2019年は日本企業のM&A件数が過去最多!歴史、トレンド、事例も紹介

2019年は日本企業のM&A件数が過去最多!歴史、トレンド、事例も紹介

2019年に日本企業が行ったM&A件数は、過去最多を更新しています。M&Aは企業の経営戦略として定着しつつあり、年々成約件数を伸ばしていますが今後はどうなると予測されているのでしょうか。本記事では、日本企業のM&Aの歴史・トレンド・事例を紹介します。

2019年は日本企業のM&A件数が過去最多!

2019年は日本企業のM&A件数が過去最多!

2019年に日本企業が行ったM&A件数は、が過去最多の4,088件(レコフデータ)を記録しました。

日本企業同士の(IN-IN)のM&Aと、日本企業による海外企業(IN-OUT)のM&Aどちらも増加しており、国内外で積極的な姿勢をみせているのが伺えます。

M&A件数が4,000件を超えた背景には、海外進出を図る大企業や後継者問題を抱える中小企業があると考えられています。

企業の規模に関係なく、M&Aが経営戦略として取り入れられたことから、2019年の過去最多に繋がったとみられます。

日本企業のM&A件数推移

レコフデータのM&A件数の統計によると、日本企業が行ったM&A件数は年々増加していることが分かります。2011年に1,687件と底をついてから、2019年の4,088件まで右肩上がりとなっています。

2011年 2012年 2013年 2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年
1,687 1,848 2,048 2,285 2,428 2,652 3,050 3,850 4,088

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日本企業がM&Aを行う理由

M&A件数が4,000件を超えるなど活況となっていますが、日本企業がM&Aを行う主な理由にはどのようなものがあるのでしょうか。主な理由には、以下の2つが挙げられます。

【日本企業がM&Aを行う理由】

  1. 事業規模の拡大
  2. 後継者不足の解消

事業規模の拡大

1つ目は、M&Aで自社グループの母体を大きくして、効果的に事業規模を拡大を図るという目的です。その過程で特に重視されるのは、M&Aする企業同士の事業シナジーです。

事業シナジーとは、双方の経営資源を共有することで、単独で行うよりも遥かに高い事業効果を得られるというものです。

同業種に限らず異業種でも発揮されるものであるため、入念な計画な下で実行されることが多くなっています。

後継者不足の解消

後継者問題を抱えた中小企業が、会社を存続させる手段として行うM&Aを活用することも多くなっています。

近年は中小企業の経営者の高齢化が問題視されており、好業績であっても廃業危機に瀕している企業が少なくありません。

M&Aで後継者に引き継げば会社を廃業させる必要もなくなり、従業員や取引先に与える影響も抑えられるため、会社を存続させる手段として有効活用されています。

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日本企業のM&Aの歴史

日本企業のM&Aの歴史

日本企業のM&Aは2000年頃より活発になっています。以降のM&A件数は安定して1,000件を上回っており、2006年には2,775件を記録してピークを迎えます。

2008年にはリーマンショックが発生して、世界中のM&A市場が大きく落ち込むことになります。日本も例外ではなく、東日本大震災も重なって2011年のM&A件数は1,687件まで減少します。

ただ、東日本大震災の影響は物理的な被害も多いことから、M&Aを活用して積極的に回復を目指す動きが強まる要因となったとも考えられています。

2012年からは回復基調に転じており、2019年まで順調に市場を拡大させています。日本のM&Aは、世界経済や震災に影響を受けながらも、確実にM&A市場を成長させつつあるといえるでしょう。

日本企業による海外M&Aでの失敗

日本企業は海外M&Aにも積極的な姿勢をみせていますが、世界では日本企業のM&Aは下手であるといわれることも少なくありません。その背景にあるのは、日本企業による海外M&Aの失敗例があります。

代表例として、2006年の東芝による米国の原子力企業ウェスチングハウス買収があります。約6400億円を投じた買収劇でしたが、同事業の業績悪化により減損額は2016年時点で7000億円に達しています。

東芝は、今回の海外M&Aが直接的な要因で債務超過により解体、海外M&Aは大失敗という結果に終わっています。

日本トップレベルの電機メーカーによる買収は注目度が高かったこともあり、世界に対して日本企業はM&Aが下手という印象を植え付けてしまったと考えられます。

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日本企業は何故M&Aが下手なのか?

日本企業のM&Aが下手といわれてしまう要因のひとつは、M&Aに対して消極的であるためです。

農耕民族である日本人は時間をかけてコツコツ積み上げる考え方が染み付いていて、自身や他人が積み重ねた成果を売買するという考え方が浸透していません。

近年は、経営戦略としてのM&Aが広まりつつあり積極的な姿勢もみられますが、M&Aの長い歴史でみると日本はまだまだ経験値が足りていません。

欧米のように古くからM&Aを行ってきた国々と比較すると、日本企業のM&Aは下手といわれても仕方がないともいえるでしょう。

日本企業におけるM&Aのトレンド

日本企業におけるM&Aのトレンド

2019年の日本企業によるM&Aは1兆円を超える買収もみられ、海外M&Aに目立った動きが窺えます。

ソフトバンクグループが関係するM&Aが多く、全体的なトレンドとしてはIT業界のIoT・AI分野に傾倒しています。

海外M&Aが盛り上がりをみせるなか、国内M&Aも市場を伸ばしています。事業シナジーの創出を図るM&Aにより会社の規模を拡大させようと、国内企業同士のM&Aが盛んに行われています。

国内においても突出している業界はITでであり、2018年のIT業界のM&A件数は1,070件と、単独業種において1,000件を超えました。

国内企業全体のM&A件数の3割を占める結果からすると、業種別でみても成約率が高いことが窺えます。

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日本企業のM&A事例

日本企業のM&A事例

2019年は国内企業により4,088件のM&Aが成立しました。この章では、買収金額上位10事例をランキング形式で紹介します。

1.アサヒグループHDによるCUB Pty Ltdら123社の買収事例

アサヒグループHD

https://www.asahigroup-holdings.com/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング1位は、アサヒグループホールディングスによるCUB Pty Ltd及び関連子会社123社の買収です。買収金額は1兆2096億円です。

CUB Pty Ltdはオーストラリアのメルボルンに拠点を構える醸造会社です。豪州ビール市場のトップブランド「カールトン」や「グレート・ノーザン」を保有しており、オーストラリアにおいて大きなシェアを誇っています。

今回の海外M&Aで豪州のビール事業を取得したことで、アサヒグループホールディングスは日本・欧州・豪州の3極体制を築きます。今後はグローバルな価値創造企業として中長期的な成長を目指していくとしています。

2.ZホールディングスによるLINEの買収事例

Zホールディングス

https://www.z-holdings.co.jp/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング2位は、ZホールディングスによるLINEの買収です。買収金額は1兆1806億円です。2019年12月、2020年10月に予定される経営統合に先立って業務提携が締結されました。

LINEはSNSアプリ「LINE」を主力事業とする日本のIT企業です。月間アクティブユーザー数は8400万人を超えており、数あるSNSアプリのなかでも圧倒的なシェアを誇っています。

今回の経営統合は、海外企業との競争力を身につけることを目的としており、両社が保有する豊富な顧客基盤の共有やマーケティング事業のシナジー効果で事業規模の拡大を図ります。

3.ソフトバンクグループによるウィーカンパニーへの追加投資事例

ソフトバンクグループ

https://group.softbank/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング3位は、ソフトバンクグループによるウィーカンパニーへの追加投資です。金額は1兆308億円です。

ウィーカンパニーは、シェアオフィスを貸し出す「ウィーワーク」を主力事業とするアメリカの企業です。

2019年4月に新規上場を予定していましたが、ずさんな管理体制が問題視されたことがきっかけとなり、上場延期となりました。

ソフトバンクグループは追加の支援策として、既存株主から株式を買い取る形で約1兆円の投資を行うことを公表しており、今後もウィーカンパニーの独立性を維持する形で成長を見守る意向を示しています。

4.昭和電工による日立化成の買収事例

昭和電工

https://www.sdk.co.jp/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング4位は、昭和電工による日立化成の買収です。買収金額は9640億円です。

日立化成は日立グループの大手化学メーカーです。日立グループにおける化学部門の筆頭会社であり、日立御三家と呼ばれた時代もあります。

昭和電工の時価総額を大きく上回る買収劇に、周囲からは失敗を懸念する声もあがっていましたが、2020年4月にTOBによる株式の買付が完了したことを報告しています。

5.三菱UFJ銀行・東銀リースによるDVB Bankの買収事例

三菱UFJ銀行

https://www.bk.mufg.jp/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング5位は、三菱UFJ銀行と東銀リースによるDVB Bankの航空事業の買収です。買収金額は7000億円です。

DVB Bankは、ドイツ第2位の資産規模を誇るDZ Bankの子会社です。航空機・鉄道・船舶における金融市場に特化しており、ドイツ国内に限らず、グローバルな実績を豊富に保有しています。

今回のM&Aにおいては、主力事業の1つである航空機ファイナンス事業を譲受することになります。三菱UFJ銀行と東銀リースは、顧客基盤の拡大と高い専門性を保有する人材の獲得が実現されるとしています。

6.武田薬品工業によるノバルティスへの事業譲渡事例

武田薬品工業

https://www.takeda.com/ja-jp/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング6位は、武田薬品工業によるノバルティスへの事業譲渡です。譲渡金額は5837億円です。

今回の譲渡対象は、2018年に世界総売上3億8800万ドルを記録した眼科用治療薬「シードラ」です。同事業とともに、関連する従業員400人もノバルティスに移籍するとしています。

武田薬品工業は今回の事業譲渡について、シャイアーの買収で膨らんだ負債の負担軽減としています。有利子負債は5兆円を超えており、今後は非中核事業の売却で立て直しを図ることを明かしています。

7.三菱商事・中部電力によるエネコの買収事例

三菱商事

https://www.mitsubishicorp.com/jp/ja/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング7位は、三菱商事と中部電力によるエネコの買収です。買収金額は5000億円です。

エネコはオランダの電力会社です。発電事業以外に電力・ガスの売買取引・小売事業も手掛けており、電力・ガスの契約件数はオランダ国内シェア2位を誇るほど成長を見せています。

今回のM&Aでは、三菱商事が80%、中部電力が20%を保有する形で共同出資会社を設立します。両社は今後、エネコの経営資源を活用して国際市場の展開を強化する見通しです。

8.ソフトバンクによるヤフーの買収事例

ソフトバンク

https://www.softbank.jp/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング8位は、ソフトバンクによるヤフーの買収です。買収金額は4564億円です。

2019年5月、連結子会社化を目的として第三者割当増資による株式取得を公表しています。国内有数のIT企業である両社の顧客基盤やIoTから得られる豊富なビッグデータを活用することで、利便性の高いサービスの確立を目指していくとしています。

9.ヤフーによるZOZOの買収事例

ヤフー

https://www.yahoo.co.jp/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング9位は、ヤフーによるZOZOの買収です。買収金額は4009億円です。

ZOZOはファッション通販サイト「ZOZOTOWN」を運営する日本企業です。コーディネートアプリ「WEAR」、古着下取サービス「ZOZOUSED」などもヒットして大きく成長を見せています。

ヤフーは広告事業を中心としていましたが、今回のZOZO買収でEC事業に本格参入することになります。

今後はEC事業も柱の1つとして展開していく意思をみせており、EC大手の楽天・Amazonとも渡り合っていくとしています。

10.大日本住友製薬とロイバント・サイエンシズの戦略提携事例

大日本住友製薬

https://www.ds-pharma.co.jp/

2019年の国内企業によるM&Aの買収金額ランキング10位は、大日本住友製薬とロイバント・サイエンシズの戦略提携です。投資額は3340億円です。

ロイバント・サイエンシズは、英国・スイスに本社を置くバイオベンチャーです。AIを活用した新薬開発に先進的な取り組みをみせており、デジタル技術のノウハウを豊富に保有しています。

大日本住友製薬は、統合失調症薬「ラツーダ」と主力商品としていますが、2023年に訪れる特許切れが課題となっています。今回の戦略提携は次なる主力商品を確保するためとしています。

日本企業による2020年のM&A件数はどうなる?

日本企業による2020年のM&A件数はどうなる?

2020年は、日本企業による海外M&Aの動きが強まる見方がされています。日本企業のM&Aは下手と評されることも多いですが、あらゆる業種の国内市場が成熟するなか、海外シェアを確保するための海外M&Aは必要不可欠といえるでしょう。

日本企業同士においては、事業承継を目的としたM&Aが増える見込みです。団塊世代の経営者が引退適齢期に突入しており、会社を存続させるためのM&Aが増えると考えられています。

日本国内外でM&Aが活発化する見通しが立っており、「総合的なM&A件数は増加する」という共通した見解になっているので、日頃からM&Aに対する認識を深めておく必要があるでしょう。

M&A総合研究所では、中堅・中小規模のM&Aに関するご相談を承っています。完全成功報酬制を採用しており、M&A成約まで一切の費用がかかりませんので、事前準備を進めておきたい場合も安心してご利用いただけます。

無料相談は24時間お受けしていますので、M&Aをご検討の際はお電話またはWebからお気軽にお問い合わせください。

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まとめ

まとめ

今回は、日本企業のM&A件数を中心に解説しました。日本企業によるM&Aは、国内だけでなく海外M&Aの動きも強まっており、全体的に成約件数が増えています。

今後もM&Aの重要性は増していくと考えられています。M&Aを経営戦略として有効活用するためにも、M&Aの相談先を決めておくなど、事前準備を進めておく必要があるでしょう。

【日本企業のM&Aまとめ】

  • 2019年の日本企業のM&A件数は4,088件
  • 2020年の日本企業のM&A件数はさらに増加する見通し