廃業とは?事前に知っておくべき意味やメリット、方法、費用を徹底解説

廃業とは会社や個人事業を消滅させる手続きでありため、よく理解して後悔しないように行うことが大切です。

本記事では、廃業とは何か、休業や倒産とは何が違うのか、メリットやデメリットとは何か、必要な手続きや費用、期間はどれくらいかかるかなどを解説します。

廃業とは? 事前に知っておくべき意味

高齢になって体力・気力がなくなった、経営が苦しく会社をたたみたいなどの理由で、廃業を検討している方も多いと思います。

しかし、廃業は資産・負債の整理や従業員の解雇など様々な手続きがあるので、そのメリット・デメリットとは何か踏まえて、しっかりと準備して行う必要があります。また、休業や倒産と廃業は何が違うのか、よく分からない方もいるでしょう。

そこでまずこの章では、廃業とは何か、廃業件数はどれくらいあるのか、そして休業や倒産とは何が違うのかといった、基本的な事項を解説していきます。

廃業するという意味

廃業とはいわゆる「会社をたたむ」ことで、会社や個人事業の営業を終了して資産・負債を整理し、会社の法人格や個人事業を消滅させることです。

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廃業件数

帝国データバンクの調査によると、2019年の会社・個人事業の休業・廃業件数は23,634件となっています。

休業・廃業件数はここ10年ほど約25,000件前後で推移しており、全体としてはゆるやかに減少しています。2009年の休業・廃業件数が26,180件なので、10年間で約2,500件くらい減少していることになります。

経営者の年齢別でみると、70代の休業・廃業が7197件(37.6%)と最も多くなっており、経営者の高齢化に伴う、引退による休業・廃業が増えていることがうかがえます。

休業との違いとは

休業とは一時的に会社・個人事業の事業・営業を停止することであり、事業を終了して法人格を消滅させる廃業とは全く意味が違います。

休業は単に会社やお店を閉めるいわゆる定休日などとは違い、税務署などに休業の届出を行います。実際には休業届という書類はないので、異動届出書などを提出して休業の届出を行います。

ただし、休業を届け出る際に提出するこれらの書類のことを、便宜的に休業届と呼ぶことがあります。

倒産との違いとは

廃業と倒産とは同じような意味だと誤解されることもありますが、実際は意味が違います。さらに、倒産という用語は法律で定義された正式な用語ではないのも分かりにくい点です。

しかし一般的に倒産と言う時は、破産や民事再生といった、債務超過により経営を継続できなくなった会社が資産・負債を整理する手続きの総称として用いられます。

ここでいう破産とは、債務超過で経営を継続できなくなった会社が、破産手続きにより資産と負債を整理して会社を消滅させることです。

そして民事再生とは、同じく債務超過で経営を継続できなくなった会社が、民事再生法や会社更生法にのっとって会社の再生を目指すことです。

廃業は経営状態の良し悪しに関わらず行うことができるのが、倒産との大きな違いです。経営が黒字でも、会社をたたみたければ廃業することは可能です。

廃業のメリット・デメリットとは

廃業は今まで営んできた会社や事業を消滅させる行為なので、その決断は慎重に行い後悔しないようにすることが大切です。

後悔しない決断を行うために大切なことは、廃業のメリット・デメリットとは何かを理解して、メリットが大きいと判断したときのみ廃業を決断できるようにしておくことです。

実際にそこまで正確な判断を行うのは大変ですが、メリット・デメリットとは何かを全く知らずにただ悩むのと、メリット・デメリットとは何かを知ったうえで判断するのでは雲泥の差です。

そこでこの章では、廃業のメリット・デメリットとは何かを詳しく解説していきます。

廃業のメリットとは

まずこの節では、廃業のメリットとは何かを見ていきます。廃業のメリットとしては、資産を守ることが出来る・経営の責務から解放される、といった点が挙げられます。

【廃業のメリットとは】

  1. 資産を守ることが出来る
  2. 経営の責務から解放される

1.資産を守ることが出来る

事業にもう伸びしろがなく赤字が続いているのに、廃業するのが惜しくてずるずると経営を続けた結果、倒産して資産を失ってしまうケースは後を絶ちません。

もう経営状態の回復が見込めない場合は、早めに廃業してしまうことで、今後失ってしまうであろう資産を守ることができます

2.経営の責務から解放される

中小企業や個人事業の経営とは非常にプレッシャーが大きく、もう解放されて楽になりたいと思っている経営者の方も多いと思います。こういった経営の責務から解放されるというのも、廃業の重要なメリットの一つです。

もちろん、M&Aによる会社売却でも経営の責務から解放されますが、M&Aの場合は会社が存続するため、うまく後継者へ引き継ぎを行えるか、後継者に自分が望むような経営をしてもらえるかなど、さまざまな悩みを抱えてしまうケースもあります。

廃業のデメリットとは

次に、廃業のデメリットとは何かを解説します。主なデメリットとしては、従業員が失職する・関係者に迷惑がかかるなど、以下の4つの点が挙げられます。

【廃業のデメリットとは】

  1. 従業員が失職する
  2. 関係者に迷惑がかかる
  3. 取引先や顧客との関係がなくなる
  4. 資産を売却する際に正統に評価されない

1.従業員が失職する

廃業すると会社や個人事業が消滅するので、必然的にそこで働いている従業員は失職することになります。

廃業による解雇は整理解雇の一種だと考えられるので、注意して行う必要があります。特に「整理解雇の4要件」と呼ばれる条件を満たさない場合、解雇権の濫用とみなされる恐れもあります

廃業の場合、4要件のうちの1から3はほぼ満たされると考えられます。したがって、重要になるのは4番の「労使間での協議・誠実な対応」です。

具体的には、早めに解雇予告通知を出して廃業を通知し話し合いの場をしっかり設けることなどが重要になります。

そのほかにも月の途中で解雇する場合は、解雇予告手当で給与が減らないようにするなどの配慮も必要です。

【整理解雇の4要件とは】

  1. 人員削減の必要性
  2. 解雇を回避する努力義務
  3. 対象者選定基準の客観性と合理性
  4. 労使間での協議・誠実な対応

2.関係者に迷惑がかかる

会社や個人事業を廃業すると、取引先や顧客など、関係者に迷惑がかかる可能性があります。大口の取引先には、早めに廃業の意思を伝えて少しずつ取引を減らしていくなど、関係者が混乱しないように対処することが重要です。

3.取引先や顧客との関係がなくなる

会社や個人事業の価値は、売上による金銭的な価値も重要ですが、培った技術やノウハウ、そして取引先や顧客とのネットワークといった、無形資産も重要な価値になります。

会社や個人事業を廃業をすると、こういった無形資産も失ってしまうことはデメリットの一つです。

4.資産を売却する際に正当に評価されない

M&Aで会社や個人事業を売却した場合、買収する側はその事業で利益を上げようとするため、その分資産の価値を高く評価します。将来得るであろう利益をもとに、いわゆる「のれん」が加味されるのが一般的です。

しかし、廃業の場合、資産の売却は単なる処分の意味合いが強くなってしまうので、M&Aの売却のようにのれんをつけて高値で売るといったことができません

廃業による資産の売却では、価値が正当に評価されないことが多いことは注意点だといえるでしょう。

廃業する方法・流れとは

廃業の方法や流れは、会社か個人事業か、従業員の数や資産・設備・在庫がどれくらいあるかなどによって変わってきます。

しかし、どの場合にも共通する一般的な方法・流れとしては、以下の5つのステップが挙げられます。この章では、廃業する方法・流れとは何かについて、これら5つのステップを解説します。

【廃業する方法・流れとは】

  1. 事業終了日を決める
  2. 取引先・顧客への連絡する
  3. 従業員への報告・説明する
  4. 解散手続きを行う
  5. 清算手続きを行う

1.事業終了日を決める

廃業の手続きを進めるためには、まず事業を終了する日を決める必要があります。終了日の決め方に特に決まりはありませんが、例えば残っている在庫をちょうどさばききれるように逆算したり取引先との兼ね合いなどを考えて決めることになります

2.取引先・顧客への連絡する

事業終了日を決めたら、次はその事実を取引先や顧客へ連絡します。連絡方法に特に決まりはありませんが、一般的には挨拶状を送付することが多いです。

挨拶状の内容はシンプルにまとめ、あまり長々と書く必要はありません。事業終了日と廃業に至る簡単な経緯を書いておけば十分です。

連絡する日時は、事業終了日決定後できるだけ早く行うのが望ましいので、少なくとも事業終了日の一か月前までには、廃業の旨を周知させるようにしましょう。

3.従業員への報告・説明する

会社や個人事業を廃業すると、そこで働いている従業員は解雇されることになります。

従業員は次の就職先を探さなければならないので、経営者としてはできるだけ早く廃業を従業員に報告し、従業員が速やかに就職活動に移れるように配慮する必要があります。

もちろん、廃業に至った経緯をきちんと説明し、納得してもらうことも大切です。

4.解散手続きを行う

会社を廃業するには、解散手続きを行う必要があります。債務が全て弁済できる場合に行われる、通常清算の手続きの流れは以下のとおりです。債務超過の場合は「特別清算」「破産」という別の手続きに従うことになります。

【株式会社の解散手続きとは】

  1. 解散・清算人選任登記
  2. 債権者への官報公告
  3. 財産目録と貸借対照表の作成
  4. 株主総会の承認
  5. 清算手続き
  6. 株主総会による決算報告の承認
  7. 清算結了登記

5.清算手続きを行う

廃業する時は、会社や個人事業の資産と負債を全て清算する必要がありますが、株式会社の廃業では、債務を全て弁済できる場合は通常清算、できない場合は特別清算か破産を選択することになります

通常清算では、資産と債権を全て現金化して債務の弁済を行い、残った財産を株主へ分配します。特別清算と破産の場合は、裁判所の監督のもとで残った財産を整理して債権者に分配します。

【清算手続きの種類とは】

  1. 通常清算
  2. 特別清算
  3. 破産

【通常清算の手続きとは】

  1. 資産の売却と債権の回収
  2. 債務の弁済
  3. 残余財産の分配

【関連】廃業手続き完全マニュアル!個人事業主の手続きと廃業リスクも解説

廃業する際に必要な書類とは

個人事業の廃業手続きでは、さまざまな書類を提出しなければなりません。主な提出書類は以下ののとおりです。

場合によっては提出の必要がない書類もあるので、提出の条件を確認しておくようにしましょう。なお、株式会社が廃業する場合は廃業届などを提出する必要はありません

【個人事業の廃業手続きにおける提出書類とは】

  1. 個人事業の開業・廃業等届出書
  2. 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  3. 事業廃止届出書
  4. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
  5. 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

【関連】廃業届の書き方や出し方は?画像を使ってわかりやすく解説!

廃業する際に必要な費用とは

廃業にかかる費用には、各種登記にかかる登録免許税官報公告の費用保険の廃止手続き費用があります。

さらに、賃貸物件の原状回復費在庫の処分費用、そして税理士や司法書士を雇う費用などもかかります。

下表は各費用の金額(または相場)を一覧にしたものです。どのような費用がどの程度かかるのかを事前に確認して用意しておくようにしましょう。

【廃業時に登記等にかかる費用とは】

解散登記 30,000円
清算人選任登記 9,000円
清算結了登記 2,000円
官報公告 約30,000円
司法書士や税理士の費用 約30万円から40万円程度
登記簿謄本・印鑑証明書など 計2,000円程度

廃業する際に必要な期間とは

廃業する際に必要な期間は会社か個人事業かによって異なり、個々の事情によっても大きく変わってきます。

そのため一概にはいえませんが、会社の廃業の場合は、債権者への公告を2か月以上行わなければならないので、制度上どうしても2か月はかかることになります

規模の大きい会社の場合は、取引先が多く資産の整理も煩雑になるので、長い時は数年程度かかってしまうケースもあります

廃業する前に検討すべき事の相談先とは

廃業することはメリットもある選択ですが、会社や個人事業が消滅してしまうので、存続させる選択肢を検討することも大切です。廃業以外の選択肢としては、M&Aによる売却が有力になります。

廃業の前にM&Aを検討したいとお考えの方は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、M&Aの経験豊富な会計士・弁護士・アドバイザーが、3名体制で親身になってフルサポートいたします。

M&A総合研究所では、着手金・中間金無料の完全成功報酬制を採用しています。M&Aが成約しなければ料金は一切かからないので、安心して納得いくまでご相談いただけます。

当社の所在地は東京と大阪ですが、地方へ無料でお伺いすることも可能なので、地方の企業様もお気軽にお問い合わせください。当社が今までM&A仲介をさせていただいた多くは地方の会社様です。

無料相談は随時受け付けていますので、廃業する前にM&Aの可能性を検討されたい方は、お電話かメールでお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

廃業を選択することは決して悪いことではありませんが、一度廃業してしまうと元には戻れないので、メリットとデメリットを理解して慎重に選択する必要があります。

廃業のメリットや方法、費用や期間などをよく理解したうえで、後悔しない選択ができるように準備することが大切です。

【廃業のメリットとは】

  1. 資産を守ることが出来る
  2. 経営の責務から解放される

【廃業のデメリットとは】

  1. 従業員が失職する
  2. 関係者に迷惑がかかる
  3. 取引先や顧客との関係がなくなる
  4. 資産を売却する際に正統に評価されない

【廃業する方法・流れとは】

  1. 事業終了日を決める
  2. 取引先・顧客への連絡する
  3. 従業員への報告・説明する
  4. 解散手続きを行う
  5. 清算手続きを行う

【株式会社の解散手続きとは】

  1. 解散・清算人選任登記
  2. 債権者への官報公告
  3. 財産目録と貸借対照表の作成
  4. 株主総会の承認
  5. 清算手続き
  6. 株主総会による決算報告の承認
  7. 清算結了登記

【清算手続きの種類とは】

  1. 通常清算
  2. 特別清算
  3. 破産

【通常清算の手続きとは】

  1. 資産の売却と債権の回収
  2. 債務の弁済
  3. 残余財産の分配

【個人事業の廃業手続きにおける提出書類とは】

  1. 個人事業の開業・廃業等届出書
  2. 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  3. 事業廃止届出書
  4. 給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書
  5. 所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

【廃業時に登記等にかかる費用とは】

解散登記 30,000円
清算人選任登記 9,000円
清算結了登記 2,000円
官報公告 約30,000円
司法書士や税理士の費用 約30万円から40万円程度
登記簿謄本・印鑑証明書など 計2,000円程度