事業再生ADRとは?債権回収を停止して会社を立て直そう!

事業再生ADRとは?債権回収を停止して会社を立て直そう!

事業再生ADRとはどんなものだろう」と、悩んでいませんか?

事業再生中に融資してもらっている銀行から勧められたけれど、どのような制度かわからない人も多いはず。

実は、事業再生ADRを活用しなければ、事業再生が失敗してしまうことが多いのです。

ここでは、事業再生ADRの基礎知識や5つのメリット、事業再生ADR手続きの流れなどについて紹介します。

事業再生ADRを理解して、事業再生を滞りなく成功させましょう。

1.事業再生ADRとは?

事業再生ADRとは?

事業再生ADRは、当事者間の話し合いをベースとして解決しようとする手続きのことです。

事業再生に関する紛争を、訴訟や法的倒産手続きのような裁判所による紛争解決手続きを利用しないところが特徴となっています。

事業再生ADRは、裁判外紛争解決手続の利用の促進に関する法律に基づいて行われる事業再生の方法です。

この再生方法は、法務大臣の認証を受けた事業再生ADR事業者が仲介を行います。

以上が、事業再生ADRについてでした。

事業再生ADRについて、簡単に理解したところで実際の使用事例を紹介します。

2.まずは事業再生ADRの使用事例を確認しよう!

まずは事業再生ADRの使用事例を確認しよう!

まずは事業再生ADRの使用事例を確認しましょう。

今回紹介するのは大手ジーンズメーカー「エドウィン」の事例です。

平成23年に資産運用の失敗で数百億円の損失を出し、事業再生ADRの手続きを行いました。

今回の事業再生ADRでは、エドウィンの債権者会議で金融機関の同意を得たため、主な取引金融機関が約200億円の債権回収を一時停止することになったのです。

さらに翌年平成24年に、大口取引先である伊藤忠商事が約300億円を融資してエドウィンを子会社としました。

そして融資した約300億円で金融機関が一時回収を停止した債権へ、返済が行われました。

この伊藤忠商事の融資により、エドウィンは再建することができたのです。

今回の事業再生ADRでは、エドウィンの資金繰りが厳しくなる再生計画の認可が下りるまでの期間に資金支援が行われました。

今回の事業再生ADRのポイントは以下の3つです。

  • 業界内でも高いブランド力を持っている
  • 出資する伊藤忠商事が大きな販路を持っている
  • ブランド力と販路による収益の増加が綿密に計画されている

これらのポイントが、事業再生ADRが行われた理由となります。

これにより、エドウィンが持つ債権は伊藤忠商事の融資により、弁済することが可能となりました。

それによって、事業の再生を図ることができたのです。

以上が、事業再生ADRの使用事例でした。

このように、事業再生ADRは有名企業でも行われている一般的な方法です。

事業再生ADRを行うことで、複数のメリットを受けられます。

そこで、事業再生ADRのメリットについて紹介します。

3.事業再生ADRの5つのメリット

事業再生ADRには、以下の5つのメリットがあります。

事業再生ADRの5つのメリット

事業再生ADRは、民事再生や会社更生と同等のメリットが受けられるため多くの企業が活用しています。

それぞれのメリットを順番に見ていきましょう。

メリット1.商取引債権者との取引を円滑に継続できる

メリット1.商取引債権者との取引を円滑に継続できる

事業再生ADRは、商取引債権者との取引を円滑に継続が可能です。

本業を継続しながら、金融機関等だけと話し合いを進めることになります。

そのため取引先に対する商取引先権などに影響を及ぼすことなく、過剰債務問題を解決できるのです。

メリット2.法的再生と同水準かそれ以上の再生が図れる

メリット2.法的再生と同水準かそれ以上の再生が図れる

法的再生と同水準かそれ以上の事業再生が、事業再生ADRでは期待できます。

これは、事業再生ADRの監督者が法的再生を担う実務家と同レベルであり、その監督者の下で手続きが行えるからです。

また私的整理ではありますが、法律により手続きが厳格化されているため、事業再生の水準が高くなっています。

メリット3.つなぎ資金の借り入れができる

メリット3.つなぎ資金の借り入れができる

事業再生ADRを利用すれば、事業再生手続き中の資金不足を防ぐためのつなぎ融資を借り入れることが可能です。

つなぎ融資には、債務保証や法的整理に移行したときの優先的な弁済が保証されています。

このため、金融機関がつなぎ融資を行いやすいような環境が整っているのです。

メリット4.債権放棄にかかる負担金を免除できる

メリット4.債権放棄にかかる負担金を免除できる

事業再生ADRに基づいて債権者が債権放棄をした場合、債務者は債権放棄にかかるはずの負担金が免除されます。

金融機関が私的整理で債権放棄をする場合には、個別の案件ごとに税務局の損金判断を受けなくてはなりません。

しかし、事業再生ADRに基づいての債権放棄に限っては、税務局から合理的に債権放棄が行われたと推定されます。

つまり、事業再生を行う企業は、融資を放棄してもらうために費用がかからないのです。

メリット5.メイン以外の金融機関とも交渉しやすい

メリット5.メイン以外の金融機関とも交渉しやすい

事業再生ADRでは、メインバンク以外の金融機関と交渉が行いやすくなります。

事業計画や弁済計画をメインバンク主導で作成せず、中立的立場の専門家から指導を受けて作るためです。

このとき、法的整理時と同程度の公正さを持って事業計画や弁済計画を作成しているため、メインバンク以外の金融機関も各計画書を信頼することができます。

そのため、新たな金融機関とも交渉が行いやすくなるのです。

以上が、事業再生ADRの5つのメリットでした。

実際に、事業再生ADRをやってみようと考えた人も多いはずです。

ここで、事業再生ADRの具体的な手続きについて見ていきましょう。

4.事業再生ADR手続きの流れ

事業再生ADR手続きは、以下の流れで行われます。

事業再生ADR手続きの流れ

この流れに沿って私的整理が行われ、事業再生ADRが実行できない場合にはその後に法的整理に移ります。

それぞれの流れを詳しく見ていきましょう。

流れ1.事前相談

流れ1.事前相談

まずは事業再生ADRを活用できるか、事業再生ADR業者に事前相談を行わなければなりません。

事業価値が認められ、事業再生の可能性がある企業が事業再生ADRを行うことで事業再生は成功するのです。

事前相談では、財務の状況を把握するための現状分析や資金繰りの安定化対策について話し合います。

そこで、正式な正式な申込のための各種申請書類が手渡されるのです。

この段階で事業再生する企業の価値やリスクの調査、事業再生計画案の策定を行っていることが必要となります。

この調査や再生計画案の策定に関して弁護士や公認会計士、税理士などを利用することが多いです。

それぞれの策定を専門家に依頼した場合は最低でも10万円程度が必要とされます。

流れ2.正式な申込

流れ2.正式な申込

正式な申込では、事業再生ADR手続利用申請書を提出します。

その他には、以下の書類が必要です。

  • 直近3事業年度分の法人確定申告書
  • 借入金明細表
  • 固定資産の明細
  • 担保一覧
  • 定款
  • 商業登記簿謄本
  • 代表者個人の直近の確定申告(代表者が保証債務を負担している場合)

正式な申込では再生する企業の価値やリスク、事業再生計画書をもとに事業再生ADRが活用できるか調査を行います。

手続利用のために、審査料や業務委託金、業務委託仲介金、報酬金が必要です。

審査の申請では一律50万円(税別)の審査料が必要です。

他にも手続きが進めば費用が発生することがあり、債権者数と債務額に応じて、事案に即した金額が求められます。

具体的にどのくらいの金額が必要になるかは、認証紛争解決事業者に相談してください。

流れ3.手続き開始

流れ3.手続き開始

正式な申込を受けた後は、対象となる債権者へ一時停止通知を発して、債権回収や担保設定行為を禁止した上で、債務調整の話し合いに参加してもらうように金融機関に呼びかけます。

事業再生ADRはメインバンク主導で手続きを行うわけではありません。

債権者会議で正式に選任される手続き実施者と事業再生ADR事業者が主導で行われます。

事業再生ADR手続の開始から終了までの間に審査料や業務委託金、業務委託仲介金、報酬金などの費用がかかります。

この費用を払うために一時的に会社の財務状況が悪化する可能性があるため、事業再生ADR期間はつなぎ融資(プレDIPファイナンス)を受ける場合が多いです。

流れ4.手続きの終了

流れ4.手続きの終了

債権者会議で全債権者から同意を得られれば、私的整理が成立し、事業再生計画の実行に移ります。

この段階では、一部債権者が弁済額の増加などの不合理な要求をしてきても、受け入れる必要がないです。

しかし、債権者会議で私的整理について不同意の債権者がいれば、事業再生ADRはできません。

その場合、特定調停に移ります。

特定調停とは、債務の返済が滞りつつある債権者の申し立てにより、簡易裁判所で返済条件の軽減等を話し合うことです。

それでも話し合いがまとまらない場合には、法的整理へと移行します。

事業再生ADRで策定した計画案が合理的なものであれば、特定調停・法的整理の中でも活用可能です。

ちなみに、事業再生ADRの手続きは債権者への一時停止通知を発送してから事業再生計画の決議を行うまで約3カ月程度の期間が必要とされています。

事前相談の段階で、資産査定や事業再生計画案の概要の策定などの準備を十分に行っていれば、期間は短縮できる可能性が高いです。

以上が、事業再生ADRの手続きの流れでした。

事業再生ADRを行うには必ず事業再生計画書が必要となります。

事業再生計画書は手続きを成功させる上で重要なカギです。

そのため事業再生計画書の策定には、力を入れてください。

5.良い事業再生計画を作りADRを成功させよう!

良い事業再生計画を作りADRを成功させよう!

事業再生計画書の策定は、事業再生ADRの成功のカギの一つです。

そのため、抜けが無いように作成しなければなりません。

事業再生計画書には、以下の6つを記載する必要があります。

  • 経営改善のための努力目標
  • 金融機関ごとの返済計画
  • 損益計算
  • 資金実績
  • ビジネスモデルの俯瞰図
  • グループ相関図

事業再生計画書の策定は、『経営改善計画書のサンプル【原則版】』が参考になります。

しかし事業再生計画書の作成は、個人で行うには非常に難しい書類です。

そのため、策定する場合には弁護士や公認会計士などの専門家と相談して行ってください。

ただ、事業再生ADRを行っても、必ずしも事業の再生が成功するとは限りません。

事業再生ADRで事業が軌道に乗らなければ、次の再生方法に移りましょう。

6.事業再生ADRの次に行うべき再生方法は?

事業再生ADRの次に行うべき再生方法は?

事業再生ADRの次に行うべき再生方法は、以下の2つの方法があります。

  • DIPファイナンス
  • スポンサー型事業再生

どちらも事業再生ADRを行った後に活用できますが、使用できる条件もあるため注意が必要です。

それではそれぞれの方法を順番に紹介します。

方法1.DIPファイナンス

方法1.DIPファイナンス

DIPファイナンスとは、運転資金などを融資を受けることです。

この融資は、会社更生法や民事再生法といった法的整理の申し立てを行った企業に対して行われています。

大きな特徴として、倒産手続きを行いながらも、旧経営陣に経営を任せて会社の再生を行うことです。

倒産手続きに入ると、取引先から現金支払いを要求されることが多いため、申し立てを行った企業は資金繰りが悪化してしまいます。

このようなときに、DIPファイナンスでは短期融資を申し立て企業に対して行い、事業再生を支援するのです。

DIPファイナンス以外での再生方法に、スポンサー型事業再生があります。

方法2.スポンサー型事業再生

方法2.スポンサー型事業再生

スポンサー型事業再生とは、過剰な債務などが原因で自力での再建が困難な企業が、他の企業(スポンサー)の支援で再生を図る手法です。

支援の仕方は、会社分割や事業譲渡などで行われます。

スポンサー型事業再生のメリットは、スポンサーの知見や経営資源、販路、信用を活用できることです。

これにより、収益力が改善する効果が得られるため、事業再生の確実性が上がります。

スポンサー型事業再生を活用するにあたっての注意点は、スポンサーの選定です。

スポンサーから支払われる資金が債権者への返済原資となるため、スポンサーが経済的に余裕があることや社会的信用があることが求められます。

事業再生のスポンサーとのマッチングは、M&A仲介会社が得意としています。

以上が、事業再生ADR以外の再生方法でした。

事業再生ADRで事業が再生しなければ、今後どのように再生していくのかを速やかにかつ慎重に検討しなければなりません。

まずは、事業再生ADRを成功させるために専門家に相談に行ってください。

7.事業再生ADRの相談先は?

事業再生ADRの相談先は、以下の2つがあります。

事業再生ADRの相談先は?

それぞれの相談先では、相談できる内容が異なるため注意が必要です。

それでは順番に相談先を見ていきましょう。

相談先1.事業再生実務家協会

相談先1.事業再生実務家協会

事業再生ADRの申請手続きに関する相談は、『事業再生実務協会』に相談しましょう。

事業再生実務家協会は日本で唯一の認証紛争解決事業者として、中立的な立場で事業再生ADRを仲介する機関です。

第三者機関として、事業再生ADRの無料事前相談から、私的整理に関する手続きの仲介を行います。

事業再生ADRの仲介紛争解決は、事業再生実務家協会のみが行えるのが現状です。

全国の事案に対応していますが、利用前の事前相談は東京の事務局で行うか、交通費等を支払って各地域に赴いてもらう必要があるので注意してください。

相談先2.弁護士

相談先2.弁護士

事業再生計画書の策定は、弁護士に依頼してください。

事業再生実務家協会は、仲介手続きを行うだけの機関です。

そのため、事業再生計画などはあなた自身で準備しなければなりません。

しかし、準備する書類等は複数必要で、専門的な内容となります。

そのため、弁護士に相談して各種書類を用意してもらいましょう。

弁護士であれば、その後の法的整理に移行した場合でも、引き続き対処してもらうことが可能です。

以上が、事業再生ADRの相談先でした。

事業再生ADRをスムーズに利用したいのなら、弁護士に相談しながら手続きを行うべきです。

しかし、相談を行っても再生が難しい場合もあります。

その場合は、M&Aでの企業売却も検討しましょう。

8.再生が難しければM&Aで売却も検討しよう

相談先2.弁護士

もう自分の手では会社を再生させることが難しいなら、M&Aで売却を検討してください。

M&Aでの売却なら、事業再生中でも買い手が見つかり、会社の立て直しが行えることが多いです。

会社を買ってくれた側がDIPファイナンスを使える可能性もあります。

しかし、買い手はあなたの会社に魅力を感じなければ現れません。

あなたの会社を買い取ることによって、会社の規模拡大や技術の吸収を行いたいと考えています。

そのため、買い手企業が魅力と感じる企業の強みを用意しなければいけません。

事業再生のためにも明確な企業価値をアピールできるようにするべきです。

また、M&Aでの売却を成功させたいなら、M&A仲介会社に依頼しましょう。

M&Aでの企業売買については専門性が非常に高いです。

M&A仲介会社なら、あなたの希望に沿った条件で交渉を行ってくれます。

最後に、使いやすいM&A仲介会社を見ておきましょう。

8−1.最も使いやすい仲介会社は『M&A総合研究所』

跡継ぎについてM&A総合研究所に相談しよう

(引用:M&A・事業承継のマッチングプラットフォームならM&A総合研究所

M&A仲介会社の中でも、特に使いやすいのは『M&A総合研究所です。

登録料などすべての費用が無料となっているため、気軽に相談できます。

取り扱う会社も多いため、最適な引継ぎ先を提案してくれるでしょう。

また、成果報酬制で専属の担当者がつくプランもあり、こちらは引継ぎ成功までサポートしてくれます。

さまざまな視点からサポートをしてもらえるため、再生中の会社売却を成功させるには『M&A総合研究所』を活用するべきです。

企業名 M&A総合研究所
URL https://masouken.com/
各種手数料 無料(一部有料プランあり)

以上が、活用しやすいM&A仲介会社でした。

企業再生が難しそうなのであれば、専門家のもとで売却も検討してみてください。

まとめ

事業再生ADRは、当事者間の話し合いで解決する手続きです。

メインバンク以外との話し合いを持つことも可能であり、意見がまとまらなければ裁判所での話し合いに切り替えることもできます。

事業再生ADRが上手く進まない場合には、DIPファイナンスやスポンサー型事業再生も活用を考えてください。

その他にもM&Aで企業売却をする方法もあるため、状況に合わせた方法を選び、事業再生を成功させましょう。