【必見】個人事業主が廃業する際の手続きを解説

【必見】個人事業主が廃業する際の手続きを解説

個人事業主は、経営上の問題以外にも家庭の事情など、個人的な都合で廃業することもあります。その際は、しかるべき役所に書類を提出しなければなりません。本記事は、個人事業主が廃業する際の手続きと提出するべき書類を解説します。

個人事業主が廃業する際の手続き

個人事業主が廃業する際の手続き

個人事業主が廃業する際は、廃業したことを知らせる旨の廃業届を役所に提出する必要があり、怠ると事業を継続しているとされて、事業廃止後も納付書が届き続けます。この章では、個人事業主が廃業する際の手続きや必要書類を解説します。

廃業する際の手続き方法

個人事業主が廃業する際は、廃業する旨を管轄の税務署などに伝えるための廃業届を提出します。

廃業届はどこに出すのか?郵送は可能?

廃業届は「税務署」と「都道府県税事務所」の2つに出します。書式は多少異なりますが、記載する内容にほとんど違いはありません。

書類名 提出先 提出期限 郵送の可否
個人事業の開業・廃業等届出書 税務署 廃業後1ヶ月以内 可能
事業開始(廃止)等申請書など 各都道府県税事務所 事務所によって異なる 可能

郵送も対応しており、返信用封筒を同封しておくと控えが返送されてきます。控えは必要なものではありませんが、受理されたか不安になるようであれば受け取っておきましょう。

注意したいのは、各都道府県税事務所によって提出期限が異なる点です。東京都の場合は10日以内ですが、それよりも短い期限を定めている県もあり、確認したなか最短だったのは、広島県の5日以内でした。

個人事業を廃止する時は何かとあわただしくなるため、早期から手続きすべき管轄事務所の提出期限を確認しておくようにしましょう。

廃業する際に提出する廃業届の書類一覧

続いて、廃業する際に提出する書類について解説します。

1.個人事業の開業届け出・廃業等届出書

管轄の税務署に個人事業廃止後1ヶ月以内に提出します。開業の際に提出した用紙と同じものを使います。届出の区分の項目において「廃業」を丸で囲むことで廃業届としての効果を発揮します。

提出先 提出期限 郵送の可否
税務署 廃業後1ヶ月以内 可能

2.所得税の青色申告の取りやめ届出書

青色申告は税制面で優遇措置がある制度です。事業を行っている方であれば申請していると思われますので、廃業と合わせて届出を提出する必要があります。

ただし、白色申告であるという方は必要ありません。

提出先 提出期限 郵送の可否
税務署 廃業後1ヶ月以内 可能

3.都道府県税事務所への廃業の届け出

管轄の都道府県税事務所にも廃業届出を出します。提出期限は税事務所によって異なるため、事前に確認しておかなければなりません。

提出先 提出期限 郵送の可否
各都道府県税事務所 事務所によって異なる 可能

4.事業廃止届出書

消費税に関する届出書です。課税事業者が廃業する際は、管轄の税務署に提出します。提出期限については記載要領に「提出すべき事由が生じた場合に、速やかに提出すること」と記載されています。

明確な期限が設けられているものではありませんが、遅らせてもよいことはないので早期提出が好ましいでしょう。

提出先 提出期限 郵送の可否
税務署 廃業後遅滞なく 可能

5.給与支払事務所の廃止届出書

従業員やアルバイトを雇って給与の支払い事務を取り扱っている場合に、届出を出す必要があるものです。廃業となれば給与の支払いが発生することもなくなるので提出します。

提出先 提出期限 郵送の可否
税務署 廃業後1ヶ月以内 可能

6.所得税・復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

予定納税とは、納める所得税が一定以上の見込みがある場合に分割して納税する制度のことです。一度に全額納付すると負担が大きくなるため、2/3相当の税金を前もって納めます。

前年分の所得税が15万円を超えている場合、予定納税をされていると思われますので、減額申請書を提出することで納税額の減額を請求することができます。

減税に関する書類であるため記載する項目が多く、提出期限が限定的である特徴があります。廃業の際は予定納税額が上回るケースが多いので、早期から試算しておくようにしましょう。

提出先 提出期限 郵送の可否
税務署 その年の7月1日から7月15日まで(第1期分及び第2期分の減額申請)
その年の11月1日から11月15日まで(第2期分のみの減額申請及び特別農業所得者の減額申請)
可能

【関連】廃業届の書き方や出し方は?画像を使ってわかりやすく解説!

個人事業主が廃業届を出すタイミング

個人事業主が廃業届を出すタイミング

個人事業主が廃業の際に提出する廃業届の提出期限は税務署は1ヶ月以内、各都道府県税事務所は事務所によって異なります。

提出期限内であれば、廃業届を出すタイミングはいつでも問題ありません。書類に不備があって再提出する可能性があることを考慮すると、早期提出が好ましいというぐらいでしょう。では、個人事業主が廃業するのに適しているタイミングはどうでしょうか。

廃業するタイミングは年末が適している

個人事業の廃業タイミングは年末が適しているとされています。個人事業主は、1月1日~12月31日の期間の所得に応じて確定申告を行います。

その期間に合わせて廃業届けをすることで処理漏れをすることなく、手続きを済ませることができ、廃業に要する費用を経費に計上して節税対策として活用することも可能です。

廃業日をある程度コントロールできるのであれば、12月31日に近づけるようにしましょう。

個人事業主が廃業する際の注意

個人事業主が廃業する際の注意

個人事業主が廃業する際はいくつかの注意点があります。事前に把握していると大きく役立つものもあるので、しっかり確認しておきましょう。

【個人事業主が廃業する際の注意点】

  1. 廃業した際の個人事業税の扱い
  2. 廃業後の費用の一部は必要経費の扱い
  3. 廃業届の出し忘れについて
  4. 廃業後の開業について

1.廃業した際の個人事業税の扱い

個人事業主が廃業する際の注意点1つ目は、廃業した際の個人事業税の扱いについてです。

個人事業の確定申告は翌年の2月~3月に行いますが、廃業した場合は個人事業税申告書を廃業後1ヶ月以内に提出する必要があります。通常時と比較して期間的な余裕がなくなるので注意しておかなければなりません。

2.廃業後の費用の一部は必要経費の扱い

個人事業主が廃業する際の注意点2つ目は、廃業後の費用です。廃業後も事務所の維持や清掃費がかかります。

経費を多く計上することで所得を抑え、結果的に納める所得税を減額させることに繋がります。経費として認められるものと認められないものがあるので、専門家に相談することをおすすめします。

3.廃業届の出し忘れについて

個人事業主が廃業する際の注意点3つ目は、廃業届の出し忘れです。廃業届の出し忘れによって罰金の支払い等を命じられることはありませんが、事業を存続していると認識されているので納税を指示する書類が送付されてきます。

もし出し忘れに気づいた場合は、速やかに廃業届を提出するようにしてください。

4.廃業後の開業について

個人事業主が廃業する際の注意点4つ目は、廃業後の開業です。何かしらの理由により一度廃業したけど、再び開業したいという時は開業届けや青色申告の申請を行います。

なかには廃業時に青色申告が有効のままになっているケースもあるようなので、廃業時の手続きを失念されている方は、管轄の税務署に問い合せて状態を確認してみてください。

【関連】廃業手続き完全マニュアル!個人事業主の手続きと廃業リスクも解説

個人事業主が廃業する際に必要な費用

個人事業主が廃業する際に必要な費用

個人事業の廃業は官報公告や解散登記を行う必要がないため、手続き自体に費用が発生することはありません。しかし、事業規模によっては多額の費用を要することもあります。

【個人事業主が廃業する際に必要な費用】

  1. 事務所の原状回復費用
  2. 設備の廃棄費用
  3. 専門家の報酬費用

1.事務所の原状回復費用

個人事業主が廃業する際に必要な費用1つ目は、事務所の原状回復費用です。原状回復とは初めにあった状態に戻すことをいい、そのために要する費用を原状回復費用と呼びます。

個人事業を行うために借りていたオフィスや事務所を破損させている場合、原状回復させるために必要な費用を払うことになります。

不動産の賃貸契約をする際「退去時に原状回復をする」と明記されていることがほとんどです。しかし、借りた時点で既に経年劣化していることがあり、トラブルのもとになることもあります。

こちらにかかる費用は原状回復が必要な規模に影響します。壁クロスやフローリング・カーペットの全面張り替えなど大規模なものであれば、数十万円以上かかることも珍しくありません。

2.設備の廃棄費用

個人事業主が廃業する際に必要な費用2つ目は、設備の廃棄費用です。リース品等は返却するだけで良いので廃棄費用はかかりませんが、自身が保有する設備は廃棄または売却する必要があります。

経年劣化がみられる設備は買取してもらえることが少なく、有償で引き取ってもらうことが一般的です。

3.専門家の報酬費用

個人事業主が廃業する際に必要な費用3つ目は、専門家の報酬費用です。廃業やそれに伴う手続きの代行を専門家に依頼する場合は手数料を支払います。全体でかかる費用を把握しておき、最終的に残る資産を計算しておく必要があります。

【関連】廃業とは?手続きや実行する前に行うべき3ステップまで徹底解説!

個人事業主から法人にする場合の廃業届は必要?

個人事業主から法人にする場合の廃業届は必要?

法人化を目的として、個人事業の廃業を行うケースもあります。この章では、個人事業主が廃業する際の手続きに関して解説します。

法人成りとは

法人成りとは、個人事業主が会社を設立して法人化することをいいます。個人事業主と法人では課される税金の種類が異なるため、ある一定の所得を基準にして法人成りを目指すのが一般的です。

【法人成りに必要な手続き】

  1. 定款の作成・認証
  2. 法務局に登記申請
  3. 銀行口座の開設

定款の作成・認証

定款は、法人の目的や組織形態を定めた規則を記載する書類です。法人を設立する際は必ず作成する必要があります。

雛形を利用することで自分で作成することもできますが、その場合も公証役場で認証を得る必要があります。

法務局に登記申請

定款の認証を受けて必要な書類が整ったら、法務局に登記申請をします。郵送で申請することも可能ですが、書類に不備があると受理されないため、法務局に直接赴くことをおすすめします。

銀行口座の開設

登記が終わり法人が設立されたら、まず法人の銀行口座を開設します。個人事業で使っていた口座をそのまま使うことはできないため注意が必要です。

法人に引き継ぐ財産

法人成りの際、個人事業主として保有するあらゆる資産を引き継ぎことができます。保有する設備や備品など、事業に要するものであれば全て資産として認められます。

負債に関しても同様であり、金融機関からの借入金やリース契約など、あらゆる負債を法人に引き継ぐことができます。

【法人に財産を引き継ぐ方法】

  1. 現物出資
  2. 売買
  3. 賃貸借

現物出資

お金以外で出資することを現物出資といいます。個人事業で使っていた資産を現物出資することも可能です。

ただし、現物出資の価額が500万円を超える場合、弁護士や公認会計士による証明を受ける必要があります。

【関連】税理士や公認会計士はM&Aを行うべき!事務所の顧客を増やそう!

売買

個人事業主から法人に売却する方法です。売却されたものであることを証明するため、売買契約書として正式な書類を残しておく必要があります。

賃貸借

こちらは法人に資産を貸し付ける方法です。不動産等は法人名義に書き換えずに個人名義で貸し付けることが多くなっています。

法人成り後の確定申告について

法人成りの際も個人事業は廃業したことになるため、廃業届出は必要です。ただし、個人が所有している不動産等を法人に貸し付けて使用する場合は、廃業後も個人に賃貸収入が入り続けることになります。

この場合は今後も確定申告を行う必要があるため、個人事業の開業届出・廃業届出書や青色申告の取りやめ届出書は提出する必要がありません。給与支払事務所の廃止届出書や予定納税額の減額申請書のみを提出しておきましょう。

また、会社に譲渡した資産についても所得税や消費税に関して確定申告が必要です。妥当な譲渡価格を設定する必要もあるため、公認会計士や税理士に相談することをおすすめします。

個人事業の廃業のご相談はM&A総合研究所へ

個人事業の廃業手続きや法人成りに関してご不安な方は、M&A総合研究所にご連絡ください。弊社に在籍する公認会計士が、個人事業の廃業に伴う手続きや確定申告を代行いたします。

また、法人成りの際に必要な手続きも多岐に渡り、資産の処理や確定申告も複雑な内容になっています。特に法人成りの翌年の確定申告は処理が多く、忙殺されてしまう事態も想定されます。

法人成りのサポートについても請け負っておりますので、まずはお気軽にご相談ください。

【関連】M&A・事業承継ならM&A総合研究所

電話で無料相談
0120-401-970
WEBで無料相談
M&Aのプロに相談する

まとめ

まとめ

個人事業主の廃業は廃業届の他にも、節税対策や廃業費用の試算など、沢山のことを計画的に行う必要があります。

【廃業する際に提出する廃業届の書類一覧】

  1. 個人事業の開業届け出・廃業等届出書
  2. 所得税の青色申告の取りやめ届出書
  3. 都道府県税事務所への廃業の届け出
  4. 事業廃止届出書
  5. 給与支払事務所の廃止届出書
  6. 所得税・復興特別所得税の予定納税額の減額申請書

【個人事業主が廃業する際の注意点】

  1. 廃業した際の個人事業税の扱い
  2. 廃業後の費用の一部は必要経費の扱い
  3. 廃業届の出し忘れについて
  4. 廃業後の開業について

【個人事業主が廃業する際に必要な費用】

  1. 事務所の原状回復費用
  2. 設備の廃棄費用
  3. 専門家の報酬費用

法人成りをする場合は個人事業の廃業手続きと登記手続きを同時に行う必要があり、大きな負担となってしまうことが想定されます。

個人事業の廃業手続きや法人成りに関してお悩みの際は、M&A総合研究所にご相談ください。公認会計士や弁護士が在籍していますので一貫したサポートが可能です。