赤字・債務超過の会社売却は可能? 成功ポイントやバリュエーションは?

赤字・債務超過の会社売却は可能? 成功ポイントやバリュエーションは?
自分の会社は赤字だから、債務超過しているからと、会社売却を躊躇するケースは少なくないでしょう。しかし、赤字・債務超過であっても、ポイントを押さえれば会社売却は可能です。
 
本記事では、赤字・債務超過の会社が会社売却を行う方法や、ポイントなどについて解説していきます。

赤字・債務超過の会社とは

赤字・債務超過の会社とは
 
赤字と債務超過を同じような意味で使っている人も少なくありませんが、赤字と債務超過は違う状態を表す言葉です。
 
赤字とは、決算で支出が収入を超えた状態のことです。一方、債務超過とは負債が資産を超えた場合を指します。
 
赤字・債務超過の会社は、必ずしも悪い経営状態であるとは限りません。というのは、会社のさらなる成長のために投資を行った結果として、債務超過になっているケースもあるからです。
 
また、成長性の高い事業を営んでいるスタートアップが、まだマネタイズできる段階に至っていないことから赤字決算になっているケースもあります。
 
また、赤字・債務超過から脱するための解決法は明確になっているものの、資金や人手、時間が足りずに脱することができていないケースも少なくありません。
 
これらのケースの場合はすぐに買い手が現れることも多く、会社売却後に買い手の経営資源を活用することで、経営状態が比較的短期間で改善されることもあります。

赤字・債務超過の会社売却は可能?

赤字・債務超過の会社売却は可能?
 
赤字・債務超過の会社でも、会社売却は可能です。ただし、会社売却の際は、どのような買い手企業や会社売却の専門家を選ぶかが重要なポイントとなります。

買い手企業に理解があること

赤字・債務超過で会社売却を行うには、買い手企業が赤字・債務超過の会社を買収することに理解があり、適切な対処ができることが重要です。具体的には、以下の点が買い手企業に求められます。
  1. 売り手企業を見極める目 
  2. 買収後の対応

1.売り手企業を見極める目

赤字・債務超過の会社売却を成功させるには、買い手企業が的確に売り手企業の魅力を分析・把握できるかが大事なポイントです。
 
同じ赤字・債務超過の会社でも、赤字・債務超過になっている原因によっては大きなマイナス要因にはならず、むしろ買い手にとって魅力を持った会社を割安な価格で買えるチャンスにもなります。

2.買収後の対応

赤字・債務超過の会社が買い手に魅力を感じてもらうには、買収後の対応が大事になってきます。
 
買い手は、赤字・債務超過の会社に対して、買収後さまざまな経営改善策を練っています。しかし、売り手側の会社が改革に協力的でなければ、改善策は成功しません。
 
まずは、売却交渉の際に会社を立て直したいという姿勢をみせ、前向きな話し合いを行うことが大切です。
 
特に、売り手側の会社はそれまでのプライドやこだわりを、いかに捨てることができるかも成否を左右します。

相談した専門家の経験

赤字・債務超過で会社売却に成功するには、M&Aの専門家選びや専門家の上手な活用も大切なポイントになります
  1. 過去の経験による遂行能力 
  2. 企業価値を見出す能力
  3. 売却交渉までに経営を良くするアドバイス

1.過去の経験による遂行能力

売り手側の経営者は、赤字・債務超過の自社を売却するということを誰にも相談できないまま、悩んでいるケースも多いものです。
 
そのため、なかなか具体的な行動を起こせないまま時間ばかりが過ぎ、さらに会社売却をしにくくなっていくという悪循環に陥ることがあります。
 
 
豊富な経験を持ったM&Aの専門家は、そのような経営者の孤独な悩みを理解し、的確なサポートを行うことができます。
 
また、法務や会計・税務といった専門知識から、それまで経験してきたさまざまな業種の知識まで、幅広い知識と経験を持つ専門家は、マニュアル通りではない柔軟な対応も得意とします。
 
さらに、幅広い専門家ネットワークも持っているので、必要に応じて適切な専門家の協力を受けることができる点も経験豊富なM&A専門家の強みです。

2.企業価値を見出す能力

買い手に赤字・債務超過の会社の企業価値を認識してもらうには、まずサポートしてもらうM&Aの専門家が企業価値を見出して、適切に買い手へアピールできることが大切です。
 
そのうえで、M&Aの専門家が赤字・債務超過の会社に企業価値を見出してくれる買い手を見つけるためのネットワークを持っているかもポイントとなります。
 
買い手は買収によって、さらなる成長のためのシナジー効果を得ることを期待しています。なるべく短期間でシナジー効果を得るのであれば、黒字で資産超過の会社を選んだほうがよいと判断する買い手企業もあるでしょう。
 
赤字・債務超過で会社売却を行うのであれば、赤字で債務超過でも中長期で見れば高いシナジー効果が得られると買い手に判断してもらえるような、企業価値の創出ができるM&Aの専門家によるサポートが必要です。

3.売却交渉までに経営を良くするアドバイス

M&Aの専門家は豊富な専門知識を持ち、さまざまな業種の売買や経営者に触れてきています。
 
そのため、M&Aの専門家にはただ会社の売買をサポートするだけでなく、経営コンサルタントとしての役割も期待されることが多いです
 
実際に、相談する専門家によっては、会社売却の前に会社の現状分析と企業価値の向上アドバイスを丁寧に行うこともあり、そのような専門家を選ぶと心強いでしょう。
 
また、経営状態をよくするためのアドバイスを実行に移すためにも、期間に余裕を持ってM&Aの専門家に相談することをおすすめします。
 

赤字・債務超過の会社売却のメリット

赤字・債務超過の会社売却のメリット
 
売り手側が赤字・債務超過の会社を売却するメリットとして、売却益が得られる点が挙げられます。
 
赤字・債務超過が原因で廃業した場合、資産を売り払ったとしても手に入るお金は限られたものになります。
 
しかし、会社売却による売却であれば、廃業よりも多くのお金が得られる可能性は高いでしょう。
 
会社売却によって取得したお金は、借金の返済や会社売却後の生活資金として使ったり、次の事業へチャレンジすることも不可能ではありません。
 
また、赤字・債務超過でも、会社売却することにより、従業員や取引先などを守ることもできます。会社が倒産してしまっては、従業員の生活にまで大きな影響を与えることになります。
 
しかし、会社売却であれば雇用が維持されるだけでなく、場合によっては雇用条件がよくなる可能性もあります。

赤字・債務超過の会社売却の注意点

赤字・債務超過の会社売却の注意点
 
赤字・債務超過の会社を売却する際は、負ののれんに注意が必要です。負ののれんとは、会社売却の価格が、会社の資産から負債を引いた純資産額よりも低くなるケースのことを指します。
 
負ののれんが発生するということは、理論上は会社を清算して手に入るお金よりも安いお金で会社を売却するということです。
 
つまり、実際の企業価値よりも低く見積もっているということなので、債権者や株主から訴えられる可能性が出てきます。
 
裁判所に訴えられると、会社売却自体が止められてしまったり、賠償金の支払いを求められたりするかもしれません。
 
また、赤字・債務超過の会社を売却する際は、買い手に対して提供している情報に間違いや嘘がないか、丁寧に証明する必要があります。
 
買い手からすると、債務超過がある会社を買収することはリスクが伴うので、買い手側の株主や債権者にも納得してもらわなければなりません。
 
そのため、売り手は買い手に提供する情報に間違いがあってはならず、詳細な情報提供が必要です。
 

赤字・債務超過の会社売却を成功させるポイント

赤字・債務超過の会社売却を成功させるポイント
 
赤字・債務超過の会社売却を成功させるには、以下のポイントを押さえる必要があります。
  1. 優秀な人材・技術・ノウハウ・資産を持っている
  2. 優れた特許・権利を保有している
  3. 継続した取引先を持っている
  4. 事業の収益性が良い
  5. セルフアピールをうまく展開する

1.優秀な人材・技術・ノウハウ・資産を持っている

優秀な人材・技術・ノウハウ・資産を持っていると、赤字・債務超過の会社売却成功率は上がります。
 
有限会社テクノフュージョンは、自動車用のシステム開発を行う会社ですが、債務超過に陥っていました。
 
しかし、テクノフュージョンの高い技術力と人材に企業価値を見出したIT関連企業のSYSホールディングスは、テクノフュージョンの株式を取得して子会社化しています。
 
SYSホールディングスのように、あえて赤字・債務超過の会社を買収し立て直すことで、優秀な人材・技術・ノウハウ・資産を有効活用しているケースもみられます。

2.優れた特許・権利を保有している

赤字・債務超過であっても、優れた特許・権利を保有していることに、価値を見出す買い手が現れることもあります。
 
エイチ・エスライフは、少額短期保険業者として経営を続けていましたが、創業当初から赤字が続いていました。
 
しかし、商品先物事業を営むフジトミが、エイチ・エスライフ少額短期保険を子会社化し、少額短期保険業者としての営業を開始しています。

3.継続した取引先を持っている

赤字・債務超過の会社であっても、安定した取引先や顧客を持っていることに魅力を感じて感じる買い手が現れることもあります。
 
和装品事業などを営む堀田丸正は、当時赤字が続いており事業立て直しを進めていましたが、なかなか成果が出ない状況でした
 
しかし、2017年にジム運営などを行うRIZAPグループが堀田丸正を買収し、ほかのグループ子会社化とのシナジー効果により黒字化に成功しています。
 
親会社となったRIZAPグループは、その後業績の改善に苦心していますが、堀田丸正は順調に経営状態を改善させています。

4.事業の収益性が良い

債務超過でも収益性の高さを秘めている場合、買い手がその収益力を手に入れるために、買収を行うケースは少なくありません。
 
ニッセンホールディングスは、カタログ通販大手として業界を牽引してきましたが、近年はインターネット通販会社の台頭により厳しい経営を強いられていました。
 
しかし、ニッセンは赤字続きではあるものの、高い売上高を上げていることから、経営体質を改善すれば高いシナジー効果が得られるとセブン&アイホールディングスは判断し、ニッセンを子会社化しました。
 
その結果、ニッセンは2019年2月期の決算で2013年から続いた赤字を脱し、実質黒字化を達成しています。

5.セルフアピールをうまく展開する

赤字・債務超過の会社売却では、自社をいかにうまくアピールするかが重要です。特に赤字・債務超過になりやすいベンチャー企業の場合は、アピール力が鍵を握ります。
 
即時買取サービスで話題となったBANKは、創業から間もないうちに70億円という破格の売却額でDMMの子会社となりました。
 
BANKの創業者は、インパクトのあるサービスと各種メディアでの興味を引く発言によって、各方面から注目を浴びていました。
 
BANKは、創業間もないことから財務状況はよくなかったものの、そのビジネスモデルと経営者の魅力に価値を見出したDMMによって買収されています。なお、その後BANKは、DMMグループから抜け、会社も解散することになっています。
 

赤字・債務超過の会社売却が上手くいくセルフアピール方法

赤字・債務超過の会社売却が上手くいくセルフアピール方法
 
赤字・債務超過の会社が会社売却を成功させるには、以下の方法でアピール力を高める必要があります。
  1. 自社の強みを資料としてまとめる 
  2. 売却交渉前までに経営を良くする
  3. 業界の需要に即して売却を検討する

1.自社の強みを資料としてまとめる

赤字・債務超過の会社売却では、赤字や債務超過のない会社以上に強みのアピールが重要です。黒字で資産超過の会社であれば、それ自体がアピールポイントとなり買い手が付きやすくなります。
 
しかし、財務状態でハンディを背負っている会社は、赤字・債務超過があってもなお買い取りたいと思ってもらえる強みのアピールをしなければなりません。
 
買い手によって求める強みは異なるため、買い手の状況に合わせて、自社を買収することでどのようなシナジー効果が得られるかをまとめる必要があります。
 
中小企業の場合、自社の強みを裏付けるようなデータをとっていないことも少なくありません。会社売却を検討する際は、M&Aの専門家に依頼するなどして、あらかじめデータの収集と分析・整理をしておくことが大切です。

2.売却交渉前までに経営を良くする

赤字・債務超過の会社売却は、黒字・資産超過の会社よりも不利なので、売却交渉前までに経営状態をできる限り改善しておくに越したことはありません。
 
優れたM&Aの専門家は、経営コンサルタントとしての役割も果たします。赤字・債務超過状態での会社売却を検討し始めたら早めに専門家に相談し、できる限りの経営改善を行っておく必要があります。
 
なかには、会社売却に向けた経営改善が功を奏して、会社売却自体が必要なくなったケースもみられます。

3.業界の需要に即して売却を検討する

会社売却の際に買い手がつくかどうかは、会社へのニーズだけでなく、業界のニーズや社会の経済動向なども影響します。
 
会社売却はタイミングが重要といわれており、魅力のある会社でも売却タイミングが社会のニーズに合っていなければ、買い手が付かないことも少なくありません。
 
会社売却の準備に早すぎるということはないので、業界のニーズが高いタイミングが来たときに会社売却ができるよう、計画的に準備しておくことが重要です。
 

赤字・債務超過の会社のバリュエーション方法

赤字・債務超過の会社のバリュエーション方法
 
赤字・債務超過の会社のバリュエーション(企業価値評価)では、以下の方法が用いられます。
  • 時価純資産法 
  • 類似会社比較法
  • DCF法

時価純資産法

時価純資産法は、直近のバランスシートの資産と負債を時価に置き換えてバリュエーションを評価する方法です。つまり、時価純資産法は「今」の会社価値を評価するために用いられます。
 
時価純資産法は会社売却時点での会社の資産価値を出すことに特化しているので、その会社が将来どれだけお金を生み出すかは考慮されていません。
 
そのため、実際の算定では、営業権(のれん)も考慮しながら計算する必要があります。

類似会社比較法

類似会社比較法は、会社売却を実施する会社と事業内容や会社規模が同じような会社を選び出し、比較することでバリュエーションを評価する方法です。
 
適切な類似会社を選び出すことができれば評価の効果が高く、専門家でなくてもわかりやすい点が強みです。
 
しかし、多くが非公開会社である中小企業の場合、適切な類似会社を選び出すことは簡単ではありません。
 
そのため、類似比較法はあまり用いられなかったり、ほかの評価方法と組み合わせることで、参考データのひとつとして用いられたりすることがほとんどです。

DCF法

DCF法は、キャッシュフロー計算書や資金繰り表などから将来のキャッシュフローを導き出し、現在の価値に割り引くことでバリュエーションを評価する方法です
 
バリュエーションのなかでも有効な方法ですが、計算は複雑で算定する専門家によっても算定結果が変わります。
 
中小企業の場合、キャッシュフロー計算書や資金繰り表を整理していないケースも多いですが、会社売却を検討しているのであれば作成しておいたほうがよいでしょう。

赤字・債務超過の会社売却の際の相談先

赤字・債務超過の会社売却の際の相談先
 
赤字・債務超過の会社売却は、黒字・資産超過の会社に比べて不利ではありますが、適切に準備を行えば売却機会は訪れます。
 
そのためには、赤字・債務超過の会社売却を適切に行えるM&Aの専門家に相談する必要があります。
 
M&A総合研究所では、M&A専門の会計士と弁護士が会社売却をサポートするので、赤字・債務超過の会社売却でも最適なサポートが可能です。
 
手数料は会社売却が完了するまで支払いが発生しない完全成功報酬制となっているので、最後まで安心してお任せいただけます。
 
ご相談は無料で随時受け付けておりますので、赤字・債務超過の会社売却をご検討の際はお気軽にご相談ください。
 

まとめ

まとめ
 
本記事では、赤字・債務超過の会社が会社売却を行う方法やポイント、注意点などをご紹介してきました。
 
【赤字・債務超過の会社売却を成功させるポイント】
  1. 優秀な人材・技術・ノウハウ・資産を持っている
  2. 優れた特許・権利を保有している
  3. 継続した取引先を持っている
  4. 事業の収益性が良い
  5. セルフアピールをうまく展開する
 
【赤字・債務超過の会社がアピール力を高める方法】
  1. 自社の強みを資料としてまとめる 
  2. 売却交渉前までに経営を良くする
  3. 業界の需要に即して売却を検討する
 
【赤字・債務超過の会社のバリュエーション(企業価値評価)方法】
  1. 時価純資産法 
  2. 類似会社比較法
  3. DCF法
 
黒字・資産超過の会社よりも不利な状況にある赤字・債務超過での会社売却を成功させるには、赤字・債務超過の会社売却を適切に行えるM&Aの専門家に相談する必要があります。
 
M&A総合研究所では、M&A専門の会計士と弁護士が会社売却をサポートするので、赤字・債務超過の会社売却でも最適なサポートが可能です。
 
無料相談は随時受け付けておりますので、赤字・債務超過の会社売却をご検討の際は、どうぞお気軽にご相談ください。