M&A業界への転職は難易度が高い?経験者、未経験の転職方法を解説

M&A業界への転職は難易度が高い?経験者、未経験の転職方法を解説

昨今、企業を取り巻く環境の変化に伴って、M&Aは増加傾向にあります。国内市場の成熟化や少子高齢化による人口減少など、企業はさまざまな変化に対応していく必要があります。

M&Aは、このような経営課題の解決手段として広く活用されるようになり、M&A業界を身近に感じることも多くなりました。

本記事では、身近になったM&A業界への転職を考えている方に向けて、転職する方法を解説します。

M&A業界とは

M&A業界とは

一口にM&A業界といっても、業界内で活動するプレイヤー(企業や機関)はさまざまです。

プレイヤーによって職務内容も大きく異なり、売り手と買い手を引き合わせるマッチング、実務をこなすトランザクション(取引価値の最大化)・バリュエーション(企業価値評価)、買収後の継続的なPMI(統合プロセス)など、その業務を細かく分けることができます。

これらM&Aに関するサービスを手がける「専門家の総称をM&Aアドバイザー」とし、「界隈全体をM&A業界」と呼びます。

M&A業界の現状と動向

90年代、日本のM&Aは、外資系投資ファンドのような輝かしい経歴を持つ一部のエリートのみが実施するものでした。

しかし、世間でも話題になった外資系ファンドの企業買収や、ライブドアの日本放送買収などから、M&Aが経営戦略の一環として有効活用できることが広く認知されるようになりました。

近年のM&Aの成約件数

M&Aの成約件数は2012年から8年連続で増加傾向にあり、2019年には4,000件を突破(レコフ調べ)しています。

元々、大企業の経営戦略として活用されていたところに、中小企業の経営者の高齢化や後継者問題の深刻化が進んでいることが影響したと考えられます。

個人のM&A

また、まだまだ少数派ですが個人によるM&Aも見受けられるようになりました。主な買い手は独立を目指すサラリーマンで、数百万円を投資して中小・零細企業を買収するスモールM&Aです。

多様化するニーズに合わせて、M&A業界の在り方も変化をみせつつあるといえるでしょう。

M&A業界の今後

今後のM&Aの傾向としては、IT系のスタートアップやクロスボーダー(海外M&A)を中心に広がっていくとみられています。

世界的にIoT化が進むなかで、独自の技術開発を目指すスタートアップは非常に高い評価を得る傾向にあります。

革新的な技術の獲得を目論む大企業や、高額の売却益の獲得を目指す起業家によるマッチングが多くなるという見方がされています。

また、国内市場が成熟している業種は、成長戦略を図るためには海外進出が欠かせません。クロスボーダーを積極的に実行して効率的に企業を成長させようとする動きも強まるでしょう。

近年の国内中小企業の後継者問題が深刻化していることも考慮すると、M&A業界全体の需要はさらに増していくと考えられます。

【関連】クロスボーダーとは?メリットやリスクを事例とともに世界一わかりやすく解説

M&A業界への転職は難易度が高い?

M&A業界への転職は難易度が高い?

M&A業界の需要の高まりを受けて、業界への転職を検討する人が増えています。しかし、M&Aの大まかな職務内容を目にすると複雑な印象を受けるのも事実であり、難易度が高いと感じられる方も多いといいます。

ここでは、M&A業界への転職がどの程度の難易度であるか正しく把握するために、転職の際に有利に働く資格やスキルについて解説します。

M&A業界に転職する際に有利な資格・スキル

M&Aアドバイザーの職務内容は多岐に渡るため、さまざまな資格・スキルが役に立ちます。そのなかでも重視されるものは以下の3点です。

【M&A業界に転職する際に有利な資格・スキル】

  1. MBA
  2. 公認会計士
  3. M&A関連の資格

1.MBA

MBAは、経営学の大学院修士過程を終了することで与えられる学位です。修得者は特定の専門分野における学問を修得したことを認められ、M&A業界でも大いに役立てることができるでしょう。

海外と国内の2通りの修得方法がありますが、海外MBAは非常に高難度とされています。取得のために数年間の留学が必要不可欠になるため、学業や仕事との両立は極めて困難といえるでしょう。

一方、国内MBAは夜間講座を設けているビジネススクールを利用することで、学業や仕事と両立しながら勉強することができます。

評価としては海外MBAより劣る面(主に英語力)もありますが、国内MBAでも十分にアピールポイントになります。

2.公認会計士

公認会計士は、会計監査を独占業務とする国家資格です。会計・財務・税務など幅広い分野を担当できるためM&A業界で重宝されている人材です。

M&A業界のほとんどのプレイヤーは、公認会計士が在籍もしくは提携しているといってもよいでしょう。

取得の流れは、2回の試験に合格後に2年間の実務業務で単位取得を経たうえ、最終試験に合格となっています。取得難易度は非常に高いですが、M&Aにおいて高い専門性を証明することができる資格です。

【関連】M&Aのサポート依頼はM&A仲介、弁護士、会計士がおすすめ!役割、違いを解説

3.M&A関連の資格

M&Aに関連する資格を取得する方法も有効です。国家資格ではなく、民間の企業や団体が認定を行っているM&A資格であり、前者2つと比較すると取得難易度は低い特徴があります。

M&A資格 認定機関・団体
M&Aエキスパート認定資格 金融財団事情研究会・日本M&Aセンター
M&Aスペシャリスト資格 一般社団法人日本経営管理協会(JIMA)
JMAA認定M&Aアドバイザー 一般社団法人日本M&Aアドバイザー協会

M&A業界への転職は経験者が有利?

結論からいえば、M&A業界への転職は経験者の方が優遇される傾向にあります。特に、M&A業界は全体的に人材不足であり、案件に対して担当できるアドバイザーが圧倒的に足りていない状況になっています。

即戦力として期待できる経験者は、採用において優遇されることは間違いないといえるでしょう。

M&A業界への転職は未経験者でも大丈夫

M&A業界全体の傾向として、業界に興味のある未経験者も積極的に採用しています。その理由は独創性のある若手の発掘にあります。

M&A業界は、自身の確固たる考えを持ってM&Aアドバイザリーに取り組める人材を欲しています。この点では、新しいことに目を向けやすい未経験者の方が伸びしろがあるといえるでしょう。

その際、前述した国家資格やM&A資格を取得しておくと、一定の能力を証明すると共にM&Aに対するやる気・熱意を伝えやすくなり、採用確率も上がります。

M&A業界への転職方法【経験者の場合】

M&A業界への転職方法【経験者の場合】

経験者がM&A業界に転職する場合は、いくつかのポイントを押さえておくと自分に合う転職先がみつかります。この章では、経験者の方がM&A業界へ転職する方法を解説します。

【M&A業界への転職方法(経験者の場合)】

  1. 求人募集に応募する
  2. キャリアアップのため、資格・スキルを身につける
  3. 自分のレベルにあった転職先・ポジションに狙う

1.求人募集に応募する

M&A業界において、経験者は優遇される傾向にありますが、必ずしも採用されるわけではありません。

応募先の求める人物像と違いがあれば、残念ながら不採用となるケースもあります。しかし、その経験はその後の採用面接に活かすことができるので、積極的に求人募集に応募して数をこなしてみましょう。

2.キャリアアップのため、資格・スキルを身につける

経験者のM&A業界への転職成功率を上げる正攻法の1つに資格・スキルの取得があります。自身の能力を証明する手段として最も有効な方法であり、実務面でも必ず役に立てることができます。

役に立つ資格・スキルはさまざまですが、担当したいポジション(職務)に合わせて取得すると、最大限に有効活用することができます。

3.自分のレベルにあった転職先・ポジションに狙う

M&A業界は、転職先によって規模が大きく異なります。M&A業界の経験が豊富であれば、規模の大きいところがおすすめです。多くの売却・買収案件が行き交っており、常にM&A業務に携わることができます。

英語を始めとした外国語が堪能であれば、クロスボーダー(海外M&A)を扱うところもよいでしょう。日本企業の海外市場の開拓を手助けする仕事は、外国語ができなければ務まりません。

M&A業界への転職方法【未経験者の場合】

M&A業界への転職方法【未経験者の場合】

未経験者の場合、経験者と比較して採用のハードルは高くなる傾向にありますが、十分に採用される可能性はあります。この章では、未経験者の方がM&A業界へ転職する方法をみていきましょう。

【M&A業界への転職方法(未経験者の場合)】

  1. M&A業界への転職に有利な資格・スキルを身につける
  2. M&A業界に関わる職種からの転職
  3. 未経験でも可能な適切な転職先・ポジションを狙う

1.M&A業界への転職に有利な資格・スキルを身につける

未経験者であれば、やはりM&Aに関連する資格・スキルを取得しておきたいところです。国家資格やM&A資格は転職を有利にしてくれるでしょう。

特におすすめの資格は公認会計士です。非常に高難易度ですが、M&A業務に必須とされるスキルとの親和性が非常に高いため、M&A業界で重宝される資格です。

また、受験資格がないのも非常に大きなメリットです。年齢や学歴は不問なので公認会計士を志した瞬間から合格に向けて取り組めます。

営業経験も活用できる

また、M&Aでは営業経験が強く活きる場面もあります。近年は中小企業の後継者問題の深刻化などによって、廃業とM&Aの選択に悩みを抱える経営者が多くなっています。

この時、悩みを抱える経営者に対してM&Aを実施することで得られるメリットを分かりやすく伝えるプレゼン能力が求められます。

営業経験が豊富で説明することが得意な方であれば、M&Aに関する知識を加えることで即戦力として働くこともできます。

2.M&A業界に関わる職種からの転職

M&A業界はさまざまな知識・スキルが必要となる業種です。金融機関やコンサルティング会社の経験があれば、M&A業務に活かすことができます。

M&Aにおいて、自身の経験を活用できる場面を事前に調べておき、面接でアピールすることで有利に進めることができるでしょう。

3.未経験でも可能な適切な転職先・ポジションを狙う

自分の能力に見合っていない転職先・ポジションは、あまりおすすめできません。採用されたとしても十分に実力を発揮できない可能性があるからです。

例えば、直接交渉を担当する重要なポジションをいきなり目指すのは非現実的です。転職先において一定の業務をこなしたうえで能力の証明と信頼を獲得してから、初めて任されるようになる花形です。

まずは、M&Aの進行で必要となる資料の確認・整理などのような雑用に近い業務をこなすことが一般的とされています。

M&A業界に関わる転職先

M&A業界に関わる転職先

M&A業界に転職するならば、M&A仲介業務を手掛けているところに転職するのが最も有効的です。M&A業界への転職先の候補には、主に以下の5つが挙げられます。

【M&A業界に関わる転職先】

  1. 仲介会社
  2. 会計事務所
  3. 監査法人
  4. コンサルティング
  5. 金融機関

仲介会社

仲介会社は、M&A仲介業務を専門的に請け負う企業です。M&Aに関する高い専門性を有しており、交渉から成約までの一連の流れを全て担える特徴があります。

人材に求める知識・スキルはそれぞれ高くなりますが、M&A業界のなかでも働きがいのある転職先です。

会計事務所

会計事務所は、会計・税務に関する業務を請け負う事務所です。

公認会計士や税理士を中心に構成されており、資格取得までの実務経験を積むために就職する若手の姿も見受けられます。

【関連】税理士や公認会計士はM&Aを行うべき!事務所の顧客を増やそう!

監査法人

監査法人は、企業の会計監査を目的とする法人です。5名以上公認会計士を持って設立が認められます。

大企業のなかでもさらに規模が大きいものになると、1人の公認会計士では担当しきれないこともあるため、複数の公認会計士が集まった監査法人が必要になります。

M&Aの活性化に伴い、監査法人の重要性も増してきており、公認会計士を積極的に採用するところも珍しくありません。

コンサルティング

コンサルティングは、企業や経営者に対して経営的観点によるアドバイス・サポートを行うことをいいます。

特にM&Aと経営コンサルは結びつきが強く、コンサルティング会社に転職すれば、M&A業務に携わることも多くなるでしょう。

金融機関

金融機関は、銀行や信用金庫などが該当します。融資以外にもM&A業務を行っており、M&A専門チームを設立しているところも珍しくありません。金融業の知識がある方にはおすすめの転職先です。

【関連】M&Aのアドバイザリー業務は銀行がオススメ?

M&A業界への転職に向いている人

M&A業界への転職に向いている人

M&A業界は他業種と比較するといくつかの異なる特徴があります。ここでは、その傾向を計り、M&A業界への転職に向いている人の特徴を紹介します。

【M&A業界への転職に向いている人】

  1. ハードワークができる人
  2. コミュニケーション能力がある人
  3. 大きな金額が動く交渉に関わりたい人
  4. 事業者・経営者の悩みに寄り添える人
  5. タスク管理に優れた人

1.ハードワークができる人

M&A業界は、とにかく激務であることで知られています。短期間で報酬に見合う働きが求められるので、繁忙期はとにかくハードワークになりやすいです。

とにかく働きたい、ハードワーク歓迎という人はM&A業界への転職は向いているといえるでしょう。ハードワークになる理由には、主に以下の3つがあります。

複数案件の同時進行

同時に進行する理由は、交渉が破談した時のリスクを軽減させるためです。M&Aの料金体系は成功報酬が最も大きな割合を占めており、成約しなければ利益を獲得できません。

しかし破談に終わることもあり、交渉にかけた労力の一部が無駄になることも珍しくないというのが実際のところです。

人間関係の構築

M&Aは企業や事業の売買を行うものですが、実際に決断するのは人間です。そのため、機械的なものではなく、信頼関係を構築したうえで業務に取り組まなければなりません。

時には、業務時間外に担当案件の経営者よりかかってくる電話への対応なども必要になるでしょう。

資料作成と整理

M&Aを進めるうえで必要な資料は多岐に渡ります。経営者に用意してもらう資料のリスト作成や提出された資料の整理など、M&Aの進行に合わせてさまざまな資料作成と整理を行う必要があります。

2.コミュニケーション能力がある人

M&Aにおいては、交渉やファシリテーション(話の流れの整理等)などのコミュニケーション能力も求められます。

ただM&Aの交渉や説明をするだけではなく、経営者の意向を的確に汲み取ることができなければ、M&Aを成約させることは難しいでしょう。

コミュニケーション能力があることを自負できるなら、M&A業界でも大きな存在感を示せるはずです。

3.大きな金額が動く交渉に関わりたい人

M&Aの仲介手数料は取引価格に応じた額を受け取るため、取引規模が大きくなるほど身入りがよくなる仕組みになっています。

小規模でも数百万円、大規模だと億以上にも及ぶ取引は、M&Aに対する自身の貢献度が金額として分かりやすく現れる業種であると言えます。

4.事業者・経営者の悩みに寄り添える人

事業者や経営者の悩みに対して親身になれるか、という点も重要です。時には交渉が行き詰まり、別の道を模索しなければならない分岐点も訪れます。

その際も安易なほうへ向かうのではなく、事業者・経営者にとってプラスになる選択をしなければなりません。

M&Aを他人事ではなく、自分の子供の将来を案ずるように考えることができれば、自ずと成果へと繋がっていくでしょう。

5.タスク管理に優れた人

M&Aはハードワークなので、1日に複数の業務をこなさなくてはなりません。たった1つの業務に遅れが出ることでM&A全体の進行が滞ってしまう恐れもあります。

するべきことに優先度をつけた適切なタスク管理が求められるので、日常的にタスク管理を徹底できている人はM&A業界でも効率よく業務を進められるでしょう。

まとめ

まとめ

M&A業界への転職は難しい面もありますが、未経験であっても採用される可能性もあります。M&A業界への転職を考えている場合は、資格やスキルだけで判断するのではなく、自分の能力に見合った転職先を選ぶことが大切です。

【M&A業界に転職する際に有利な資格・スキル】

  1. MBA
  2. 公認会計士
  3. M&A関連の資格

【M&A業界への転職方法(経験者の場合)】

  1. 求人募集に応募する
  2. キャリアアップのため、資格・スキルを身につける
  3. 自分のレベルにあった転職先・ポジションに狙う

【M&A業界への転職方法(未経験者の場合)】

  1. M&A業界への転職に有利な資格・スキルを身につける
  2. M&A業界に関わる職種からの転職
  3. 未経験でも可能な適切な転職先・ポジションを狙う

【M&A業界に関わる転職先】

  1. 仲介会社
  2. 会計事務所
  3. 監査法人
  4. コンサルティング
  5. 金融機関

【M&A業界への転職に向いている人】

  1. ハードワークができる人
  2. コミュニケーション能力がある人
  3. 大きな金額が動く交渉に関わりたい人
  4. 事業者・経営者の悩みに寄り添える人
  5. タスク管理に優れた人

M&A業界でとにかくハードワークをこなして実績を積みたいと考える人には、複数案件を同時進行させているM&A仲介会社をおすすめします。

M&A総合研究所は、2018年の設立から急成長しているM&A仲介会社です。案件増加に伴い、M&A仲介業務において共に働ける仲間を募集しています。

社員の平均年齢は30代前半で職場は若いエネルギーで溢れています。相互に良い影響を与えながら切磋琢磨できますので、早く成長したい人にもおすすめです。M&A業界で働きたいと考える人は、ぜひご連絡ください。

採用サイト | M&A・事業承継ならM&A総合研究所