事業承継の現状と課題まとめ!解決方法はある?

事業承継の現状と課題まとめ!解決方法はある?
現在、後継者問題は多くの中小企業にとって喫緊の課題となっています。しかし、ほとんどの中小企業は、事業承継の課題に対して、十分な準備ができていないのが現状です。
 
本記事では、事業承継の現状と課題、具体的な解決方法について、わかりやすく解説します。

事業承継の現状と課題とは

事業承継の現状と課題とは
 
現在、多くの中小企業が事業承継の必要に迫られています。しかし、そこにはさまざまな課題があり、スムーズにはいかないという現状もあります。
 
【事業承継の主な課題】
  1. 後継者がいない 
  2. 経営者が高齢化 
  3. 廃業を決めている

①後継者がいない 

日本政策金融公庫総合研究所が行ったインターネット調査によれば、約3割の事業者が後継者問題を抱えていると回答しています。
 
廃業を予定している事業者の半数近くが、事業自体は現状続けることはできるものの、後継者がいないので続けられないと答えており、後継者問題の深刻さがうかがえます。
 
特に個人経営の場合、後継者問題によって廃業する予定の割合は中小企業よりも高く、いかに後継者をみつけるかが喫緊の課題となっています。

②経営者が高齢化

経営者の平均引退年齢は60代後半から70代前半といわれており今後引退年齢に差し掛かる経営者が大勢いるとされています。しかし、事業承継の準備ができていないまま、引退年齢を迎える経営者も多いのが現状です。
 
事業承継には5年から10年かかるといわれているため、引退年齢を迎えるまでに準備を進めておく必要があります。
 
ところが、多くの経営者は日々の経営で精一杯で、事業承継の準備といっても何から始めればよいかわからない、誰に相談すればよいかわからないという課題に直面しています

③廃業を決めている

日本政策金融公庫総合研究所のインターネット調査によると、半数の経営者が廃業を予定していると答えています。
 
また、帝国データバンクのデータによれば、60代・70代の経営者でも半数以上が事業承継の準備ができてないという現状があります。
 
政府や地方自治体も、この現状を解決するためにさまざまな施策を打っています。しかし、まだ根本的な課題解決にまでは至っていないのが現状であり、さらに踏み込んだ施策による課題解決が必要な状況です。

事業承継の際に継承する要素

事業承継の際に継承する要素
 
事業承継によって承継する要素には、いくつかの種類があります。この章では、事業承継に必要な3つの要素について解説します。
 
【事業承継によって承継する要素】
  1. 経営権の承継 
  2. 資産の承継 
  3. 事業ノウハウなどの承継

①経営権の承継

経営権を承継するには、まず後継者の育成を行う必要があります。後継者の育成して経営権の承継を達成するためには、適切な後継者を選定したうえで後継者としっかり対話しながら、現経営者の価値観・想いを伝えていくことが重要になります。
 
同時に、専門家への相談や関係者への周知なども行いながら、後継者への権限委譲を進めていく必要があります。
 
これらの課題を解決していくには時間がかかるため、十分な準備期間が必要になります。しかし、後継者問題を抱えて経営権の承継が十分にできないまま、事業承継を終えるケースも少なくないのが現状です。

②資産の承継

事業承継では、後継者に対して株式や事業用資産といった資産を承継する必要があり、いかに確実に後継者に資産を渡すか、後継者の負担を減らすかが課題となります。
 
株式や事業用資産が相続によって複数の相続人に分散してしまうと、後継者による事業の継続に支障が出る可能性があります。そのため、現経営者は元気なうちに相続対策を打っておかなければなりません。
 
また、現経営者と会社の間にあるお金のつながりはしっかりと解決しておくことも、後々のトラブルなどを防ぐために必要な課題といえるでしょう。

③事業ノウハウなどの承継

事業承継で承継するのは、形のある資産だけではありません。経営理念・企業文化や取引先などとの人脈、会社の技術・ノウハウ、顧客情報など無形資産は多岐に渡ります。
 
これらの無形資産を確実に承継するには、さまざまな課題が生じます。特に、中小企業の2代目経営者は無形資産の重要性に気付かないまま経営者になってしまい、苦労するケースも少なくありません。
 
そのため、時間をかけていかに無形資産の重要性を感じ取ってもらえるかということも、事業承継の課題です。
 

事業継承の課題の解決方法とポイント

事業継承の課題の解決方法とポイント
 
ここからは、事業承継で生じる課題と解決方法を事業承継の種類ごとに解説します。
 
事業承継先 課題
親族に承継する 経営者としての資質に不安
株式承継の方法
株価対策
納税資金 
相続
従業員を含む、第三者に承継する 株式承継の方法 
後継者の資金不足 
個人債務や担保の引き継ぎ
M&Aにより承継する M&A先を見つけること 
M&A先の選定 
売却・譲渡価格の算出

親族に承継する

親族に事業承継する場合、以下5つの課題を解決する必要があります。
 
【親族に事業承継する際の課題】
  1. 経営者としての資質に不安 
  2. 株式承継の方法 
  3. 株価対策 
  4. 納税資金 
  5. 相続

①経営者としての資質に不安

親族に事業承継する場合の課題に、経営者としての資質の問題があります。後継者候補である親族に、経営者としての資質が備わっているとは限りません。そのため、経営者としてどのように育成していくかが課題になります。
 
育成の仕方にはさまざまなものがあり、例えば社内で仕事を任せたり他社で実際に働かせて経験を積ませたり、経営塾や研修・セミナーに参加させたりする方法があります。
 
いずれの方法で育成するにしても時間はかかり、育成が完了しないまま事業承継に至るケースも少なくないのが現状です。そのため、現経営者は十分な時間的余裕を持って、後継者問題を解決する意識が必要です。

②株式承継の方法

株式の承継をどのように行うかということも、事業承継の重要な課題となります。後継者の負担を減らすためにも、さまざまな方法を駆使して株式承継の課題を解決しておかなければなりません。
 
株式承継の方法や活用できる制度には以下のようなものがあります。経営者が亡くなってからの事業承継は大変な苦労が伴うので、経営者が元気なうちに現状の課題を解決しておくことが大切です。
 
【株式承継の主な方法と活用できる制度】
  • 自社株式の生前贈与
  • 暦年贈与の非課税枠を活用し税負担を減らしながら贈与
  • 安定株主を導入して後継者の負担を減らす
  • 非上場株式等に係る相続税・贈与税の納税猶予制度活用

③株価対策

中小企業の場合、事業承継の際に株価が想像以上に高額になっていたことで、相続に大きな負担となることがあります。高騰した株価に関する課題解決には、主に以下の方法があります。
 
まずは株価の評価を適切に行い、株価と会社の現状を把握したうえで見合った課題解決方法を用いることが大切です。
 
【高騰した株価に関する課題解決方法】
  • 配当率を下げ特別配当を使って配当額を下げる
  • 役員退職金の支払い
  • 不良債権の活用
  • 生命保険の活用

④納税資金

後継者にとって、事業承継によって発生する税金の支払いをどうするかも大きな課題です。納税資金を確保するために、さまざまな国の制度を活用することができます。
 
経営承継円滑化法経営承継に関する資金融資制度」と「日本政策金融公庫法の特例」は、経営承継円滑化法で定められた条件を満たせば、低利率で融資が受けられる制度です。
 
また「中小企業信用保険法の特例」は、経営承継円滑化法で定められた条件を満たすことで、金融機関からの融資が受けやすくなる制度です。
 
これらの制度を上手に活用することで、事業承継の納税に関する課題に対処することができます。

⑤相続

親族間の事業承継では、相続に伴うさまざまな課題が生じ得るので、経営者が元気なうちにあらゆる対策を講じておくことが重要です。
 
経営者が準備できる事業承継の相続対策は、現状では以下の方法があります。まずは親族間で起こり得る課題を洗い出し、相続や事業承継の専門家とともに対策を打っておく必要があります。
 
【経営者が準備できる事業承継の相続対策】
  • 遺言しっかり作成し親族トラブルを防ぐ
  • 後継者以外には事業用資産以外を相続
  • 信託契約の活用による遺留分減殺請求対策

従業員を含む、第三者に承継する

従業員などの第三者に事業承継する場合は、以下の課題を解決する必要があります。
 
【従業員を含む第三者に事業承継する場合の主な課題】
  1. 株式承継の方法 
  2. 後継者の資金不足 
  3. 個人債務や担保の引き継ぎ

①株式承継の方法

従業員などの第三者へ株式の承継を行う際は、親族への事業承継と同じく株式の分散を防ぐことが課題のひとつです。
 
具体的には、株主に対して株式の売渡請求ができるように定款を変更しておく、後継者以外の株主が保有する株式を無議決権化しておくなどの課題解決方法があります。
 
また、名義株の現状を把握しておくことも重要です。税務調査で名義株の問題が指摘されると、追徴課税が発生する場合があります。

②後継者の資金不足

従業員などの第三者が個人である場合、事業承継の資金を確保することは簡単ではありません。何も対処しないと後継者問題につながりかねないため、会社側がどのようにサポートするかが課題になります。
 
【資金に関する課題解決方法】
  • 経営承継円滑化法による金融支援を活用
  • 金融機関と粘り強く交渉
  • できるだけ債務を圧縮しておく
  • 負担に見合った報酬を後継者に確保しておく

③個人債務や担保の引き継ぎ

会社の債務を個人保証している場合は、金融機関との話し合いに注意が必要です。
 
国が作成した「経営者保証に関するガイドライン」によって以前よりも個人保証の解除に応じてもらいやすくなってはいますが、解除してもらえないケースも少なくないという現状もあります。
 
個人保証や担保の引き継ぎに関する課題解決方法としては、金融機関と時間をかけて粘り強く交渉したり、現経営者と後継者でよく話し合っておくなどの対策が必要です。
 
また、経営者が自社に資金を貸し付けている場合は、相続財産として課税対象になるので対策が必要です。
 
不動産などの事業用資産を担保にしている場合、複数の相続人に資産が分散し事業に支障が出る可能性あります。

M&Aにより承継する

M&Aであれば、親族に後継者がいない場合などの後継者問題解決を図ることができますが、M&Aにより事業承継する場合も解決しておかなければならない課題があります。
 
【事業承継する場合の主な課題】
  1. M&A先を見つけること 
  2. M&A先の選定 
  3. 売却・譲渡価格の算出

①M&A先を見つけること

M&Aによる事業承継では、まずM&A先をみつけなければならないという課題があります。M&Aによいイメージを抱いていない中小企業経営者が多かった時期もありましたが、現状では中小企業経営者のイメージは大きく改善されています。
 
M&A先を探す方法はいくつかありますが、自社に合ったM&A先を見つけるにはネットワークの豊富さが重要です。
 
【M&A先を探す方法】
  • 取引先・知り合いの経営者などに声をかける
  • M&Aマッチングサイトを活用する
  • M&Aの専門家に探してもらう
経営者が個人的にM&A先を探すには、ネットワークの幅と情報漏洩リスクが課題となるため、現状ではM&A先を探す際は専門家に相談するケースがほとんどです。

②M&A先の選定

M&A先の選定は、一般的に以下のような流れで進められます。
 
【M&Aを選定する流れ】
  1. M&A専門家への相談
  2. 企業概要書の作成などM&Aの準備
  3. ロングリストの作成
  4. ロングリストからショートリストの作成
  5. M&A先への打診
  6. M&A先とのトップ面談
トップ面談が成立したら、M&Aの契約手続きに入っていきます。最適なM&A相手に自社を魅力的にアピールできるかが課題となります。
 
しかし、最適な相手と意気投合し契約手続きまで進めるかどうかは、専門家の手腕も大きく影響するのが現状です。そのため、自社に合った専門家を選べるかどうかも課題といえるでしょう。

③売却・譲渡価格の算出

売却・譲渡価格は、算出方法やM&A先との交渉によって価格が変わります。売り手にとってはいかに高く売るかが課題となり、買い手にとってはいかに安く買うかが課題となります。
 
そのため、まずは売却・譲渡価格のベースとなる企業価値評価を的確に行うことと、交渉力の高い専門家に相談することが必要です。
 

事業承継に直面した経営者の声

事業承継に直面した経営者の声
 
この章では、事業承継の際に以下7つの課題に直面した経営者の声を、それぞれの事例とともに紹介します。
  1. 事業承継までの時間はどれくらい必要なのか
  2. 相談しても解決するとは思えなかったので廃業を決めた 
  3. 事業に将来性を感じていないので悩んでいる 
  4. 長年いる従業員にどう説明するか 
  5. 子供や親族がいないので悩んでいる 
  6. 事業承継に掛かる税金に不安がある 
  7. 株式が分散しているので面倒
 
事例 現状と課題・解決方法
①電気工事会社を経営するAさんの事例 課題:準備が十分にできないまま事業承継を行うことになる中小企業が多い
解決方法:できる限り早めに後継者問題の対策に取り掛かる
②税理士事務所を営んでいるEさんの事例 課題:専門家に後継者問題の相談をしないまま廃業する中小企業
解決方法:専門家に後継者問題について気軽に無料相談してみることで思わぬ成果が得られることもある
③調剤薬局を経営するIさんの事例 課題:事業の将来性に不安を感じ、子どもや従業員への事業承継に悩むケース
解決方法:第三者への事業承継を選択するなど、他の選択肢も視野に入れる
④工務店を経営するKさんの事例 課題:事業承継をきっかけに従業員のモチベーションが下がってしまう
解決方法:従業員が事業承継をきっかけに離職しないようフォローが必要
⑤スーパーマーケットを経営するMさんの事例 課題:事業承継できる親族がいないなどの後継者問題を抱えている
解決方法:中小企業のM&Aによる事業承継を専門に扱っている仲介会社などに相談してみる
⑥測量機器メーカーを経営するGさんの事例 課題:事業承継の税負担が心配で事業承継に踏み切れない
解決方法:事業承継に係る各種制度をフル活用することで後継者の負担を減らす
⑦小売店を複数店舗経営しているYさんの事例 課題:株式や事業用資産が分散し事業に支障が出る
解決方法:安定株主の導入や遺言書の作成、種類株式の発行、信託の活用、定款の変更、所在不明株主の整理などの対策を実施する

①事業承継までの時間はどれくらい必要なのか?

事業承継の課題に直面した経営者の事例1件目は、電気工事会社を経営するAさんの事例です。
 
創業50年の電気工事会社を経営するAさんは、長男を後継者として育成することとしました。長男は関連業界の大手企業で経験を積んだ後、Aさんの会社に戻りさまざまな部門で経験を積み重ねています。
 
また、Aさんは長男に経営者としての経験を積ませる一方で、生前贈与も計画的に進め、社内の親族などにも長男を後継者として認めさせるなど、計画的に事業承継の準備を進めています。
 
事業承継の準備にどれくらいの期間が必要となるかは、多忙な経営者にとって難しい課題であり、準備が十分にできないまま事業承継を行うことになる中小企業も多のが現状です。
 
後継者の育成には5年から10年必要といわれています。その期間には後継者としての能力を身につける時間だけでなく、後継者が経営者としての覚悟を決める時間や、従業員や取引先などとの関係作る時間なども含まれます。
 
経営者が亡くなってから事業承継を行うのはなく、できる限り早めに準備に取り掛かっておく必要があります。

②相談しても解決するとは思えなかったので廃業を決めた

事業承継の課題に直面した経営者の事例2件目は、税理士事務所を営んでいるEさんの事例です。
 
税理士事務所所長のEさんは、これまで事業承継の準備をすることなく事務所運営を行ってきました。
 
Eさんの事務所は個人事務所で、Eさん以外に有資格者はいません。また、3人いる子どもはそれぞれ違う仕事をしており、事務所を継ぐ意思はないという現状です。
 
Eさんは税理士仲間から公的機関への相談を勧められたこともありましたが、相談しても解決すると思えず相談はしませんでした。結果的にEさんは顧問先を知り合いの税理士事務所に紹介するなどして廃業しています。
 
専門家に相談しないまま廃業するケースは少なくありません。特に、小規模の中小企業や個人事業主が廃業を選ぶ割合は高くなっています。
 
事業承継の相談をせずに廃業する中小企業のなかには、どうせ相手がみつからないだろう・売れないだろう・手続きが面倒など、諦めて廃業するケースもみられます。
 
無料相談などを利用して売却の可能性を専門家に相談してみることで、思わぬ可能性が見出せることもあるので、まずは専門家を頼ることも大切です。

③事業に将来性を感じていないので悩んでいる

事業承継の課題に直面した経営者の事例3件目は、調剤薬局を経営するIさんの事例です。
 
Iさんには大手調剤薬局で働いている薬剤師の長男がおり、Iさんの調剤薬局を継ぐ意思もあります。
 
しかし、調剤薬局業界は国の方針により、かかりつけ薬局化や地域での連携など大きな変化が続き、将来に不安を感じている小規模調剤薬局が多いという現状があります。
 
また、大手調剤薬局や大手ドラッグストアによる再編も進んでおり、小規模の調剤薬局には厳しい状況が続いているため、Iさんは長男に事業承継を行うべきか悩んでいる状態です。
 
Iさんの事例のように、事業の将来性に不安を感じ、子どもや従業員への事業承継を悩むケースは少なくありません。
 
また、子どもに事業承継はしたものの、心配のあまり経営から退いた後も経営に口出ししすぎて失敗するケースなどもあります。
 
身内への事業承継が不安であれば、専門家に相談して第三者への事業承継を選択するなど、ほかの選択肢を考える余裕も必要です。

④長年いる従業員にどう説明するか

事業承継の課題に直面した経営者の事例4件目は、工務店を経営するKさんの事例です。
 
Kさんは、長男を後継者候補として社内で経験を積み重ねてもらっていたものの、長男は他社員との関係がうまくいかず、突然会社を辞めてしまい県外で就職・結婚していました。
 
Kさんはさまざまな機関に相談した結果、第三者への事業承継を決め、第三者承継の準備を進め買い手も決まりました。
 
しかし、従業員への説明のタイミングや説明の仕方があまりよくなかったことや、もともとKさんへの信頼感で働いていた従業員がほとんどだったことから、従業員から不満が噴出します。
 
時間をかけて説明を続けたり、買い手企業が誠実にコミュニケーションをとってくれたことにより従業員の不満を解消することはできましたが、買い手企業は事業承継後、Kさんのやり方が染み付いた従業員の適応に苦労している現状です
 
事業承継で丁寧な対処が必要となるのは、従業員への対応です。従業員に対しては、事業承継をきっかけに離職しないようフォローが必要です。
 
特に、経営者が強いリーダーシップを持ってやってきた会社は、事業承継をきっかけに従業員が離職してしまう可能性があるため、従業員のモチベーション管理は事業承継において重要な課題です。

⑤子供や親族がいないので悩んでいる

事業承継の課題に直面した経営者の事例5件目は、スーパーマーケットを経営するMさんの事例です。
 
Mさんは大学時代の友人と会社を立ち上げ、親族を会社に入れることなくスーパーマーケット事業を続けてきました。また、Mさんの子どもは海外で働いており、日本に戻ってくる予定はありません。
 
そのため、現状事業を継がせられる親族はいない状況です。しかし、ある時Mさんは病気を機に事業承継を考えなければならなくなり、悩んだ末に部長のOさんに承継を決めます。
 
しかし、数字には強いOさんですが、もともと営業や人を使ったりすることには弱く、MさんもOさんに対して経営者としての教育を施してきませんでした。
 
その結果、Oさんは経営者としての自覚を育てる間もなく経営を任され社内は混乱し、さまざまな課題を残したままの事業承継となりました。
 
事例のように、事業承継をするのであれば親族または従業員と考えている中小企業経営者は現状多くいます。
 
しかし、今は以前よりも中小企業の第三者事業承継がしやすくなっています。さまざまな相談先も増えているので、まずは相談してみるのも課題解決に有効です。

⑥事業承継に掛かる税金に不安がある

事業承継の課題に直面した経営者の事例6件目は、測量機器メーカーを経営するGさんの事例です。
 
Gさんの会社では早々に長男を後継者に指名し、準備を進めることにしました。しかし、専門家に相続税を試算してもらうとかなりの額になることがわかり、Gさんはさっそく対策を始めます。
 
まず、Gさんは早く長男に測量機器メーカーの経営を引き継ぎたいと考え、経営から退き退職金を支給しました。
 
そして翌年には、贈与税の納税猶予制度を活用して保有株式を一括で長男へ贈与し、万が一Gさんが亡くなっても相続税の納税猶予制度へと切り替えられるよう、適用要件を意識した事業承継を実施しています。
 
税金に関する課題解決を早めに図った結果、Gさんと長男は事業承継の税金支払いに苦労することなくスムーズに事業承継を完了させました。
 
事例のように、事業承継の税金は各種制度をうまく活用すれば、後継者の負担を軽減できます。制度をフル活用するためには、早めに専門家に相談するなどの準備が必要です。

⑦株式が分散しているので面倒

事業承継の課題に直面した経営者の事例7件目は、小売店を複数店舗経営しているYさんの事例です。
 
Yさんは会社を長男に事業承継する予定で計画を進めてきました。Yさんには次男もいますが、次男は過去に勝手な判断で会社に大きな損失を与えたため、経営には実質関われない状態になっていました。
 
しかし、Yさんの急逝により相続が発生し、Yさんが遺言書を作成していなかったため、遺産分割協議に発展してしまいます。
 
長男はすべての事業用資産を相続することを希望しましたが、次男は法定相続割合通り分割することを主張します。結果的に株式や不動産は分散してしまい、会社の経営が混乱する事態となっています。
 
Yさんの事例のように、株式や事業用資産の分散に関する課題解決を図っておかないと、トラブルの原因になります。中小企業の事業承継は、経営者が元気なうちに対策を打っておく必要があります。
 
専門家に相談しながら、安定株主の導入や遺言書の作成、種類株式の発行、信託の活用、定款の変更、所在不明株主の整理など、必要に応じて計画的に進めておくことが大切です。
 

事業承継の際の相談先

事業承継の際の相談先
 
事業承継には、親族への事業承継・従業員など第三者への事業承継・M&Aによる事業承継があります。
 
近年は親族への事業承継が難しいケースが増え、代わりにM&Aによる事業承継が増加傾向にありますが、M&Aによる事業承継を成功させるには、専門家によるサポートが欠かせません。
 
M&A総合研究所では、M&A専門の会計士や弁護士によるサポートとAI技術を活用した高精度のマッチングにより、短期間でのスピード成約と希望価格以上での会社売却を実現しています
 
また、M&A総合研究所では事業承継が完了するまで手数料が発生しない、完全成功報酬制を採用しています。
 
無料相談は随時お受けしており、オンライン無料相談も実施しております。事業承継でお悩みの際は、M&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
 

まとめ 

まとめ
 
本記事では、中小企業における事業承継の現状と課題について解説しました。事業承継をスムーズに終えるためには、解決すべき課題にはどのようなものかを把握したうえで、計画的に準備を進めておくことが大切です。
 
また、M&Aによる事業承継を考えている場合は、ネットワークの豊富さが成功のカギともなるため、M&A仲介会社などの専門家に相談しながら進めていくことをおすすめします。
 
 
【中小企業の事業承継における課題】
  1. 後継者がいない 
  2. 経営者が高齢化 
  3. 廃業を決めている
【事業承継で承継する要素】
  1. 経営権の承継 
  2. 資産の承継 
  3. 事業ノウハウなどの承継
 
【親族に事業承継する際に解決すべき主な課題】
  1. 経営者としての資質があるか 
  2. 株式承継の方法 
  3. 株価対策 
  4. 納税資金 
  5. 相続
 
【従業員などの第三者に事業承継する際に解決すべき主な課題】
  1. 株式承継の方法 
  2. 後継者の資金不足 
  3. 個人債務や担保の引き継ぎ
 
【M&Aにより事業承継する場合に解決すべき主な課題】
  1. M&A先を見つけること 
  2. M&A先の選定 
  3. 売却・譲渡価格の算出