会社の身売り・会社が売られたと思われない!M&Aの方法!

会社の身売りとは

会社の身売りとは、自社を第三者(他社)へ売るときに使用される言葉です。一般的に、オーナー社長が子どもに等しい自社そのものや事業を第三者へ売ることが、両親が子どもを売って代金を受け取る身売り行為に例えられ、会社の身売りと呼ばれています。

近年は会社の身売りが増えている?

中小企業では高齢に達したオーナー社長の割合が高く、自社を引き継ぎたくても身内や関係者に後継者がいない場合に会社を身売りするケースも増えています。

また、採算の取れない事業を会社から分離させることで売却益を確保し、残した事業に資源を集める目的で会社の身売りを選択するケースもあります。

そのほか、売却益を獲得してオーナー社長を引退するケースや、他社の経営資源を活用して事業の成長を図ることを目的とするケースもあり、高齢化・早期の引退・事業の継続を図ることが会社の身売りが増加している要因といえます。

会社の身売りを行う際のM&A手法

会社・事業を他社へ売るいわゆる「会社の身売り」を行う際のM&A手法には、主に以下の3つがあります。

【会社の身売りを行う際のM&A手法】

  1. 株式譲渡
  2. 事業譲渡
  3. 合併

①株式譲渡

株式譲渡は、他社へ自社の保有株式を売ることで経営権を移譲させる手法です。株式譲渡は手続きが比較的簡単であり、享受できるメリットも多いのが特徴です。

具体的には、株主構成を変えることで会社の身売りが完了できることや、オーナー社長に売却益が入ること、また、売り渡す株式の割合に応じて経営への影響力を調整できることが、株式譲渡が選ばれる理由です。

②事業譲渡

事業譲渡は、全事業あるいは一部事業、事業に関する資産のみを他社へ売却する手法です。譲渡対象を選択することができるため、買い手にとっては負債などのマイナスな要素を引き継ぎ対象から外せる点がメリットですが、これは売り手にとってはデメリットにもなり得ます。

また、権利義務などは個々で引き継ぎの手続きが必要になるので、株式譲渡よりも手間や時間を要します。

③合併

合併は買い手側の会社と1つの会社を形成する手法です。買い手となるのは主に上場企業であり、売り手は自社の株式を売却し、その対価として買い手会社の株式か現金を得ます。

売り手の保有する権利義務は買い手にそのまま引き継がれるので、事業譲渡のような手間を掛けずに、会社を売り渡すことができます。

また、買い手の経営資源が共有できるため、生産性を高めたりコストを下げられたりといった目的でも合併が選ばれることがあります。

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会社が売られたと思われないおすすめのM&A手法

かつては自社を売るといえば身売りというイメージの強いものでしたが、現在ではM&Aは経営戦略のひとつとして前向きに捉えられるようになっています。

つまり、株式譲渡や事業譲渡など、どの方法を選んでも会社が売られたとは思われることはないでしょう。

株式譲渡では第三者に経営権が移りますが、自社よりも大きな企業なら雇用条件の改善も望めます。

また、事業譲渡でも雇用を引き継ぐことが約束されれば、社員は会社が売られたと感じることは少ないでしょう。

しかし、オーナー社長が自身の利益だけを考えて会社を身売りした場合や、雇用が引き継がれても以前の条件から大幅な変更があった場合、不採算事業を手放した場合には、会社が売られたと感じる可能性があります。

会社を売った際の経営者のメリット・デメリット

会社を身売りした際、経営者にはどのような変化が生じるのでしょうか。この章では、会社を売った際の経営者のメリット・デメリットを解説します。

メリット

会社を身売りした際のメリットには、主に以下の5つがあります。

【会社を身売りした際のメリット】

  1. 売却益を獲得する
  2. 個人保証・連帯保証などから解放される
  3. 早期リタイアする
  4. 後継者不足から解放される
  5. 好意的に取られる

①売却益を獲得する

株式譲渡・事業譲渡・合併で会社を身売りすると、売却益が得られます。株式譲渡と合併ではオーナー社長に現金か買い手の株式が入り、事業譲渡では会社が対価を受け取ります。

売却益を得られれば、経営の第一線から身を引いて老後の生活費を確保する・新会社の立ち上げ費用に充てる・既存事業への注入などが果たせることが、会社の身売りをするメリットです。

②個人保証・連帯保証などから解放される

会社の身売りすることにより、経営者は個人保証や連帯保証から解放されるというメリットもあります。

譲渡契約の内容に買い手が個人・連帯保証を肩代わりすることが記されていれば、銀行の了承を得ることで、個人・連帯保証からの解放が可能です。

③早期リタイアする

会社経営からの早期リタイアを考えている場合、引退後の生活費や、引退後に別事業を始める際の元手などが必要になります。

株式譲渡・合併で会社を身売りすれば、オーナー社長が対価を受け取れるので、早い時期に経営から身を引くことも可能です。

④後継者不足から解放される

会社を第三者へ身売りすれば事業が継続されるので、経営者の身内や従業員に後継者がいなくでも承継が可能になります。

後継者の育成が間に合わなかったり、後継者がいない企業でも廃業を避けられるので、会社の身売りを選択するケースも多いです。

⑤好意的に取られる

会社・事業の成長のための身売りなら、外部・内部からも好意的な手段だと受け取られるケースがほとんどです。

会社・事業の運営に見切りをつけたのではなく、事業を拡大させるために他社の力を借りた点を理解してもらえると、よい印象を与えられます。

デメリット

会社を身売りする際のデメリットには、主に以下の4つがあります。

【会社を身売りする際のデメリット】

  1. ロックアップが発生
  2. 競業避止義務が発生する
  3. 非難される
  4. 負債が残る可能性がある

①ロックアップが発生

会社を身売りしても、経営者はすぐに経営から手を引けるわけではありません。契約内容によって、引き継ぎ業務が終わるまでの期間は会社に留まる必要があり、これをロックアップといいます。

ロックアップされる期間は数年であることが多いですが、この期間は売り手経営者は自身の意思で引退することはできません。

②競業避止義務が発生する

事業譲渡で会社を身売りすると、競業避止義務により一定期間は同じリアで譲渡した事業と同種の事業を営むことが禁じられます。

事業運営が禁じられる期間は原則20年であり、対象のエリアは同じ市町村と隣接する市町村です。

一定の期間が過ぎなければ、同じ事業が始められないので、身売りの方法を選ぶ際には注意を払いましょう。

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③非難される

会社を身売りしたことによって、親族・社員・取引先から責めを受けることもあります。親戚は、先代から引き継いだ会社を親族が続けることを願い、社員・取引先は雇用環境・取引内容が変わらないことを求めているので、会社の身売りにより関係者から非難される例も散見されます。

④負債が残る可能性がある

事業譲渡によって会社の身売りをすると引き継ぎの対象は当事者間で決定することになるため、負債が自社に残されるケースもあります。

また、得た対価を以て未払いの代金・借入金の返済にあてようとしても、対価の額が借入金を下回っている場合は、負債が手元に残ることもあります。

会社を売る際に売られたと思われないポイント

会社を身売りする際に、会社が売られたと思われないためには、以下の点をおさえて進めていくようにしましょう。

【会社を売る際に売られたと思われないポイント】

  1. 売却を計画的に行う
  2. 最良の買収先を選定する
  3. 売却金額を適切に決める
  4. 会社を売る準備を早めにする
  5. M&Aの専門家にあらかじめ相談する

①売却を計画的に行う

無計画のまま会社の身売りに取り組むと、売り渡す時期を逸して、取引・雇用契約が引き継げなかったり、契約内容が大きく変更したりします。

そのため、会社を身売りする際は、しっかりと計画を立てて最大限自社の希望が叶うように進めることが、会社が売られたと思われずに済むポイントです。

②最良の買収先を選定する

買収先をしっかり選定せずに交渉を進めると、自社の条件が受け入れられず、不利な条件を呑んでしまうといった結果にもなりかねません。

自社の希望と大きくかけ離れた条件でM&Aが成立すれば、会社が売られたと捉えられてしまう可能性も高くなります。そのため、選定の段階で条件を満たした買収先を選びましょう。

③売却金額を適切に決める

相場から大きく下回る額で売却すると、会社が売られたと思われる可能性が高くなります。自社の身売りを検討する際は、相場を事前に把握しておき見合った額で取引を進めましょう。

④会社を売る準備を早めにする

会社を身売りすると決断しても、会社・事業を売るまでには一定の期間を要します。譲れない条件やスキームを決定したり、自社のアピールポイントをまとめた資料を作成するなど、準備に必要な期間も見越しておかなければなりません。

そのほか、短期で完了できる経営計画があれば完了させておいたり、負債・赤字をできる限り解消したりなどへの対応も必要です。

早い時期に準備が済んでいれば、条件に合った相手先もみつかりやすくなるので、会社を売ったと思われる条件での成約を避けられます。

⑤M&Aの専門家にあらかじめ相談する

会社の身売りでは、条件や計画の決定、交渉・買収監査への対応・成約、PMIなど、いくつもの手続きが必要です。

専門的な知識が必要になる場面も多いため、会社の身売りを支援するM&A仲介会社などにサポートしてもらうことをおすすめします。

自社のみで進めることも不可能ではありませんが、取引価格が下がってしまったり、雇用継続ができないあるいは条件変更が伴うなどの不利益を被る可能性も高くなります。会社を売ったと思われないためには、専門家の力を借りることが大切です。

会社を身売りする際は、M&A総合研究所へ

M&A総合研究所は、中堅・中小規模の案件を中心とするM&A仲介事業を行っており、幅広い業種に対応しています。

案件ごとに3名の専門家(アドバイザー・弁護士・会計士)が担当につき、相談から成約までをするサポートいたします。

専門性の高いサポートにより、平均3カ月での成約完了、希望を上回る取引額での成約を実現しています。

また、料金システムは完全成功報酬(レーマン方式)となっており、成約に至らなければ費用は一切かかりません。

会社を身売りする際は、M&A総合研究所へお気軽にお問い合わせください。無料相談は、電話・メールフォームにて24時間お受けしております。

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会社が売られる際に見られる主な前兆

会社が売られる際にみられる前兆にはどのようなものがあるのでしょうか。ここでは、会社が売られる際に見られる主な前兆を紹介します。

【会社が売られる際に見られる主な前兆】

  1. 赤字が続く
  2. 給与の支払いが遅れる
  3. 役職者を増やす
  4. 経理が突然辞める
  5. ボーナスが出ない
  6. トイレの電球など備品が不足する
  7. 会議が増える

①大量のリストラが行われる

人件費を減らして買い手の負担を減らせば、資産に限った売却に応じてもらえるため、会社が売られる際には規模の大きなリストラが実行されるケースもあります。

②赤字が続く

1期だけならまだしも2期続けて赤字を出していると、業績は芳しくないと判断することができます。

事業運営に必要な収益を得られていないということになるので、事業継続も危ぶまれる可能性があります。そのため、赤字が続いていれば、会社を身売りする前兆だといえるでしょう。

③給与の支払いが遅れる

業績の悪化により利益が減ってしまうと、会社は事業を継続させるために支出を抑えます。しかし、給与の支払いが遅れている現状では、既に銀行に借入金の返済を待ってもらったり、国へ税金の猶予を申し出たりしている可能性が高くなります。

つまり、支払いの猶予や資金繰りなどの打つべき手立てを講じても対応できていないと捉えられるので、給与の支払いが滞ると会社の身売りが行われる前兆だといえるでしょう。

④役職者を増やす

役職者は、与えられた役職に応じて手当が支給されます。一見、会社の業績が安定している・上昇傾向にあると思われがちですが、会社によっては役職手当分を残業代とみなして、業務時間以降の働きを求めています。

つまり、会社の業績は芳しくなく、業務時間を延ばしてまで社員を働かせないと、会社が立ち行かなくなる状況にあると判断できるので、役職者が増えていれば会社が身売りする前兆だと捉えられます。

⑤経理が突然辞める

会社の財務状況を把握できているのは、経理を担当する社員です。経理が家庭の事情・病気などで辞める場合を除き、前触れもなく退職したら会社の経営が傾いている可能性があります

経営が立ち行かなくなれば、いずれは会社の身売りも視野に入れるので、突然経理が退職した際は、会社が売られる前兆だといえるかもしれません。

⑥ボーナスが出ない

得られた利益の一部を社員に与えることで業務への好影響がもたらされるので、会社がさらなる向上を図るためにボーナスを支給しています。

そのため、これまで支給されていたボーナスが出ていない状況は、会社の利益が減っていると捉えられるので、投資に資金を割いていなければ会社が売られる前兆といえるでしょう。

⑦トイレの電球など備品が不足する

経費を抑える行為はどの企業にみられる動きですが、経費の削減が少額の消耗品まで及ぶと、経営の悪化がかなり進んでいると判断できます。

そのため、会社が倉庫などに備蓄する電球・筆記用具・文房具類の補充を渋ったときには、会社が売られる兆候だといえるでしょう。

⑧会議が増える

取引先との窓口である営業職の会議が増えたり、経理の担当者が会議に呼ばれる頻度が高まったりなどのほか、会社運営の重要な事項を決める役員会議が頻繁に行われると、経営が傾き始めていると予想できるので、会議が不自然に増加しているなら、会社が売られる前兆だといえるでしょう。

会社が売られた際の社員の処遇

会社が売られた際の社員の処遇はどのようになるのでしょうか。ここでは、退職金・有給休暇・社会保険の取り扱いと、買収先が社員・従業員の雇用を維持させるにはどうすべきかを解説します。

買収先が社員・従業員の雇用を維持させるには?

会社を身売りする際の手法で、株式譲渡・合併を選びましょう。どちらの方法でも社員の雇用は、買収先・存続会社へ引き継がれます。

事業譲渡ではそのまま手続きを進めても、雇用は引き継がれません。社員から同意を得たうえで、買収先が雇用の再契約を行うと、雇用が維持されます。

退職金はどうなるのか?

株式譲渡と合併の場合は、売り手の退職金がそのまま買い手・存続会社に引き継がれます。とはいえ、合併の場合はいくつかの会社を1つの会社にまとめるため、会社を身売りする前後で退職金制度の変更が予想されます。

一方、事業譲渡では、売り手が会社を身売りするまでの期間における退職金を支払うか、買い手に引き継いでもらうことが可能です。

ただし、買い手への引き継ぎを選ぶ際は、売却価額から退職金の分を引かれるので注意が必要です。

会社売却した際の退職金の扱いや転籍時の注意点を解説

有給休暇はどうなるのか?

株式譲渡と合併の場合は、売り手・消滅会社の有給休暇は、そのまま引き継がれます。しかし、事業譲渡の場合は、雇用契約を改めて結ぶため、有給休暇は引き継がれません。

しかし、社員への影響を考えて、消化していない有給休暇は一部に限って買い手に承継されたり、会社を身売りする前に有給休暇を消化したりなどの対応がとられるのが一般的です。

社会保険はどうなるのか?

株式譲渡では、株主が変わるのみなので、社会保険も継続されます。事業譲渡の場合でも社員の同意と買い手の再契約が満たされれば、売り手と買い手で社会保険の手続き・書類の提出により、社会保険が引き継がれます。

合併(吸収)でも、消滅・存続会社が、社会保険の手続きと書類の提出を済ませると、存続会社へと社会保険が引き継がれます。

ただし、医療・年金保険の資格取得・喪失については、同じ日に行わないと被保険者期間の継続が切れてしまい、手当を受けるために必要な日数がクリアされるので留意しましょう。

会社が売られた際の株価相場の変動

会社を身売りすると、当然のことながら株価の下落を招く可能性もあります。しかし、会社を身売りする目的が前向きなものであると捉えられれば、投資家に与える印象も変わってきます。

事業の成長を据える・投資家の納得を得られる経営計画を立てている・得られる資金を既存事業に注ぐなどを据えていれば、投資家に良い印象を与えられるので、株価が上昇する例もみられます。

まとめ

今回は、会社を身売りしても「会社が売られた」と思われないための方法について、注意点やポイントを解説しました。

会社を身売りする際には、関係者が抱く印象を想像してから臨むと、取引の解消・従業員の離脱などのリスクを下げることができます。

【会社の身売りを行う際のM&A手法】

  1. 株式譲渡
  2. 事業譲渡
  3. 合併

【会社を売る際に売られたと思われないポイント】

  1. 売却を計画的に行う
  2. 最良の買収先を選定する
  3. 売却金額を適切に決める
  4. 会社を売る準備を早めに準備する
  5. M&Aの専門家にあらかじめ相談する

【会社が売られる際に見られる主な前兆】

  1. 大量のリストラが行われる
  2. 赤字が続く
  3. 給与の支払いが遅れる
  4. 役職者を増やす
  5. 経理が突然辞める
  6. ボーナスが出ない
  7. トイレの電球など備品が不足する
  8. 会議が増える

会社を身売りする際は、仲介会社などの専門家の力を借りて、準備・計画・交渉・成約に関する助言・支援を受けると、社員などから会社が売られたと感じさせない前向きな売却が可能になります。