
「休眠会社を再開させるにはどうすれば良いのだろう・・?」と、お悩みではないでしょうか。
休眠会社を再開させることにはさまざまなメリットがあります。
実は、新規に会社を立ち上げるよりも休眠会社を再開させたほうが良いこともあるのです。
そこで今回は、休眠会社とはどのようなものかから、再開の手続きや注意点もご紹介していきます。
休眠会社の再開のポイントを理解して、会社経営をもう一度行いましょう。
目次
1.休眠会社とは?

休眠会社とは、事業を行っておらず会社の存在だけが残っている状態のことです。
休眠会社は登記されているものの、長期間経営されていない状態で、具体的には最後の登記から12年経過すると休眠会社として扱われます。
会社を休眠させたい場合、税金を管轄している行政機関へ『異動届出書』を提出します。
- 異動届出書(国税庁ホームページよりダウンロード可)
『異動届出書』に休眠(休業)する旨を記載して提出すれば休眠会社とすることが可能です。
「休眠会社を再開する」とは休業中の会社を復活して再稼働させることを指します。
休眠と廃業の違いとは
ところで、休眠と廃業を同じ意味と捉えている人がいますが、明確な違いがあります。
休眠と廃業の違いは、会社が今後も存続するかどうかという点です。
一度会社を廃業させると、会社は消滅することになります。
廃業させたい場合には、会社の解散登記を行った上で清算手続きを行います。
一方、休眠会社にしても会社は消滅しません。
会社を存続させつつ事業活動を停止していることを『休眠会社』と呼ぶのです。
【参考】
休眠会社の概要→『休眠会社を徹底解説!廃業よりも会社の存続を選択しよう!』
廃業の概要→『廃業とは?手続きや実行する前に行うべき3ステップまで徹底解説!』
では、休眠会社をまた始める理由はなぜなのかについても知っておきましょう。
2.休眠会社を再開させる3つのメリット

休眠会社をまた新たに始める理由は、以下3つのメリットがあるからです。
- 設立年度が古ければ信用が増す
- 事業に関する許認可を取り直さなくても良い
- 休眠前の赤字によって節税ができる
迷っているという人でも確認し、参考にしてみてください。
メリット1.設立年度が古ければ信用が増す
休眠会社を再開させるメリットの1つ目は、会社の設立年度が古ければ信用があると判断されやすいことです。
会社の信用度を判断する基準の1つに、会社の設立年数というものがあります。
起業してまだ年月が経っていないときは、なかなか信用を得るのは難しいです。
したがって、休眠会社を再開させることで設立年度の古い会社を経営することができます。
もちろん、休眠していたことは少し調べれば知られてしまうことが多いです。
取引先や金融機関に信用してもらうには、休眠について納得してもらえる説明をしましょう。
メリット2.事業に関する許認可を取り直さなくても良い
休眠会社を再開することによる大きなメリットとして挙げられるのが、事業に関する許認可を取り直さなくても良いというものです。
不動産会社や建築会社などの特定の業種では、会社経営をするにあたって許認可が必要になります。
許認可を取得するためにはさまざまな手間や費用がかかりますが、休眠会社を再開すれば許認可を引き続き使用することが可能です。
会社の許認可には資本金などの厳しい条件がある場合も多く、新しく起業するよりも休眠会社を再開させたほうがスムーズだとされています。
休眠会社と同じ業種をまた経営したいのなら、休眠会社を再開させたほうが良いでしょう。
メリット3.休眠前の赤字によって節税ができる
意外に見落としやすいメリットが以前までの赤字によって節税を狙えるということです。
これは『繰越欠損金』が大きく関係しています。
繰越欠損金があるのなら、翌期以降に出した黒字によって赤字を解消できるのです。
ただし、このメリットには条件があります。
それが、会社を休眠している状態であっても青色申告を続けていることです。
もし、満たしていなければ使えない方法ですから、ぜひ確認してみてください。
では、ここからは具体的に再開させるなら何をすべきかについてお話していきます。
3.休眠会社を再開させる手続き

休眠会社を再び始めるには以下の流れに沿って動き出してみてください。
- 各種届出の提出
- 過去の会計処理や確定申告の確認
- 役員変更登記の確認
- 会社継続登記の申請
- 定款の確認と修正
正しく行わなければ失敗してしまいますので、注意点も含めてみていきましょう。
手続き1.各種届出の提出
休眠会社を再開させたいのなら、各種届出を行いましょう。
休業したときに届け出た『異動届出書』を再度税金を管轄している行政機関へ提出します。
異動事項等の欄に『休眠解除』、異動年月日の欄に『解除する日付』を記載して出しましょう。
休眠をするときに行った手続きと同じ書類ですが、記載内容を間違えないように手続きをしてください。
手続き2.過去の会計処理や確定申告の確認
休眠会社の再開の際には、過去の会計処理や確定申告の確認をしなければなりません。
特に青色申告を行っていた場合には、青色申告が取り消されているかどうかを確認しましょう。
実は、青色申告は休眠会社になっていても2年連続で申告期限を守らなかった場合には取り消されます。
もしも青色申告が取り消されているのであれば税務署に、『青色申告の承認申請書』を休眠会社を再開する事業年度開始前までに出します。
1度でも出したことがあるのなら、見覚えがあるはずですからスムーズに進むでしょう。
青色申告が取り消されているのに承認申請書を出さない場合は、白色申告となってしまいます。
白色申告では、すでにご紹介した繰越欠損金のメリットが受けられないので注意してください。
ちなみに、過去に税金を滞納していた場合はできるだけすぐに納めるべきです。
過去に税金を滞納していたなら?
過去に税金を滞納していたなら、納めていない分の納税を行わなければなりません。
会社を休眠させていれば納税義務がないと勘違いする経営者も多いですが、そんなことはないのです。
休眠会社にも納税義務は存在しており、税金を納めていなければ金融機関からの信用を失ってしまいます。
信用を取り戻すには、早急な滞納分の支払いと、今後の適切な納税しかありません。
休眠会社を再開させる際には、過去の税金をすべて納めているのかも確認しましょう。
手続き3.役員変更登記の確認
もし、役員が任期を迎えたのであれば役員変更登記の確認が必要です。
通常、会社の役員の任期は2~5年程度です。
変更がないか、正しい時期に手続きをしたのかを確認してみてください。
もし、正常に手続きしていなければ会社の代表者に100万円の過料が発生する可能性があります。
万が一、役員変更登記ができていなければ再開させると同時に役員変更登記を行いましょう。
役員変更登記はこちら→『商業・法人登記の申請書様式:法務局』
手続き4.会社継続登記の申請
続いて、会社継続登記を法務局に出し休眠会社を再開させましょう。
動き出してから2週間以内に手続きを進めてください。
また、費用がかかりますので以下の準備をしておくと良いでしょう。
- 資本金額1億円以下・・・4万円
- 資本金額1億円超え・・・6万円
さらに、以下の書類も申請時に必要なため、用意しておく必要があります。
- 定款
- 印鑑証明書
- 取締役の就任承諾を証する書面
- 取締役の本人確認証明書
- 株主総会議事録
- 株主の氏名または名称・住所および議決権数を証する株主リスト
就任承諾書に使用した印鑑には、印鑑証明書の添付も必要です。
抜け漏れがないよう法務局の窓口で相談することをおすすめします。
手続き5.定款の確認と修正
休眠会社を再開させるなら、最後に定款の確認と修正も行います。
定款の事項に変更がある場合、修正を行ってください。
以下の事項を変更するのであれば、登記を行わなければなりません。
- 商号
- 事業目的
- 本店地
- 公告の方法
- 発行可能株式総数
- 株式の譲渡制限に関する規定
これらの内容の変更があるなら、会社の本店地を管轄する法務局で手続きをしましょう。
変更の際には、申請1件で登録免許税として3万円がかかります。
手続きをするには商号や事業目的などの内容に応じた書類を、法務局のページである『商業・法人登記の申請書様式:法務局』でダウンロードしてください。
定款は会社の土台となる非常に重要なものです。
実態と異なる状態で経営を再開するとあとあとトラブルになりかねないので、しっかり確認しましょう。
やり直しに膨大な時間がかからないように、細かく確認しながら進めていくのがおすすめです。
また、休眠会社を再開させる際に気をつけるべきことが2つあるので確認しておきましょう。
4.休眠会社を再開させる際に気をつけるべき2つのこと

休眠会社で動き出そうと考えたときには以下2つの点には十分に注意してください。
- みなし解散していないかを最初に確認する
- 融資を受けるなら決算報告書と納税証明書が必要である
わかりやすくお話するので見ていきましょう。
注意点1.みなし解散していないかを最初に確認する
まず、みなし解散していないかを確認しましょう。
みなし解散とは、法務局によって「今後再開されないだろう」と判断された休眠会社を整理することです。
以下のような期間に登記されていない場合、みなし解散の対象となります。
- 株式会社・・・休眠手続きから12年間
- 一般社団法人/一般社団法人・・・休眠手続きから5年間
みなし解散の対象になれば、法務大臣が官報で公告する決まりとなっています。
この場合、法務局から公告されたことを知らせるための書類が会社の住所に届きます。
もし、公告に対して「まだ解散しない」といった届出をしていないのであればそのまま解散扱いとなってしまうのです。
みなし解散された場合の再開方法
もし、みなし解散されていても休眠会社を再開させることはできます。
しかし、3年以内に会社継続の決議をしなければならないといった決まりがあるので注意しましょう。
3年を超えてしまうと、会社継続の決議を行うことはできません。
会社継続の決議をする要件は以下のように定められています。
- 株式会社・・・・株主総会の特別決議
- 一般社団法人・・・社員総会の特別決議
- 一般財団法人・・・評議員会の特別決議
もし、3年以内に会社継続の決議をしなければ会社継続をすることはできません。
この場合、清算手続きを行うことになります。
今すぐ再開するつもりはなくても、みなし解散がされる時期を考え継続できるように気をつけましょう。
注意点2.融資を受けるなら決算報告書と納税証明書が必要である
休眠会社を再開させて融資を受けるなら、決算報告書と納税証明書が必要なことにも注意しなければなりません。
休眠会社は経営をしていないので、売上も利益もないはずです。
したがって、決算報告書を出していないとしても特に問題があるわけではないと言えます。
しかし、実際のルール上は休眠会社であっても毎年の決算報告が必要です。
融資を受ける際には決算報告書が求められるので気をつけてください。
また、融資の際には決算報告書だけではなく、納税証明書も出さなければなりません。
利益が出ていない休眠会社でも、法人として地方税は納めることが義務です。
もしも納税していなければ、延滞状態になってしまいます。
休眠会社を再開させて融資を受けたいのであれば、決算報告と納税を欠かさずに行っているかを確認しましょう。
何かわからないことがあるなら、司法書士に相談するべきです。
5.休眠会社を再開するなら司法書士に相談しよう

休眠会社を再開させるときは、登記のプロである司法書士に相談しましょう。
会社の休眠手続きや再開手続きはもちろん、称号変更登記や目的変更登記などを代理で行ってもらえます。
というのも、司法書士は法務局における手続きにおける専門家だからです。
しかし、司法書士と言ってもさまざまな分野で活躍している司法書士がいます。
そのため、休眠会社の取り扱いを行っている法人関連を得意とする司法書士を選んで相談しましょう。
初回の相談なら無料で行う司法書士も多いので、気軽に相談へ行ってみましょう。
5−1.会計処理については公認会計士が良い
休眠会社の再開の中でも、会計処理についてだけ聞きたい場合は公認会計士が最適です。
公認会計士は損益計算書や貸借対照表などの財務諸表をチェックするプロだとされています。
財務諸表を確認し、それが適正かどうかを判断してもらえるのです。
休眠中の会社の会計状況について相談したいなら、公認会計士のところに行きましょう。
ちなみに、休眠会社を再開させてからM&Aで売却したいなら、『M&A総合研究所』へ気軽にご相談いただければ丁寧にアドバイスさせていただけます。
なぜそこまで言い切れるのか。次の項目でお伝えいたします。
6.休眠会社を再開させてM&Aを行うなら『M&A総合研究所』へ!

(引用:M&A・事業承継のマッチングプラットフォームならM&A総合研究所)
休眠会社を再開させる時にお困りなら『M&A総合研究所』へ気軽にご相談ください。
休眠会社を再開させたいけれど売りたくなった場合も対応させていただきます。
もちろん、登録料などすべての費用が無料となっておりますので安心していただけるはずです。
また、成果報酬制で専属の担当者がつくプランもあり、こちらは引き継ぎ成功まで徹底的にサポートいたしますので、途中からでも変更可能です。
企業名 | M&A総合研究所 |
URL | https://masouken.com/ |
各種手数料 | 無料(一部有料プランあり) |
休眠会社を再開させるべきなのか、売却をするべきなのかをお悩みの場合も、一度相談してください。
もしも売却した場合にはどれくらいの金額になりそうなのかを知って、納得のいく決断をしましょう。
まとめ
休眠会社を再開させれば、スムーズに事業が始められる場合があります。
ただし、休眠会社を再開させるためには、正しい手続きを行わなければなりません。
休眠会社を再開させる際に何か疑問や不安が出てきたら、司法書士のもとに相談に行きましょう。
もしも再開させた会社をM&Aで売却したくなったのなら、『M&A総合研究所』へお気軽にお声掛けください。