PMIとは?初めてのM&Aでもシナジー効果を最大化させる方法を解説

「PMIって何のこと?」と、悩んでいらっしゃいますね。

PMIとは、M&A成立後の統合プロセスのことです。

統合プロセスとは、M&Aの契約後に買い手企業と売り手企業を1つの組織にするために行うマネジメントのことを指します。

PMIが上手くいかなければ期待したシナジー効果が発揮できず、「M&Aは結果的に失敗した」という判断をしなければなりません。

今回はPMIについての基礎知識や目的、成功させるポイントを分かりやすく解説します。

PMIをしなかった場合、どのようなことが起きるのか事例を見ながら確認。

M&Aの成立で満足するのではなく、M&Aの効果を実感するためにPMIについて理解を深めましょう。

1.PMIとは

PMIとは

PMIとは、M&A成立後の統合プロセスのことを指します。

Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、「合併後の統合」という意味です。

事業をM&Aで買収・合併しても、制度やルール、システム等を統合できなければ事業継続が出来ません。

一般的には、買い手企業の制度やルール、システムに売り手企業が合わせる形になります。

そのため、多くのケースでは売り手企業の従業員が買い手企業の文化や制度に馴染んでいくための期間が必要となるのです。

PMIはM&Aの成功を左右する大きな位置づけとされています。

しかし、日本ではあまりPMIが重視されておらず、しっかりと計画を立てて実施している企業は少ないです。

PMIをないがしろにすると、どのような事態になるのか次の章で事例を確認しましょう。

2.PMIは本当に必要?M&Aの失敗事例をご紹介

PMIは本当に必要?M&Aの失敗事例をご紹介

「PMIは重要だということは何となく分かったけど、本当に必要なの?」と疑問に思う人もいると思います。

そこで、PMIが原因で失敗したM&Aの事例を2つ確認しましょう。

失敗事例1.従業員の辞職

従業員の辞職

PMIの計画・実施が上手くできないと、従業員の辞職に繋がるケースがあります。

  • 売り手企業での評価をしっかりと把握していなかったために、重要な役職に配置せず、モチベーションが下がった
  • 企業文化の統合をするための施策を考えなかったため、新しい企業に馴染めなかった
  • もともと提示していた雇用条件や業務体制が不十分だったことから内容を変更したことで、不信感を抱いた

これらのことは、どの企業のM&Aでもありうることです。

売り手企業の従業員が辞職することで、せっかく買収した事業が運営できなくなる可能性があります。

失敗事例2.生産性の低下

生産性の低下

PMIの計画・実施が上手くできないと、組織の弱体化に繋がるケースもあります。

  • 社内システムがいきなり統合され、業務ミスが多発するなど仕事の生産性が下がった
  • 企業文化を上手く統合できず、買い手企業と売り手企業で従業員が対立してしまった
  • 売り手企業の従業員教育の責任者が決まっていなかったため、通常業務がおろそかになる従業員が増えてしまった

これらのことも、どの企業のM&Aでもありうることです。

多額の譲渡価格を支払ってまで実施したM&Aが原因で、結果的に組織全体が弱体化してしまう恐れもあります。

ここで改めてPMIを実施する目的を次の章で確認しましょう。

3.PMIを実施する目的

PMIを実施する目的

そもそも、PMIは何故行わなけれならないのでしょうか。

PMIの目的は、4つあります。

  1. M&Aにおけるシナジー効果の最大化
  2. 生産性の向上
  3. モチベーションとスキルアップ
  4. 経営戦略とビジョンを浸透

それぞれの目的について詳しく確認しましょう。

目的1.M&Aにおけるシナジー効果の最大化

M&Aにおけるシナジー効果の最大化

PMIの1番の目的は、M&Aにおけるシナジー効果を最大化させることです。

M&Aは、技術力向上・顧客拡大・コスト削減など何かしらのシナジー効果を期待して成立します。

しかし、買収した事業に属する人(売り手企業の従業員)が機能しなければ、その効果は発揮されません。

出来るだけシナジー効果を得るためには、業務・意識を買い手企業と統合させる必要があるのです。

PMIが早く完了すればするほど、シナジー効果は早期に実感することができます。

目的2.生産性の向上

生産性の向上

PMIには、従業員の生産性の向上をさせる目的があります。

M&Aでは、今まで全く違うシステムや管理体制、ルールを運用していた2つの企業がいきなり統合して1つの組織として運営していかなければなりません。

基本的には買い手企業のシステムやルールに合わせることになるため、売り手企業の従業員には戸惑いがあります。

社内システムをどのような順番で導入していくのかは重要なポイントです。

また、社内システムを変えることで生産性が落ちないように、従業員育成も必要となります。

いかにシステム、ルールをスムーズに浸透させるか計画を練るようにしましょう。

目的3.モチベーションとスキルアップ

モチベーションとスキルアップ

PMIの目的に、従業員のモチベーションとスキルアップもあります。

売り手企業の従業員は「買収された」という事実にショックを受けるケースが多いです。

そのため、M&A後の給料や働き方、社風等に対して不安が募り、モチベーションは低い状態といえます。

この不安が解消されなければ、従業員は会社を辞めてしまう可能性もあるでしょう。

そうなるとせっかくM&Aで取得した事業が回らなくなり、期待したシナジー効果も得ることが出来ません。

そのために、従業員のモチベーションを上げ、両社の従業員スキルを統一していく必要があるのです。

目的4.経営戦略とビジョンを浸透

経営戦略とビジョンを浸透

PMIで欠かせないことが、経営戦略とビジョンの浸透です。

買い手企業・売り手企業ともに、多くの従業員はM&Aの目的を理解していません。

さらに、売り手企業はいきなり経営者が変わり、働く環境が一変します。

そのため、経営戦略とビジョンを納得させることで不安や疑問を解消しなければなりません。

特に中小企業で顔の見える経営者から、大企業の経営者に変わると不安は大きいです。

売り手企業の従業員を迎え入れる時は、経営者自ら経営戦略やビジョンについて語るようにしましょう。

4.PMIを成功させるための3つのポイント

PMIを成功させるための3つのポイント

PMIを成功させるために大切な3つのポイントがあります。

  1. PMI推進チームを結成する
  2. 強いリーダーシップを発揮する
  3. 目標と責任者を明確にする

これら3つのポイントを押さえ、スムーズなPMIを行いましょう。

ポイント1.PMI推進チームを結成する

PMI推進チームを結成する

まずは、PMI推進チームを基本合意契約締結と同時に結成させます。

買い手企業の経営陣や経営戦略の担当をしている部署から4~5人選出しましょう。

M&Aの目的や期待するシナジー効果をPMI推進チーム全員が理解しなければなりません。

どのように統合させていくかPMIの100日計画を作成していきます。

100日計画とは、【PMIをM&A成立後100日で完了させるための計画】のことです。

また、PMIに必要な情報を得るためにはデューデリジェンス前から確認すべき情報を洗い出さなければなりません。

さらに、M&Aの最終合意契約が締結されたら、売り手企業のコアメンバー4~5人にも加わってもらいましょう。

ポイント2.目標と責任者を明確にする

目標と責任者を明確にする

PMIを成功させるためには、全ての実施業務に目標と責任者を明確にしましょう。

PMIの実施後、業務が達成されたのかチェックが出来るよう、目標を数値化しておくことと達成期限を設けることが大切です。

また、責任者を置くことで業務が中途半端になりません。

なんとなく「PMI推進チームのせいでできなかった」という結果が出てしまうと、改善の余地がなくなってしまいます。

だれがいつまでに何をするのかを明確にすることで、1つずつPMI業務を進めていくことが出来るのです。

ポイント3.強いリーダーシップを発揮させる

強いリーダーシップを発揮させる

PMIの実施では、強いリーダーシップを発揮させる必要があります。

M&Aは経営者のわがままな決定と言っても過言ではありません。

しかし、PMIを成功させるためには従業員全員の協力が不可欠です。

そこで、経営陣・PMI推進チームが強いリーダーシップを発揮し、PMI業務に積極的に指示する必要があります。

「現場の従業員に任せる」というスタンスではなく、新しい組織を作り直す気持ちで、経営陣自ら行動しましょう。

5.PMIを導入すべき4つの制度

PMIを導入すべき4つの制度

では、具体的にPMIはどのような制度に導入するべきなのか気になりますよね。

ハード面の人事制度・報酬制度・ITシステムと、ソフト面の企業文化の4つにPMIが必要です。

それぞれどのようにPMIを実施していくべきか、確認をしましょう。

5-1.人事制度のPMI

人事制度のPMI

M&A成立後、まず始めに行うことが従業員の配置の決定となります。

基本的には前業務を引き継げる部署への配置となりますが、適切な役職配置・労働条件を2社で同等にすることは意外と難しいです。

しかし、適切な人事配置をすることで得られるシナジー効果の大きさは変わります。

M&A成立前に行うデューデリジェンスでは、売り手企業の人事制度や人事評価をしっかり把握しておきましょう。

5-2.報酬制度のPMI

報酬制度のPMI

報酬制度は、従業員のモチベーションに直結するので慎重にPMIを行わなければなりません。

デューデリジェンス時に、売り手企業の個人単位の給与・報酬、福利厚生を把握しておきましょう。

特に賞与の基準は、評価基準・支給タイミングなど企業によって大きく異なります。

事前にヒアリングを行うことで、出来るだけ同じ制度に近づけましょう。

ただし、売り手企業の報酬制度に合わせることで買い手企業の従業員から不満が出る可能性もあります。

両社が納得できる報酬制度を新しく設けることも1つの方法です。

PMI推進チームでしっかりと協議しましょう。

5-3.ITシステムのPMI

ITシステムのPMI

社内SNS、発注システム、顧客管理システムなどのITシステムもPMIが必要です。

出来るだけ早くITシステムを浸透させることで、従業員の生産性は上がります。

どのような順番で導入していくのか、どのように教育していくのか、PMI推進チームで協議しなければなりません。

また、M&Aによって新たな業務が派生した場合、そのための新しいシステムを導入する必要がでてくることもあります。

ITシステムについても、デューデリジェンス時に業務ごとに利用しているシステムを調査するようにしましょう。

5-4.企業文化のPMI

企業文化のPMI

M&A成立後一番難しいと言われているのが、企業文化のPMIです。

売り手企業の文化を把握するためには、まず以下の5つの項目をチェックしましょう。

  1. 意思決定は、トップダウン型かボトムアップ型か
  2. 人事評価の方法は、加点式か減点式
  3. 従業員の関係は、フラットな関係か上下関係が厳しいか
  4. 若手従業員の教育方針は、自発性を促すか強制的に従わすか
  5. 取引先との関係はベンダーかパートナーか

仕事や業務を行う上での判断基準や価値観を確認しましょう。

これらの調査のあとは、PMI推進チームを中心にコミュニケーションを取っていきます。

具体的にはいくつかのワークをしながら、判断基準を理解していくのです。

6.PMIの100日計画とは

PMIの100日計画とは

PMIの100日計画とは、PMIをM&A成立後100日で完了させるための計画のことです。

PMIは100日程度で完了させることで、M&Aのシナジー効果を得られやすくなります。

100日計画は以下の3つのステップに分けて考えましょう。

  1. PMIの100日計画の準備
  2. PMIの100日計画の実施
  3. 計画実施後の経過観察

ステップごとに、内容を確認しましょう。

ステップ1.PMIの100日計画の準備

PMIの100日計画の準備

まずはどのような統合の形が理想なのかを決定させます。

必ずしも、買い手企業に売り手企業が合わせる必要はありません。

良い部分を採用し合ったり、統合しない部分があっても良いでしょう。

そのため、デューデリジェンスでは売り手企業の情報を出来るだけ把握する必要があります。

  • 人事制度や報酬制度
  • ITシステム
  • 企業文化・風土

これらをしっかりと調査し、何を統合して何を統合しないか見極めましょう。

情報が整ったら、100日計画を作成していきます。

  • M&Aの目的と基本方針
  • 期待するシナジー効果
  • PMI計画のスケジュール
  • シナジー効果を最大化するための施策
  • 各部署に必要な業務一覧

これらのタスクを細分化し、責任者と実施者、目標、達成期限を決めておきましょう。

ステップ2.PMIの100日計画の実施

PMIの100日計画の実施

M&Aの最終合意契約を締結したら、売り手企業のメンバーも加わって100日計画を実施していきましょう。

事前に買い手企業だけで決めた100日計画の内容を共有し、同じ熱量で取り組んでもらわなければなりません。

計画の実施中も定期的に責任者同士で会議を開き、進捗確認をしたり、課題解決をして行く必要があります。

目標期限が過ぎたら「出来た」「出来ていない」でチェックをしていき、目標にしていた成果が得られたかのチェックも行いましょう。

ステップ3.計画実施後の経過観察

計画実施後の経過観察

PMIの100日計画の実施後も、さらに統合を確たるものにするため、継続的な経過観察が必要です。

実施できなかった計画内容や、想定外の課題に対しては引き続き新しいPMI計画を立てアプローチしていきましょう。

PMI推進チームが期待した通りに統合が出来ているのか、従業員に対してアンケートを取ることでさらに課題が明確化します。

期待通りの結果になったとき、初めてPMIは終了です。

しかし、今後出てくるトラブル・課題に対しての窓口を作っておくことで、従業員に安心感を与えることができます。

7.PMIコンサルタントに相談しよう

PMIコンサルタントに相談しよう

PMIは短期間で膨大な業務をこなさなければならないため、PMIコンサルタントに相談することをおすすめします。

M&Aに慣れている会社はPMIの業務を担当する部署がありますが、担当部署がないM&A初心者の企業にはPMIコンサルタントは欠かせません。

PMIの100日計画の立て方から、デューデリジェンスにおいての情報収集まで細やかなアドバイスが期待できます。

PMIコンサルタントは経営コンサル企業にもいますが、M&Aを実施するときに頼る仲介会社にお願いすることも出来ます。

もちろんPMIコンサルタントが不在の仲介会社もありますが、M&A総合研究所だと安心してPMIもお願いすることが出来るのでオススメです。

M&Aの契約だけでなく、成立後のPMIまでフォローしてくれるM&A仲介会社を意識することで、スムーズなPMIの実施が出来ます。

まとめ

PMIとは、M&A成立後の統合プロセスのこと。

Post Merger Integration(ポスト・マージャー・インテグレーション)の略で、「合併後の統合」と訳されます。

PMIの重要性をお伝えしましたが、自社で完結させようとするととても大変な作業です。

PMIコンサルのいるM&A仲介会社を選び、M&A成立後もサポートをしてもらいましょう。

そうすることで、より大きなシナジー効果を得られるはずです。

※M&Aについて、もっと詳しく知りたい場合は『M&Aとは?成功させるための基礎知識を世界一分かりやすく解説!』にわかりやすく説明しているので参考にして下さい。