「そろそろ廃業を考えているけれど、どうすれば良いのかな?」なんて、お悩みですね。
年齢や健康上の問題、経営難など、様々な理由で廃業を考える経営者はたくさんいます。
しかし、安易に廃業すると決めてしまうのは損をする可能性が高いです。
廃業には費用がかかることが多く、従業員や取引先にも大きく影響します。
そこで今回は、廃業を避ける理由や試すべきこと、どうしても廃業をしなければならないときの手続きなどについて徹底解説!
廃業を避けるためにやれることはすべてやって、納得してリタイアを果たしましょう。
目次
1.廃業はできるだけ避けるべき!

廃業はできるだけ避けるべきです。
その理由は、以下のような3つのものがあります。
- 廃業には費用がかかる
- 廃業にも手続きが必要である
- 従業員や取引先に迷惑がかかる
これらの理由があるため、廃業を考えた場合でも安易に決断すべきではありません。
それぞれの理由について、順番に確認していきましょう。
理由1.廃業には費用がかかる

廃業には費用がかかります。
例えば、個人事業主も法人も、事務所や店舗の原状回復費用が必要です。
原状回復費用とは、テナントを入居前の状態に戻すための費用で、1坪50,000円ほどが相場となっています。
さらに法人では、以下のように手続きに費用がかかるので注意しておかなければなりません。
- 解散登記:30,000円
- 清算人登記:9,000円
- 清算結了登記:2,000円
- 官報公告:33,000円
- 厚生年金や雇用保険などの廃止手続き:55,000円
実際に廃業した個人事業主や法人の70%以上が、100万円から1,000万円程を廃業費として支払っているのが現状です。
このように、廃業手続きを行うと、個人事業主や法人に関係なく多くの費用がかかってきます。
理由2.廃業にも手続きが必要である

廃業を行うためには、手続きをしなければなりません。
廃業に必要な手続きは、個人事業主と法人で異なっています。
個人事業主は、各種書類の提出によって廃業することが可能です。
一方、法人は解散と清算といった2段階の手続きが必要となります。
解散や清算については、『6.法人の廃業手続き』で後ほど詳しく解説するので確認してください。
個人事業主も法人も、廃業手続きが完了するまでには最短でも1ヶ月は必要となるので注意しておきましょう。
理由3.従業員や取引先に迷惑がかかる

事業をやめることで従業員や取引先に迷惑がかかるということも、廃業を避けるべき理由の1つです。
廃業すると、今まで働いてくれていた従業員の職が失われてしまいます。
また、お世話になってきた取引先もあなたの会社に代わる会社を探さねばならず、混乱してしまうはずです。
従業員や取引先に廃業を伝えることも大きなプレッシャーとなるので、廃業を決めた経営者本人にも負担になってしまうでしょう。
以上が、廃業を避けるべき3つの理由でした。
「廃業するのはやめた方が良いかも。。」なんて、思った人も多いはずです。
しかし、廃業をしない場合にはどうしたら良いのかがわかりませんよね。
ここからは、廃業を選ぶ前に試すべき3つのステップについて見ていきます。
2.廃業を選ぶ前に試すべき3ステップ

廃業を選ぶ前には、以下のように試すべき3つのステップがあります。
- 業績の改善
- 後継者募集と事業承継
- M&Aの検討
これらのステップを踏まないまま廃業をしてしまうのは、非常にもったいないです。
多くの場合、3ステップを実践すれば廃業は避けられます。
それぞれのステップについて、順番に詳しく見ていきましょう。
ステップ1.業績の改善

まずは、自社の業績を改善できないかを考えましょう。
なぜなら、業績を改善できれば、自分以外の人に事業をついでもらうなど、廃業以外の選択肢が出てくるためです。
そこで現在行っている事業の収益性を分析し、さらに磨き上げていくのが良いと考えられます。
また、今行っている事業と相乗効果が生まれるような新事業を始めるのも業績の改善に役立つでしょう。
たとえば、デイサービスを行う介護事業を営んでいる場合、介護事業者向けの広告事業を始めるケースがあります。
逆に、自社の中で収益性の低い部門を他社に売却して業績を改善するという事例も多いです。
自社の現状を分析し、業績改善に乗り出しましょう。
ステップ2.後継者募集と事業承継

自社の業績を改善することができたなら、後継者を募集して事業承継ができないかを検討してみるべきです。
身近に後継者となる人がいないからと言って、事業承継ができないとは限りません。
最近では社外の第三者に事業を引き継いでもらう事例も多いです。
社外で後継者を募集する方法は、インターネットを使う方法が主流となっています。
インターネットで募集しても後継者が見つかりそうにない場合や、早急に事業を引き継ぎたい場合は、次のステップに移りましょう。
ステップ3.M&Aの検討

後継者が思うように見つからないのであれば、M&Aを検討するべきです。
M&Aとは、企業同士の買収や合併を意味します。
M&Aを行えばあなたの会社の経営を買い手企業に引き継いでもらうことが可能です。
そうすれば、廃業費用がかからない上に、従業員や取引先にも迷惑がかかりません。
買い手側に「自社にとってメリットがある」と感じてもらえれば、M&Aは行うことができます。
なので、現段階であまり業績が良くない場合でも、商品やサービスが魅力的なら会社を引き継いでもらえるのです。
M&Aに興味があるなら、まずは仲介会社に相談してみれば成功への道筋がわかります。
以上が、廃業を選ぶ前に試すべき3つのステップでした。
しかし、「できることはありそうだけど、上手く行えるのか自信がない。」という人もいると思います。
事業承継やM&Aは専門的な知識が必要となるので、プロに相談してみましょう。
3.事業承継やM&Aについては専門家に相談しよう

事業承継やM&Aについて、少しでも興味を持ったのであれば専門家に相談するのが良いです。
M&Aや事業承継と聞くと大きな規模の会社が行うことだと考える人は少なくありません。
しかし、最近では小規模な事業でもM&Aを行うケースも増えています。
なので、専門家も親身に相談に乗ってくれるので安心してください。
事業承継について相談できる専門家には、例えば事業承継アドバイザーや事業承継士がいます。
また、外部から後継者を探すのであれば、M&A仲介業者も有効な相談先です。
例えば、インターネットを活用して専門家を探すという方法があります。
自身が住んでいる地域に根差した専門家を見つけることができれば、自社に最適な後継者を見つけてもらえるはずです。
事業承継の専門家については、『事業承継は相談先で成功が決まる!すぐ使うべき専門窓口7選を紹介!』が参考になるでしょう。
ここまで、事業承継やM&Aといった廃業前に試すべきことについて説明してきました。
しかし、「いろいろ試してみたけれど、どうしても廃業するしかない」というケースもゼロではありません。
ここからは廃業しなければならない人のために、廃業手続きについて見ていきましょう。
4.廃業するしかないなら手続きを確認しよう

3ステップを試してもどうしても廃業しか道がないようであれば、手続きを確認していきましょう。
注意するべきなのは、廃業手続きは個人事業主と法人で異なるということです。
自分の事業形態となる廃業手続きを確認して、正しく行わなければなりません。
まずは個人事業主の廃業手続きについて見ていきます。
(法人の廃業手続きが知りたい方は、『6.法人の廃業手続き』に進んでください。)
5.個人事業主の廃業手続き

個人事業主で廃業手続きを進めるなら知っておきたい7つの手続きがあります。
個人事業主の廃業手続きは、各種書類の提出だけで行えるので難しくはありません。
しかし、必要な書類を全て提出しないと廃業と認められないことがあるので必ず忘れないようにしてください。
それでは7つの手続きを順番に紹介していきます。
手続き1.廃業日の決定

廃業日は事前に決定してください。
これは計画的に廃業手続きを進められるようにするためです。
また、廃業するタイミングを見計らって行うと支払う税金額を抑えることも可能となります。
さらに、急な廃業は取引先や顧客とのトラブルに繋がりかねません。
例えば、廃業日が決定した場合、速やかに取引先や顧客のところへ挨拶にうかがってください。
そうするだけでも、トラブルを未然に防げるはずです。
個人事業主の廃業手続きでは、手続き期間として最短1ヶ月は必要とされています。
そのため、廃業日は1ヶ月以上先の日付にしましょう。
廃業のタイミングの目安
廃業にベストなタイミングは年末の12月31日となります。
なぜなら、廃業に発生する費用を申告することで経費として計上できることが節税対策として効果的だからです。
年末であれば、余分な確定申告なども省くことができます。
合わせるのは難しいかもしれませんが、できる限り年末に近づけるようにする意識はしてみてください。
手続き2.個人事業の開業・廃業等届出書の提出

一般的な廃業届である「個人事業の開業・廃業等届出書」をまずは出す準備をしましょう。
1ヶ月以内に税務署に送付または持参しなければなりません。
もし、記載内容に不安があるという方でしたら直接窓口に出してアドバイスを受けます。
その場で確認してもらうことができ、何度も送付するなどのやり直しを自然に減らせるはずです。
なぜやり直しを減らして窓口で安全に提出することを伝えるのか。
これは、提出しただけは意味がなく、正常に受理されていないと廃業できなくなるからです。
どれだけ計画的に進めていたとしても、1枚の届出の受理がされていないことで廃業できなくなったというケースは意外にも多くあります。
ですから、必ず確実に受理してもらえる方法を検討して進めるべきでしょう。
※関連記事
届出について→『廃業届の書き方や出し方は?画像を使ってわかりやすく解説!』
基礎知識について→『廃業手続き完全マニュアル!個人事業主の手続きと廃業リスクも解説』よ。
手続き3.都道府県税事務所への書類の提出

廃業したときには、事業所在地の都道府県税事務所にも書類を出しておきましょう。
しかし、何を出せばよいのかについては都道府県税事務所によって違いがあります。
例えば、様式・提出期限などです。
ですから、必ずホームページで確認して正しい書類の提出をするように心がけてみてください。
おおむね廃業後の10~15日以内ですが、必ずしも当てはまるわけではありません。
申告書類については各税事務所でダウンロードが可能な状態で用意されていますから、確認事項に目を通して用意するようにしましょう。
手続き4.青色申告の取りやめ届出書の提出

青色申告を行っている場合、「青色申告の取りやめ届出書」を出しましょう。
この書類の提出期限は取りやめたい年の翌年3月15日までです。
なぜやめるのか理由を書くところがあって悩む人も多くいるかと思います。
理由は深く考えずに「白色申告にするため」とするだけでも良いです。
また、青色申告の特典はその年ごとで考えられていますから、出したらすぐに白色申告に切り替わるというものではありません。
ですから、例えば「30万円未満の備品は減価償却しないで経費とする」というものがありますが、出した年であれば問題なく計上できますので覚えておくと便利です。
提出先は事業の納税地を管轄する税務署で、持参または送付で出してください。
手続き5.事業廃止届出書の提出

あなたが課税事業者なら、廃業したときには「事業廃止届出書」を出してください。
課税事業者とは、消費税を納付する義務のある個人事業主・法人のことです。
個人事業主の場合は、前々年1年間もしくは前年1月から6月までの期間で課税売上高が1,000万円を超えた場合に該当します。
ただし、基準期間・特定期間の2つの側面から判断し、納税義務がない可能性もありますから不安な場合は税務署に問い合わせしてみると良いでしょう。
事業廃止届出書は、廃業日から1ヶ月以内に事業の納税地を管轄する税務署に持参または送付してください。
手続き6.給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書の提出

給与の支払いがあるはずですから、「給与支払事務所等の開設・移転・廃止の届出書」を出しましょう。
この書類の期限は廃業日から1ヶ月以内。
基本的には、開廃業届出書にこちらの内容が含まれているなら出す必要のないものです。
しかし、多くのケースで別途で出すことを求められることがありますから、用意しておけば無駄な時間を取られることなく確実に進められるようになるでしょう。
出すときには持参や送付で問題ありません。
手続き7.所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書の提出

予定納税をしている場合、「所得税及び復興特別所得税の予定納税額の減額申請書」も出しましょう。
出すことなく廃業をしてしまえば、納税額が想像以上に高くなってしまいます。
手続き自体が面倒に感じるかもしれませんが、減額してもらえるメリットがありますから、後で困らないためにも忘れずに進めていきましょう。
提出期限は、以下の通りです。
- 第1期分および第2期分→その年の7月1日から7月15日まで
- 第2期分のみ→その年の11月1日から11月15日まで
提出するときは、申告納税見積額の計算の基礎となる事実を記載した書類として損益計算書1部を添付して、管轄する税務署に持参または送付してください。
少し多いですが、個人事業主の廃業に必要な書類についてお話してきました。
基本的には日程を調節して、計画通りに書類を提出するだけで問題ありません。
個人事業主の場合でしたら、上記の対応で良いですが『法人』となると話は別となります。
では、次の章で法人に関する手続きについてもお話していきますので、見ていきましょう。
6.法人の廃業手続き

法人の廃業手続きは、以下の7つの流れで行われます。
- 廃業日の決定
- 株主総会での解散承認
- 解散・清算人選任登記
- 解散の届出
- 官報での解散広告
- 清算人による清算
- 確定申告
法人の廃業手続きは、各種書類の提出や株主総会での承認などが必要です。
それぞれの流れを正確に把握して、法人の廃業手続きをスムーズに行いましょう。
それでは、順番に詳しく見ていきます。
流れ1.廃業日の決定

廃業日は事前に決定して従業員や取引先に伝えてください。
特に、取引先には迷惑がかからないよう、廃業する旨をすみやかに伝える必要があります。
このとき、「廃業挨拶状」を取引先に送り、さらに直接うかがって挨拶することが望ましいです。
法人の廃業手続きでは、手続き期間として2~3カ月は必要とされています。
そのため、廃業日は余裕をもって3ヶ月以上先の日付にしましょう。
流れ2.株主総会での解散承認

廃業日の確定後は、株主総会で解散を承認してもらう必要があります。
ここで、株式会社と有限会社では解散承認の手続きに違いがあるので注意してください。
株式会社の株主総会は特別議会か全株主の書面決議のどちらかで承認が必要です。
特別決議の場合は、議決権を持つ株主の3分の2以上の賛成があれば解散が承認されます。
一方、書面決議とは、議決権を持つ全株主の賛成を持って解散承認が得られるものです。
同時に株主総会で、清算人を選出します。
有限会社の場合、議決権を持つ株主の半数以上が出席した株主総会で、4分の3以上の賛成を得れば承認を受けることが可能です。
その後、清算人を選任しますが、株主総会で決議する必要はありません。
決議しなかった場合、定款で書かれていなければ取締役が清算人になります。
流れ3.解散・清算人選任登記

清算人は解散・清算人選任の登記を行わなければなりません。
この登記は株主総会後2週間以内に事業所在地のある法務局で行う必要があります。
清算人選任登記の記入事項では株式会社と有限会社では記入内容が異なるため注意してください。
株式会社では清算人の氏名と代表清算人の住所・氏名を記入しなければなりません。
一方、有限会社では清算人の住所・氏名を記入するだけで良いです。
もし代表清算人を定めたときはその氏名も記入欄に書き込むようにしてください。
流れ4.解散の届出

廃業のためには、税務署関連の届出を行う必要があります。
法人住民税や法人事業税に関する届出は各都道府県税事務所や役所に提出しなければなりません。
法人税に関しては、国税のため事業の納税地を管轄する税務署が提出先です。
各申請書類は、それぞれのホームページにてダウンロードが可能で、提出期限が異なるため確認する必要があります。
その他にも以下の労働保険の各種手続きを行わなければなりません。
書類 | 提出期限 | 提出先 |
雇用保険適用事業所廃止届 | 事業を廃止・終了した日から10日以内 | 管轄のハローワーク |
雇用保険被保険者喪失届 | 離職日の翌日から10日以内 | |
雇用保険被保険者離職証明書 |
上記3つの書類は、各管轄のハローワークのホームページからダウンロードが可能です。
これらの書類は廃業を行うためには必須のものなので、忘れずに提出しましょう。
流れ5.官報での解散公告

解散公告は2カ月以上官報に掲載しなければなりません。
解散公告は義務付けられており、債権者に債権を申し出るようにするための通知です。
解散公告は『官報公告の申し込み | 官報公告 | 全国官報販売協同組合』から行うことができます。
流れ6.清算人による清算

公告期間が終了したら清算人は清算を行います。
清算人は債務の弁済と債権回収、会社の財産整理を行わなければなりません。
全ての資産整理が完了し、余った財産があれば株主に配分する必要があります。
これらの清算が完了したあとは、決議報告書を作成し、株主総会での承認が必要です。
承認をもらって作業が完了したら、清算結了登記を行います。
流れ7.確定申告

最後に、確定申告を行わなければ手続きは終了となりません。
事業年度開始日から解散日までの「清算確定申告書」と「確定保険料申告書」を税務署に提出してください。
この申告は事業を廃止・終了した日から50日以内に提出する必要があります。
また「労働保険料還付請求書」も確定保険料申告書と同時に提出しなければならないため準備が必要です。
これらの書類は最寄りの法令様式取扱店で購入することができます。
以上が法人の廃業手続きの流れでした。
法人の廃業手続きは様々な書類や承認が必要ですぐに廃業が行えないため、計画的に廃業準備をしてください。
ここまでで基本的な廃業手続きについて説明してきましたが、業界によっては特殊な手続きが必要となる場合があります。
ここで、注意が必要な業界別の廃業手続きを見ていきましょう。
7.注意が必要な業界別の廃業手続き

以下の6つの業種では、廃業手続きの際にさらに注意しなければならないことがあります。
- あん摩マッサージ指圧・鍼・灸院
- 接骨院・整骨院
- 建設業
- 旅館・ホテル業
- 飲食業
- ガソリンスタンド
これらの業種での廃業では、それぞれ追加で提出する書類があります。
忘れやすいので十分確認してください。
それでは順番に見ていきましょう。
業種1.あん摩マッサージ指圧・鍼・灸院

あん摩マッサージ指圧・鍼・灸院の廃業では、「施術所廃止届出書」を提出しなければなりません。
こちらの書類は、各自治体の保健所ホームページからダウンロードするか、保健所で直接もらうことが可能です。
提出は、廃業から10日以内に保健所へ行ってください。
業種2.接骨院・整骨院

接骨院・整骨院も、「施術所廃止届出書」を提出して廃業します。
書類については各自治体の保健所ホームページからダウンロードするか、保健所で直接もらってください。
既に書いたように、廃業から10日以内に保健所への提出が必要です。
業種3.建設業

建設業は、「建設業許可の廃業届」を提出します。
書類は都道府県庁のホームページからダウンロードするか、都道府県庁の窓口で直接もらうことが可能です。
提出は、廃業から30日以内に行政庁へ行ってください。
業種4.旅館・ホテル業

旅館・ホテル業では「旅館業廃止届」の提出が求められます。
こちらは、各都道府県庁・市町村役場・各保健所のホームページからダウンロードするか、窓口で直接もらうことが可能です。
提出は、廃業から10日以内に保健所へ行ってください。
業種5.飲食業

飲食業は、「廃業届」と「飲食店営業許可書」を提出します。
共に、各市町村役場か保健所のホームページからダウンロードするか、直接窓口からもらわなければなりません。
いずれも提出は、廃業から10日以内に保健所へ行ってください。
業種6.ガソリンスタンド

ガソリンスタンドの廃業では「揮発油販売業禁止届出書」と「石油販売業廃止届出書」の2つを提出する必要があります。
共に、最寄りの経済産業局ホームページからダウンロードするか、窓口でもらうことが可能です。
いずれも提出は、廃業から10日以内に経済産業局へ行ってください。
以上が、業種別に注意するべき廃業手続きでした。
廃業する業種によっては提出書類も増えるため、抜けが無いよう書類を準備してください。
ここまでで、様々な廃業手続きについて解説してきました。
もっと詳しく廃業手続きについて知りたいなら、『廃業手続き完全マニュアル!行うべきことすべてを徹底解説!』を読んでみてください。
8.廃業について相談できる専門家は?

廃業手続きは、弁護士に相談するのが最適です。
廃業の手続きは、税務申告に関しては税理士、登記に関する書類は司法書士が受け持っています。
弁護士は各種手続きの申請を代理人として行うことができるため、税理士や司法書士と連携を取りつつ手続きしていくことが可能です。
また、廃業手続き中に債権の返済が難しいケースなど最悪の事態を想定して手続きを行います。
法律に則った手続きを進めてくれるため、廃業に関する無駄な手間やコストがかかりません。
少しでも廃業手続きに不安がある場合は、まずは弁護士に相談してください。
弁護士への相談は初回1時間が無料の場合が多いため、気軽に活用してみましょう。
弁護士の着手金の相場は50万円以上とされ、その後手続き完了時に別途成功報酬が発生します。
報酬に関しても、初めの相談で確認しておくことが最適です。
以上が、廃業のことを相談するべき専門家についてでした。
最後に、廃業の実態や行われる背景を確認しておきましょう。
9.【補足】廃業の実態と廃業が行われる背景

今回ご説明した廃業とは、今までやってきた事業をやめることです。
廃業や休業を行う事例は増えており、2000年から2016年で2倍近くなっています。
また、2016年に休廃業を行った経営者の年齢は60歳以上のケースが82.4%でした。
したがって、休廃業を選ぶ経営者の多くが後継者不足によるものだと考えられます。
ちなみに休業とは、事業を一時的に停止することです。
廃業と似た言葉には、休業以外にも休眠や会社解散、倒産、破産といったものがあります。
それぞれの言葉の意味について確認しておきましょう。
9−1.廃業と休眠や会社解散、倒産、破産の違い

廃業と似た言葉について、それぞれ確認しておきましょう。
ここでは、休眠や会社解散、倒産、破産の違いを見ていきます。
休眠とは?
休眠とは、最後に登記してから12年経っている状態のことを指します。
株式会社は10年に1回は役員変更登記をしなければならないのに、それを怠っている状態です。
休眠会社については、『休眠会社を徹底解説!廃業よりも会社の存続を選択しよう!』でさらに詳しく解説しています。
事業の経営状態が悪くなったら休眠させようと考える経営者もいますが、休眠会社にも税金はかかるので注意しなければなりません。
(休眠会社の税金については、『休眠会社でも税金がかかる?滞納回避のコツや手続きを簡単解説!』でさらに詳しく解説しています。)
もしも既に休眠会社にしてしまった場合には、再開させるか売買するのが良いでしょう。
(休眠会社の再開については、『休眠会社を再開させるには?手続きや注意点を知ってミスなく行おう!』、売買については、『休眠会社の売買手続き完全マニュアル!メリットや注意点も徹底解説!』でさらに詳しく解説しています。)
会社解散
会社解散とは、会社が行っている業務をすべて中止して、会社の法人格を消滅させることです。
なので、会社解散は廃業のための手続きだと言えます。
法人格とは、権利や義務の当事者となる資格です。
会社解散については、『会社解散とは?清算までの手続きの流れや発生する費用・税金を解説!』でも詳しく書いているので読んでみてください。
破産
破産とは、会社経営が続けていけなくなったときに行う手続きです。
破産手続きが完了すると、法人格がなくなります。
破産の理由としては、取引先への支払いや従業員への給与支払いができないというものが多いです。
倒産
倒産とは、事業を続けていけない状態のことを指します。
法律で定められた用語ではないので、厳密な定義はありません。
単に事業を続けていけないというだけなので、倒産した企業が破産しているとは限らないことに注意が必要です。
多くの場合は、業績が振るわずに債務の返済が滞ったときに倒産します。
以上が、廃業と似た意味の言葉でした。
現時点で廃業を考えているのであれば、まずは廃業を避けられないかを検討してみてください。
どうしても廃業しなければならないなら、手続きを正確に行いましょう。
まとめ
廃業とは、今までやっていた事業をやめることです。
廃業の理由には、業績の悪化以外にも後継者不足があります。
いずれの理由でも廃業前にはもうやれることがないのかを確かめるべきです。
どうしても廃業しかないのであれば、正しく手続きをしましょう。