
「事業承継をM&Aで行うのは、良いのかな?」と、悩んでいませんか?
事業承継を行おうと思い後継者を募集したものの、後継者が見つからず廃業を考えているかもしれません。
しかし、後継者を親族や従業員、求人サイトから見つけなくても、M&Aという方法で事業承継ができるのです。
ここでは、事業承継でM&Aをするメリットや事業承継で使われるM&Aの種類、M&Aを成功させる会社の磨き上げについて紹介します。
事業承継でM&Aを行い、会社の引き継ぎを成功させましょう!
目次
1.M&Aは事業承継でも使える?

M&Aは事業承継で利用される一般的な方法です。
M&Aとは企業同士の合併や買収のことを指し、中小企業でも当たり前に検討されています。
M&Aの大きな目的は以下の4つです。
- 「事業承継」
- 「事業の選択と集中」
- 「既存事業の拡大」
- 「事業の多角化」
最近では事業承継のためにM&Aを行う会社が増えていると言われています。
M&Aの需要が多くなるにつれ、仲介会社やマッチングサイトも多数出てき始め、M&Aを行うための入口が広くなりました。
このように入口が広がり、個人事業主の事業承継手段としてもM&Aは注目を集めています。
中小企業から個人事業主まで、事業承継をしたいのならM&Aは検討するべき方法です。
それでは、なぜ事業承継でM&Aが利用されているのか見ていきましょう。
1−1.事業承継でM&Aが使われる理由

事業承継でM&Aを利用する理由は、後継者がいないからです。
特に中小企業や個人事業主では、後継者がいないことや後継者が育たないことが問題となっています。
そして事業承継が行えず、廃業を選択することに繋がっているのです。
しかし、M&Aを利用すれば会社や事業を買い取ってもらえるので、事業承継問題を解決することができます。
これにより会社や事業を存続させることができ、従業員や取引先、顧客に迷惑をかけることもありません。
※後継者について詳しくはこちらの記事で解説しています。
後継者とは?募集や教育を上手く行って安心して事業を引き継ごう!
M&Aでの事業承継は、実際に多くの中小企業や個人事業主が利用しています。
どれくらい使われているのか、詳しい件数を見ていきましょう。
1−2.事業承継でM&Aが使われている件数

事業承継でM&Aが利用されている件数は、2018年で年間543件となっています。
この件数は10年前に比べて4倍ほどです。
543件のうち、非上場企業が買い手企業となっているM&Aは263件と5割近い件数を占めています。
事業承継でM&Aを使う件数は、年々増加しており、中小企業が積極的に採用する例も少なくありません。
事業承継をするときは、M&Aが一般的な方法だと思ってください。
以上が、事業承継でM&Aが使われている件数についてでした。
ここまでで、事業承継でM&Aが使えると分かった人も多いでしょう。
次は、事業承継でM&Aを利用するメリットを紹介します。
2.事業承継でM&Aを活用するメリット

事業承継でM&Aを活用するメリットは、以下の3つがあります。
- 後継者を幅広く募集できる
- 業績が悪くても引き継いでもらえる
- 安心して会社経営を任せられる
M&Aについて抵抗がある人も、このメリットを知ればM&Aを活用したくなるはずです。
それでは順番にメリットを見ていきましょう。
メリット1.後継者を幅広く募集できる

後継者を幅広く募集できるのが、M&Aのメリットです。
事業規模の拡大を狙った企業や、新分野に進出したい企業などが買い手として存在しています。
そのため、後継者不足で悩んでいたとしても、買い取ってくれる企業が現れ、会社を引き継ぎやすいのです。
後継者の選択肢が増えるということは、あなたの希望に沿った相手を選ぶことができるということでもあります。
- 「資金力のある安定した会社に買ってもらいたい」
- 「自分の事業を愛してくれる会社に買ってもらいたい」
などの希望が叶えられるのです。
メリット2.業績が悪くても引き継いでもらえる

M&Aで事業承継を行う場合、会社の業績が悪くても引き継いでもらいやすいとされています。
業績が悪いと後継者になりたい人は現れにくいですが、M&Aでは買い手が現れることが多いです。
それらの企業は、事業の拡大を行いたい場合やその会社の技術が欲しい場合など、理由は様々ですがあなたの会社に魅力を感じています。
そのため、業績が悪いとしても魅力さえ感じれば、買い取ることがあるのです。
さらに、業績が悪いことで、企業価値が低く見積もられるため、買い取る際の費用を抑えることができます。
そのため買い手がたくさん現れるケースも珍しくありません。
※売却時の相場について知りたい方は「会社売却の相場とは?出来るだけ高い価格で売却する4つの条件を解説!」で詳しく解説しています。
メリット3.安心して会社経営を任せられる

安心して会社経営を任せられるのもメリットの1つです。
M&Aでは、投資会社のような経営のプロや同業他社が買い手企業として名乗りを上げます。
それらの企業は、すでに経営の知識と実績を持っているので、会社が傾く心配もありません。
また、買い手企業の資金で経営が行われるため、従業員の待遇が改善することも期待できます。
以上が、事業承継でM&Aを活用するメリットになります。
実際に事業承継でM&Aを活用したいと思った方もいるでしょう。
そこで、事業承継で使われるM&Aの種類について紹介しておきます。
3.事業承継で使われるM&Aの種類

事業承継で使われるM&Aの種類は、3つあります。
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 会社分割
M&Aを行う時には、この種類に気を付けなければ思ったような事業承継ができません。
順番に紹介するので、違いを理解しましょう。
種類1.株式譲渡

株式譲渡とは、自社株式を第三者に売却して譲渡する方法です。
株式譲渡は手続きが簡単に行え、企業や事業をそのまま存続させることができます。
経営者の持つ株式の過半数を渡して、会社の経営権も買い手企業に譲渡するやり方だからです。
また取引先との契約も一緒に引き継がれるので、取引先との契約で問題が発生することがほとんどありません。
M&Aの手法の中では比較的簡単に行える方法です。
※株式譲渡について詳しくはこちらの記事で解説しているので、参考にしてください。
種類2.事業譲渡

事業譲渡とは、企業の行っている事業の一部または全部を売却する方法です。
この方法は、事業をどこまで譲渡するか買い手企業との合意のもとに行われます。
株式譲渡と異なり、事業譲渡では、手元に残しておきたい資産などは残しておくことが可能です。
ただし、会社そのものを受け渡すのではなく事業という概念を受け渡すものなので、雇用契約や取引先との契約は引き継ぐことができません。
※事業譲渡について詳しくは以下の記事で解説しています。
事業譲渡とは?仕組みや手続きを理解し、効果的に事業を売却しよう!
種類3.会社分割

事業の一部または全部を分割し、他社に承継する方法です。
会社分割は、吸収分割と新設分割の2種類が存在します。
吸収分割は、自社の権利義務を第三者の既存企業に引き継がせる方法です。
一方、新設分割は、新しい会社を設立し、自社の権利義務と第三者の権利義務を引き継がせる方法です。
このような会社分割は、契約書などを何度も作り直さなくて良いようにするため行われます。
譲渡する事業を会社分割で分社化し、分社とされた会社を株式譲渡することが多いです。
以上が、事業承継で使われるM&Aの種類についてでした。
さらに詳しく知りたい人は『M&Aの種類について分かりやすく簡単に解説!知識が浅い方にも嬉しい図解付き』で解説しています。
こちらを参考に、理解を深めてください。
それぞれ種類の違いがわかったところで、実際のM&Aの流れを見ていきましょう。
4.事業承継でM&Aを行う流れ

事業承継でM&Aを行う場合、以下のような流れで行われるのが一般的です。
- 社内検討
- アドバイザリー契約
- 相手企業選定
- 相手企業へ打診
- 秘密保持契約の締結
- トップ面談の実施
- 意向表明書の提示
- 基本合意契約の締結
- デューデリジェンス
- 条件交渉
- 最終契約・クロージング
- 統合プロセス
会社の今後を託す企業を選ぶことになるため、社内検討はしっかり行いましょう。
特にどのような企業に売却したいかは、非常に重要なポイントです。
会社の規模や業種、経営者の理念や信条、従業員の平均年齢など考えるべき条件が多々あります。
またそれらの優先順位を付けておくことで、買い手企業を選択するときスムーズです。
買い手企業のイメージを事前に決めておくことで、M&Aの専門家も的確なアドバイスが行えるので事前に考えておきましょう。
もう1つ大事なポイントは、いつまでに事業承継を完了させたいかです。
M&Aの契約成立後も従業者のフォローや上手く事業を運営するために、現経営者がその後の作業を手伝うケースもあります。
すぐに事業から離れるわけではないので、M&A成立後のスケジュールも明確にしてM&Aを行うようにしてください。
ここまで決まっていれば、あとは自分に合ったM&Aの専門家とアドバイザリー契約を交わしてください。
M&Aの専門家とはM&A仲介会社や公認会計士、弁護士などが挙げられます。
M&Aを行うなら、M&A仲介会社は必要不可欠です。
M&Aを成功させるためには、必ず専門家に相談し、アドバイザリー契約を結びましょう。
さらに詳しく知りたい人は『【初心者向け】M&Aの手続きの流れを12のステップでわかりやすく解説!』で解説しているので参考にしてください。
以上が、事業承継でM&Aを行う流れでした。
どのようなことを行えばM&Aを成功させられるかがわかったと思います。
ちなみに、M&Aでの事業承継を成功させるなら、会社の磨き上げも重要なので見ておきましょう。
5.事業承継でM&Aを行うなら磨き上げをしよう

事業承継でM&Aを行う際には、以下の方法で会社を磨き上げる必要があります。
- 会社の強みを作る
- 会社の統制機能を作る
- 必要ない資産を売却する
会社を磨き上げておかないと、企業の魅力が薄れて買い手が付かなくなります。
それを避けるために、それぞれの方法を紹介するので、注意して見ていきましょう。
方法1.会社の強みを作る

会社を磨き上げる簡単な方法は、会社の強みを見つけることです。
他社と比べて自社にある強みとは何かをピックアップします。
商品やブランドイメージ、株主や金融機関との良好な関係、知的財産や技術力など細かいところまで探してみましょう。
たとえ小さなことでも、買い手企業にとっては大きな強みに感じることも多くあります。
そのため、従業員とも話し合い、会社の強みとなる部分を洗い出してください。
方法2.会社の統制機能を作る

よく見落とされるのが、会社の統制機構を作ることです。
中小企業や個人事業主では、現経営者がすべての決定権を持っている場合が少なくありません。
そのため、会社を売却したときに、従業員の統制が取れなくなってしまう可能性が高いです。
買い手企業としては、統制が取れない会社は非常に扱いづらく見え、敬遠されます。
そこで、それぞれの職務に対する職責や、就業規則、服務規程を確立しておくことが重要です。
様々な側面から情報が集まり、統制が取れる仕組みを作ると、会社が磨き上がるので実践してみましょう。
例えば、各種申請には上司の承認と申請書類を必要とするなど、経営者がすべてを見ていなくても不正ができないシステムを作ることがあげられます。
方法3.必要ない資産を売却する

事業に必要ない資産を売却することで、会社の磨き上げが行えます。
事業に使わない資産は、買い手企業にとっても不要な資産と見られることが非常に多いです。
引き継いだ後に、資産の維持や売却手続きなどで買い手企業の手続きが増えてしまいます。
事前にいらない資産を売却することで、会社をスマートに見せ、買い手企業に無駄のない会社とアピールしましょう。
例えば、以前まで使っていたが今ではほとんど使わない製造ラインや、遊休地のような資産は、事業承継するにあたって必要がない可能性が高いです。
そのような事業にはあまり役に立たない資産がないかどうかを確認してみてください。
以上が、会社の磨き上げの方法についてでした。
事業承継でM&Aを行うときには、魅力的な会社にしなければ買い手が付きません。
そうならないためにも、会社を磨き上げて企業価値を高めてください。
そのほかにも、事業承継でM&Aをするときに気を付けなければならない点があるため、紹介していきます。
6.事業承継でM&Aをするときの注意点

事業承継でM&Aするときの注意点は、以下の2つです。
- 会社を買い取ってもらうまでに時間がかかる
- 会社の経営方針が大きく変わることがある
これらを理解していないと、思ったような事業承継が行えません。
順番に紹介していくので、しっかり理解していきましょう。
注意点1.会社を承継するまでに時間がかかる

M&Aで会社を承継するまでには相当な時間がかかります。
すぐにM&Aを行おうと思っても、事前の準備に時間が必要です。
また募集したからと言ってすぐに買い手企業が見つかるわけではありません。
そのため、M&Aの事業承継は1年程度の期間は必要と考えておいてください。
ちなみに、他の事業承継では、後継者の育成も含めて最短でも5年程度は必要とされています。
できるだけ短期間で事業承継を行いたいなら、早い段階からM&A仲介会社に相談に行ってください。
注意点2.会社の経営方針が大きく変わることがある

買い手企業によっては、会社の経営方針が大きく変わることがあります。
現経営者と考え方が異なる企業が買い取ってしまうこともあるため、全く違う会社になってしまうかもしれません。
経営方針が変わることで従業員のモチベーションが下がり、大量離職に繋がってしまいます。
そうならないためにも、買い手企業と経営方針をすり合わせるようにしてください。
経営方針のすり合わせを行う際に特に注意するべきなのは、従業員の待遇や事業の方向性についてです。
事業承継をした後に従業員から不満が出ないように、入念なすり合わせを行いましょう。
以上が、事業承継でM&Aするときの注意点についてでした。
「注意点があるならM&A以外での事業承継の方が良いかもしれない」と、考えた人もいるのではないでしょうか。
そこで、M&A以外での事業承継の方法も見ておきましょう。
7.事業承継のM&A以外の方法

事業承継のM&A以外の方法は、以下の2つです。
- 親族や従業員から探す
- 求人サイトで探す
これらは会社の後継者を探す方法となっており、事業承継では最初に考えられる方法だと言えます。
それでは順番にそれぞれの方法を見ていきましょう。
募集方法1.親族や従業員から探す

事業承継を行う場合、多くが親族や従業員から後継者を探します。
自身の経営方針を理解している身近な人だと、安心して引き継ぐことが可能です。
また、内部事情にも精通しているので、外部から後継者を迎え入れて一から教育するより、教育期間が短く済みます。
ただし、親族や従業員から後継者を選ぶ場合、人数が限られており選択肢が狭まる可能性が高いです。
ですから、早い段階から声をかけ、後継者教育を行うといいでしょう。
しかし、親族や従業員に断られてしまうことも多いです。
もし親族や従業員から後継者が見つからないようなら、サイトを使ってやる気のある人を探してみるのも良いでしょう。
募集方法2.求人サイトで探す

事業承継を親族や従業員に頼めない場合は、求人サイトを利用して後継者を探しましょう。
募集サイトに掲載することで、多くの人にアピールすることができ、やる気のある後継者を見つけられます。
また、掲載料がかからないサイトもあり、面倒な手間も必要ないので利用しやすい手段です。
しかし募集したからと言って、必ずしも後継者が見つかるとは限らないので注意しましょう。
以上が、事業承継のM&A以外の方法についてでした。
後継者募集について知りたい人は『後継者募集が成功する鍵は?サイト10選からM&A仲介会社も紹介!』で詳しく紹介しているので参考にしてください。
これらの募集方法は行ったけれど、上手くいかなかったという人はM&Aを行うべきです。
少しでも事業承継でM&Aをしたいと思ったら、M&A仲介業者に相談しましょう。
8.事業承継でM&Aをするときの相談先

事業承継でM&Aをするときは専門家に相談してください。
M&Aの専門家とは、既に書いたようにM&A仲介会社や公認会計士、弁護士などのことです。
M&Aを行うには、経営・ビジネス知識はもちろん、法務・税務・財務の知識も必要となります。
そこでおすすめなのが公認会計士や弁護士の資格を持つ人が在籍するM&A仲介会社です。
そのようなM&A仲介業者に相談することによって、あなたの求める条件に合った企業やあなたの会社に価値を見出している企業を紹介してもらえます。
また、公認会計士や弁護士が持つ専門性の高い知識にも精通しているため、難しい事案や予想される問題に素早く対処してもらえるでしょう。
M&A仲介会社の場合は、手数料として50万~200万円と成功報酬が相場となっていることが多いです。
成功報酬は仲介会社によるので、契約前に確認してください。
実績のあるM&A仲介会社に相談すると、あなたの希望に沿った買い手企業がいくつか見つかるはずです。
M&A仲介会社は、初回相談料が無料の場合が多いので、気軽に連絡してみてください。
またM&A仲介会社の中でも、資格を持った人を雇っている会社は他と比べてさらに適切なアドバイスをしてくれる可能性が高いです。
そこで、事業承継・M&Aの資格について知っておきましょう。
8−1.事業承継・M&Aエキスパートとは?

事業承継・M&Aエキスパートとは事業承継やM&Aに精通した人材だと証明する資格です。
中小企業や個人事業主の円滑な事業承継、経営の安定・持続成長の専門的な知識を有していることを証明しており、事業承継で行うM&Aのプロフェッショナルと言えます。
M&Aについて、この資格を持っている人に相談を行うと、的確な助言をもらえる可能性が高いです。
この資格の難易度は決して難しくはありませんが、網羅的な知識を学んだ証拠と言えます。
以上が、事業承継でM&Aをするときの相談先についてでした。
最後に、特に利用しやすいM&A仲介会社をご紹介します。
9.事業承継するなら「M&A研究所」に相談しよう

(引用:M&A・事業承継のマッチングプラットフォームならM&A総合研究所)
M&Aの事業承継に迷ったときには『M&A総合研究所』へご相談ください。
様々な視点からトータルサポートいたしますので、気軽な相談からスタートしていただけます。
企業名 | M&A総合研究所 |
URL | https://masouken.com/ |
各種手数料 | 無料(一部有料プランあり) |
まとめ
事業承継でM&Aを活用するのは効果的な方法です。
M&Aで会社を引き継ぐなら『M&A総合研究所』へ気軽にお声掛けください。
会社の今後を考えてくれる買い手企業を選び、引き継ぎを成功させるためのお手伝いをいたします。
ぜひ検討してみてください。