事業売却のメリットや注意点を分かりやすく解説!税務・会計の実務まで

事業売却についてお調べですね。

事業売却とは、文字通り自社の事業を第三者へ売却することです。

事業承継や資金調達のために事業売却をする中小企業が増えてきています。

しかし、事業売却のメリットや手続きの流れを理解している経営者は少ないです。

そこで今回はメリットや手続きの流れ、注意点を分かりやすく解説します。

事業売却を活用し、さらに自社を成長させましょう。

目次

1.事業売却とは

事業売却とは、自社の事業を第三者へ売却することです。

英語で表記すると、Business Saleとなります。

自社内にある事業を1つ売却した場合も、全ての事業を売却した場合も事業売却と認識されます。

そもそも「事業」とは、ヒト・モノ・カネ・情報などを動かしながら継続的に利益を生み出すプロジェクトのことです。

そのため、モノだけを売却することは事業売却とは言いません。

事業売却の1つの事例を見てみましょう。

事業売却の事例

売り手企業
(A社)
IT情報企業
スマホ用アプリ事業を新規事業立ち上げ資金調達のために売却
買い手企業
(B社)
有名SNS企業
自社アプリ数拡大のため買収

売り手企業A社は、IT情報起業として複数の事業を保持していました。

しかし、新規事業立ち上げの資金調達のため、事業の1つであるスマホ用アプリ事業を売却。

買い手企業B社は、有名SNS企業です。

ユーザーの囲い込みのため、自社アプリの数を拡大しているところでした。

A社とB者はすぐに意気投合し、A社は十数個のアプリを運営する事業を10億円で売却したのです。

その後、A社は別の事業を立ち上げることに成功しています。

このように、事業売却をすることで会社を継続させながら新しい事業に挑戦することが出来るのです。

2.事業売却の3つのメリット

事業売却には3つのメリットがあります。

それぞれ詳しく確認していきましょう。

メリット1.選択と集中ができる

事業売却をすることで、経営の選択と集中ができます。

経営が不安定なときに、赤字の事業や本業以外の事業を売却することによって資金を手に入れることが出来るのです。

本業の事業にだけ資金や時間を集中させたいときに有効な経営判断といえます。

資金を手に入れることで、本業の基盤を強化したり会社全体の経営を安定させることが出来るのです。

メリット2.承継させるモノを選べる

事業売却を行う場合、承継させるモノを選ぶことができます。

つまり、「何を売却して、何を会社に残したいのか」を選択することが出来るのです。

たとえば、優秀な人材を別事業の人材として置いておくことや、負債を譲渡しないことで売却価格を引き上げることも出来ます。

このように、事業売却では会社で売りたいものと売りたくないものを分けることが出来るのです。

もちろん、事業の全てを売却するという選択肢もあります。

メリット3.事業を継続させられる

事業売却を行うことで、その事業を継続させることができます。

近年、中小企業の後継者不足は深刻な問題となっていますが、事業売却を行うことで事業承継することが出来るのです。

経営者が高齢のためリタイアしたい場合や他の会社を立ち上げたいときに、廃業するという選択もあります。

しかし、廃業してしまうと今まで働いていた従業員の生活や取引先との関係、顧客への信頼を一気に失いかねません。

そこで、第三者へ事業売却することで、その事業を継続させることが出来るのです。

事業売却をした場合、経営者が変わるだけのため従業員や他の関係者への影響は少なく済みます。

3.事業売却の2つのデメリット

事業売却の3つのメリットを見ましたが、もちろんデメリットもあります。

2つのデメリットについて、詳しく確認していきましょう。

デメリット1.手続きが煩雑になる

事業売却を行うと手続きが煩雑になるというデメリットがあります。

事業売却をするときには事業譲渡というM&Aの手法が用いることが一般的です。

事業譲渡は、会社の全てを売るのではなく、承継するもの・しないものを決めて事業を売却することができます。

そのため、買い手企業との間で交渉が長引く可能性が高いです。

また、事業譲渡を行うと契約関連はすべて結び直しとなります。

たとえば、従業員の雇用契約も一度白紙になり、改めて買い手企業と従業員との間で雇用契約を結ばなければなりません。

もちろん、自動的に従業員が異動となるわけではないため、個人の同意を取る必要があります。

このように、取引先との契約などもすべて結び直しとなるため、事業売却後も手続きが煩雑になる恐れがあるのです。

デメリット2.負債を引き受けてくれないかもしれない

事業売却を行っても、買い手企業が負債を肩代わりしてくれるとは限りません。

事業売却をする場合、売却するもの・しないものを契約で定めることができます。

これはメリットである一方、デメリットでもあるのです。

「負債を引き受けたくない」と買い手企業に主張されてしまうと、負債だけが会社に残る可能性があります。

また、負債を引き継いでくれることになっても、債権者側が了承しなければ負債の承継は出来ません。

債権者の了承を得るための交渉の手間がかかる可能性があります。

事業売却の場合、無条件で負債を引き受けてもらえないことを覚えておきましょう。

4.事業売却の手続きの流れ

M&Aの手続きの流れ

事業売却をする時には、図の追うな12の流れに分けることができます。

事業売却の検討~成立まで、約3ヶ月~1年程かかると考えましょう。

それでは1つずつ確認していきます。

ステップ1.社内での検討

まずは、社内での検討が必要です。

  • 本当に事業売却をするべきか
  • どのような効果を求めているのか
  • 適切な買い手企業のイメージ
  • M&Aのスケジュール

以上の4つは取締役会でしっかりと固めておく必要があります。

この4つが固まれば、頼れるM&Aアドバイザーを探しましょう。

ステップ2.アドバイザリー契約の締結

事業売却することが決まれば、M&Aアドバイザーとアドバイザリー契約を交わします。

M&Aアドバイザーとは、事業売却を総合的にコンサルティングする存在です。

自社だけで事業売却を進めようとすると、買い手企業の選択肢に限界があります。

また、事業売却には非常にたくさんの専門知識が必要なため、M&Aアドバイザーに頼ることが効率的です。

※アドバイザリー契約については、『アドバイザリー契約とは?目的やコンサルティング契約との違いを解説』で詳しく説明しています。

ステップ3.相手企業の選定

M&Aアドバイザーとアドバイザリー契約を交わしたら、買い手企業の選定をしていきます。

まずは、M&Aアドバイザーと一緒に買い手企業に求める条件をまとめていきましょう。

例えば、地域・企業規模・業種・売上高などです。

社内で検討した内容を改めてM&Aアドバイザーと固めていきましょう。

ステップ4.相手企業への打診

条件が固まったら、3社~5社程度あてはまる企業をM&Aアドバイザーに紹介してもらいましょう。

その中に気になる企業があれば、ノンネムシートと呼ばれる匿名の企業概要資料で相手企業に打診していきます。

打診する前には、重要な資料を渡して良いか(ネームクリア)の確認がされるので、外部に事業売却を検討していることは漏れる心配はありません。

ステップ5.秘密保持契約の締結

買い手候補の企業が興味を持って、さらに詳細な情報を求められると、秘密保持契約を締結します。

事業売却成立に至らない可能性も十分にあり得るため、詳細な情報を開示する前に互いに秘密保持契約を締結しておくのです。

このタイミングで、社名や財務情報などの詳細な情報が相手企業に知らされます。

ステップ6.トップ面談の実施

互いに、事業売却を前向きに進める意思がある場合、経営陣同士のトップ面談を行います。

事業売却に至った経緯や事業売却の目的、事業売却成立後のスケジュールなどを話し合い、疑問を解消する場です。

もちろん、M&Aアドバイザーが同席してくれるので安心して構えましょう。

ステップ7.意向表明書の提示

トップ面談を繰り返し、互いに納得のいく相手だと判断をしたら、買い手企業が意向証明書を提出します。

意向証明書とは、譲渡価格や取引方法、買収の条件などが書かれた提案資料です。

この意向証明書を元に、M&Aアドバイザーが間に入って条件の調整を行います。

※意向表明書については、『LOI(意向表明書)とは?内容や条項についてわかりやすく解説』に詳しく説明しています。

ステップ8.基本合意契約の締結

売り手企業が意向証明書に合意したら、互いに合意している条件を記載した基本合意契約書を作成して締結します。

具体的には、記載する条件は以下の5つです。

  1. 取引方法(事業譲渡・吸収合併などの手法)
  2. 譲渡価格
  3. 今後のスケジュール
  4. 独占交渉権
  5. デューデリジェンスの協力義務

独占交渉権とは、他の事業売却の候補先と接触を禁止することです。

一般的に、独占交渉期間は2ヶ月~6ヶ月程度とされています。

このあとのデューデリジェンスに問題がなければ、基本合意契約書に記載された条件で事業売却が成立すると考えましょう。

もちろん、デューデリジェンスの結果によっては、条件の変更が発生する可能性もあります。

そのため、法的拘束力を持たせない内容にすることが一般的です。

ステップ9.デューデリジェンス

基本合意契約を締結した後は、買い手企業が売り手企業に対してデューデリジェンスを行います。

デューデリジェンスとは、法務・財務・税務・ビジネス・ITなどの分野ごとに売り手企業を調査することです。

資料の提出を求めたり、会社や工場施設などへ専門家が訪問して調査します。

デューデリジェンスの目的は、出来るだけ売り手企業を知り、リスクを予防・対策をすることです。

デューデリジェンスで問題が出なければ、改めて条件交渉を行っていきます。

※デューデリジェンスについては、『デューデリジェンスの正しい意味は?目的や方法をわかりやすく解説』で詳しく説明しています。

ステップ10.条件交渉

デューデリジェンス後、様々な条件を決定していきます。

  • 売却価格
  • 最終契約・クロージングまでのスケジュール
  • 売り手企業の役員の処遇
  • 売り手企業の従業員の処遇

など、全て決定します。

しっかりと、納得のいく条件になるまでM&Aアドバイザーを通して話合いを続けましょう。

ステップ11.最終契約・クロージング

条件交渉でまとまった内容を最終契約書に明記し、締結します。

このとき、売り手企業は競業避止義務を課せられる可能性が高いです。

競業避止義務とは、譲渡した事業の人脈やノウハウを利用して競業をしないことを約束することを指します。

以上の最終契約の締結で事業売却の契約は完了です。

しかし、実際には譲渡対価(現金や株式)の受け渡しや契約の引継ぎ作業などの細かな手続きが残っています。

これら全てを完結させてクロージングとなるのです。

※競業避止義務については、『競業避止義務とは?雛形を見ながらM&Aにおける競業避止義務を理解しよう』で詳しく説明しています。

ステップ12.統合プロセス

クロージング後は、売り手企業と買い手企業の統合プロセスです。

統合プロセスとはPMI(Post Merger Integration)と呼ばれることもあります。

買い手企業がシナジー効果を早々に得るため、両社の従業員意識改革や管理体制・ITシステムなどを機能させなければなりません。

特に、売り手企業の従業員は、新しい会社のシステムや社風に馴染めない可能性があります。

事業売却自体が成立しても、統合が上手くいかなければ期待したシナジーやメリットを得ることは出来ません。

事前に、経営者同士でPMI計画を立てておきましょう。

※PMIについては、『PMIとは?初めてのM&Aでもシナジー効果を最大化させる方法を解説』で詳しく説明しています。

5.事業売却の価格相場とは

実際に事業売却をすることになった場合、価格の相場が気になりますよね。

しかし、事業売却をしたときの価格相場は〇円だと言い切ることは出来ません。

なぜなら、事業によって生み出す利益や将来性が異なるからです。

そこで、どのように事業売却の価格が決定されるのか算出方法を3つ確認しましょう。

算出方法1.コストアプローチ

インカムアプローチとは、事業が将来生み出すと予測されるキャッシュフローをもとに事業の価値を計算する方法です。

多くの場合、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)で計算をします。

DCF法とは、事業が将来生み出す価値をフリーキャッシュフローで推測し、資本コストで割り引く方法です。

将来生み出す利益を反映することが出来るため、事業の売却価格を決める時によく使われます。

算出方法2.インカムアプローチ

マーケットアプローチとは、上場企業の場合は市場株価を基礎とし、非上場会社の場合は上場している同業他社をもとに事業の価値を算出する方法です。

業種など類似した上場企業と財務諸表で対比率を出し、時価総額に倍率をかけて算出します。

ただし、倍率によって大きく事業の価値が変動するので注意が必要です。

第三者にも説明できる倍率の根拠を示さなければなりません。

一方で手早く事業の価値を算出することが出来るので、事業売却をする時にどれくらいの価格になるか目安を知ることができます。

算出方法3.マーケットアプローチ

コストアプローチとは、事業が保有している純資産をもとに、事業の価値を算出する方法です。

コストアプローチの中でも3つの算出方法があります。

  1. 貸借対照表上の純資産額を株主価値とする簿価純資産額法
  2. 貸借対照表の資産と負債を時価評価した上で時価純資産額を算出した後、その額を株主価値とする時価純資産額法
  3. 時価純資産額と営業権の合計を株主価値とする時価純資産額と営業権を考慮した算出方法

これらの方法には、将来性を考量していなかったり、時価評価額を考慮していないというデメリットがあります。

そのため、事業売却では、ほとんどコストアプローチは使われません。

一般的には、企業の清算や相続評価をするときに使われる方法です。

6.事業売却を高い価格で実行するための条件

事業の売却価格を決める方法をご紹介しました。

しかし、せっかく事業売却をするなら、出来るだけ高い価格で売却をしたいですよね。

そこで、事業の価値を高めつつ、事業を高い価格で売却するための条件をご紹介します。

意識して経営をするだけで価格が変わるため、しっかり確認しましょう。

条件1.事業の利益が出ている

事業の利益が出ている

売却したい事業が利益を出していることは、売却額を引き上げる大きな要素です。

過去から安定して利益を生み出しており、今後も継続できる事業だと判断されれば「投資したい」と買い手企業は思います。

そのために、しっかりと売り上げを伸ばし、無駄な経費を削ることが大切です。

「今後どれくらいの収入が見込めるのか」をしっかりとアピールしましょう。

条件2.安定した経営基盤が築けている

常に健全な法務・財務状況であることを目指しましょう。

なぜなら、少しでもリスクが見えると売却額は大幅に引き下げられてしまうからです。

  • 訴訟問題を抱えていないか
  • 取引先との契約に問題がないか
  • 会計処理が適正に行われているか
  • 簿外債務がないか

買い手企業は、事業を買収する前に必ず以上のような項目をチェックします。

そのため、常に健全な法務・財務状況であることを維持しましょう。

条件3.無形資産価値を高める

無形資産価値を高めることで、事業の価値も向上します。

無形資産とは、目に見えない資産のことです。

たとえば、特許権のある技術や、営業能力の高い従業員のことを指します。

もちろん収益を伸ばしたり預金や不動産などの資産があると会社の価格は上がるものです。

しかし、目に見えない無形資産にどれだけ高い価格が付くのかが売却価格に大きな影響を与えます。

条件4.シナジー効果の高い企業へ売却する

シナジー効果の高い企業へ売却しましょう。

シナジー効果とは、2つの事業が一緒になることで1+1以上の結果が生まれる相乗効果のことです。

例えば、商品力が強いA社の事業と営業力が強いB社が事業売却で1つの企業になると仮定しましょう。

A社の商品力とB社の営業が融合することで、より良い商品を沢山の人に売ることができます。

このように、A社とB社が単独で生まれる利益よりも高い売り上げを上げることが「シナジー効果」です。

シナジー効果の高い企業へ事業売却すると、当然売却価格は高くなります。

どのような会社に売却するべきか、必ずM&Aの専門家へ相談しましょう。

※シナジー効果についは、『シナジー効果とは?正しい意味とM&Aでシナジー効果を生み出すコツ』で詳しく説明しています。

7.事業売却をするならM&A仲介会社に相談しよう

事業売却をするならM&A仲介会社へ相談することをおすすめします。

4つの理由を確認しましょう。

理由1.シナジー効果のある買い手企業を紹介してくれる

M&A仲介会社へ相談すると、シナジー効果のある買い手企業を紹介してくれます。

M&A仲介会社は、全国の銀行や証券会社、公認会計士とのネットワークを豊富に持っているものです。

そのため、自社だけのネットワークで事業売却を検討するよりも、たくさんの候補の中から買い手企業を選定することができます。

さらに、「Aという会社は御社のような技術を求めている」など、ビジネス情報も持っているのです。

このように、たくさんのネットワーク・情報から、あなたの企業とシナジー効果の高い買い手企業を紹介してくれます。

そのため、高い価格での事業売却が期待できるのです。

理由2.さまざまなケースを想定して交渉してくれる

M&A仲介会社に相談することで、さまざまなケースを想定して買い手企業と交渉してくれます。

事業売却において、売却価格は1つの条件に過ぎません。

ほかにも、売却の範囲や経営者の処遇など、さまざまな条件を決定していきます。

そんな中、買い手企業と主張が異なる場面がたくさん出てくるはずです。

感情的に主張をすると、事業売却自体話がなくなってしまうかもしれません。

妥協すべきポイントや守るべき条件をアドバイスしてもらいながら、事業売却を成立させることが出来るのです。

理由3.事業の価値算定してくれるので売却価格が予測できる

M&A仲介会社へ相談すると、はじめに事業の価値算定を行ってくれます。

そのため、おおよその売却価格が予測できるのです。

今までに事業の価値算定をしたことのない企業にとって、自社でおおよその売却価格を算出することは容易ではありません。

M&A仲介会社へ相談をすると、ほとんどの場合、相談時に無料で事業の価値算定をしてくれます。

もちろん、財務諸表などの書類を提出しなければなりません。

しかし、買い手企業との交渉を始める前に、リアルな売却価格を予測できることは大きなメリットです。

実際に買い手企業との交渉が始まり、予測から大幅に下回っていても根拠を述べながら指摘することができます。

言い値で事業を売却をしないためにも、事業の価値算定をM&A仲介会社に行ってもらいましょう。

【補足1】事業売却における会計処理と仕訳

事業売却をしたときに会計処理をどのように行うのか気になりますよね。

売り手企業側の仕訳と買い手企業の仕訳をそれぞれ確認していきましょう。

売り手企業の資産 700万円
売り手企業の負債 200万円
売却価格 800万円

以上のような事業売却があった場合の仕訳例をそれぞれ確認していきます。

補足1-1.売り手企業の仕訳例

借方 貸方
現金預金 800万円 譲渡資産 700万円
譲渡負債 200万円 事業譲渡益 300万円

売り手企業の仕訳例を見てみましょう。

表のように資産-負債と売却価格の差額を、事業譲渡益として認識します。

補足1-2.買い手企業の仕訳例

 借方   貸方
 譲受資産  700万円  譲受負債  200万円
 のれん  300万円 現金預金  800万円

次に買い手企業の仕訳例を見てみましょう。

表のように、資産-負債と売却価格の差額を、のれんとして認識します。

売り手企業では「事業譲渡益」としていたものを買い手企業では「のれん」と表記することをおぼえておきましょう。

のれんの概念については、『のれんとは?意味や会計処理方法について具体例を挙げながら徹底解説』で詳しく説明しています。

【補足2】事業売却で発生する税金

事業売却をしたとき、事業を売却した売り手企業には税金が発生します。

事業を売却する行為は、商品やサービスをを売る行為と同じだと考えられるからです。

事業売却の場合、法人が売却の対価を受け取ることになるため、法人税が発生します。

法人税の額は、譲渡益×15~23.2%です。

補足2-1.譲渡益とは

譲渡益とは、売却価格から会社の純資産や必要経費を差し引いた額のことです。

以下のような計算式で算出することができます。

譲渡益=売却価格ー(会社の純資産+必要経費)

売却価格とは、事業売却によって得た対価のことを指します。

会社の純資産と必要経費を差し引くと、譲渡所得(譲渡益)を算出することが可能です。

補足2-2.法人税の税率

法人税の税率は、15~23.2%程度となっています。

実は、法人によって税率が異なるのです。

法人税率は、比例課税方式が採用されていて、一律で23.2%となります。

しかし、平成30年4月より税法が改正されたため中小法人の税率は所得金額によって税率が異なるのです。

資本金または出資金が1億円以下の場合、軽減税率が適用されるようになりました。

資本金または出資金が1億円以上 23.2%
資本金または出資金が1億円未満
かつ所得金額800万円以上
23.2%
資本金または出資金が1億円未満
かつ所得金額800万円未満
15%

上の表のように、資本金または出資金が1億円未満の場合、2段階課税方式となっています。

事業売却によって発生する税金に関しては、必ず専門家である税理士に相談しましょう。

また、もっと詳しく税金のことを知りたい人は『【会社売却で発生する税金の全知識】節税するコツまで徹底解説!』の法人が対価を受け取った場合を参考にして下さい。

まとめ

事業売却とは、文字通り自社の事業を第三者へ売却すること

メリットや手続きの流れ、注意点を理解し、事業売却するべきか判断しましょう。

また、事業売却をするのであれば、M&A仲介会社へ相談することをおすすめします。

賢くM&A仲介会社を活用し、より高い価格で事業売却を成功させましょう。