M&Aのスケジュールは?買収までの流れ・手順を解説

M&Aのスケジュールは?買収までの流れ・手順を解説

M&Aによる会社買収を行う際は、全体のスケジュールを把握しておくことが重要です。成約するまでに必要な流れ・手順を把握することで買収後の統合プロセスも計画的に実施できます。本記事では、買い手側の視点からM&Aスケジュールを解説します。

M&Aのスケジュールは?

M&Aのスケジュールは?

M&Aを実施する際は、まずM&A全体の流れを把握して計画的なスケジュールを立てる必要があります。

M&Aとは

M&Aとは、企業の合併や買収の総称です。主に、大手企業が経営戦略の一貫として、企業再編を目的に実施しています。

M&Aの現状

国内のM&A件数は2011年以降伸び始め、2017年に3,050件、2018年に3,850件を記録しています。

前述した大手企業が影響しているのは確かですが、M&Aが増加傾向にある理由はそれだけではありません。

後継者問題や働き手不足などの経営課題を抱える中小企業のM&Aも含まれており、会社や従業員を守るためにM&Aによって会社売却を選択するケースが増えています。

M&Aは、大手企業はもちろん、中小企業にとっても身近な存在になりつつあるといえるでしょう。

M&Aのスケジュールは長くて1年かかる

M&Aの手順・流れは多岐に渡るため、基本的に6ヶ月から12ヶ月(1年)かかるといわれています。

最短と最小で6ヶ月もの開きがあるのは、M&Aに必要な期間は規模や該当業種の業界動向に大きく影響されるためです。

当事者間の事情以外にも影響されるM&Aは、M&Aに関する知識を保有、また業界事情に精通している専門家のサポートを受けつつ進めることが好ましいといえるでしょう。

M&Aのスケジュールを短く出来る?

M&Aのスケジュールは余裕をもって進めることが好ましいですが、前もって期間に関する条項を定めておくとスケジュールを短縮させることができます。

注意点としては、M&A成約を急ぐあまり、過密スケジュールを組んでしまうことです。M&Aのスケジュールで主に時間を要するのはデューデリジェンスです。

デューデリジェンスを短期間で済ませようとすると、売り手企業が抱える潜在的なリスクを発見しきれない可能性があります。

想定外の負債を抱え込むことになり、買収後の統合プロセスに支障が出る恐れもあるので、現実的なスケジュールを組むようにしましょう。

M&Aのスケジュールを短縮した場合のメリット

基本的に、M&Aはスケジュールに余裕をもって進めたいものですが、短縮することでさまざまなメリットが得られるのも事実です。

【M&Aのスケジュールを短縮した場合のメリット】

  1. 買収効果を早く得られる
  2. 市場や業界動向の変化の影響を受けにくい
  3. 情報漏洩リスクの減少

-1.買収効果を早く得られる

M&Aのスケジュールを短縮した場合のメリット1つ目は、買収効果を早く得られることです。買い手のM&Aの目的には、資金を活用した手早い事業規模・領域の拡大もあります。

自社のリソースを費やして、ゼロから事業を成長させていくと時間がかかるため、買収で人的資源の確保や事業シナジーの創出を図り、事業成長させます。

-2.市場や業界動向の変化の影響を受けにくい

M&Aのスケジュールを短縮した場合のメリット2つ目は、市場や業界動向の変化の影響を受けにくいことです。

M&Aが長引くと、当初予定していた事業シナジーが創出できなくなる恐れがあります。日々変化する業界動向や消費者のニーズに対応するために、スピーディーな成約を目指します。

-3.情報漏洩リスクの減少

M&Aのスケジュールを短縮した場合のメリット3つ目は、情報漏洩のリスクが減少することです。

M&Aは、基本的に従業員に伏せたまま交渉を進めますが、交渉が長引くとその動向から察知されてしまう可能性もあります。

中途半端な形で情報が漏れ、漠然とした不安から従業員が自主的に退職してしまうと大きな痛手ともなりかねません。

これは買い手にとっても深刻です。人的資源の確保が目的である場合、達成できなくなる可能性が生まれてしまいます。

【関連】エムアンドエー(えむあんどえー)とは?徹底解説!

M&Aのスケジュール【買収までの流れ・手順】

M&Aのスケジュール【買収までの流れ・手順】

この章では、全体のM&Aスケジュールと、各工程の内容をくわしく解説します。

【M&Aのスケジュール【買収までの流れ・手順】】

  1. M&Aの専門家に相談
  2. 各種資料の提出・情報開示
  3. トップ同士の面談
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 最終合意契約書の締結
  7. クロージング
  8. PMIの実施

1.M&Aの専門家に相談

M&Aのスケジュール1つ目は、M&Aの専門家に相談です。M&Aは各工程で専門的な知識を必要とするため、包括的なサポートを行える専門家を探すことから始めます。

特に、おすすめの相談先はM&A仲介会社です。各分野の専門家が在籍あるいは提携しているため、スケジュール全体のサポートが可能です。

複数の機関に分散して依頼すると時間や費用もかかってしまうので、包括的なサポートが行えるM&A仲介会社に相談するのが効率的です。

【売り手側】秘密保持契約の締結・アドバイザリー契約の締結

秘密保持契約は、開示する秘密情報を守るために、売り手と買い手の間で締結される契約です。

売り手は、初期段階から自社の情報を提出することになるため、真っ先に締結しておく必要があります。

アドバイザリー契約は、M&Aのサポートを依頼する契約のことです。こちらの契約によりM&Aする明確な意思を提示することになり、本格的にM&Aを進行することになります。

【買い手側】ニーズの登録

買い手側は、ニーズ(M&Aの目的)を定めることから始めます。ニーズが定まっていないと一貫性をもったM&Aが行えず、失敗に終わる可能性が高くなってしまいます。

買い手側の基本的なニーズである事業規模の拡大を達成するための経過があるはずです。人的資源の確保や販路の拡大、事業シナジーの創出など、何を目的とした買収であるのか、M&Aの専門家と共有しておきましょう。

2.各種資料の提出・情報開示

M&Aのスケジュール2つ目は、各種資料の提出・情報開示です。主にM&A先を探すために必要な資料に関する工程となります。売り手側と買い手側で行う手続きに違いがあるため、売り手から順番にみていきましょう。

【売り手側】企業価値評価の実施

売り手側は、希望譲渡価格を決めるために企業価値評価を実施して、自社の適正な価値を算出します。

企業価値評価は複数の計算方法が用意されており、それぞれ算出される値が変わります。売却額に大きく影響するので、専門家に依頼することが一般的です。

【売り手側】ノンネーム登録

M&Aを検討していることが外部に漏洩すると、従業員や株主に動揺を与えてしまい、経営や株価への悪影響の恐れがあります。

そこで、ノンネーム・シート(匿名希望)を活用して水面下で買い手を探します。ノンネームシートには、業種・希望譲渡価格・従業員数など、特定されない範囲で情報を提供します。

この際、情報漏洩を恐れるあまりに開示情報を少なくしすぎると、買い手側が求める情報が足りなくなる可能性があるため、さじ加減が重要です。

【買い手側】ネームクリア・ノンネーム検討

売り手より提出されたノンネーム・シートの検討を行います。匿名希望であるため、情報は限られていますが、事業内容に関するものは大まかな情報は記載されています。

気になる企業があればネームクリアを依頼して、より具体的な資料を請求することになります。

【買い手側】秘密保持契約の締結・アドバイザリー契約の締結

特定の企業と交渉を進めることが決まったら、秘密保持契約とアドバイザリー契約を締結します。

秘密保持契約は、買い手より開示される秘密情報を本件M&A以外の目的で利用することを誓約する契約書です。ネームクリアを行ううえでは、必ず締結する必要があります。

企業概要書の確認

企業概要書は、売り手企業の詳細を買い手企業に示すための資料です。財務状況から事業に関するものを事細かに記載します。

双方が秘密保持契約を締結してネームクリアを行ったら、売り手より企業概要書が提出されて、買い手は本格的な検討へと移ります。

【企業概要書の主な記載項目】

  1. 企業概要
  2. 事業内容
  3. 財務状況
  4. 譲渡理由

-1.企業概要

社名や所在地、資本金等が記載されています。

-2.事業内容

手掛けている事業が全て記載されます。主な着眼点は自社の事業とのシナジー効果の有無です。

買収後に相乗効果を生み出すことができる事業があれば、買収の後押しとなることは間違いありません。

-3.財務状況

財務状況は、直近3期分の決算書(賃借対照表・損益計算書)です。株式譲渡による買収の場合、売手企業の資産・負債を全て引き継ぎすることになるため、財務状況を把握しておく必要があります。

-4.譲渡理由

売り手の譲渡理由には、売却益の獲得や従業員の雇用先の確保、会社の存続など、さまざまなものがあります。

売り手の譲渡理由とこちらの買収ニーズが一致する場合、交渉が円滑に進むことが期待されますが、逆にかけ離れている場合は難航することが想定されるため、条件のすり合わせ等を考えておく必要があるでしょう。

3.トップ同士の面談

M&Aのスケジュール3つ目は、トップ同士の面談です。提出された資料を検討して具体的な交渉に入る場合は、双方の経営陣が顔合わせをするトップ面談へと移ります。

トップ面談は、複数回に渡って実施されることが一般的です。初回は顔合わせに留まり、徐々に意見交換を行っていきます。

トップ面談では、企業概要書の記載内容に関する疑問を質問できます。事前に専門家と一緒に質問事項をまとめておくとスムーズに進めることができます。

また、売り手側より買収後の事業計画について質問されることもあります。必ずしもその場で答える必要はないので、後日専門家を介して返答する形を取ることも可能です。

【買い手側】意向表明書の提示

意向表明書は、買い手が譲り受けの意向を売り手に示すための書面です。本格的な交渉の意思を伝えることで、今後のスケジュールを円滑に進める働きを持ちます。

主なポイントは独占交渉権です。M&A取引に関して他の企業と交渉しないことを誓約するものであり、相互に締結することでM&Aに対する前向きな姿勢を見せることができます。

また、意向表明書の提示は必須ではありません。双方が不要だと判断する場合に限っては、意向表明書の提示が省かれるケースもあります。

【関連】LOI(意向表明書)とは?内容や条項、MOUとの違いを徹底解説!

4.基本合意書の締結

M&Aのスケジュール4つ目は、基本合意書の締結です。基本合意書は、現段階の交渉内容に双方が合意していることを示すための契約書です。

ここまでの交渉や提出されている資料をもとに、譲渡価格やスケジュールを定めて基本合意書の条項に落とし込みます。

デューデリジェンスの実施前であるため、独占交渉権や秘密保持義務などの一部を除き、法的な効力は持ちません。

5.デューデリジェンスの実施

M&Aのスケジュール5つ目は、デューデリジェンスの実施です。デューデリジェンスは、買収対象の価値・リスクを調査する活動のことをいいます。

デューデリジェンスの目的は、簿外債務の発見です。簿外債務は賃借対照表に記載されないため、気づかないままM&Aが成約してしまうケースもみられます。

簿外債務として多いのは、退職給付債務やリース契約です。どのような企業でも起こり得るものなので、しっかりと調査する必要があります。

6.最終合意契約書の締結

M&Aのスケジュール6つ目は、最終合意契約書の実施です。最終合意契約書は、双方の最終的な合意を示すための契約書です。

デューデリジェンスの結果を反映したものであるため、全ての条項において法的な効力を持ちます。

締結後に一方的に契約を破棄すると、破棄された側に損害賠償する権利が与えられるので、契約書の内容に不備がないか、専門家を交えてチェックする必要があります。

7.クロージング

M&Aのスケジュール7つ目は、クロージングです。クロージングはM&Aの交渉が全て完了したことを意味する手続きです。

クロージングは、買収対象の引き渡し準備や必要書類を整えるための時間を確保するために、最終合意契約書の締結日より一定期間空けて行われることが一般的です。

ただし、双方の事前準備が万全である場合は最終合意契約書の締結と同時にクロージングすることもあります。買収対象の引き渡しと取得対価の支払いを持ってクロージングとなります。

8.PMIの実施

M&Aのスケジュール8つ目は、PMIの実施です。PMIとは、買収後の事業安定化を図るための統合プロセスのことを言います。

基本的に、M&Aの初期段階から戦略策定を行い、デューデリジェンスの内容を加味して具体的な内容へと仕上げていきます。

統合プロセスにおいて、重要なのは人事です。買収に伴い転籍した従業員は、環境の変化になれるまで一定の時間を要することが想定されます。

そのほかにも、事前に想定できない事態が発生することがあります。環境変化に伴う問題に対しても、柔軟に対応しなければなりません。

【関連】М&A戦略とは?目的別に戦略を策定し利益の最大化をはかろう

M&Aのスケジュールをスムーズに進行するには

M&Aのスケジュールをスムーズに進行するには

M&Aのスケジュールは、予定通りに実行することが好ましいです。しかし、漠然と進めていると思わぬ事態が発生してスケジュールに遅れが出たり、「期待していた事業シナジーが創出できない」「負債の抱え込み」などの問題発生も想定されます。

M&Aの買収効果を最大化するためにも、M&Aのスケジュールをスムーズに進行させるためのポイントを確認しておきましょう。

【M&Aのスケジュールをスムーズに進行させるためのポイント】

  1. M&Aの目的の明確化
  2. デューデリジェンス
  3. 必要書類を整えておく

1.M&Aの目的の明確化

M&Aのスケジュールをスムーズに進行させるためのポイント1つ目は、M&Aの目的の明確化です。目的が定まっていないと一貫性が保てず、交渉が長引いてしまうケースが少なくありません。

新たな事業に参入するために新規事業を取得したり、業績の悪化している企業を買収して再生事業として活用したり、さまざまな目的があります。

M&Aの目的をはっきりさせておけば、注力するべき工程も明らかになり、計画的に進行することができます。ひいては買収成功の可能性が高まることにもなりますので、目的の明確化は徹底しておきましょう。

2.デューデリジェンス

M&Aのスケジュールをスムーズに進行させるためのポイント2つ目は、デューデリジェンスです。デューデリジェンスは、買収対象の適正な価値を算出するために時間をかけて行います。

財務デューデリジェンスでは、提出されている資料と実態に差異がないか、財務状況の徹底的な調査を行います。

成約を急ぐあまりデューデリジェンスを怠ったり、手を抜いたりするとトラブルが発生して余計に時間がかかってしまうことが想定されます。

最悪の場合、交渉事態が破談となることもあるので、徹底したデューデリジェンスが欠かせません。

【関連】デューデリジェンスとは?注意点と相談すべき専門家を解説!

3.必要書類を整えておく

M&Aのスケジュールをスムーズに進行させるためのポイント3つ目は、必要書類を整えておくことです。クロージングに向けて、買い手も用意しておくべき書類があります。

【クロージングに必要な書類(買い手)】

  1. 顧問契約書
  2. クロージング書類受領書
  3. 印鑑証明書・登記簿謄本

1.顧問契約書

顧問契約書は、売り手企業の経営者に一定期間は会社に残ってもらう契約をする際、必要となる書類です。買収後の事業安定化のための制度でロックアップ(キーマン条項)と呼ばれています。

2.クロージング書類受領書

クロージング書類受領書は、売り手より提出されるクロージング関連の書類を受領したことを証明する書類です。売り手企業の重要な書類が含まれるため、書面として残しておく必要があります。

3.印鑑証明書・登記簿謄本

クロージングにあたって印鑑証明書や登記簿謄本を用意します。最寄りの法務局かオンラインで取り寄せておきましょう。

M&Aを検討する際におすすめの相談先

M&Aを検討する際におすすめの相談先

M&Aを円滑に進行するためには、M&Aに関する正しい知識が欠かせません。M&A仲介会社のようなM&Aの専門家に相談することをおすすめします。

M&A総合研究所では、M&Aに明るいアドバイザー・公認会計士・弁護士の3名によるサポート体制をとっており、M&Aスケジュールにおける全工程を、責任をもってサポートいたします。

また、平均成約月数3ヶ月を実現しています。独自のネットワークを活用したM&A取引先の選定や専門家によるデューデリジェンスは一切の無駄を省いた進行が可能です。

料金体系は完全成功報酬制を採用しています。着手金や中間金、月間報酬はかかりませんのでシンプルな料金体系となっており、買収資金を含めた計画的な資金運用が可能です。

無料相談は24時間お受けしています。M&Aをご検討の際は、ぜひM&A総合研究所にご相談ください。

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まとめ

まとめ

M&Aのスケジュールは多岐に渡るものであり、長期的な視野を持って進めることが重要です。M&Aのスケジュールやスムーズに進行させるポイントをしっかり把握したうえで、M&Aに臨むようにしましょう。

【M&Aのスケジュール【買収までの流れ・手順】】

  1. M&Aの専門家に相談
  2. 各種資料の提出・情報開示
  3. トップ同士の面談
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 最終合意契約書の締結
  7. クロージング
  8. PMIの実施

【M&Aのスケジュールをスムーズに進行させるためのポイント】

  1. M&Aの目的の明確化
  2. デューデリジェンス

M&Aのスケジュールに関して疑問に思うことがありましたら、M&A総合研究所にご相談ください。M&A全体の流れや必要な手続きについて詳しくお答えいたします。