事業売却の相場って?高く売る5つの条件と価格の決め方を分かりやすく解説

事業売却の相場についてお調べですね。

残念ながら、事業売却をするときの相場は〇円と言い切ることが出来ません。

なぜなら、事業の生み出す利益や持っている資産・負債が会社ごとに大きく異なるからです。

しかし、事業売却の事例や売却価格の算出方法を確認することで、事業売却したときの価格を予想することができます。

さらに、高い価格で売却するための条件もご紹介。

せっかく自分の手で大きくした事業です。

出来るだけ高い価格で事業売却をし、手元に資金を残しましょう。

1.事業売却の事例から相場を見てみよう

事業売却をするときの相場は、一概に〇円と言い切ることが出来ません。

なぜなら、事業の生み出す利益や持っている資産・負債が事業ごとに大きく異なるからです。

しかし、実際にどのような企業がいくらで売れているのか過去の会社売却の事例を2つ確認してみましょう。

自社が当てはまる事例がないか、チェックしてみて下さい。

事例1.配送事業を6億円で事業売却

売り手企業(A社) 買い手企業(B社)
  • インターネット通信業
  • 対象事業:配送事業
  • 売上高:2億円
  • 売却価格:6億円
  • ECサイト事業
  • 売上高:100億円

売り手企業A社はインターネット通信業をメインに、いくつかの事業を経営していました。

好調に業績を伸ばしていましたが、配送事業だけは低迷が続いていたのです。

そこで、配送事業だけを事業売却することに決めました。

一方、買い手企業B社はECサイト事業を運営。

顧客への配送を大手企業に委託していたため、運送費が膨大に膨れ上がっていることを懸念していたのです。

そんなときにM&A仲介会社からB社へアプローチがありました。

B社は配送事業の買収に大きなメリットを感じ、すぐに話が進んでいきました。

結果的に、6億円で事業売却が決定したのです。

事例2.ウェディング関連レンタル事業を3億円で事業売却

売り手企業(C社) 買い手企業(D社)
  • ウェディング関連事業
  • 対象事業:ウェディング関連レンタル事業
  • 売上高:8,000万円
  • 売却価格:3億円
  • ウェディング関連レンタル事業
  • 売上高:10億円

売り手企業C社は、ウェディング関連事業を行っていました。

事業の1つにウェディング関連レンタル事業も運営していましたが、ウェディング会場の地域拡大に力を入れるため、売却を決意。

一方買い手企業D社は、ウェディング関連レンタル事業の大手企業です。

エリア拡大・レンタル用品の拡充を計画していたD社はC社の事業売却案件を知り、積極的にアプローチ。

無事に3億円で事業売却が決まり、C社は獲得した資金をウェディング会場運営事業へ投入できたのです。

また、D社は予想通りのシナジー効果を発揮しました。

2.事業価値を評価する3つの方法

事業価値の評価方法を知ることで、売却価格を予想することができます。

事業価値を評価する3つの方法を確認しましょう。

方法1.インカムアプローチ

インカムアプローチとは、企業が将来生み出すと予測されるキャッシュフローをもとに企業価値を計算する方法です。

多くの場合、DCF法(ディスカウンテッド・キャッシュ・フロー法)で計算をします。

DCF法とは、会社が将来生み出す価値をフリーキャッシュフローで推測し、資本コストで割り引く方法です。

将来生み出す利益を反映することが出来るため、M&Aの売却価格を決める時によく使われます。

方法2.マーケットアプローチ

マーケットアプローチとは、上場企業の場合は市場株価を基礎とし、非上場会社の場合は上場している同業他社をもとに企業価値を算出する方法です。

業種など類似した上場企業と財務諸表で対比率を出し、時価総額に倍率をかけて算出します。

ただし、倍率によって大きく企業価値が変動するので注意が必要です。

第三者にも説明できる倍率の根拠を示さなければなりません。

一方で手早く企業価値を算出することが出来るので、会社売却をする時にどれくらいの価格になるか目安を知ることができます。

方法3.コストアプローチ

コストアプローチとは、企業が保有している純資産をもとに、企業価値を算出する方法です。

コストアプローチの中でも3つの算出方法があります。

  1. 貸借対照表上の純資産額を株主価値とする簿価純資産額法
  2. 貸借対照表の資産と負債を時価評価した上で時価純資産額を算出した後、その額を株主価値とする時価純資産額法
  3. 時価純資産額と営業権の合計を株主価値とする時価純資産額と営業権を考慮した算出方法

これらの方法には、将来性を考量していなかったり、時価評価額を考慮していないというデメリットがあります。

そのため、M&Aでは、ほとんどコストアプローチは使われません。

一般的には、企業の清算や相続評価をするときに使われる方法です。

3.事業を相場より高い価格で売却するポイント

せっかく事業売却するのであれば、出来るだけ高く売りたいですよね。

事業を相場より高い価格で売却するためには5つのポイントがあります。

1つずつ詳しく確認しましょう。

ポイント1.収益をたくさん出す

売却したい事業が利益を出していることは、売却額を引き上げる大きな要素です。

過去から安定して利益を生み出しており、今後も継続できる事業だと判断されれば「投資したい」と買い手企業は思います。

そのために、しっかりと売り上げを伸ばし、無駄な経費を削ることが大切です。

「今後どれくらいの収入が見込めるのか」をしっかりとアピールしましょう。

ポイント2.安定した経営基盤が築けている

常に健全な法務・財務状況であることを目指しましょう。

なぜなら、少しでもリスクが見えると売却額は大幅に引き下げられてしまうからです。

  • 訴訟問題を抱えていないか
  • 取引先との契約に問題がないか
  • 会計処理が適正に行われているか
  • 簿外債務がないか

買い手企業は、M&A前に必ず以上のような項目をチェックします。

そのため、常に健全な法務・財務状況であることを維持しましょう。

ポイント3.無形資産価値を高める

無形資産価値を高めることで、企業価値も向上します。

無形資産とは、目に見えない資産のことです。

たとえば、特許権のある技術や、営業能力の高い従業員のことを指します。

もちろん収益を伸ばしたり預金や不動産などの資産があると事業の価格は上がるものです。

しかし、目に見えない無形資産にどれだけ高い価格が付くのかが売却価格に大きな影響を与えます。

無形資産価値の高め方については、次の章で詳しく説明していきます。

ポイント4.シナジー効果の高い企業へ売却する

シナジー効果の高い企業へ売却しましょう。

シナジー効果とは、2つの企業が一緒になることで1+1以上の結果が生まれる相乗効果のことです。

例えば、商品力が強いA社と営業力が強いB社がM&Aで1つの企業になると仮定しましょう。

A社の商品力とB社の営業が融合することで、より良い商品を沢山の人に売ることができます。

このように、A社とB社が単独で生まれる利益よりも高い売り上げを上げることが「シナジー効果」です。

シナジー効果の高い企業売却すると、当然売却価格は高くなります。

どのような会社に売却するべきか、必ずM&Aの専門家へ相談しましょう。

※シナジー効果についは、『シナジー効果とは?正しい意味とM&Aでシナジー効果を生み出すコツ』で詳しく説明しています。

ポイント5.売りたい事業だけを子会社化する

売りたい事業だけ子会社化して売却することも1つの手段です。

実は、同じ内容の資産・負債を売却したとしても、事業売却より会社売却の方が相場は高くなります。

なぜなら、会社の資産を全て取引するからです。

買い手企業は、必要なモノや情報、従業員も全て手に入れられます。

一方、事業売却だと、売り手企業が「売りたくない」と言って社内に事業の一部を残そうとすることもあるのです。

そうなると、買い手企業のメリットは少なくなります。

しかし、会社として売却することで売却価格が上がる可能性があるのです。

また、売却をする前に売りたい事業だけを子会社化することで、売り手企業はそのまま存続できます。

子会社を売却するなら、『子会社売却の10ステップを分かりやすく解説!事例や節税方法まで』に詳しく解説しているので参考にして下さい。

4.要注意!事業売却価格はまるまる手に入らない

ここまで事業の売却価格を上げるための方法をご紹介してきました。

しかし、残念ながら事業の売却価格をまるまる手にすることは出来ません。

なぜなら、事業売却には経費と税金が発生するからです。

最終的に手元に残る金額は以下のように計算しましょう。

手元に残る金額=売却価格-(M&A仲介会社への報酬費用+税金)

それぞれどれくらいの費用が掛かるのか確認しましょう。

経費1.M&A仲介会社への報酬費用

経費の中で一番大きな金額となるのが、M&A仲介会社への報酬費用です。

ほかにも細々とした経費は発生するかもしれませんが、M&A仲介会社の報酬費用はかなり大きな金額となります。

一般的に、M&A仲介会社の報酬は着手金・中間金・成果報酬・リテイナーフィーの4つです。

それぞれどのような報酬なのか確認しましょう。

(1)着手金・中間金

着手金や中間金の相場は、100万円~300万円程度です。

着手金とは、M&A仲介会社に業務をしてもらうための費用のことを指します。

始めに着手金を払わなければ、M&Aの仕事をしてくれません。

着手金は、会社の総資産の5%程度が目安といわれています。

また、中間金とは基本合意契約を結んだ段階で一度支払う費用です。

着手金と同じくらいの費用を再度支払うことを認識しておきましょう。

ただし、M&A仲介会社によっては着手金も中間金も無料の場合があります。

(2)成果報酬

成功報酬の費用は、譲渡価格によって大きく変動します。

成功報酬とは、M&Aの仲介業務を依頼してM&Aが成立したタイミングで支払われる料金です。

この成功報酬は、M&Aが成立しなければ支払う必要はありません。

成功報酬はレーマン方式基準を採用している弁護士事務所が多いです。

レーマン方式とは弁護士事務所やM&Aコンサル会社で使われる成功報酬の計算方法です。

以下のように、譲渡価格に応じて報酬料率が異なります。

譲渡価格 報酬料率
譲渡価格が5億円までの部分 5%
譲渡価格が5億円超え・10億円未満の部分 4%
譲渡価格が10億円超え・50億円未満の部分 3%
譲渡価格が50億円超え・100億円未満の部分 2%
譲渡価格が100億円を超える部分 1%

仮に、譲渡価格が12億円だったとします。

このときの成果報酬は以下の通りです。

  1. 5億円×5%=2,500万円
  2. 5億円(5億円~10億円の部分)×4%=2,000万円
  3. 2億円(10億円~12億円の部分)×3%=600万円

これらを合計した5,100万円が成功報酬の料金となります。

(3)リテイナーフィー

リテイナーフィーとは、毎月コンサルタント料として決まった月額を支払う費用のことです。

相場は、30万円~200万円/月といわれています。

ただし、リテイナーフィーを支払う場合、着手金や中間金が不要というケースも多いです。

もちろん、全て支払いが必要なM&A仲介会社もあるので注意しましょう。

経費2.譲渡益に対する税金

事業譲渡で事業売却した場合、譲渡益に対して税金が発生します。

対価の受取人は会社のため、法人税の支払いが必要です。

さらに8%の消費税を支払わなければなりません。

事業譲渡を実施したときに課税される税金は、全て国税となります。

(1)譲渡益の算出方法

まず、譲渡益を算出していきましょう。

譲渡益とは、事業売却価格から経費などを差し引いた利益の部分です。

  • 売却価格12億円
  • M&A仲介手数料 5,500万円
  • その他交通費などの経費 4,500万円

以上のような条件だったとしましょう。

譲渡益=12億円ー(5,500万円+4,500万円)=11億円

譲渡益は11億円となります。

(2)法税の算出方法

法人税は、譲渡益×19%~23.2%程度です。

法人税は企業によって税率が異なるため、社内で確認しましょう。

もし、23.2%だった場合は以下のような計算となります。

法人税=11億円×23.2%=2億5520万円

(3)消費税の算出方法

消費税は、2019年3月現在一律8%と定められています。

そのため、消費税は以下のように計算できます。

消費税=11億円×8%=8,800万円

以上が事業売却にかかる費用です。

事業売却をしても、売却価格全てが手元に残るわけではないので注意しましょう。

事業売却で発生する税金については、『【会社売却で発生する税金の全知識】節税するコツまで徹底解説!』で詳しく解説しています。

6.まずはM&A仲介会社へ相談しよう

事業売却を検討しているのであれば、まずはM&A仲介会社に相談をしましょう。

経営者だけで事業売却することは、非常に困難です。

しかし、M&A仲介会社にはM&Aのプロであるコンサルタントがいます。

コンサルタントと一緒に事業を売るための戦略を考え、スケジュールを立てていきましょう。

M&A仲介会社に相談すべき理由は3つあります。

1つずつ確認していきましょう。

理由1.専門家のサポートで安心できる

M&A仲介会社に相談することで専門家のサポートを受けることができます。

事業売却するためには、会社の法務・税務・会計などさまざまな専門知識が不可欠です。

M&A仲介会社はこのような専門家とのネットワークを必ず持っています。

そのため、各方面からのアドバイスを受けることが出来るのです。

特に、契約を締結する際に必要な契約書の記載内容には弁護士のチェックが欠かせません。

事業売却をした後にトラブルが起きたとき、賠償責任は契約書の内容が判断基準となるからです。

M&A仲介会社に相談することで会社の法務・税務・会計に詳しい専門家からアドバイスをもらえるため、安心できます。

理由2.適切な相手企業を提案してくれる

M&A仲介会社に相談することで、適切な相手企業を数社提案してもらえます。

事業売却で一番大変なことが適切な買い手企業を探すことです。

M&A仲介会社は、全国に広いネットワークを持っています。

そのため、自社だけでは探せないような買い手企業情報を提案してくれるのです。

事業を売却するときには、売却価格などさまざまな条件があると思います。

その条件に最も合う買い手企業を紹介し、アプローチしてくれるのです。

このようにM&A仲介会社に相談することで、買い手企業が見つけやすくなります。

理由3.本業に集中することができる

M&A仲介会社に相談することで、経営者は本業に集中することができます。

事業売却するためには、買い手企業探し・企業評価・提案書の作成・契約締結のための交渉など、さまざまな業務をこなさなければなりません。

その間、本業の経営を疎かにしてしまうと売上げが下がる恐れがあります。

売上げが下がると売却価格も低くなる可能性もあるのです。

しかし、M&A仲介会社に業務を依頼することで経営者の負担が軽減されます。

もちろん、丸投げすることは出来ませんが、段取りを汲んだりやスムーズに行うためのアドバイスをもらうことができます。

賢くM&A仲介会社を活用し、本業に支障をきたさないように子会社を売却しましょう。

まとめ

事業売却の相場は一概に言い切ることが出来ません。

しかし、できるだけ高い価格で売却するために企業価値を高めておきましょう。

また、事業売却をするならM&A仲介会社へ相談することは必須です。

ただし、M&A総合研究所のような着手金のない完全成功報酬型の仲介会社を選び、出来るだけ経費を少なくすることも大切となります。

せっかく事業売却をするなら、出来るだけ高い価格で会社売却をして手元にお金を残しましょう。