廃業した後の確定申告は必要?廃業届を出すタイミングや手続きも解説

廃業した後の確定申告は必要?廃業届を出すタイミングや手続きも解説
廃業した後に確定申告をしたほうがよいのか、必要ならばどのようなタイミングで確定申告をすべきなのかと、悩む個人事業主の方も少なくないでしょう。
 
本記事では、個人事業主の確定申告や個人事業主が廃業届を出すタイミング、廃業の際に必要な手続き、廃業の際に注意するポイントなどについて解説します。

廃業した後の確定申告は必要か? 

廃業した後の確定申告は必要か? 
 
廃業した後、確定申告をした方がよいかどうか迷う個人事業主は多いですが、確定申告が必要となるかどうかは廃業時の状況によって変わります
 
簡単にいえば、1円でも税額が出ているのであれば、確定申告が必要になります。しかし、控除・損益通算なども影響するため、確定申告が必要かどうかの判断には注意しなければなりません。
 
【個人事業主が廃業に至る主な理由】
  • 思うように利益が出なかった・資金が尽きた
  • 法人成りすることになった
  • モチベーションがなくなった
  • 健康・家族問題
  • 事業承継による廃業
 
業績不振で廃業を選択する会社が多いように、計画通りに利益が上がらなかったり、事業資金が底を付いたことで廃業せざるを得なくなるケースは少なくありません多くあります。逆に、事業が順調に育って法人成りするケースもあります。
 
個人事業主の廃業理由で多いのが、モチベーションの消滅や健康・家族問題などの個人的問題です。
 
廃業までは至っていないものの、ほとんど事業を営んでいない状態になったり、休業の形をとったまま復帰しなかったりするケースも多く見られます。
 
また、近年増え始めているのが、個人事業主による第三者への事業承継です。個人事業主の事業承継では経営者側が廃業申請を行い、後継者側があらためて開業手続きを行わなければなりません。
 
これらの理由のうち、法人成りや事業承継の場合は専門家がサポートしたりさまざまな情報が入ってきたりするので、廃業手続きや確定申告もスムーズに行われるケースが大半です。
 
しかし、そのほかの理由で廃業する場合は、廃業手続きや確定申告を放置する個人事業主も少なくありません。

廃業届を出すタイミングとは

廃業届を出すタイミングとは
 
確定申告は、廃業する事業年度までの分を申告します。中途半端な時期に確定申告を行うと、確定申告の手間が増えることになるので、なるべく確定申告の手間を省きたいのであれば、年末に確定申告を行ったほうがよいでしょう。
 
また、廃業の際は「事業を廃止した場合の必要経費の特例」を利用することができますが、本制度を効果的に活用するには年末の廃業が適しているでしょう。というのは、所得税の課税対象期間は1月1日から始まるためです。
 
しかし、経費として計上した項目が「事業を廃止した場合の必要経費の特例」に当てはまるかどうかは、個人では判断が難しいものです。
 
あらかじめ税務署に問い合わせたり、税理士に相談したりするなどの準備をしておくほうがよいでしょう。
 

廃業届を出す際の手続きとは

廃業届を出す際の手続きとは
 
個人事業主が廃業する際は、以下5つの手続きが必要になります。ここでは、廃業や確定申告を止めるの際の書類や期限、提出が必要となる条件をみていきましょう。
  • 廃業届の手続き
  • 確定申告に関する手続き
  • 給与支払事務所等の開設・移転・廃止に関する手続き
  • 予定納税者が行うべき手続き
  • 消費税に関しての手続き
 
個人事業主の開業・廃業等届出書
・提出期限:廃業した日から1カ月以内
・提出先:所轄の税務署と各都道府県の税事務所へ届出
・提出の条件:廃業する個人事業主
 
青色申告の取りやめ届出書
・提出期限:廃業した翌年の3月15日
・提出先:所轄の税務署
・提出の条件:青色申告の個人事業主
 
所得税等の減額申請書
・提出期限:廃業した年の7月1日から7月15日、または11月1日から11月15日
・提出先:所轄の税務署
・提出の条件:予定納税をしている個人事業主
 
事業廃止届出書
・提出期限:廃業した日から1カ月以内
・提出先:所轄の税務署
・提出の条件:消費税を納めている個人事業主
 
給与支払事務所等の廃止届出書
・提出期限:廃業した日から1カ月以内
・提出先:所轄の税務署
・提出の条件:従業員のいる個人事業主

廃業届を出す場所

廃業と確定申告を行う事業者は、廃業のための書類を納税地を所轄する税務署長、および都道府県税事務所へ提出しなければなりません。

税務署への届け出

廃業と確定申告を行う事業者は「個人事業の開業・廃業等届出書」を所轄する税務署長へ届け出なければなりません。届出は税務署の受付へ持参するか投函箱へ投函、または送付により提出します。
 
「個人事業の開業・廃業等届出書」の申請は廃業してから1ヶ月以内です。「個人事業の開業・廃業等届出書」は以下のように記載します。
  • 「所得の種類」欄で該当するものを丸で囲む
  • 「給与等の支払の状況」欄で従業員への給料の支払い状況などを記載
青色申告による確定申告を停止するには「青色申告の取りやめ届出書」も同時に提出します。また、課税事業者で廃業する事業以外に所得が発生しない場合は「事業廃止届出書」も申請します。
 
廃業と確定申告を行う事業者は「個人事業の開業・廃業等届出書」に 12桁の個人番号の記載と、廃業と確定申告を行う事業者の本人確認書類提示か写しの添付が必要です。

都道府県税事務所への届け出

廃業と確定申告を行う事業者は「個人事業の開業・廃業等届出書」を税務署まで申請し、各都道府県の税事務所へも届出を行う必要があります。
 
廃業と確定申告を行う個人事業主は、税務署が代わりに届け出てくれるので、各都道府県の税事務所へ直接届け出に行く必要はありません。
 
税務署は国税を取り扱っており、各都道府県の税事務所は都道府県税を取り扱っています。そのため、廃業と確定申告を行う法人事業者は両方への届出が必要です。
 
廃業と確定申告を行う個人事業主の場合は、税務署が各都道府県の税事務所へ代わりに届け出てくれます。

青色申告者が行う手続き

青色申告書による確定申告を行っている事業者の場合、廃業に伴って青色申告書による確定申告を中止するか続けるかを考えなければなりません。
 
青色申告書による確定申告を中止する場合は「所得税の青色申告の取りやめ届出書」を、納税を所轄する税務署長まで提出します。提出期限は青色申告書による確定申告を中止する翌年の3月15日までです。
 
再び事業を始めるかもしれないなどの理由から、青色申告書による確定申告を中止したくないケースでは、事業収入がゼロだったとしても、青色申告書による確定申告を行わなければなりません。
 
なお、2回続いて青色申告書による確定申告を行わなかった場合、翌年からは青色申告書による確定申告ができなくなってしまいます

給与支払事務所等の開設・移転・廃止に関する手続き

個人事業主が従業員を雇って「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」届け出ている場合は、廃業に伴って従業員からの所得税の源泉徴収を止める手続きもしなければなりません。
 
そこで、廃業の際は「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」を、納税を所轄する税務署長まで届け出る必要があります。
 
なお、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止届出書」の提出期限は、廃業から1ヶ月以内です。

予定納税者が行うべき手続き

所得税を分割先払いする予定納税に該当している事業者で、廃業の際に予定納税額が増える見込みの場合は「令和◯年分所得税及び復興特別所得税の予定納税額の7月( 11月減額申請書)」を届け出る必要があります。
 
第1期分と第2期分の承認を受けるには、同じ年の7月1日から7月15日までに届け出を行い、第2期分のみ承認を受けるには、同じ年の11月1日から11月15日までに届け出る必要があります。
 
なお、場合によっては減額の承認に時間がかかったり、審査が通らなかったりする可能性もあります。

消費税に関しての手続き

課税事業者に該当する個人事業主は「事業廃止届出書」を、納税を所轄する税務署長まで提出します。
 
基準期間内に消費税の課税対象となる売上高が1000万円超であり、かつ「消費税課税事業者届出書」を税務署に提出している課税事業者が課税事業者に該当します。
 
提出期限は明確に定められておらず、事業を廃止した課税事業者は事由が生じた場合、速やかに届け出ることとされています。
 

廃業した際に注意したいポイント

廃業した際に注意したいポイント
 
個人事業主が廃業する際は、以下の点に注意しておくことが必要です。
  1. 廃業後の経費について 
  2. 特例に関しての注意

1.廃業後の経費について

所得税に関する経費は、債務が確定したものでなければ経費として算入できないので、通常であれば廃業後に発生した関係費用は確定申告の際に参入できません。
 
しかし実際には、廃業後も貸倒損失や借入金利子などさまざまな関係費用が発生し、負担は小さくありません。
 
事業を廃止した場合の必要経費の特例」を法令で定めることで、事業を廃止した後に発生した関係費用を確定申告の際に経費として算入できるようになっています。

2.特例に関しての注意

確定申告の際に経費として算入するには、事業所得・不動産所得・山林所得に該当していなければなりません。
 
どのような場合経費に該当するかを個人で正確に判断して、確定申告を行うのは簡単ではありません。
 
実際に、個人事業主が「事業を廃止した場合の必要経費の特例」を利用したつもりが、制度を理解していなかったことが原因で、確定申告の際に適用されなかった事例は以前から多く発生しています。
 
例えば、複数の事業を営んでいる事業者がその中のひとつの事業を畳むことになった場合、その事業の費用は確定申告の際に経費として計上できません。特例が利用できるのは、すべての事業を廃止した場合に限られるからです。
 
しかし、事業所得だけを得ている事業と不動産所得だけを得ている事業のうち、不動産所得を得ている事業だけを廃業した場合は、特例が活用できます。
 
具体的にどのような場合にどこまで経費に含めることができるかは、税理士事務所や税務署で事前に確認しておく必要があります。
 
 

3.事業承継による廃業をご検討の際はM&A総合研究所へ

 
廃業手続きや確定申告をしなかったことで、損をしたりトラブルになったりする可能性が出てきます。廃業の際は専門家や税務署に相談するなどして、適切な手続きを行わなければなりません。
 
M&A総合研究所では会計士と弁護士が事業承継のサポートをしているので、最適な判断・アドバイスが可能です。
 
事業承継による廃業をご検討の際は、M&A総合研究所の無料相談へお気軽にお問い合わせください。
 
 
 

まとめ

まとめ
 
本記事では、廃業した後に確定申告が必要かどうか、また、廃業や確定申告を止める際に必要な手続きやタイミングなどについて解説しました
 
【個人事業主が廃業や確定申告を止める際に必要となる手続き】
  1. 廃業届の手続き
  2. 確定申告に関する手続き
  3. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止に関する手続き
  4. 予定納税者が行うべき手続き
  5. 消費税に関しての手続き
 
【廃業や確定申告を止めるの際の必要書類と提出期限、提出が必要となる条件】
 
個人事業主の開業・廃業等届出書
・提出期限
廃業した日から1カ月以内
・提出先
所轄の税務署と各都道府県の税事務所へ届出
・提出の条件
廃業する個人事業主
 
青色申告の取りやめ届出書
・提出期限
廃業した翌年の3月15日
・提出先
所轄の税務署
・提出の条件
青色申告の個人事業主
 
所得税等の減額申請書
・提出期限
廃業した年の7月1日から7月15日
または11月1日から11月15日
・提出先
所轄の税務署
・提出の条件
予定納税をしている個人事業主
 
事業廃止届出書
・提出期限
廃業した日から1カ月以内
・提出先
所轄の税務署
・提出の条件
消費税を納めている個人事業主
 
給与支払事務所等の廃止届出書
・提出期限
廃業した日から1カ月以内
・提出先
所轄の税務署
・提出の条件
従業員のいる個人事業主
 
【個人事業主が廃業する際の注意点】
  1. 廃業後の経費について
  2. 「事業を廃止した場合の必要経費の特例」を利用する際の注意点
 
近年は、廃業ではなく第三者への事業承継を選択する個人事業主も増えています。事業を売却することで売却益が得られるなどのメリットが得られますが、事業の売却を成功させるには自社に合った専門家に依頼する必要があります。
 
M&A総合研究所では、アドバイザー・会計士・弁護士が事業承継のサポートをしているので、最適な支援が可能です。
 
廃業をするか事業承継によって事業を売却するかでお悩みの際は、M&A総合研究所の無料相談へお気軽にお問い合わせください。