
「事業承継をしたいけれど、どのように取り掛かれば良いのだろう。」とお悩みではないでしょうか。
事業承継をするなら、どのような戦略で行っていくのかは非常に重要です。
戦略を練らずに行き当たりばったりな方法で行うと、事業の引き継ぎに失敗しかねません。
そこで今回は、事業承継の戦略を練る上で知っておくべきポイント3つを徹底解説していきます。
事業承継を成功させるための3つの鍵を押さえて、事業の引き継ぎを成功させましょう。
目次
1.事業承継は戦略を練ることから始まる

事業承継は、どのように行うのかという戦略を練ることから始まります。
事業承継を成功させるためには、適切な戦略を練った上で行動していくことが大切です。
事業承継の戦略を練る際には、
- 『後継者選定』
- 『後継者教育』
- 『税金対策』
の3点について特に入念に考えなければなりません。
これらの3点のいずれか1つでも欠けると、事業承継が成功する確率は大幅に下がります。
したがって、3つのポイントを中心に戦略を練り、事業承継のスケジュールを決めていきましょう。
事業承継に限らず、M&A全般の戦略について知りたい方は以下の記事も参考にしてみてください。
2.事業承継の戦略を考えスケジュールを決めよう!

事業承継を行う前に、戦略を考えてスケジュールについても決めておくことが大切です。
事業承継について考える際に特に重要なのは、
- 『後継者選定』
- 『後継者教育』
- 『税金対策』
の3点だとご紹介しました。
これらはいずれも時間がかかるので、しっかりとスケジュールを決めておく必要があります。
それぞれに必要な期間はどれくらいかを見ておきましょう。
2−1.後継者選定に必要な期間

後継者選定に必要な期間は、1ヶ月〜1年程度は見ておきましょう。
親族や従業員など身近な人から後継者を探す場合でも、本当に後継者としてふさわしいのかを判断しなければなりません。
また、募集サイトを使って外部から後継者を見つける場合も同様に、慎重に経営者としての適性を見る必要があります。
後継者選定を焦って適当に行ってしまうと、教育段階で後悔する可能性が高いです。
したがって、事業承継のスケジュールを決める際には後継者選定に1年以上はとるようにしておいてください。
後継者募集について詳しくは以下の記事で解説しています。
後継者募集が成功する鍵は?サイト10選からM&A仲介会社も紹介!
2−2.後継者教育に必要な期間

後継者教育に必要な期間は、3年〜5年程度は見ておきましょう。
たとえ引き継ぐ予定の会社で既に働いている従業員でも、経営者としてやっていくためには様々なことを学ばなければなりません。
社内での教育だけでなく、社外でのセミナーなどに参加する必要もあります。
社外のセミナーは半年や1年をかけて行われるものもあり、満足いく教育を受けさせることができるまでに時間がかかってしまうはずです。
したがって、事業承継のスケジュールを決める際には後継者教育に短くても3年はとるようにしておいてください。
2−3.税金対策に必要な期間

税金対策に必要な期間は、どんな方法でも1年程度は見ておきましょう。
節税を行うには、現状の会社の資産状況を詳しく把握し、不要な資産は手放していくべきです。
そのためには、半年程度はかかると考えられます。
そこから節税に使える特例などを選び、実際に活用していくのでトータル1年は必須です。
できるだけ早めに税金対策を完了させたいなら、事業承継を考えたらすぐに税理士のところに相談に行ってください。
以上が、事業承継の戦略決めの必要性と、スケジュールについてでした。
スケジュールには余裕を持っておかなければ、事業承継を予定している日に間に合わなくなります。
もしも急に現経営者が経営から退くことになったら、会社には大きな混乱がもたらされるので気をつけなければなりません。
それではここからは、事業承継戦略について具体的なポイントを見ていきましょう。
3.事業承継戦略『後継者選定』のポイント

事業承継の戦略を練るにあたって、最初に考えなければならないのが後継者選定です。
誰を後継者にするのかが決まらなければ、事業承継は始まりません。
後継者選定をするには、まずは以下のステップで後継者を募集しましょう。
- 近い人材から適任者を見つける
- WEB上の募集サイトを利用する
- M&Aで外部から探す
いずれかの方法で後継者候補を見つけ、一番良いと思える人を後継者に選ぶべきです。
それぞれの方法の募集ステップについて、順に見ていきましょう。
ステップ1.近い人材から適任者を見つける
まずは、近い人材から適任者を見つけてみましょう。
例えば、親族や従業員など周囲で後継者候補となり得るという人はいないでしょうか。
現経営者の経営方針を理解している親族や従業員が後継者になれば、スムーズに会社を引き継ぎやすいです。
しかし、先行きがどうなるか見えない事業を身近な人に引き継がせることは不安だと感じる経営者も多いでしょう。
また親族や従業員に断られてしまう可能性も大いにあります。
親族や従業員から後継者候補が見つからないなら、募集サイトを利用してやる気のある人を探してみるのもひとつの手でしょう。
ステップ2.WEB上の募集サイトを利用する
後継者をやる気のある人から探したいなら、WEB上の募集サイトを利用するべきです。
募集サイトに掲載すると、地域を問わずたくさんの人にアピールすることができます。
掲載料がかからないサイトもあり、利用しやすい手段です。
例えば、以下のようなサイトがあります。
後継者募集サイト1.『後継者ネット』

(引用:後継者の求人 後継者ネット)
幅広い業種に対応していることから使いやすさがあるのが『後継者ネット』です。
やる気のある人から経営知識を持った人まで揃っていますから、すぐに自社の力となり、引き継ぎできる適任者を見つけやすいでしょう。
募集サイト名 | 後継者ネット |
URL | http://www.koukeisya.net/ |
募集できる業種 | 全業種 |
費用 | 掲載費無料・成功報酬型 ※3・6・12カ月ごとの有料オプションサービスあり |
後継者募集サイト2.『日本仕事百貨』

(引用:日本仕事百貨)
より経営方針などに寄り添う人材を見つけたいということなら『日本仕事百貨』も検討してみましょう。
サイトを運営している人が直接ヒアリングに来てくれるので、自身の思いを伝えてそのまま人材に条件を反映させることが可能です。
募集サイト名 | 日本仕事百貨 |
URL | https://shigoto100.com/ |
募集できる業種 | 全業種 |
費用 | 取材費・2週間の掲載費26万円(税別)+交通宿泊費 |
ステップ3.M&Aで外部から探す
ここまでお話したステップで見つからないなら、外部から後継者を探すためにM&Aを検討しましょう。
なぜなら、買い手側から後継者を連れてきてもらうことができるからです。
豊富な人材と資産で育成をしている買い手もいますから、適任者を見つけられる可能性は高いと言えるでしょう。
現在では人材不足を理由に後継者を見つけられなくて廃業している企業が多くあります。
そのため、M&Aによる外部から人材を連れてくることができるのは大きな魅力となるはずです。
以上が、後継者募集の3つのステップでした。
これらのステップを踏むことで、後継者候補を複数見つけられるはずです。
その中から、自分の事業を継ぐのにふさわしい人を検討してください。
検討の際には、単に現在の経験や知識だけで比べるのではなく、事業への熱意があるのかも重要となります。
焦らずに、最適だと思える後継者を選びましょう。
後継者が選べたら、次は後継者教育を行っていきます。
4.事業承継戦略『後継者教育』のポイント

後継者選定が行えたら、安心して事業を任せられるように後継者教育を行わなければなりません。
教育が不足していると事業が傾く可能性も高いので、後継者の教育には時間をかける必要があります。
これまで一緒に過ごしてきても、ノウハウや仕事内容などを伝えていないときには、相当な時間を必要とするでしょう。
また、丁寧に育成を進めて引き継ぎしてもらうためにも以下に注意してみてください。
- 幅広い教育方法を行う
- 最低でも5年間は教育をする
これらのポイントを押さえておけば、後継者教育を成功させやすいです。
それぞれのポイントについて、順番に確認していきましょう。
教育ポイント1.幅広い教育方法を行う

後継者には、幅広い教育方法を行うべきです。
良い経営者になるには、経営学や経済学などの様々な知識が必要となります。
複数の教育を受けることで、後継者は経営者にふさわしい知識や経験が積めるはずです。
例えば、後継者教育の方法としては、以下のようなものがあります。
- 現経営者のやり方を学ぶ
- 経営者となるのに役に立つ書籍を読む
- 社内で役員となり経営経験を積む
- 社外の後継者セミナーに参加する
このように、社内でできることと社外でできることを組み合わせることが後継者教育には有効です。
できるだけ幅広い知識や経験が積めるように、教育の計画をたてるようにしましょう。
事業承継におけるセミナーについて詳しくは以下の記事で解説していますので、こちらもご覧ください。
事業承継セミナーには行くべき?効果的な選び方や参加方法を徹底解説!
教育ポイント2.最低でも5年間は教育をする

後継者教育を行うなら、最低でも5年間は時間をとるべきです。
できるだけ早く事業承継をしたいから、あまり教育に時間がかけられないという人もいると思います。
しかし、後継者教育が不足している状態で慌てて事業承継をしても、すぐに会社が傾いてしまう可能性は高いです。
後継者教育は単に知識を詰め込ませればそれで完了するわけではありません。
後継者が手に入れた様々な知識を、実際に経営経験として積み重ねることが大切だと言えます。
そのためには、どれだけ短くても5年間の教育期間は取ってください。
以上が、後継者選定後の教育についてでした。
せっかく良い後継者を選べても、教育を怠ると事業承継は失敗してしまいます。
安心して会社が任せられるようになるまで、しっかりと時間をかけて教育を行いましょう。
それでは最後のポイントである税金対策についてを見ていきます。
5.事業承継戦略『税金対策』のポイント

事業承継の戦略の中でも非常に重要なのが、税金対策です。
税金対策を行わなければ、事業を後継者に上手く引き継げないかもしれません。
事業承継では、後継者にかかる贈与税や相続税が大きな問題となります。
例えば、自社株を引き継いでもらうときには、株式の金額に応じた税金が後継者にかかってしまうのです。
そのため、節税のための対策を行っておかなければ、後継者は資金集めに苦労して経営に集中できなくなります。
ここでは、事業承継の節税対策としてよく使われる以下の2つの制度を見ておきましょう。
- 事業承継税制
- 相続時精算課税制度
これらの制度を使えば、後継者に必要となる納税資金を抑えられます。
それぞれの制度について、順番に確認していきましょう。
節税制度1.事業承継税制

事業承継税制とは、中小企業の事業承継における贈与税・相続税の負担を軽減させることができる制度です。
この制度を使えば、一定の要件を満たしている中小企業の事業承継に対し、相続税・贈与税の納税猶予ができます。
この猶予を有効活用できれば、資金がなくても会社の引き継ぎを進めていくことができるでしょう。
納税まで猶予があるので、手元に現金がない場合でも会社を引き継ぐことができます。
事業承継税制の節税効果
事業承継税制の節税効果は、以下のようになっています。

後継者に自社株式7億円が相続または贈与されたとき、事業承継税制を使えば、約2億8,000万円をすべて猶予してもらうことができるのです。
猶予は5年間適用され、最終的には納税も免除になる場合もあります。
非常に節税効果が高いので、事業承継を行う際には必ず利用を検討するべきです。
ただし、正しく利用するためには要件などを満たす必要があります。
もっと詳しく知りたいという人は、『事業承継税制で節税しよう!改正内容から手続き方法を完全ガイド!』を読んでみてください。
事業承継税制を上手く使えば、非常に大きな節税ができます。
節税制度2.相続時精算課税制度

相続時精算課税制度とは、生前贈与を受けたときに贈与税を納めずに、相続の際に相続税を納めるという制度です。
この制度では、相続のときに収める生前贈与の分の税金は、贈与の段階での価格で計算します。
土地や建物などの不動産のような時期によって価格が変わるもので、相続の頃には値上がりしそうな財産を早めに贈与したいときに有効です。
相続時精算課税制度を使う場合には、合計2,500万円までは贈与税がかからず、超えた部分にだけ20%の税金がかかります。
事業承継税制のように納税しなくて良くなるわけではありませんが、価格の上がりそうな財産を後継者に引き継ぎたい場合には検討するべきです。
以上が、事業承継のときによく使われる節税のための制度でした。
特に事業承継補助金は、活用できれば納税資金をゼロにすることもできるので必ず利用するべきです。
事業承継補助金について詳しくは「事業承継補助金を使って資金対策をしよう!採択率や申請方法を紹介!」で詳しく解説しています。
ここまで事業承継の戦略についてご紹介してきましたが、確実に事業の引き継ぎを成功させたいなら専門家に相談に行きましょう。
6.事業承継の戦略については専門家に相談しよう!

事業承継の戦略については、専門家に相談しましょう。
専門家に相談することで、様々な視野から見て成功しやすい戦略をたてられるはずです。
例えば、税金については税理士、M&Aでの後継者探しについてはM&A仲介会社などというように、適切な専門家が異なっています。
自分が相談したいことに対して、知識が豊富な専門家に相談に行くべきです。
事業承継の全体的な相談は弁護士に、税金の相談は税理士に行くのが良いでしょう。
専門家1.弁護士

事業承継についての相談から引き継ぎまでをワンストップで行いたいなら、弁護士を活用しましょう。
ワンストップとは、一か所で全て済むことを指した言葉です。
事業承継を中心に扱う弁護士事務所なら、税理士や公認会計士などと連携しているので他の専門家に相談する必要がありません。
したがって、事業承継についての総合的な相談を行えます。
弁護士へ相談するときにかかる費用の目安は以下です。
- 相談料:初回無料、次回以降は30分5,000円~1万円
- 着手金:10万円~30万円
- 成功報酬:30万円~300万円
このように、最初の相談料は無料の弁護士が多いので、不安なことがあればまずは相談に行ってみましょう。
専門家2.税理士

事業承継でかかる税金について相談したいなら、税理士を活用しましょう。
事業承継を専門的に取り扱う税理士事務所であれば、様々な制度や特例にも詳しいです。
節税対策の相談がしたいのなら、税理士に聞きに行ってください。
税理士へ相談するときにかかる費用の目安は以下です。
- 相談料:初回無料、次回以降30分5,000円~1万円
- 着手金:10万円~70万円
- 申請書更新手続き費:年1回5万円~10万円(5年間継続)
このように、最初の相談料は無料の税理士が多いので、不安なことがあればまずは相談に行ってみましょう。
以上が、事業承継の戦略を練る上で頼りになる専門家でした。
特に節税対策については必ず専門家に相談に行くべきです。
自分だけでは、使える制度を知らずに損してしまうかもしれません。
事業承継の専門家についてもっと詳しく知りたいなら、『事業承継は相談先で成功が決まる!すぐ使うべき専門窓口7選を紹介!』を読んでみてください。
最後に、M&Aで事業承継を行いたいというときに最適な仲介会社を見ておきます。
7.後継者が見つからないならM&A総合研究所へ

(引用:M&A・事業承継のマッチングプラットフォームならM&A総合研究所)
後継者探しでお困りでしたら、お気軽に『M&A総合研究所』へご相談ください。
M&Aには様々な手続きが必要になりますが、戦略を練った上で最適なアドバイスとサポートをいたします。
また、登録料などすべての費用が無料となっておりますので、まずは気軽な相談からでもお受け可能です。
企業名 | M&A総合研究所 |
URL | https://masouken.com/ |
各種手数料 | 無料(一部有料プランあり) |
後継者が既に見つかっているという場合は、後継者教育から戦略を練って慎重に行ってください。
後継者の教育や今後が不安という方でも問題ありませんので、ぜひご検討くださいませ。
また、もっと事業承継について知りたいという方は、『事業承継とは?基礎知識から成功のためのポイントまで徹底解説!』が参考になります。
まとめ
事業承継を成功させるためには、適切な戦略を練った上で行動していくことが大切です。
事業承継の戦略を練る際には、『後継者選定』『後継者教育』『税金対策』の3点について特に入念に考えなければなりません。
事業承継に取り掛かるなら、専門家のもとで戦略を練って失敗せずに事業を引き継ぎましょう。