M&Aの相場はいくら?決め方や高い譲渡価格で成立させる条件を解説!

M&Aの相場についてお調べですね。

残念ながら、M&Aをするときの相場は〇円と言い切ることが出来ません。

なぜなら、事業の生み出す利益や持っている資産・負債が事業ごとに大きく異なるからです。

しかし、過去のM&Aの事例や譲渡価格の算出方法を確認することで、M&Aしたときの価格を予想することができます。

せっかくM&Aをするなら、高い譲渡価格でM&Aを成立させましょう。

1.M&Aの事例から相場を見てみよう

M&Aをするときの相場は、一概に〇円と言い切ることが出来ません。

なぜなら、事業の生み出す利益や持っている資産・負債が事業ごとに大きく異なるからです。

しかし、実際にどのような事業・企業がいくらで売れているのか過去のM&Aの事例を3つ確認してみましょう。

自社が当てはまる事例がないか、チェックしてみて下さい。

事例1.中小企業のM&A

売り手企業(A社) 買い手企業(B社)
  • ウェディング関連事業
  • 対象事業:ウェディング関連レンタル事業
  • 売上高:8,000万円
  • 売却価格:3億円
  • ウェディング関連レンタル事業
  • 売上高:10億円

売り手企業A社は、ウェディング関連事業を行っていました。

事業の1つにウェディング関連レンタル事業も運営していましたが、ウェディング会場の地域拡大に力を入れるため、売却を決意。

一方、買い手企業B社は、ウェディング関連レンタル事業の大手企業です。

エリア拡大・レンタル用品の拡充を計画していたB社はA社の事業売却案件を知り、積極的にアプローチ。

無事に3億円で事業売却が決まり、A社は獲得した資金をウェディング会場運営事業へ投入できたのです。

また、B社は予想通りのシナジー効果を発揮しました。

事例2.薬局のM&A

売り手企業(C社) 買い手企業(D社)
  • ドラッグストア
  • 5店舗展開
  • 売上高:11億3000万円
  • 譲渡価格:6,700万円
  • 大手ドラッグストア
  • 売上高1000億円

C社は地元で5店舗展開しているドラッグストアチェーン企業です。

C社社長は、後継者がおらず悩んでいた時に会社売却で事業承継をしようと決意しました。

売上は11億円を超えており、赤字も出ていない優良企業です。

一方、大手ドラッグストアD社は、全国展開を急ぐためC社の買収を決意。

実は、C社の展開している地域は、好立地物件探しに難航している地域だったのです。

そのため、C社を買収することで、早期に店舗を確立することが出来ると考えました。

交渉の末、譲渡価格は6,700万円で合意。

C社にとっても、D社にとっても納得のいく条件で成立したのです。

事例3.飲食店のM&A

売り手(Eさん) 買い手(Fさん)
  • ラーメン屋経営
  • 売上高:2,000万円
  • 譲渡価格:200万円
  • 開業準備中
  • 地元で手ごろな店舗を探していた

長年ラーメン屋を経営していたEさんは、人手不足のため店舗売却を決意。

すぐに仲介業者へ相談し、査定をしてもらいました。

査定額は200万円。

狭いお店でしたが、駅近だったこともあり高値がついたのです。

さっそく買い手を募集したところ、1週間後にFさんからの内見予約が入りました。

実際に内見をしたFさんは店舗を気に入り、そのまま買収を決意。

スムーズに条件交渉へと進み、査定額200万円そのままの価格で売却が決定したのです。

その後1.5ヶ月後に引き渡しを行い、双方納得のいく店舗売却が実現しました。

このように、M&Aと一言で言っても大きく譲渡価格は異なります。

なぜなら、事業の規模や売り上げ高、買い手企業にとってのメリットなど様々な要因で譲渡価格が決定されるからです。

しかし、出来るだけ高い譲渡価格にするための条件はあります。

次の章で確認しましょう。

2.高い譲渡価格でM&Aするための4つの条件

せっかくM&Aをするなら、出来るだけ高い価格でM&Aをしたいですよね。

そこで、企業価値を高めつつ、高い価格でM&Aするための条件をご紹介します。

しっかり確認しましょう。

条件1.売却したい事業の収益を上げる

売却したい事業の収益が高いことは、譲渡価格を引き上げる大きな要素です。

過去から安定して利益を生み出しており、今後も継続できる事業だと判断されれば「投資したい」と買い手企業は思います。

そのために、しっかりと売り上げを伸ばし、無駄な経費を削ることが大切です。

「今後どれくらいの収入が見込めるのか」をしっかりとアピールしましょう。

条件2.安定した経営基盤を心掛ける

常に健全な法務・財務状況であることを目指しましょう。

なぜなら、少しでもリスクが見えると売却額は大幅に引き下げられてしまうからです。

  • 訴訟問題を抱えていないか
  • 取引先との契約に問題がないか
  • 会計処理が適正に行われているか
  • 簿外債務がないか

買い手企業は、M&A前に必ず以上のような項目をチェックします。

そのため、常に健全な法務・財務状況であることを維持しましょう。

条件3.無形資産価値を高める

無形資産価値を高めることで、企業価値も向上します。

無形資産とは、目に見えない資産のことです。

たとえば、特許権のある技術や、営業能力の高い従業員のことを指します。

もちろん収益を伸ばしたり預金や不動産などの資産があると会社の価格は上がるものです。

しかし、目に見えない無形資産にどれだけ高い価格が付くのかが売却価格に大きな影響を与えます。

条件4.シナジー効果の高い企業へ売却する

シナジー効果の高い企業へ売却しましょう。

シナジー効果とは、2つの企業が一緒になることで1+1以上の結果が生まれる相乗効果のことです。

例えば、商品力が強いA社と営業力が強いB社がM&Aで1つの企業になると仮定しましょう。

A社の商品力とB社の営業が融合することで、より良い商品を沢山の人に売ることができます。

このように、A社とB社が単独で生まれる利益よりも高い売り上げを上げることが「シナジー効果」です。

シナジー効果の高い企業とM&Aをすると、当然譲渡価格は高くなります。

どのような会社に売却するべきか、必ずM&Aの専門家へ相談しましょう。

※シナジー効果についは、『シナジー効果とは?正しい意味とM&Aでシナジー効果を生み出すコツ』で詳しく説明しています。

3.会社売却の方が事業売却よりも高い相場になる!

同じM&Aであっても、会社売却の方が事業売却よりも相場は高くなります。

なぜなら、会社の資産を全て取引するからです。

買い手企業は、会社資産を全て引き受けるため、必要なモノや情報、従業員を全て手に入れることができます。

そのため、同じ内容・負債であっても、事業売却より会社売却の方が相場は高いのです。

ちなみに、事業売却の場合、売り手企業が売りたくないものは売らずに社内に残すこともできます。

たとえば、優秀な社員を違う事業に配置させてから対象の事業を売却することもできるのです。

そうなると、買い手企業のメリットは少なくなってしまいます。

そのため、会社として売却することで譲渡価格の相場は高くなるのです。

とはいっても、「会社を全て売ることなんてできない」という経営者も多いでしょう。

そんなときは売りたい事業だけを事前に子会社化し、子会社を売却するという方法もあります。

子会社を売却するなら、『子会社売却の10ステップを分かりやすく解説!事例や節税方法まで』に詳しく解説しているので参考にして下さい。

4.M&Aにおける譲渡価格を決める方法

M&Aの譲渡を決めるためには、会社の価値を知る必要があります。

企業価値を評価する方法を3つ確認しましょう。

方法1.インカムアプローチ

インカムアプローチとは、企業が将来生み出すと予測されるキャッシュフローをもとに企業価値を計算する方法です。

多くの場合、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)で計算をします。

DCF法とは、会社が将来生み出す価値をフリーキャッシュフローで推測し、資本コストで割り引く方法です。

将来生み出す利益を反映することが出来るため、M&Aの売却価格を決める時によく使われます。

※DCF法については、『DCF法とは?企業価値を算出する方法を初心者でも分かりやすく解説!』で詳しく説明していますので確認してください。

方法2.マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、上場企業の場合は市場株価を基礎とし、非上場会社の場合は上場している同業他社をもとに企業価値を算出する方法です。

業種など類似した上場企業と財務諸表で対比率を出し、時価総額に倍率をかけて算出します。

ただし、倍率によって大きく企業価値が変動するので注意が必要です。

第三者にも説明できる倍率の根拠を示さなければなりません。

一方で手早く企業価値を算出することが出来るので、M&Aをする時にどれくらいの価格になるか目安を知ることができます。

方法3.コストアプローチ

コストアプローチとは、企業が保有している純資産をもとに、企業価値を算出する方法です。

コストアプローチの中でも3つの算出方法があります。

  1. 貸借対照表上の純資産額を株主価値とする簿価純資産額法
  2. 貸借対照表の資産と負債を時価評価した上で時価純資産額を算出した後、その額を株主価値とする時価純資産額法
  3. 時価純資産額と営業権の合計を株主価値とする時価純資産額と営業権を考慮した算出方法

これらの方法には、将来性を考量していなかったり、時価評価額を考慮していないというデメリットがあります。

そのため、M&Aでは、ほとんどコストアプローチは使われません。

一般的には、企業の清算や相続評価をするときに使われる方法です。

5.要注意!M&Aの譲渡価格はまるまる手に入らない

残念ながら会社の売却価格をまるまる手にすることは出来ません。

なぜなら、会社売却には経費と税金が発生するからです。

最終的に手元に残る金額は以下のように計算しましょう。

手元に残る金額=売却価格-(M&A仲介会社へ支払う手数料+税金)

それぞれどれくらいの費用が掛かるのか確認しましょう。

経費1.譲渡益に対する税金

M&Aで得た譲渡益には税金が発生します。

譲渡益とは、M&Aの譲渡価格から諸経費を引いた額のことです。

M&Aアドバイザーへのコンサルタント費用や会社評価費用などが経費にあたります。

M&Aは、会社や事業を「売る」行為です。

そのため、M&Aをすると「利益」が発生し、それに税金がかかってしまいます。

株主が個人の場合と法人の場合で課税される税金が異なるため、税額も変わることも注意しなければなりません。

それぞれの税金の額を確認しておきましょう。

(1)株主が個人だったときの税金の額

株主が個人だったときにM&Aで発生する税金の額は、譲渡益×20.315%です。

M&Aをして経営者個人が譲渡対価を受け取る場合、譲渡益は譲渡所得とみなされます。

譲渡所得は、所得税・住民税の課税対象です。

所得税が15.315%、住民税が5%なので、譲渡所得の20.315%の税金を払う必要があるのです。

(2)株主が法人だったときの税金の額

株主が法人だったときにM&Aで発生する税金の額は、譲渡益×19%~23.2%程度です。

株主が法人のとき、対価を受け取るのは会社となります。

そのため、譲渡益は通常の営業による利益として法人税の対象となるのです。

法人税は、譲渡益の19%~23.2%程度で、各企業によって税率は異なります。

このように、M&Aをするときは税金を加味して譲渡価格を交渉しましょう。

経費2.M&A仲介会社へ支払う手数料

経費の中で一番大きな金額となるのが、M&A仲介会社へ支払う手数料です。

ほかにも細々とした経費は発生するかもしれませんが、M&A仲介会社の手数料はかなり大きな金額となります。

一般的に、M&A仲介会社へ支払う手数ロウは着手金・中間金・成果報酬・リテイナーフィーの4つです。

それぞれの手数料の相場については次の章で確認しましょう。

6.M&A仲介会社の手数料の相場

M&Aの経費で最も大きな経費はM&A仲介会社への手数料です。

M&A仲介会社へ支払う手数料の相場も気になりますよね。

手数料の相場を知って、M&Aを実施したときに必要な経費を事前に確認しておきましょう。

手数料1.相談料

相談料とは、M&Aを検討している段階でのカウンセリングに発生する費用のことです。

多くのM&A仲介会社では相談料を無料にしています。

しかし、弁護士事務所などの士業事務所だと相談料が発生するケースもあるので注意しましょう。

相談料の相場は、30分あたり5,000円~2万円です。

初回は無料、2回目以降から相談料が発生することもあります。

ホームページで分からない場合は、電話やメールで問い合わせて事前確認しておきましょう。

手数料2.成功報酬

成功報酬とは、M&Aが成立して最終契約締結後に支払う手数料です。

M&Aが成立しなかった場合は、発生しない手数料となります。

M&A仲介会社へ支払う手数料の中で一番大きな額となるのが成功報酬です。

また、着手金やリテイナーフィーなどの他の着手金を必要とせず、成功報酬だけ受け取る報酬体系を完全成功報酬型と呼びます。

完全成功報酬型であれば、M&Aが成立しなかった場合一切の費用が発生しないのでおすすめです。

また、成功報酬の額は、譲渡額を元にレーマン方式と言われる計算方法で算出します。

一般的に採用されているレーマン方式の報酬率は以下の通りです。

譲渡価格 報酬率
譲渡価格が5億円までの部分 5%
譲渡価格が5億円超え・10億円未満の部分 4%
譲渡価格が10億円超え・50億円未満の部分 3%
譲渡価格が50億円超え・100億円未満の部分 2%
譲渡価格が100億円を超える部分 1%

レーマン方式を使った成功報酬の計算例を確認しましょう。

レーマン方式の計算例

10億円の譲渡価格だったとき、成功報酬の額は4,500万円となります。

ただし、M&A仲介会社によって報酬率が異なるので、初回の相談時に必ず確認するようにしましょう。

手数料3.着手金

着手金とは、M&A仲介会社に相談した後業務を依頼するために支払う手数料を指します。

相場は50万円~200万円程度です。

着手金は、企業価値調査や相手企業選定、資料の作成のための費用とされています。

そのため、M&Aが成立しなくても着手金は戻ってきません。

着手金が必要な仲介会社と不要な仲介会社があるので、必ずホームページなどで確認をしましょう。

手数料4.中間金

中間金とは、M&Aの基本合意契約締結時に支払う手数料を指します。

相場は50万円~200万円です。

中間金は成功報酬の一部のため、予想される成功報酬額の10%~20%を支払うことになります。

そのため、譲渡額が高ければ必然的に中間金も高い額になってしまうのです。

中間金を支払う必要のあるM&A仲介会社は少なくなっています。

ちなみに、基本合意契約は最終契約をする前に、お互いにM&Aの意志があることを提示するために締結するものです。

基本合意契約を結ぶと大方M&Aは成立しますが、その後の条件交渉でM&Aが成立しない可能性もあります。

その場合、支払った中間金は戻ってこないので注意しましょう。

手数料5.リテイナーフィー

リテイナーフィーとは、M&A仲介会社に毎月支払う手数料です。

顧問料のようなもので、月額報酬やリテイナー報酬と呼ぶこともあります。

リテイナーフィーの相場は、月額30万円~200万円です。

ほとんどのM&A仲介会社ではリテイナーフィーの設定はありません。

しかし、弁護士事務所などの専門家にM&Aアドバイザリーを依頼する場合に発生することが多いです。

リテイナーフィーは、業務を依頼してからM&Aの成立まで支払い続ける必要があります。

そのため、リテイナーフィーのない仲介会社へ依頼するようにしましょう。

7.まずはM&A仲介会社へ相談しよう

説明した通り、M&Aをしてもすべての売却価格が手元に残るわけではありません。

とくに、M&A仲介会社への報酬費用は大きいものです。

しかし、M&A仲介会社へ頼らず自社だけの力でM&Aを実施するには無理があります。

そこで、M&Aを検討するならM&A仲介会社へ相談するべき理由を確認しましょう。

理由1.シナジー効果のある買い手企業を紹介してくれる

M&A仲介会社へ相談すると、シナジー効果のある買い手企業を紹介してくれます。

M&A仲介会社は、全国の銀行や証券会社、公認会計士とのネットワークを豊富に持っているものです。

そのため、自社だけのネットワークで会社売却を検討するよりも、たくさんの候補の中から買い手企業を選定することができます。

さらに、「Aという会社は御社のような技術を求めている」など、ビジネス情報も持っているのです。

このように、たくさんのネットワーク・情報から、あなたの企業とシナジー効果の高い買い手企業を紹介してくれます。

そのため、高い価格でM&Aが成立するのです。

理由2.さまざまなケースを想定して交渉してくれる

M&A仲介会社に相談することで、さまざまなケースを想定して買い手企業と交渉してくれます。

M&Aにおいて、売却価格は1つの条件に過ぎません。

ほかにも、売却の範囲や経営者の処遇など、さまざまな条件を決定していきます。

そんな中、買い手企業と主張が異なる場面がたくさん出てくるはずです。

感情的に主張をすると、M&Aの話自体がなくなってしまうかもしれません。

妥協すべきポイントや守るべき条件をアドバイスしてもらいながら、M&Aを成立させることが出来るのです。

理由3.企業価値算定してくれるので売却価格が予測できる

M&A仲介会社へ相談すると、はじめに企業価値算定を行ってくれます。

そのため、おおよその譲渡価格が予測できるのです。

今までに企業価値算定をしたことのない企業にとって、自社でおおよその売却価格を算出することは容易ではありません。

M&A仲介会社へ相談をすると、ほとんどの場合、相談時に無料で企業価値算定をしてくれます。

もちろん、財務諸表などの書類を提出しなければなりません。

しかし、買い手企業との交渉を始める前に、リアルな売却価格を予測できることは大きなメリットです。

実際に買い手企業との交渉が始まり、予測から大幅に下回っていても指摘することができます。

言い値で会社売却をしないためにも、企業価値算定をM&A仲介会社に行ってもらいましょう。

M&A仲介については、『【M&A仲介会社BEST5を発表】有名企業5社を徹底比較!!』で詳しく説明しています。

参考にして、自社に合うM&A仲介会社を選びましょう。

まとめ

M&Aの相場は一概に言い切ることが出来ません。

しかし、できるだけ高い価格で売却するために企業価値を高めておきましょう。

また、M&AをするならM&A仲介会社へ相談することは必須です。

ただし、M&A総合研究所のような着手金のない完全成功報酬型の仲介会社を選び、出来るだけ経費を少なくすることも大切となります。

せっかく事業売却をするなら、出来るだけ高い価格で会社売却をして手元にお金を残しましょう。