
会社売却とは

会社売却とは、会社の株式または全事業を売って、会社・事業に関する経営権を移行する方法です。
昨今の少子化・高齢化の進行や、縮小傾向の市場・市場の国際化・ITに代表されるテクノロジーの進歩などの理由により、会社売却を行う件数は増加傾向にあります。
会社売却の需給関係は買い手が多く、売り手市場ともいわれています。買い手は、他社よりも先に経営資源の獲得が可能な企業を探して、交渉・成約へと進んでいます。
しかし、売り手市場とはいうものの、会社売却の準備を怠れば自社の目的に合った買い手をみつけることができす、売却のタイミングを逃してしまう可能性もあります。
自社にとってよりよい相手に少しでも高値で売却するためには、売却の準備をしっかりと行うことが重要です。
【永久保存版】会社売却の準備マニュアル!

前章で紹介したように、会社売却を成功させるためには事前の入念な準備が必要です。会社売却を検討する際は、まずどのような準備が必要になるのかをしっかり確認しておきましょう。
【会社売却の準備マニュアル】
- 会社売却のために必要な事項の把握と準備
- 会社売却の一般的な流れを把握する
- 会社売却に必要な期間を把握する
- 会社売却しやすい会社の条件を知る
- 会社売却に適した相談先をみつける
会社売却を行う前にしっかり準備をしておけば、成功確率を高くすることが可能です。具体的には、過去の事例などを参考にして売却の流れを理解しておくなど、自社が会社売却を行うために不足している要素を補うために取り組むべき事項などを明確にして行動していきましょう。
また、会社売却に必要なスケジュールや大まかな期間を把握しておけば、自社が今どの状況にいるのかを客観的に判断することができ、余裕を持って進められるのか急ぐ必要があるのかも分かります。
ほとんどの経営者にとって会社売却は経験したことのない大きな出来事になるため、自身ではなにをどのように進めればよいかわからないケースがほとんどでしょう。
その際は会社売却を検討した段階で早めにM&A仲介会社などの専門家に相談することをおすすめします。
M&A仲介会社などの専門家に相談すれば、自社に必要な準備やスケジュールについてのアドバイスやサポートが受けられるだけでなく、クロージングまでの一貫したサポートを依頼できるので、日常業務への影響を最小限にしつつ、会社売却を成功確率を高めることができます。
上記マニュアルの詳細は、次の章でくわしく解説していきます。
会社売却のための準備

会社売却を行う際はしっかり準備をすることが成功させるカギともなりますが、具体的にはどのような準備をしておけばよいのでしょうか。ここでは、特に行っておきたい8つの準備をくわしく解説します。
【会社売却のための準備】
- 経営状態・財務・取引先リストなどをまとめる
- 社会保険など労務に関する確認を行う
- 過去の取引などで不正がないかを確認
- 自社の強みである人材・権利・特許・技術をまとめる
- 他社にはない強み・自社の弱みを確認する
- 出来る限り業績を上げる
- スケジュールを確認する
- 希望条件を順位付けする
1.経営状態・財務・取引先リストなどをまとめる
買い手企業は、自社の目的にあった会社を買収するために、売り手の経営は順調であるか、財務状況は健全であるか、買収に値する取引先を抱えているかなどの情報を把握したいと考えます。
そのため、自社の状態が分かるように、売上高・社員数などを記載した会社の概要書や、事業計画書・税務申告書・財務諸表といった財・税務に関する書類、契約する取引先リストなどをまとめておきましょう。
交渉を進めるうえや自社の状況を客観的に把握するためにも役立つものなので、しっかりまとめておくことが大切です。
2.社会保険など労務に関する確認を行う
会社売却の際、売り手企業が労務にまつわる諸問題を抱えていると、買い手は買収後に生じる負担を懸念して交渉候補から外す可能性が高くなります。もし交渉が進んで買収監査の時点で問題が明らかになれば、取引額の減額は避けられません。
社会保険・労働保険・給料・残業の未払いがないか、退職給付債務の積み立ては十分か、労働基準法に反する規則を定めていないか、労使間で発生したトラブルの有無などの調査・確認をしっかり行うことが重要です。
3.過去の取引などで不正がないかを確認
会社売却に多く用いられる株式譲渡では原則包括承継となるため、買い手は売り手の取引先関係も引き継ぎくことになります。
もし過去に不正な取引があったことがわかれば、取引先との関係解消だけでなく、買い手は社会的な信用も失いかねません。そのため、買い手は健全な会社を買収したいと考えます。
売り手は、贈収賄の有無、財務諸表が過大・過少に計上されていないか、社員・役員による横領で会社の資産が流出していないかなど、会社売却を行う前にしっかりと確認しておくことが大切です。
監査部門や内部牽制制度が設けられいるとしても、万一見逃していれば取り返しがつかなくなるため、しっかりと確認しておきましょう。
4.自社の強みである人材・権利・特許・技術をまとめる
買い手は会社売却を活用することにより、人材・権利や特許・技術など、売り手の経営資源を確保しようと考えます。
そのため、売り手が自社特有の経営資源などの強みを伝えられれば、買い手は買収後の経営計画が立てやくなります。
自社の強みとなる人材の総数と優秀な社員、事業運営の権利、保有する特許と技術などを資料でまとめておけば、効果的に買い手にアピールすることもできます。
5.他社にはない強み・自社の弱みを確認する
他社にはない強みを持っていれば、買い手企業に対して強みを活かしたアピールが可能です。しかし、どの会社にも強みだけでなく弱みがあるのが現実です。
自社の弱みについても客観的にみつめ、包み隠さず買い手に伝えられるように準備しておきましょう。
弱みを補える戦略が提案できたり、買い手が弱みを補う事業計画を描けるなら、弱みがあっても買い手の理解を得られやすくなります。
6.出来る限り業績を上げる
赤字を計上している会社であっても、買い手に有益な経営資源を備えているのなら、売却することも不可能ではありませんが、一般的には黒字計上している安定した売り手が買収対象になります。
そのため、売り手は会社売却までの時間を有効に使って、業績のアップを図る必要があります。短い期間で業績を改善させるのは難しいですが、可能な限りの対処に励むことで買い手が抱く印象を変えることもできます。
7.スケジュールを確認する
策定したスケジュールが不十分だと、会社売却の途中で準備不足があったり、交渉が止まってしまったりする可能性もあります。
また、現在どの段階にいるのかを把握しておかなければ、対応や手続きに遅れが生じてしまい、精神的・時間的に焦ってしまうことも考えられます。
時間的にも精神的にも余裕がなければ冷静な判断をするのは難しく、また想定していた期間内に売却ができない可能性もでてきます。
会社売却のスケジュールを立てる際は、取るべき対応が組み込まれていることを確認し、時間的に余裕をもった行程にすることも必要です。
8.希望条件を順位付けする
事前に条件に優先順位を付けておかなければ、交渉段階でなかなか譲歩できないために、交渉がスムーズに進まない可能性もでてきます。
M&Aでは必ずしも自社の提示条件がすべて通るわけではなく、売り手・買い手双方が歩みよって妥協点をみつけなければ成約することはできません。
実際に会社売却に取り組む前に、自社が希望する条件を順位付けしておきましょう。条件に順位をつけておけば、買い手の意向に対して柔軟な対応できるようになり、結果スムーズに交渉を進めることができます。
会社売却の一般的な流れ

会社売却はどのような流れで進んでいくのか、一連の流れを把握しておけばスケジュールを立てる際にも役立ちます。ここでは、会社売却の一般的な流れについてみていきましょう。
- 仲介会社などの専門家に相談
- 買い手先の選定・交渉
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終売却契約の締結
- クロージング
1.仲介会社などの専門家に相談
会社売却を成功させるためには、業界動向などを把握してタイミングを計り、かつ自社に合った手法で進めなければなりません。
経営者自身で会社売却を行うのも不可能ではありませんが、M&A仲介会社などの専門家に相談して、アドバイス・サポートのもと進めるのが一般的です。
専門家に依頼することにより、自社のみでは足りない専門知識・経験を補うことができ、多くの候補から交渉先を選ぶこともできます。
秘密保持契約の締結
会社売却のサポートを専門家に依頼する際は、秘密保持契約を締結します。秘密保持契約とは、自社の情報を外に漏らさないことを約束する書面です。
会社売却に限らず、M&Aを進めるうえでは自社の詳細な情報を仲介会社や交渉先に開示する必要があります。
そのため、知り得た情報を外部に漏らさない旨を約束する秘密保持契約は必ず締結しておかなければなりません。
2.買い手先の選定・交渉
相談先の専門家が自社の条件に合致する買い手のリストを挙げてくれるので、そのなかから交渉を進めたい企業を絞り込みます。
意向表明書の提示
会社の価値を計算するために追加の資料を提出し、買い手候補が売り手との交渉を進めたいと希望すると、意向表明書が提示されます。
意向表明書の提示は義務付けられているわけではありませんが、売り手に対して前向きに会社売却に応じる構えを示すことができます。
3.基本合意書の締結
会社売却の条件に売り手・買い手が大筋で合意したら、基本合意書を取り交わします。
基本合意書は最終決定ではないため、そのあと実施されるデューディリジェンスの結果によって、条件が経脳される可能性もあります。
4.デューデリジェンスの実施
基本合意書の締結が済んだら、次は買い手による売り手企業に対するデューデリジェンスのが実施されます。
この時、売り手は買い手側に必要な資料の提示など、デューディリジェンスに必要な協力をしなければなりません。
5.最終売却契約の締結
ディリジェンスを実施して会社売却を行うことに問題がないとなったら、最終売却契約の締結へと進みます。
その際、デューデリジェンスによって問題点や書類との相違点などがあれば、それらを加味して条件の再調整がなされます。再度調整された条件に両社が同意すると、契約内容が決定し、契約締結となります。
6.クロージング
契約の調印に必要な書類・印鑑などを取り交わし、契約書の内容を確かめるために読み合わせを経て、調印を済ませます。
その後、対象資産の交付と対価の支払いが行われれば、クロージングとなり会社売却は完了します。
会社売却に必要な期間

会社売却が完了するまでにかかる期間は、一般的に半年~1年ほどとされています。これはあくまで平均的な期間であり、会社によっては3カ月ほどで完了するケースや、1年以上かかるケースもあります。
できるだけ短い期間で会社売却を行うためには、ここまで述べたような事前の準備が必要不可欠です。
さらに、M&A仲介会社などの専門家にサポートを依頼することにより、自社単独で会社売却を進める会社よりも短期間での売却が可能になります。
また、専門家の持つネットワークを活用することで多くの買い手候補から交渉先を探すことができ、自社に最適な買い手がみつかる確率も高くなります。
どんな会社が売却しやすいのか?

どのような会社であれば売りやすいのかと考える経営者もいるでしょう。ここでは、売却しやすい会社の特徴を8つ紹介します。
- 事業を黒字にしておく
- 簿外債務などの確認を徹底する
- 希望条件を厳密にしすぎない
- 魅力的な従業員・権利・取引先などを保有する
- シナジー効果が期待できる
- 組織的な経営が行われている
- 市場に需要がある
- 適正価格での売却
1.事業を黒字にしておく
先に述べたように、会社売却の際は黒字を計上している企業のほうが有利です。節税のために赤字会社を買収するケースもありますが、大多数の買い手は黒字会社を交渉先に希望します。
よりよい条件で会社売却を実現させるためには、経費・管理費・人件費などのコスト削減に取り組み、事業の黒字化できるように努めましょう。
2.簿外債務などの確認を徹底する
買い手からのデューディリジェンスによって簿外債務が明らかになれば、取引価格を下げられるだけでなく、最悪のケースではM&A自体が白紙になります。
簿外債務があるにもかかわらず、確かめないまま会社売却に臨む会社は信用性に欠けるとも判断されかねません。
会社売却の準備段階でリスクとなる簿外債務などは見落とさないように徹底的に確認しておくことが重要です。
3.希望条件を厳密にしすぎない
会社売却で自社の希望する条件をすべて買い手が受け入れてくれればよいですが、M&Aは売り手・買い手双方が歩み寄り妥協点をみつけながら成約を目指すものです。
希望条件を厳密にしすぎると、交渉がスムーズに進まないだけでなく、そもそも買い手が見つからないといった事態も考えられます。
会社売却を検討する際は、あまり条件を厳密にしすぎずある程度譲歩できるように幅を設けておくことも大切です。
4.魅力的な従業員・権利・取引先などを保有する
会社売却を通じて、買い手は売り手側の従業員を確保したいと考える買い手も多いです。また、売り手が保有している権利や取引先の引継ぎを希望して買収を決めることもあります。
自社に優秀な従業員がいたり、有利となる権利や取引先を持っている場合は、積極的にアピールしていきましょう。
人材・権利・取引先などが明確にわかるよう資料にまとめておけば、交渉などの段階でも役立ちます。
5.シナジー効果が期待できる
買い手にとってシナジー効果を期待できる会社であれば、会社売却がスムーズに進む可能性が高くなります。
売り手の販売網を活用できる・製品などのラインナップを増やせる・市場シェアを拡大できる・コストの削減など、どのようなシナジーを求めているのは買い手によって異なります。
準備の段階でシナジー効果を見込める相手がどのような企業なのかを想像しておくと、交渉する際に相手を絞り込むことができます。
6.組織的な経営が行われている
経営者の力量に任せて事業を営んでいる会社では、経営者の離脱を境に業績が落ち込むことが容易に想像できます。
そのような会社を買収しても、業績が下降に転じて事業計画に狂いが生じる可能性が高くなるため、買い手は敬遠します。
売り手は、現在の経営者がいなくても事業運営が継続されるように、組織的な経営が行える体制を整えておくことが大切です。
7.市場に需要がある
売り手が属する市場は、どの時期でも成長が見込めるとは言い切れません。時期を見誤れば、縮小した市場の事業運営を余儀なくされ、成長どころか事業からの撤退も考えられます。
自社が属する市場に需要があるかどうかを確認し、組織再編などの動きがあり需要が高まっている状態であれば会社売却を行いやすいといえるでしょう。
8.適正価格での売却
自社の価値を高くし過ぎていると、買い手から嫌煙されて、交渉へ進む機会を減らしてしまいます。
買い手はできる限り安い価格で会社を買収したいと考えるため、まずは相場に見合った価格を提示することが重要です。
しかし、会社売却に必要な知識を持ち合わせていなければ、適正価格を知ることは困難であるため、専門家に企業価値評価を依頼するようにしましょう。
会社売却におすすめの相談先会

会社売却を成功させるためには、できるだけ早い談から専門家のサポートを受け、戦略的に進め行くことが大切です。
会社売却をご検討の際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所は、中堅・中小企業の会社売却・M&Aをサポートする仲介会社です。
M&A総合研究所には、知識・経験ともに豊富な専門家が多数在籍しており、スキームの提案・事前準備の支援・交渉先の引き合わせ・交渉や成約手続きなど、一貫したサポートを行っています。
3名の専門家(弁護士・会計士・M&Aアドバイザー)が対応にあたるので、M&Aや会社売却のスケジュールの策定からクロージングまで安心して進めていただくことが可能です。
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まとめ

今回は、会社売却に必要な準備や、会社売却の流れなどを解説しました。会社売却が成功するかどうかは、事前準備が明暗を分けるといっても過言ではありません。
会社売却を検討する際は、できるだけ早い段階から準備を進めておき、売却のタイミングを逃さないようにしておくこともポイントです。
どのような流れで会社売却が行われ、自社をより高値で売却するためにはどのような対応が必要なのかを経営者の方はしっかり把握しておくことも大切です。
【会社売却のための準備】
- 経営状態・財務・取引先リストなどをまとめる
- 社会保険など労務に関する確認を行う
- 過去の取引などで不正がないかを確認
- 自社の強みである人材・権利・特許・技術をまとめる
- 他社にはない強み・自社の弱みを確認する
- 出来る限り業績を上げる
- スケジュールを確認する
- 希望条件を順位付けする
【会社売却の一般的な流れ】
- 仲介会社などの専門家に相談
- 買い手先の選定・交渉
- 基本合意書の締結
- デューデリジェンスの実施
- 最終売却契約の締結
- クロージング
【どんな会社が売却しやすいのか?】
- 事業を黒字にしておく
- 簿外債務などの確認を徹底する
- 希望条件を厳密にしすぎない
- 魅力的な従業員・権利・取引先などを保有する
- シナジー効果が期待できる
- 組織的な経営が行われている
- 市場に需要がある
- 適正価格での売却
会社売却をに必要な準備はたくさんあり、通常の業務を行いながら進めるのは厳しい状態もあるでしょう。
その際は、専門家のサポートを受けて進めると効率よく、業務への影響も最小限に抑えることができます。
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