年間7万社、5割が黒字でも廃業!中小企業が事業承継する方法は?

年間7万社、5割が黒字でも廃業!中小企業が事業承継する方法は?

本記事では、中小企業が黒字経営でも廃業せざる得ない状況や事情、事業承継する方法とそれにより得られるメリットについて解説します。

廃業よりも事業承継を選択することで得られるメリットは多く、またM&Aを活用することで後継者がいない場合も事業を引き継ぐことができます。

年間7万社の中小企業の5割が、黒字経営でも廃業している理由

年間7万社の中小企業の5割が、黒字経営でも廃業している理由

中小企業庁が公開しているデータ「事業承継に関する現状と課題について」によると、黒字経営の中小企業の5割が2020年頃の廃業を予定しています。

黒字経営であるにもかかわらず、廃業を選択する理由はどのようなものがあるのでしょうか。この章では、中小企業の廃業事情や事業承継事情について解説します。

中小企業の廃業事情

赤字経営が原因で廃業するならやむを得ませんが、現状では多くの黒字経営企業が廃業の危機を迎えています。中小企業が廃業する主な理由には、以下の3つが挙げられます。

【廃業予定企業の廃業理由】

  • 当初から自分の代でやめようと思っていた・・・38.2%
  • 事業に将来性がない・・・27.9%
  • 後継者がいない・・・28.6%

廃業を検討する企業のなかには、黒字経営で業績を順調に伸ばしている企業も多く存在しており、実際に廃業予定である企業の4割が、今後10年間の現状維持について可能と答えています。

こうした企業にとって深刻なのは、後継者不足です。会社の存続を希望していても、後継者がいないことが原因で会社や事業の引き継ぎが行えず、廃業せざるを得ない状況になっています。

中小企業の事業承継事情

中小企業が次の世代に事業を引き継ぐためには、適切なタイミングで事業承継を行う必要があります。しかし、後継者問題の深刻化などにより、事業承継が進んでいない中小企業が増えています。

中小企業における事業承継の準備状況は、年代別にも大きな違いがみられます。40~80代の事業承継の準備状況は、以下のようになっています。

【経営者の年代別に見た事業承継の準備状況】

  準備済み これから準備予定 準備していない 事業承継を考えていない
40代 19.5% 7.3% 36.6% 36.6%
50代 33.3% 11.7% 30.0% 25.0%
60代 42.9% 29.9% 19.7% 7.5%
70代 49.5% 30.7% 15.2% 4.6%
80代 47.7% 32.3% 15.4% 4.6%

年齢を増すごとに準備状況に進捗がみられますが、経営者の引退適齢期を迎えている70代、80代でも50%以上は準備が終わっていない現状にあります。

中小企業の事業承継が進まない理由は「相談先がいない」ことです。周囲に相談できる役員・従業員がいないことで、経営者が一人で悩みを抱え込んでしまっているケースが多発しています。

中小企業の廃業阻止を目的に、政府主導の支援政策として「事業承継ネットワーク」や「事業引き継ぎ支援センター」などの公的機関が充実してきていますが、まだまだ認知されていないのが現状です。

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中小企業が廃業をしないための手段

中小企業が廃業をしないための手段

多くの中小企業が廃業を予定していますが、廃業を避けて会社を存続させるためには、どのような手段を取るべきなのでしょうか。この章では、中小企業が廃業をしないための手段を3つ紹介します。

【中小企業が廃業をしないための手段】

  1. 事業承継
  2. M&A
  3. 上場

事業承継

中小企業が廃業をしないための1つ目の手段は、事業承継です。事業承継は、会社の経営を後継者に引き継ぐことを指します。

事業承継で会社の経営を次世代に引き継ぐことができれば、会社を廃業する必要はなくなります。

また、経営者の高齢化によって落ちていた経営力を取り戻すことができるので、廃業回避と同時に会社全体の若返り効果に期待することもできます。

その一方で、事業承継は事前準備が大変であるというデメリットもあります。後継者候補の育成や引き継ぎ準備など、日常の業務と並行して行わなければならないため、経営者の大きな負担となることも少なくありません。

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M&A

中小企業が廃業をしないための2つ目の手段は、M&Aを活用することです。M&Aは、会社の売買を意味する言葉であり、会社の経営権を譲渡することで廃業を回避することができます。

会社の廃業回避目的で行われるM&Aは「M&Aによる事業承継」と呼ばれています。外部から後継者を探す方法になるため、後継者不在で事業承継が行えない企業にとっては、有効な廃業回避手段になります。

また、M&Aによる事業承継は廃業回避以外に事業規模の拡大などの新たな事業展開も期待できます。

事業承継先に経営資源を活用することができるので、資金やネットワークなどの問題で実行できなかった事業も、事業承継により挑戦することが可能になります。

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上場

中小企業が廃業をしないための3つ目の手段は、上場(株式公開)です。中小企業の株式は非公開株式とされており自由に売買することはできませんが、株式上場することで証券取引所で自由に売買することができるようになります。

上場すると、会社としての知名度や信用度は飛躍的に上がります。上場前と比較すると会社の価値も上がるうえ、後継者候補探しもスムーズに進みやすくなり、廃業を回避することができます。

しかし、上場のための審査基準というデメリットもあります。上場するためには「形式要件」と「実質審査基準」という厳しい基準が設けられています。

規模の小さい会社は審査が通らずに上場できないことも多いため、事業承継やM&Aと比較すると廃業回避手段としては活用しづらいといえるでしょう。

中小企業が事業承継する方法は?

中小企業が事業承継する方法は?

中小企業が廃業をしないための手段にはいくつかありますが、上場するというのは審査基準が厳しいため、事業承継が廃業を避けるために現実的な手段といえるでしょう。

事業承継は、引き継ぎ対象によって特徴・やり方が大きく異なります。この章では、中小企業が事業承継する3つの方法について解説します。

【中小企業が事業承継する方法】

  1. 親族内事業承継
  2. 親族外事業承継
  3. M&Aによる事業承継

1.親族内事業承継

親族内事業承継は、親族を後継者とする方法です。配偶者や子を後継者の対象とすることが多く、中小企業の事業承継においては、最も一般的な事業承継方法とされています。

特徴

親族内事業承継の特徴は、早期から後継者育成を進めておけることです。経営者としての能力育成や自覚の醸成を時間をかけて行えるため、余裕をもって会社の引き継ぎができるケースが多くなっています。

また、現経営者の親族ということで、社内や取引先から理解を得られやすい特徴もあります。事業を引き継いだ後の経営や事業展開においても、後継者の負担を軽くできるでしょう。

しかし、後継者候補の経営者としての資質や自覚が伴わないこともあります。その場合は事業承継できたとしても、その後の事業が上手くいかなくなる可能性もあるので、親族内事業承継の際は後継者の見極めが重要です。

やり方

親族内事業承継は、早期から後継者候補の育成を進めておくことが大切です。親族から後継者候補を選び、実務経験を通して、経営の知識・ノウハウを学ばせるようにしましょう。

中小企業においては、役員に専任して経験を積ませる方法が多いです。社内の役員・従業員との顔通しも同時に行えるので、事業承継で訪れる変化にも対応しやすくなります。

後継者の育成が終わり、事業承継のタイミングを迎えたら、後継者が入れ替わることを社内や取引先に対して周知します。

 

個人保証・担保がある場合は、金融機関への通知も行い、引き継ぎに関して承諾を得ておく必要があります。

2.親族外事業承継

親族外事業承継は、親族以外を後継者とする方法です。社内の役員や従業員を対象とすることが多く、親族に後継者候補がいない場合に利用されることが多くなっています。

特徴

親族外事業承継の特徴は、経営理念を引き継ぎやすいことです。会社の役員・従業員は、社内に精通しているので急激な経営方針の転換などが行われにくく、会社として一貫性が保たれやすくなります。

事業承継前から仕事における実績が明確化されているので、後継者としての資質が見極めやすいメリットもあります。

また、社内から厚い支持を得ている人材であれば、スムーズな事業承継により、引き継ぎ後の経営も安定することが期待できます。

一方で、後継者候補の資力面がハードルになることもあります。親族外事業承継は有償譲渡が一般的のため、後継者候補に株式を買取るだけの資力がなければ事業承継できません。後継者候補の資金調達期間を設けるためにも、早期からの準備が必要不可欠です。

やり方

親族外事業承継は、会社や経営者の現状把握から始めます。事業承継で引き継ぐことになる資産・負債・株式状況などの整理や、経営者個人の健康状態の確認を通して事業承継の期限を見極めておかなくてはなりません。

事業承継の大まかなスケジュールが整ったら、後継者候補を選定します。社内の役員・従業員から適性のある人材を複数人を選び、後継者育成を開始します。

最初から一人に決めることもあるようですが、適度な競争環境を促すためには複数人選定しておくほうがよいでしょう。

後継者が決まったら、株式の引き渡しと対価の支払いを行い、会社の経営や業務の引き継ぎを行います。

後継者に資力がない場合は無償譲渡することもありますが、その際は贈与税が課せらるため注意が必要です。

3.M&Aによる事業承継

M&Aによる事業承継は、M&Aを活用して後継者・買い手を探す方法です。近年は親族や社内に後継者候補がいない中小企業が増えており、M&Aによる事業承継が行われる比率が高まっています。

特徴

M&Aによる事業承継の特徴は、経営者としての適性が高い後継者に事業を引き継ぎできることです。

親族内や親族外事業承継と比較すると、広範囲から後継者を選定することになるため、優秀な人材に引き継ぎして廃業を避けることができます。

また、売却益を獲得できるというメリットもあります。M&Aによる事業承継で名乗りを上げる買い手は資金力が豊富な企業ばかりなので、会社の価値に応じた金額の支払いを受けることができます。

ただし、事業承継先をみつけにくいという問題があります。経営者や一企業が保有するネットワークだと広範囲から探すことは難しいため、選定だけで長い期間をかけてしまい先に廃業を迎えてしまうこともあります。

やり方

M&Aによる事業承継は、M&A仲介会社に相談することから始めます。事業承継先の選定・交渉などの手続きを行うことになるため、M&Aに関する専門的な知識が必要になります。

後継者候補探しには、M&A仲介会社が独自に保有するネットワークを使用します。仲介会社が日常的に行っているM&A仲介サポートで培われたネットワークなので、事業承継の後継者探しにも有効活用することができます。

後継者候補がみつかったら、トップ面談・基本合意・デューデリジェンスなどを経て、最終契約書の締結へと進みます。

最終契約書の締結が行われたら、会社の引き渡しと対価の支払いを受けて、M&Aによる事業承継が完了します。

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中小企業が廃業を選ぶより事業承継をすべき理由

中小企業が廃業を選ぶより事業承継をすべき理由

この章では、中小企業が廃業を選ぶより事業承継をすべき理由を解説します。多くの中小企業が廃業を予定していますが、廃業よりも事業承継を選択したほうが多くのメリットが得られます。

【中小企業が廃業を選ぶより事業承継をすべき理由】

  1. 廃業のリスクがなくなる
  2. 会社が存続できる
  3. 従業員の雇用が守られる
  4. 取引先・顧客の信用を失わない
  5. 売却益・譲渡益を獲得できる

廃業のリスクがなくなる

廃業よりも事業承継をすべき1つ目の理由は、廃業リスクがなくなることです。事業承継で現経営者よりも若い後継者に引き継ぎすることで、会社の経営力の回復を期待することができます。

事業承継の方法を選んでいない経営者の方のなかには、既に廃業の覚悟を決めている方も多いです。

しかし、高齢化による経営力の低下で会社全体が悲観的になっていても、事業承継で会社全体が若返ることで廃業危機を回避することができます。

会社が存続できる

廃業よりも事業承継をすべき2つ目の理由は、会社を存続できることです。事業承継ならば会社の経営を若い世代に引き継ぐことができるので、会社を廃業する心配はなくなります。

また、経営者が入れ替わることで、会社の体制を改革させることもできます。例えば、IT技術を取り入れることによる業務効率化などが挙げられます。近年はIT分野の発達が目覚ましいため、さまざまな業種でIoTやAIの導入が進んでいます。

事業承継自体は会社や事業の引き継ぎですが、経営者の入れ替わりをきっかけにすることで、会社の存続と同時に会社の業績を向上させる機会として捉えることもできます。

従業員の雇用が守られる

廃業よりも事業承継をすべき3つ目の理由は、従業員の雇用を守れることです。廃業を検討する理由はやむを得ないものが多いですが、経営者としては会社に尽くしてくれた従業員に対して報いたいという想いがあるでしょう。

事業承継であれば会社を存続させることができるので、従業員を解雇する必要はなくなります。これまで通りの環境で働くことができるので、従業員やその家族の暮らしが失われることもありません。

また、M&Aによる事業承継でも従業員の雇用は守られます。M&Aの買い手は人材獲得を目的とすることが多いので、会社の経営と一緒に従業員を引き継ぎすることが一般的です。雇用条件についても継続されることが多くなっています。

取引先・顧客の信用を失わない

廃業よりも事業承継をすべき4つ目の理由は、取引先・顧客の信用を守れることです。中小企業の廃業は、廃業予定の会社だけの問題ではなく、取引先や顧客に対しても大きな影響を及ぼします。

例えば、製造業のサプライチェーンの場合は調達・製造・販売・消費などの工程に分けられますが、いずれかを担う会社が突然廃業したら全体の工程に支障が出てしまいます。

会社の廃業は取引先・顧客からの信用を失うだけでなく、多大な迷惑を掛けてしまうことになるので、可能な限り廃業ではなく存続の道を選びたいものです。

売却益・譲渡益を獲得できる

廃業よりも事業承継をすべき5つ目の理由は、売却益・譲渡益を獲得できることです。M&Aによる事業承継の場合、有償譲渡が一般的なので、会社や事業の価値に応じた売却益・譲渡益を獲得できます。

獲得した売却益・譲渡益は、生活資金や事業資金として自由に使うことができます。会社の規模次第では、経営者の老後資金をまかなうことも不可能ではありません。

また、会社を現金化できると相続人への公平な分配も容易になります。親族間の相続トラブルも招きにくいので、M&Aによる事業承継はひとつの事業承継の在り方として定着してきています。

中小企業による事業承継の相談先

中小企業による事業承継の相談先

多くの中小企業の事業承継が進まずに廃業危機を迎えているのが現状です。事業承継事情は会社によって異なりますが、適切な対策を取らなければ最終的に廃業になる可能性が高くなります。

中小企業の事業承継でお悩みの際は、M&A総合研究所にご相談ください。M&A・事業承継の経験豊富なアドバイザー・会計士・弁護士の3名が、事業承継完了まで責任をもってサポートいたします。

後継者候補がいない場合も、M&A仲介サポートで培ったネットワークを活用することで、後継者候補を探し出し、会社の廃業回避と事業引き継ぎを徹底的にサポートいたします。

料金体系は完全成功報酬を採用しています。着手金や中間金がかからないタイプなので、事業承継やM&A成約という確かな成果が得られなければ、手数料をご請求することはありません。

事業承継に関する無料相談は24時間お受けしています。事業承継や廃業に関するお悩みを抱えている際は、M&A総合研究所までお気軽にご連絡ください。

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まとめ

まとめ

本記事では、中小企業の廃業事業や事業承継の方法を解説しました。中小企業では特に後継者問題が深刻化しており、事業承継が進められずに廃業危機を迎えている現状があります。

後継者不在の中小企業は、M&Aによる事業承継を活用することで廃業を避けて会社を存続させることができます。

専門家の知識が必要不可欠ですが、従業員の雇用や取引先・顧客の信用を守れるので、活用したい手段といえるでしょう。

【中小企業が廃業している理由まとめ】

  • 後継者不足で事業承継できずに廃業している
  • 事業承継の準備が進んでいる企業は50%以下

【中小企業が廃業をしないための手段】

  1. 事業承継
  2. M&A
  3. 上場

【中小企業が事業承継する方法】

  1. 親族内事業承継
  2. 親族外事業承継
  3. M&Aによる事業承継

【中小企業が廃業を選ぶより事業承継をすべき理由】

  1. 廃業のリスクがなくなる
  2. 会社が存続できる
  3. 従業員の雇用が守られる
  4. 取引先・顧客の信用を失わない
  5. 売却益・譲渡益を獲得できる