有限会社を売却する方法とは?株式会社との相場・税金の違いや注意点も解説

有限会社を売却する方法とは?株式会社との相場・税金の違いや注意点も解説
有限会社の多くは、経営者の高齢化や後継ぎ不在により廃業の危機を迎えていることから、会社を売却するケースが増えています。
 
また、有限会社を買収する企業や法人も増えています。本記事では、有限会社を売却する方法や相場、税金などについて解説していきます。

有限会社とは

有限会社とは
 
現在、日本の企業の約半数を占める有限会社ですが、その多くは経営者の高齢化や後継ぎ不在により廃業の危機を迎えています。そのため、第三者に売却することで廃業を回避しようとするケースが年々増えてきました。
 
法人や個人による買い需要も増加していることから、公的機関や金融機関、M&Aの専門家によるサポートも充実してきています。
 
本記事では、有限会社を売却する方法や相場、税金などについて解説していきますが、まずは株式会社との違いや特例有限会社の意味について解説します

株式会社との違い

2007年の会社法が施されて行以降、有限会社と株式会社には大きな違いはなくなりました。
 
現在の相違点には、有限会社には役員の任期がないこと、決算公告が必要ないこと、自由に株式の売買ができないこと、組織再編ができないことが挙げられます。
 
もともと、有限会社は株式会社を創設する資本金が足りなかったり、創業メンバーが足りなかったりした起業家が、株式会社よりも創設条件が緩かった有限会社を創設していました。
 
しかし、会社法施行以降は特例有限会社に変わり、株式会社と同じく株式と株主によって会社が成り立っています。
 
有限会社と株式会社の違い
・有限会社
役員の任期がない
決算公告が不要
株式の売買には承認が必要(既存株主間での売買は自由)
組織再編は不可能(株式会社への移行期間であるため)
 
・株式会社
取締役の任期は2年〜10年
決算公告義務有り(実際には公告を行っていない会社が多数)
株式譲渡制限がない株式の売買は自由
組織再編は原則自由

特例有限会社とは

特例有限会社とは、株式会社への移行猶予期間にある有限会社のことです。現在存続している有限会社はすべて特例有限会社であり、国は特例有限会社から株式会社への移行を推奨しています。
 
また、現在は新規で有限会社を設立することができません。現在存続している有限会社はすべて2007年の会社法施行以前に設立されています。
 
本来であれば、速やかに株式会社に移行する必要があるのですが、会社法では有限会社から株式会社への移行期限は定められていません。
 
そのため、有限会社であることのメリットを享受するために、有限会社のまま経営している会社が多数存在しているのが現状です
 
一方で、特例有限会社は組織再編ができないデメリットもあります。組織再編とは、合併・株式交換・株式移転・会社分割といった手法を用いて、組織や事業の統合・移動・分離などを行うことです。

有限会社は売却できるのか?

有限会社は売却できるのか?
 
有限会社では、合併・株式交換・株式移転・会社分割を用いた組織再編はできませんが、会社売却に関しては会社法で禁止されていません。
 
しかし、すべての有限会社には株式譲渡制限が定められているため、株式を売却するには株主総会を開催する必要があります。
 
有限会社は、オーナー経営者がすべての株式を持っていることも多いので、その場合にはスムーズに売却が進みますが、経営者と数人の親族内で株式を持っている場合は、親族間でのトラブルに注意が必要です。
 
有限会社の売却を行う際は、事前に株式を集約しておくなどの対策をしておいたほうがよいでしょう。
 
なお、有限会社の株式は、未保有者への売却は上記のように制限がありますが、保有者同士の売買は自由に行うことができます。経営者にすべての株式を集約する場合は、株主総会の開催は必要ありません。
 

有限会社を売却する方法とは? 

有限会社を売却する方法とは? 
 
有限会社を売却するには、株式会社と同じく株主総会で株式譲渡を行う承認決議を経なければなりません。
 
しかし、有限会社の承認条件は、株式会社よりも厳しいものとなっています。ここでは、有限会社を売却する方法について解説します。

有限会社を売却する方法

有限会社を売却するには、以下の方法を経なければなりません。
  1. 株主総会での決議
  2. 株式譲渡の承認

1.株主総会での決議

有限会社を売却するには、株主総会での決議が必要です。株式会社でも株主総会の決議が原則必要ですが、有限会社には株式会社より厳しい条件が法令で定められています。
 
株式会社の場合、株主総会の決議で承認を得るには、参加している株主のうち1人でも決議要件となる株式割合を保有していればよく、株主数は関係ありません。
 
また、普通決議であれば株式保有割合が過半数以上、特別決議であれば株式保有割合が2/3以上の株主の賛成で決議は通ります。
 
一方、有限会社の場合は、半分以上の株主の参加が必要なうえに、株式保有割合が3/4以上の株主の賛成が必要です。以下のような株式割合の場合でみていきましょう。
 
〇〇有限会社の発行済株式数:400株
株式保有数
太郎:300株
次郎:50株
三郎:50株
 
株式会社の場合であれば、太郎さん1人で承認に必要な株式保有割合は超えているので問題ありませんが、有限会社の場合は太郎さん以外の2人のうちどちらかも賛成しなければ承認とはなりません。

2.株式譲渡の承認

株式譲渡の承認は、株式会社よりも厳しい条件が付いた株主総会による決議が必要なので、株主が複数人いる場合は注意が必要です。
 
株式会社の場合、株式譲渡制限は定款を変えることで解除することができますが、有限会社の場合は定款を変えて株式譲渡制限を解除することはできません。
 
なお、株式譲渡の承認を行う主体を定款で変えることは可能です。ただし、その際も株主総会の決議が必要になるので、定款を変更する場合は前もって変更しておかなければ、株式譲渡の承認手続きまでに間に合わなくなります。

有限会社を売却する際に確認したいこと

有限会社を売却する際は、以下の点をよく確認しておく必要があります。
  1. 許認可がある 
  2. 繰越欠損金がある
  3. 債務がある

1.許認可がある

株式譲渡の方法による会社売却の場合、買い手側へ許認可も引き継ぐことができます。しかし、有限会社のなかには、許認可が切れていることに気付かず営業を続けているケースもみられます。
 
許認可が切れたまま買い手に売却してしまうと、買い手が許認可を持っていない場合、許認可を取得するまで営業ができない期間が生じかねません。
 
また、許認可が切れたまま営業していること自体が信用問題やトラブルの元になるので、売却の前に確認が必要です。

2.繰越欠損金がある

有限会社を買収する買い手のなかには、繰越欠損金による税金対策を目的としていることがあります。
 
しかし、繰越欠損金の利用には厳しい要件があるので、利用条件を満たすための管理が適切に行われているか、買い手が本当に利用できるかどうか、買い手や専門家とともによく確認しなければなりません。
 
買い手の目的があきらかに繰越欠損金による税金対策目的である場合は、はじめから断るという選択肢も考えておいた方がよいでしょう。

3.債務がある

小規模の有限会社は経理がしっかりと行えていないケースも多く、後で簿外債務が見つかることも少なくありません。
 
書類が適切に管理されていないことにより、買い手側が債務状況などを洗い出そうとしてもなかなか洗い出し切れないこともよくあります。
 
簿外債務が後からみつかると、売却価格のディスカウント要因になったり、売却自体が無しになってしまうことも考えられます。普段からお金と書類・データの管理を適切に行っておくことが重要です。
 

有限会社が持つメリット

有限会社が持つメリット
 
有限会社を買収することで、買い手は以下のメリットが得られます。
  1. 有限会社を使える 
  2. 決算公告が不要
  3. 社歴を装える

1.有限会社を使える

買い手は有限会社を買収した後も株式会社に変更する必要はなく、有限会社のまま運営が可能であるため、有限会社のメリットをそのまま利用することができます。
 
また、有限会社は新規に設立できないので、今後は有限会社自体に価値が出てくる可能性があります。
 
ただし、現在はまだ数多く有限会社が存続しているうえに、株式会社よりも有限会社の価値が低いと考える人も少なくありません。
 
有限会社であるメリットとデメリットは、どのような事業を営むかによって変わってきます。

2.決算公告が不要

すべての株式会社は、原則として決算公告が義務付けられています(実際には決算公告をしていない株式会社も多く存在します)。
 
しかし、有限会社は会社法施行以前に決算公告義務がなかったことから、現在も公告義務が不要となっているため、公告の手間とお金が節約できる点が有限会社のメリットです。

3.社歴を装える

有限会社は新規に設立できないので、有限会社と付いているだけで社歴の長い会社だという印象を与えることができます。
 
経験が豊富、業界ネットワークを持っているなど、社歴が信用につながるような事業の場合はメリットとなります。
 
なお、実際に有限会社の中には長年に渡って経験・技術・ノウハウ・ネットワークを築いてきた会社も数多くあります。

有限会社を売却する際の企業価値の算定方法

有限会社を売却する際の企業価値の算定方法
 
有限会社の企業価値算定には、以下3つの方法が用いられます。
  1. 時価純資産法
  2. 類似会社比較法
  3. DCF法

1.時価純資産法

時価純資産法とは、売却する有限会社の貸借対照表に記載された資産と負債を時価に修正して、企業価値を算定する方法です。
 
時価純資産法には、現在の企業価値を簡単に評価できるメリットがあります。しかし、このままではその有限会社の将来の価値までは評価することはできません。
 
そこで、算定した時価純資産に営業権(のれん代)を加えて評価する方法が、有限会社の企業価値算定ではよく用いられます。

2.類似会社比較法

類似会社比較法とは、売却する有限会社と業種や規模が似ている会社を参考に、企業価値を評価する方法です。
 
しかし、株式会社に比べて社内情報を整理していることが少ない有限会社の場合、そもそも比較対象となる相手をみつけることが難しいという点があるため、類似会社比較法は有限会社で用いられることはほとんどありません

3.DCF法

DCF法とは、売却する有限会社の今後数年分の予想キャッシュフローを、一定の割引率によって計算し直す評価方法です。
 
前提となるキャッシュフローは現在の数字を参考にしますが、実際には未来になるほどそのキャッシュフローが生み出せないリスクは高まります。そのリスク度合いを減算することで、現在の企業価値に評価し直します。
 
DCF法は、計算の前提として算定する有限会社やその業種などに精通していないと、的確な評価ができません。そのため、知識と経験が豊富な専門家に依頼するほど有効な算定方法となります。
 

有限会社と株式会社との売却相場の違い

有限会社と株式会社との売却相場の違い
 
有限会社は、個人経営や家族経営の小規模な会社が多数であり、売却相場も株式会社の平均相場に比べると低い傾向にあります。
 
また、休眠中の有限会社も多く、その場合の相場は数十万円から百万円程度となっています。休眠中であったり、休眠届けは出していないものの実質休眠中である有限会社の相場は安い傾向にあるので、個人が買収するケースも増えています。
 
数千万円台の相場になると、経営状態がよく決算書類などの整理もしっかりしている有限会社が多くみられます。
 
近年は、経営者の高齢化や後継者不在により、相場よりも割安な売却価格で売りに出ている有限会社が増えてきました。
 
有限会社の買い需要は増していますが、相場よりも安い価格で売りに出しても買い手が付かない有限会社も多数存在します。
 
なかには優良な有限会社であるにもかかわらず、買い手が付いていないケースも少なくありません。有限会社を売却する際は、売却を依頼する専門家のネットワークが重要です。

有限会社と株式会社を売却した際の税金の違い

有限会社と株式会社を売却した際の税金の違い
 
有限会社を売却する際の税金は、株式会社の場合と同じです。株式譲渡によって売却した場合、売却側の株主には譲渡益に対して税金が発生しますが、買収側は特殊な場合を除いて税金は発生しません。
 
一方、事業譲渡の方法を用いて売却した場合、売却側には法人税や消費税などの税金が発生し、買収側には買収内容によって消費税や不動産取得税などの税金が発生します。
 
基本的には、株式譲渡よりも事業譲渡の方が税金が多くかかるので、株式譲渡の方法によって有限会社を売却するケースが多くみられます。
 
売却の際はM&Aの専門家に相談して、自社の売却目的に合った方法を選ぶ必要があります。

有限会社を売却する際の注意点

有限会社を売却する際の注意点
 
有限会社を売却する際は、以下の点に注意が必要です。
  1. 売却後の経営方針 
  2. 従業員の待遇・処遇変更
  3. 取引先・顧客離れ

1.売却後の経営方針

有限会社の売却先がどのような経営方針を考えているのかは、売却前によく確認しておかなければなりません。
 
休眠状態などで、どのように経営方針を変えられても支障がない場合を除いて、顧客や取引先・従業員がいる有限会社の経営方針を急に変えられると、関係者に大きな迷惑がかかる可能性があります。
 
売却後もしばらくの間売却先のサポートをするなどして、スムーズなバトンタッチができれば理想的です。

2.従業員の待遇・処遇変更

従業員がいる有限会社の売却交渉の際は、従業員の待遇に関してあいまいにせず、明確に定めることが大切です。売却が原因で従業員が離職してしまっては意味がありません。
 
一般的には、売却後1年から2年は雇用や給与水準などを保証してもらう契約を結びます。労務や法務に精通した専門家のアドバイスをもらいながら交渉していくとスムーズに契約が進むでしょう。

3.取引先・顧客離れ

小規模の有限会社の場合、経営者との付き合いで契約していたり顧客になっていたりするケースは少なくありません。
 
そのため、売却をきっかけに取引先や顧客が離れてしまうことも多いですしっかりと説明したり、売却先の経営者・担当者と顔を通しておくなど、十分な配慮が必要です。
 

有限会社の売却を検討する際の相談先

有限会社の売却を検討する際の相談先
 
近年、有限会社の買い需要が増加している一方で、堅調な経営状態にあるにもかかわらずなかなか売却先が決まらない有限会社が多いのも事実です。
 
有限会社を好条件で売却するには、どのようなM&Aの専門家を選ぶかが重要になります。
 
M&A総合研究所では、豊富な情報収集力とネットワークを活用し、最適な相手との売却を実現します。
 
また、売却の際はM&A専任の会計士と弁護士、アドバイザーがフルサポートするので、短期間で希望価格以上の売却も実現可能です。
 
M&A総合研究所では完全成功報酬制を採用しているので、売却が成立するまで手数料は発生しません。
 
無料相談は随時受け付けておりますので、有限会社の売却をご検討の際はお気軽にご相談ください。
 

まとめ 

まとめ 
 
本記事では、有限会社を売却する方法や、株式会社との相場・税金の違い、注意点などについて解説してきました。
 
【有限会社と株式会社の違い】
・有限会社
役員の任期がない
決算公告が不要
株式の売買には承認が必要(既存株主間での売買は自由)
組織再編は不可能(株式会社への移行期間であるため)
 
・株式会社
取締役の任期は2年〜10年
決算公告義務有り(実際には公告を行っていない会社が多数)
株式譲渡制限がない株式の売買は自由
組織再編は原則自由
 
【有限会社を売却する際に確認すべき点】
  1. 許認可がある 
  2. 繰越欠損金がある
  3. 債務がある
 
【有限会社を売却する際の注意点】
  1. 売却後の経営方針 
  2. 従業員の待遇・処遇変更
  3. 取引先・顧客離れ
 
有限会社を好条件で売却するには、どのようなM&Aの専門家にサポートを依頼するかが重要です。
 
M&A総合研究所ではM&A専任の会計士と弁護士、アドバイザーがフルサポートするので、短期間で希望価格以上の売却も実現可能です。
 
また、M&A総合研究所では完全成功報酬制を採用しているので、売却が成立するまで手数料は発生しません。
 
無料相談も随時受け付けておりますので、有限会社の売却をご検討の際はお気軽にご相談ください。