https://corp.shiseido.com/jp/

エステサロンの事業譲渡事例2件目は、資生堂によるサロン向けヘアケア事業の事業譲渡です。
 
資生堂は子会社が展開しているサロン向けヘアケア事業を、ドイツのヘンケル社に譲渡しました。
 
これにより、資生堂は事業投資の選択と集中を進め、コアブランドへの投資によって中期経営計画の達成しています

③グロワール・ブリエ東京による美容脱毛サロン事業の事業譲渡

エステサロンの事業譲渡事例3

       出典:https://musee-pla.com/company/

エステサロンの事業譲渡事例3件目は、グロワール・ブリエ東京による美容脱毛サロン事業の事業譲渡です。
 
グロワール・ブリエ東京は2017年、ミュゼプラチナムへ美容脱毛サロン事業を事業譲渡しました。
 
グロワール・ブリエ東京は、2016年に商取引法に違反して、行政処分を受けました。その後、ミュゼプラチナムに事業を譲渡し、グロワール・ブリエ東京は自己破産を申請し倒産しています。

事業譲渡に適したエステサロンとは

事業譲渡を実施するのは個人サロンなどの小規模エステサロンが多いので、事業譲渡手続きに時間と手間がかかりすぎてしまうと、普段の業務などにも支障が出てくるという問題があります。
 
そのため、あらかじめ準備が整っているエステサロンは事業譲渡に向いています。具体的には、各種固定費が抑えられていたり、契約関係が整理されていたりすると、買い手も手続きを行いやすくなります。
 

エステサロンの株式譲渡のポイント

エステサロンの株式譲渡のポイント
 
事業譲渡のポイントに続いて、ここからはエステサロンの株式譲渡のポイントについて解説します

エステサロンを株式譲渡する際の注目点

エステサロンの株式譲渡を行う際は、事前に経営計画書を作成しておくことや、早めにM&Aの専門家に相談して、株式譲渡と事業譲渡どちらが適しているかを分析しておくことなどが重要です。
 
エステサロンのM&Aを検討する際は、事業譲渡にこだわりすぎず、株式譲渡などほかの選択肢も検討しておく必要があります。

エステサロンの株式譲渡事例 

ここでは、エステサロンの株式譲渡事例を3つ紹介します。
 
【エステサロンの株式譲渡事例】
  1. セドナエンタープライズによるシーズHDへの株式譲渡
  2. 不二ビューティからRVHへの株式譲渡
  3. エムアンドケイグループによるファステップスへの株式譲渡

①セドナエンタープライズによるシーズHDへの株式譲渡

エステサロンの株式譲渡事例1

       出典:https://datsumo-labo.jp/company.html

エステサロンの株式譲渡事例1件目は、セドナエンタープライズによるシーズHDへの株式譲渡です。
 
エステサロンを全国展開しているセドナエンタープライズは、2017年、シーズHDへ株式譲渡を行い子会社となりました。
 
シーズHDは、2016年にエステサロン事業へ参入してから、エステサロン事業のさらなる成長を模索してきました。
 
一方、セドナエンタープライズは事業戦略に成功し、直近では大幅な業績アップを遂げています。
 
セドナエンタープライズとシーズHDは、グループ企業として協業することにより、高い事業シナジーを期待しています。
 

②不二ビューティからRVHへの株式譲渡

エステサロンの株式譲渡事例2

       出典:https://takanoyuri.co.jp/

エステサロンの株式譲渡事例2件目は、不二ビューティからRVHへの株式譲渡です。「たかの友梨ビューティクリニック」を運営する不二ビューティは、2017年、RVHと株式譲渡と株式交換を行い完全子会社となりました。
 
RVHは、高いブランド力を誇る不二ビューティを子会社化することで、RVHグループが運営する「ミュゼプラチナム」との事業シナジーを狙っています。
 

③エムアンドケイグループによるファステップスへの株式譲渡

エステサロンの株式譲渡事例3

       出典:http://eyelashs.jp/

エステサロンの株式譲渡事例3件目は、エムアンドケイグループによるファステップスへの株式譲渡です。
 
まつげエクステ専門のサロンを運営するエムアンドケイグループは、2015年、ファステップスへの株式譲渡により完全子会社となりました。
 
エムアンドケイグループとファステップスは、顧客層が近い両社のサービス間でクロスセルを行うことで、高い事業シナジーを発揮しています。

株式譲渡に適したエステサロンとは

株式譲渡の場合、買い手側は売り手エステサロンのリスクも背負い込むことになるので、極力リスクが少ないか可視化されていることが重要です。
 
具体的には、近年エステサロン業界で問題になっている契約問題や施術の際のトラブルがないか、安全対策がされているかどうかが注目されます。
 

エステサロンのその他のM&A手法

エステサロンのその他のM&A手法
 
本記事では主に事業譲渡や株式譲渡といった手法について解説しましたが、その前に提携を検討してみるのも方法のひとつです。
 
提携であれば、ノウハウや人材を補い合って、商品開発・サービス開発・広告宣伝などを効率的に実行することができます。
 
また、規模の大きいエステサロン運営会社の場合、会社分割や第三者割当増資といった事業譲渡、株式譲渡の代替手法を使ったほうがよいケースもあります。

エステサロンを事業譲渡・株式譲渡する際の引き継ぎ・手続きについて

エステサロンを事業譲渡・株式譲渡する際の引き継ぎ・手続きについて
 
エステサロンを譲渡する際は、事前に契約関係の整理を慎重に行っておく必要があります。
 
特に、事業譲渡の場合、土地・建物を借りていると買い手が改めて契約し直す必要がありますが、土地・建物のオーナーが契約者の変更を嫌がったり、値段を上げてきたりする可能性があります。
 
また、土地・建物を途中解約する場合は違約金などが発生するケースもあるので、よく確認しておくようにしましょう。

エステサロンを事業譲渡する際の相談先

エステサロンを事業譲渡する際の相談先
 
エステサロン業界は現在過渡期にあり、変化に対応した事業譲渡の判断が必要です。そのためには、M&Aの専門家による適切な分析・判断と助言が役立ちます。
 
M&A総合研究所では、アドバイザー・M&A専門の会計士・弁護士によるサポートと、AI技術を活用した高精度のマッチングにより、短期間でのスピード成約と希望価格以上での会社売却を実現します
 
また、M&A総合研究所では事業譲渡が完了するまで手数料が発生しない、完全成功報酬制を採用しています。
 
エステサロンの事業譲渡でお悩みの際は、M&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
 

まとめ

 
まとめ
 
本記事では、事業譲渡・株式譲渡のポイントについて解説してきました。現在、エステサロン業界では人材不足や競争激化、事業承継などの問題を抱えており、その解決手段としてM&Aが活用されるケースが増えています。
 
M&Aは今後さらに活発に行われることが予測されているため、エステサロンのM&A・事業譲渡を検討している場合は、早めに準備をして計画的に進めていくことが重要です。
 
【エステサロン業界が直面している問題】
  1. 優秀なエステティシャンを雇用できない
  2. 競合が増え競争が激化している
  3. 経営者が高齢になり引退を考えている
 
【エステサロン業界の今後の動向予測】
  1. 人材不足は今後も変わらないと予測される
  2. 競争相手が激化する事で施術単価が下落する
  3. エステサロン業界の事業譲渡・M&A動向
 
【M&Aでエステサロンの評価を高めるポイント】
  1. 店舗の立地が良い場所にある事
  2. メンズエステやネイルケアなど幅広く経営している事