
M&Aで会社を売るというのは、大企業だけでなく、中小企業にとっても有力な手段です。しかし、多くの中小企業経営者の方は、会社を売る方法がよく分からないこともあるでしょう。
本記事では、会社を売る理由や売却価格の決め方、売却後の役員や従業員の処遇について解説します。
会社を売る決断をした経営者が増加中

かつて、経営者が高齢化して引退すると、廃業するか子供などに継がせるか、ほぼこの2つの選択肢しかないのが実情でした。
しかし、近年はM&Aによって会社を売却することにより、廃業を避けたり子供に後を継がせず自由な人生を歩ませることが可能になってきています。
M&Aという言葉は聞きなれない方もいるかもしれませんが、会社を売却または買収したり、ほかには吸収合併したり資本提携したりといった、会社そのものをお金などの対価と引き換えに取引することをいいます。
英語で合併を「Mergers」、買収を「Acquisitions」というのでM&Aと呼ばれていますが、要するに会社や事業を売買することであり、中小企業や個人事業主でも、誰でも利用できるものです。
M&Aが普及するとともに、会社を売る決断をする経営者は今後も増加していくと考えられます。
【関連】会社売却の戦略!成功に導く進め方、ポイントをやさしく解説
会社を売る理由とは?

M&Aを行う、つまり会社を売る理由は、後継者問題による事業承継だけではありません。ほかにもさまざまな問題を解決する手段として、M&Aを利用することができます。
自分のような小さな会社はM&Aなんて関係ないと考える中小企業経営者の方は多いようですが、自社にも活用できる実践的な手法としてM&Aを知っておけば、会社をより発展させたり、困難を乗り越えられることもあるでしょう。
そのためには、どういう理由で会社を売ることができるのかという、選択肢を知っておくことが重要です。理由を全て列挙することはできませんが、主な理由としては以下の5つが考えられます。
【会社を売る理由とは?】
- 経営者が高齢になり後継者問題に直面している
- 少子化により従業員が集まらない
- 赤字経営が続いている
- セミリタイアを考えている
- 売却益を獲得し新規事業を始めたい
1.経営者が高齢になり後継者問題に直面している
経営者の高齢化による後継者問題は、中小企業にまでM&Aが広がっている最も大きな理由です。
もともと自分の代で廃業するつもりで会社を経営している方も多いですが、一方で、引退後も新しい経営者のもとで会社を存続させたいと考える経営者もたくさんいます。
しかし、近年は少子化で後を継がせる子供がいなかったり、子供が会社員として別な職業に就いていたりと、後を継がせることができないケースが増えています。
子供に後を継がせられない場合の代替手段として、M&Aによる第三者への事業承継が注目されています。
M&Aによる事業承継は国も後押ししており、法整備や公的機関の設置、ガイドラインの公表によるM&Aの周知など、普及活動に力を入れています。
【関連】後継者とは?募集や教育を上手く行って安心して事業を引き継ごう!
2.少子化により従業員が集まらない
中小企業の人材不足の理由としては、若い世代の都市部への集中や、給与の高い大企業への偏りなど、いろいろなものが考えられます。
それに加えて、少子化により労働力人口が減り、働く人が少なくなっているというのも、特に地方の中小企業では大きな問題となっています。
少子化により従業員が集まらず、廃業や経営難に追い込まれている中小企業が、会社を売ることで問題を解決する事例も、近年は多くなってきています。
3.赤字経営が続いている
中小企業の多くは赤字経営で、継続的に黒字を維持しているのはむしろ少数派だと考えられます。
赤字経営を続けたまま、結局倒産・廃業に追い込まれてしまう事例は後を絶ちませんが、一方でM&Aを知っている中小企業経営者が、早めに会社を売ることで倒産・廃業を回避するケースも増えてきています。
ただし、赤字経営の会社を売るのは黒字経営の会社を売るより難しいので、赤字だけれど独自の技術を持っているとか、何かしらの強みを持っている必要があります。
地域密着型の経営をしている企業の場合、その地域への事業拡大を目指している大企業やチェーン店が、赤字でも買い取ってくれるケースもあります。
4.セミリタイアを考えている
経営者には従業員のような定年がないので、体力面・健康面の問題で経営を続けられなくなるまで、精力的に仕事にはげむ経営者の方も多くみられます。
一方で、早めに経営者の座を降りて引退し、残りの人生を自由に過ごしたいという、セミリタイアを考える経営者の方も増えてきています。
セミリタイアをするために必要なのは、残りの人生で必要な資金の獲得です。M&Aなら自社の株式を譲渡するなどして譲渡益を得ることができるので、セミリタイアの資金を得ることが可能になります。
5.売却益を獲得し新規事業を始めたい
セミリタイアは売却益を獲得する主要な目的のひとつですが、もう一つの目的として、新規事業を始めるための資金を得るというのもあります。
一から事業を始める時は融資を受けることが多いですが、融資はいずれ返済しなければならず、精神的にもプレッシャーがかかり、リスクをとった大胆な経営方針がとれないことにもつながります。
しかし、M&Aで会社を売り、その資金を新規事業に充てれば、融資のように返済する義務を負いません。新規事業の資金集めの手段として、M&Aで会社を売るというのも有力な選択肢です。
会社を売る方法とは

一口に会社を売るといっても、その方法にはいろいろなものがあります。M&Aで会社を売る方法でオーソドックスなのは株式譲渡であり、その次が事業譲渡となっています。
中小企業が会社を売る場合、ほとんどがこの二択であり、会社自体を売る時は株式譲渡、特定の事業だけを売る時は事業譲渡というように活用されています。
中小企業が会社を売るための手法としてはあまり使われませんが、大企業の組織再編などでは、会社分割や会社合併といった手法も使われることがあります。この章では、会社を売る主な手法について、1つずつ解説していきます。
【会社を売る方法とは】
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 会社分割
- 会社合併
株式譲渡・売却
株式譲渡では、譲渡企業の株主が保有している株式を譲受企業に売却し、譲受企業は対価として株主に現金を支払います。
株式には議決権があるので、株式を譲渡することは、すなわち自分の会社を売ることを意味します。
株式譲渡は中小企業が会社を売る時に一番よく使われるM&A手法です。買う側はお金を支払い、売る側は株主名簿を書きかえるだけなので、手続きが簡単なのが大きな理由です。
ただし、株式の譲渡には株主総会の決議がいるので、中堅企業で株主が多数いる場合は、株主に反対されて頓挫することもあります。
【関連】株式譲渡とは?正しく意味を理解し高い価格で売却しよう
事業譲渡・売却
事業譲渡は株式譲渡に次いでよく利用される会社を売る手法で、事業資産を個別に売買する取引です。株式譲渡と違い、株式を売ることによる経営権の譲渡はないのが特徴となっています。
株式を譲渡しないので厳密に言うと会社を売るわけではありませんが、M&Aの手法としてはオーソドックスなものの一つです。
事業譲渡は株式譲渡に比べて手続きが面倒だったり、税制面で不利といったデメリットがありますが、売る資産を自由に選べるというメリットがあります。
例えば、一部分の事業だけを売ってコア事業の資金を得たりできますし、株式のない個人事業を売ることもできます。
【関連】事業譲渡とは?仕組みや手続きを理解し、効果的に事業を売却しよう!
会社分割
会社分割とは、会社の一部を切り離して、別の会社に売るM&Aの手法です。事業譲渡と似ていますが、事業譲渡が個々の資産の売買なのに対して、会社分割は会社を包括的に承継する手段であるなどの違いがあります。
中小企業が会社分割で会社を売るケースは少なく、大企業の組織再編で使われることが多いのが特徴です。
会社分割では対価として現金ではなく株式を交付することも可能なので、買収資金がなくても実行できるメリットがあります。
さらに、会社分割では労働契約もそのまま譲渡するので、従業員の個別の同意を得なくてもいいという長所もあります。
【関連】会社分割とは?4つの種類や税務・メリットやデメリット・事業譲渡との比較について解説
会社合併
株式譲渡と同様、会社合併も会社を売るM&A手法ですが、株式譲渡では親会社・子会社の関係になるのに対して、会社合併では、売る側の会社は消滅して買った側の会社に吸収されて一つの法人格になります。
主に大企業の組織再編で利用される手法であり、中小企業を売る手段としてはあまり利用されるケースはありません。
会社合併には吸収合併と新設合併に分けられます。吸収合併は既存の会社により行われ、合併としてはこちらのほうが一般的です。
新設合併は新設した会社に吸収させる手法で、吸収合併と比べると複雑な手続きが必要になります。
また、吸収される側とする側が対等な状態で行う合併を、対等合併と呼ぶこともありますが、これは正式な用語ではありません。
【関連】吸収合併とは?新設合併との違いや手順についてわかりやすく解説
【関連】新設合併とは?吸収合併との違いと成功するポイントを解説
会社を売る際の売却価格の決め方

会社を売るということは、その会社に値段をつけるという意味でもあります。しかし、モノやサービスではない会社に対して、どのような基準で値段をつければよいのでしょうか。
上場企業の場合は市場株価が基準になりますが、ほとんどの会社は非上場企業なので、ほかの基準を用いなければなりません。
会社の値段を見積もることを、企業価値評価またはバリュエーションといいます。M&Aで会社を売るには、企業価値評価を正しく行うことが大切です。
企業価値評価の方法はいろいろありますが、主な手法は時価純資産法・類似会社比較法・DCF法の3つです。
企業価値評価は専門家が行うものなので、経営者の方が詳細を知る必要はありませんが、提示された価格に対して正しい判断をするためには、その概要だけでも知っておく必要があります。
【会社を売る際の売却価格の決め方】
- 時価純資産法
- 類似会社比較法
- DCF法
【関連】M&Aに欠かせないバリュエーション(企業価値評価)とは?
時価純資産法
時価純資産法とは、売る会社の資産を時価で評価し、そこから負債を引いた額を会社の値段とみなす評価手法です。
時価純資産法は資産と負債の差をとるので、今現在の会社の価値を見積もる方法だといえます。このような算出方法のことを、コストアプローチといいます。
コストアプローチは、吸収されて消滅する会社の評価や、成熟産業で将来性をあまり加味しなくてよい会社を売る時などに利用されます。
逆に、これから成長していくベンチャー企業などの評価には、時価純資産法はあまり向いていません。
ベンチャー企業やスタートアップ企業のように、無形資産や将来性が大きい会社の場合、その価値をのれんとして資産に加えて対応する必要があります。
類似会社比較法
類似会社比較法とは、上場企業のなかから似ている企業を探し、その会社の株価を参考にして売る会社の値段を見積もる手法です。上場企業を参考にするこういった手法は、マーケットアプローチと呼ばれます。
自分の会社と全ての面でそっくりな上場企業というのはなかなかみつからないので、一部分だけでも似ている企業をいくつか探して、それらを見比べながら妥当な価格を探っていくことになります。
実際は株価だけでなく、PERやEBITDAといった指標もあわせて利用します。このあたりの具体的な計算方法は専門家が行うことなので、経営者の方が詳細を知る必要はないでしょう。
類似会社比較法は、これから上場しようとしている会社の企業価値算定によく利用されます。
DCF法
DCF法は「ディスカウント・キャッシュフロー法」または「割引キャッシュフロー法」の略で、会社が将来生み出すと予想されるキャッシュフローを基準に、売る会社の価値を見積もる手法です。
DCF法のような会社の将来性をもとに算出する手法を、インカムアプローチと呼びます。インカムアプローチは、現在の価値に着目するコストアプローチと、ちょうど逆の考え方をしているとも解釈できます。
インカムアプローチであるDCF法と、コストアプローチである時価純資産法は考え方が全く違うので、しばしば両者の見積もりが大きく食い違うこともあります。
企業価値評価を正しく行うには、複数の手法を比較することも非常に大切です。
【関連】DCF法とは?企業価値を算出する方法を初心者でも分かりやすく解説!
会社売却後はどうなる?

経営者にしろ役員・従業員にしろ、自分の会社が売られることになると、一体どうなってしまうのだろうという不安があります。
従業員にとっては生活がかかっているので、会社を売ることによって仕事を失うのではないかと思うのは当然でしょう。
M&Aで会社を売ると、不安になった従業員から反発が起きて、結局M&Aが失敗に終わるというケースも少なくありません。
よって、これから会社を売る経営者としては、会社を売ることによって役員が従業員がどうなるのか理解し、役員・従業員にしっかり説明できることが重要になります。
この章では、会社売却後の経営者・役員・従業員がどうなるのかについて、それぞれの立場から解説していきます。
会社売却後の従業員・社員
まずこの節では、会社を売ると従業員・社員がどうなるか解説します。
給与・待遇面
会社を売った後にそこで働いていた従業員や社員の待遇がどうなるかは、どのようなM&Aスキームを選択したかによって変わってきます。
株式譲渡というのは、株式を売って経営者を代える取引です。会社そのものには変化がないので、そこで働く従業員の給与・待遇も、基本的にはそのまま引き継がれます。
ただし、経営者が変わるということは経営方針が変わるということなので、結果として従業員・社員の給与・待遇が変わる可能性もあります。しかし、株式譲渡という取引そのものには、従業員・社員の給与や待遇を変化させる要素はありません。
給与や待遇が変わるというと、給料が下がったり、待遇が悪くなるケースを想像しがちです。しかし、M&Aで会社を買収されるということは、より大きな会社の傘下に入るということなので、給与や待遇が改善されることもよくあります。
株式譲渡と違い、事業譲渡は事業資産を別な会社に売る取引なので、その事業に属する従業員・社員は別な会社に移籍することになります。つまり雇用契約が引き継がれないので、一旦退職して再雇用するなどの対処が必要になります。
再雇用で給与が減らないように対処するのは当然ですが、注意したいのは退職金に関してです。
事業譲渡によって従業員が移籍すると勤続年数がリセットされるので、移籍せず同じ会社でずっと働いた時に比べて、もらえる退職金が低くなることがあります。
従業員は契約をよく理解して注意するとともに、経営者は従業員が不利益を被らないようにケアしなければなりません。
退職はできる
従業員・社員の退職に関してですが、株式譲渡を用いるにしろ事業譲渡を用いるにしろ、従業員は自らの意思で自由に退職することができます。
高く会社を売るために従業員の退職を阻止したり、逆に会社を売ることを理由に従業員を解雇することはできません。
会社売却後の経営者
次は、会社を売ると経営者がどうなるのかを解説します。
給与・待遇面
経営者の給与・待遇に関してですが、まず経営者は自社の株式を保有しているので、株式譲渡で会社を売ると、売却益は経営者個人に入ることになります。
それに対して事業譲渡の場合は、売却益が株主ではなく会社に入るので、経営者が直接的に売却益を得ることはできません。
しかし、一旦会社の利益としたうえで、報酬や退職金などの名目で経営者の個人的な利益とすることは可能です。
次に待遇面についてですが、株式譲渡の場合は株式を売却して議決権を失うので、それとともに経営者の座を退くことになります。
逆に、事業譲渡では引き続き経営者が株式を保有し続けるので、経営者としての地位に特に変化はありません。
ただし当然ですが、譲渡した事業についての経営権は失うことになります。
拘束を受ける可能性
株式譲渡をすると経営者はその地位を退くと述べましたが、実際は株式を譲渡した後もしばらく拘束されることが多いのは注意点です。
株式譲渡で会社を売却すると、新しい経営体制のもとで業務が始まることになりますが、今まで別な企業風土やシステムのなかで経営していた会社が、新しい環境になじむには時間がかかります。
そこで、旧経営者がしばらく会社に残り、新しい体制でのシステムのすり合わせに協力することになります。この時すでに経営者は新しく変わっているので、旧経営者は顧問などの肩書を与えられることが多いです。
この過程は統合プロセスと呼ばれ、M&Aが成功するかのカギを握る重要な手続きとなります。
会社売却後の役員
続いてこの節では、会社を売ると役員がどうなるかを解説します。
給与・待遇面
株式譲渡の場合は従業員と同様、基本的には役員の給与や待遇面はそのまま引き継がれます。
しかし、新しい経営体制に移るにあたって役員を一新したい場合は、新しい経営者の判断によって役員が刷新されることもあります。
対して、事業譲渡の場合は役員は譲渡企業に残り、譲受企業の役員を引継ぐということは基本的にありません。
ただし、新しい経営体制において必要と判断された場合は、新しい経営者側の判断により譲受企業の新役員に就く可能性もあります。
退職はできる
役員も従業員と同様、会社を売ることをきっかけに退職することは可能です。しかし、経営者の場合と同じように、統合プロセスのためにしばらく顧問などとして拘束されるケースもあります。
会社に起こる変化
株式譲渡では経営者が変わるだけなので、会社自体に大きな変化がないこともよくあります。ただし、新しい経営者の経営方針が今までと異なる場合は、会社にも変化が起こる可能性はあります。
事業譲渡においては、譲渡した事業は新しい会社に属することになり、従業員も転職する形で雇用が確保されます。事業譲渡は株式譲渡に比べて、会社に起こる変化が大きい傾向があるといえます。
社名が変わる可能性がある
会社を売る時に問題となることのひとつが、社名を変更するかどうかです。社名は経営者にとっては愛着があるものなので、変更したくないと思う方も多いでしょう。
社名を変えるかどうか決める権限は基本的に譲受企業側にありますが、交渉時に譲渡企業側が意見して同意を得れば、譲渡企業側の意向が反映されることもあります。
譲受企業側が社名を変更させるかどうかは、個々の事例の状況により判断されることになります。
例えば、譲渡企業側の社名にブランドイメージがある場合は、譲受企業としてはそれを利用したいので、社名は変更されないのが一般的です。
会社を売る際に決めておきたいこと

会社を売るというのは簡単なことではなく、成功率は30%ともいわれています。会社を売る際はしっかりと準備をして、決めるべきことは事前に決めておくことが重要です。
本格的な手続きに入る前に、決めておきたい主な事項は以下のとおりです。これらの点をあらかじめクリアしてから会社を売る手続きに入れば、成功率を上げることも可能になります。
【会社を売る際に決めておきたいこと】
- 会社売却までのスケジュール
- 会社の業績を少しでもよくする
- 帳簿のミスなどを確認し改善する
- 会社を売る際の優先順位を決める
- 会社売却の専門家に相談する
1.会社売却までのスケジュール
会社を売ることは必ずしもスケジュール通りにはいきませんが、それでもあらかじめスケジュールを立てて、手続きの全体像を把握しておくことは有益です。
会社を売るのに必要な期間は、売却先が早く見つかるか、交渉がスムーズにいくかによって大きく変わりますが、早くても3か月、長ければ1年以上かかると想定しておきましょう。
例えば、半年くらいでクロージングまでいくと仮定して、一か月ごとにこなすべき手続きを大まかに割り振っておけば、手続きを進めやすくなり、手続きを進めるモチベーションにもなります。
スケジュールを組んで期限を決めないと、本業が忙しく後回しになり、会社を売る手続きがどんどん遅れてしまうというのも少なくありません。
2.会社の業績を少しでもよくする
会社を売る際に大切なのは、会社の磨き上げという作業です。会社を買う側としてはもちろん業績のいい会社を買いたいですから、売る側としてはできるだけ業績を改善しておくことが重要になります。
もちろん、業績というのは簡単に上げられるものではないですが、財務を見直して余計な負債を整理するなど、できる部分をこなしておくだけで買い手の印象は随分とよくなります。
どうしても業績を上げられない場合は、ネックになっている要素を洗い出してリストにしておくと、買い手側が状況を理解しやすくなります。
買い手側の会社にネックになっている部分を改善できる能力がある場合、たとえ業績が悪くても買収する価値があると判断されることもあります。
3.帳簿のミスなどを確認し改善する
中小企業や小規模事業者は、財務諸表のつけ方が適当になってしまっていることもよくあります。
しかし、買い手からすれば後になって大量の簿外債務が発覚するような事態は避けたいので、帳簿にミスが多い会社を買収するのは敬遠したがる傾向にあります。
特に、残業代の未払いのような後でトラブルになる可能性が高いものや、経営者の個人資産と会社の資産があいまいになっているようなものは、買い手との交渉に入る前に改善しておく必要があります。
4.会社を売る際の優先順位を決める
会社を売るというのは、買い手と売り手双方が納得しなければ成立しません。自分の理想的な売却条件を、全て押し通すのは難しいのが実際のところです。
そのため大切になるのは、会社を売る際に求める条件に、優先順位をつけておくことです。優先順位の高い条件は強く主張し、低い条件は場合によっては通らなくてもいいというスタンスでいくと、交渉がまとまる可能性が高くなります。
何を優先させるかは、会社を売る側の目的や理由によって変わってきます。例えば事業承継が目的なら、自社の理念や事業への思いを継いでくれるかが重要になり、売却益が目的なら売却金額が最重要項目になります。
5.会社売却の専門家に相談する
会社を売るためには、自分に合った専門家をみつけられるかが重要になります。一般的にはM&A仲介会社を利用することになりますが、仲介会社は非常に数が多いので自社に合わない仲介会社を選んでしまうリスクも想定しなければなりません。
ほとんどの仲介会社は無料相談を実施しているので、よさそうな仲介会社といくつか無料相談してみて、一番合いそうなところを選ぶというのもよい方法です。
仲介会社は、自社の業種と事業規模を基準として、同じ業種や似た事業規模の案件を取り扱っている仲介会社を選ぶとよいでしょう。
会社を売る際におすすめの相談先

M&A総合研究所は、会社を売る際におすすめの相談先です。会社売却の経験が豊富な会計士・弁護士・アドバイザーが在籍しており、クロージングまでの全行程をフルサポートいたします。
取り扱っている売上規模は一億から数十億くらいで、中堅・中小企業のM&Aをメインに手がけています。もちろん小規模事業者の方の相談も歓迎です。
手数料は経営者様の負担を抑えるため、着手金と中間金が無料の完全成功報酬制を採用しています。成約に至らなければ料金は無料なので、コストの心配をすることなく納得いくまで相談できます。
無料相談は24時間受け付けていますので、会社を売る際はお電話かWebからお気軽にお問合せください。
まとめ

会社を売る理由は事業承継以外にもいろいろあり、M&Aにはさまざまな活用法があります。
会社を売るというのは多くの経営者の方にとって何度もあることではないので、方法を理解し準備を整えて、できるだけ成功率を高めるように備えておきましょう。
【会社を売る理由とは?】
- 経営者が高齢になり後継者問題に直面している
- 少子化により従業員が集まらない
- 赤字経営が続いている
- セミリタイアを考えている
- 売却益を獲得し新規事業を始めたい
【会社を売る方法とは】
- 株式譲渡
- 事業譲渡
- 会社分割
- 会社合併
【会社を売る際の売却価格の決め方】
- 時価純資産法
- 類似会社比較法
- DCF法
【会社を売る際に決めておきたいこと】
- 会社売却までのスケジュール
- 会社の業績を少しでもよくする
- 帳簿のミスなどを確認し改善する
- 会社を売る際の優先順位を決める
- 会社売却の専門家に相談する