後継者不足の中小企業の割合とは?理由、対策も紹介

団塊世代の経営者の引退により、中小企業では後継者不足が深刻化していますが、具体的な割合はどれくらいなのでしょうか。

本記事では、後継者不足の中小企業がどれくらいあるのか、その割合を解説するとともに、その理由や対策法、解決策などを解説します。

後継者不足の中小企業の割合とは?

中小企業の後継者不足が年々深刻化しているといわれていますが、実際にはどれくらいの割合の中小企業が後継者不足に陥っているのでしょうか。

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査によると、事業承継を希望している企業のうち、すでに後継者を決めている企業は44%、決めてはいないが候補者がいる企業が37.1%、適当な候補者がいない企業が18.9%となっています。

この調査をみると、事業承継を希望している企業のうち、半数以上の企業でまだ後継者がはっきり決まっていないことが分かります。中小企業の後継者不足の問題は、非常に深刻な状況になりつつあるといえるでしょう。

中小企業が後継者不足を抱える理由

中小企業が後継者不足を抱える理由にはいくつかのパターンがあるので、これらを理解しておくと後継者不足の問題を捉えやすくなります。

主な理由として挙げられるのは、事業の将来性の不安後継者育成をやっていないなど、以下の5つです。自身の会社がこのどれかに当てはまっているか検討し、該当した場合はその点を集中して対策することで、後継者不足問題を効率的に解決していくことができます。

【中小企業が後継者不足を抱える理由】

  1. 事業の将来性の不安
  2. 自分の代で辞める予定
  3. 後継者育成をやっていない
  4. 相談できる人がいない
  5. 後継者がいない

1.事業の将来性の不安

現時点では経営はそれなりにうまくいっているものの、人口減少や長引くデフレなどの状況から、事業の将来性に不安を覚える経営者は少なくありません。

特に、成熟産業や衰退産業を営んでいる中小企業の場合、将来の不安をより強く感じる傾向があります。将来に対する不安は、中小企業の後継者不足を加速する一つの要因だといえるでしょう。

事業の将来性に不安があれば後継者候補となる人も会社を継ぐ意欲が弱まり、現経営者も会社を継がせるのはかわいそうだと考えることも多いため、自ら後継者を拒否してしまうこともあります。

2.自分の代で辞める予定

中小企業の後継者不足が問題だと聞くと、ほとんどの中小企業経営者が事業承継を望んでいると勘違いしがちですが、実際は元々事業承継を望んでおらずに自分の代で辞める予定の中小企業経営者も多くいます

日本政策金融公庫総合研究所の調査によると、中小企業経営者の2人に1人が自分の代で廃業を予定しているというデータもあり、そもそも事業承継を望んでいない中小企業経営者も多いことが分かります。

元々自分の代で辞める予定の中小企業では、経営者自身がそれを望んでいる限り、無理に解消する必要はないといえるでしょう。

3.後継者育成をやっていない

現経営者の親族や社員を後継者に据える場合、重要になるのが後継者の育成です。後継者の育成は中小企業の後継者不足解決のために重要なプロセスですが、多くの中小企業で十分に行われていない現状があります。

後継者育成は候補となる人に仕事内容を教えるだけでなく、経営者としての心構えなど精神的な教育を行うことも重要になります。

しっかりとした後継者育成を行うには少なくとも数年程度の期間が必要ですが、日々の忙しさのため後回しにしてしまい、育成の時間をとれない中小企業経営者が多いのも実情です。

M&Aによる事業承継の場合は事前の後継者育成はできませんが、M&A成立後に現経営者が後継者のサポートをし、スムーズに業務を引き継げるようにしておく必要があります。M&Aではこのようなプロセスを「統合プロセス(PMI)」と呼びます。

4.相談できる人がいない

中小企業の後継者不足の解決のためには、中小企業経営者が事業承継について相談できる相手がいることがポイントになります。

しかし、経済産業省の調査によると、後継者不足の問題を抱えている経営者のうち、約36%が相談相手がいないと答えています。

相談相手がいない理由はいくつか考えられますが、中小企業の場合は大企業に比べて仕事で関わる人の数が少ないため、後継者不足の問題に詳しい人に出会いにくいという点が考えられます。

さらに、中小企業経営者は、後継者不足の問題は家庭内の問題であり、周りに相談するものではないと考えていることも多く、自ら相談の機会を狭めてしまっているケースもあります。

5.後継者がいない

たとえしっかりとした後継者候補が存在しても、後継者教育をして滞りなく事業承継を終わらせるのは大変な作業です。しかし、実際はそもそも適切な後継者がいない中小企業が多く、後継者不足の問題を深刻化させる要因ともなっています。

後継者の候補としてまず考えられるのは現経営者の親族ですが、近年は子供が会社を継ぐ価値観が薄れてきており、後を継いでくれる親族がみつからないケースが多いのも実情です。

社員を後継者に据えるのも有力ですが、社員の場合は株式の買取り資金をどうするかなど、親族への事業承継とは違う問題もあります

M&Aによる後継者不足の解決は非常に有力ですが、他人に会社を譲るのに抵抗があったり、M&Aがよく分からないために躊躇してしまうケースも多く、中小企業にM&Aを普及させることが重要な課題となっています。

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中小企業による後継者不足対策

中小企業による後継者不足が深刻な理由のひとつとして、中小企業経営者が事業承継についてあまり詳しくなく、適切な対策をとれないことが挙げられます。

適切な後継者不足対策を把握しておくことは、全ての中小企業経営者にとって重要なことだといえるでしょう。

中小企業による主な後継者不足対策として考えられるのは、事業承継を親族間で行う、公的機関を活用するなど以下の6つがあります。この章では、これらの後継者不足対策について解説します。

【中小企業による後継者不足対策】

  1. 事業承継を親族間で行う
  2. 事業承継を従業員に行う
  3. M&Aにより事業承継を行う
  4. 公的機関を活用する
  5. 専門家に相談する
  6. 廃業を選ぶ

1.事業承継を親族間で行う

中小企業の事業承継で多くみられるのは、現経営者の息子などの親族を後継ぎに据える親族間事業承継(または親族内事業承継)です。

かつては、中小企業の後継者不足対策といえばもっぱら親族間事業承継でしたが、近年はM&Aによる事業承継のほうが主流になりつつあります。

親族間の事業承継は、経営者の資質がある親族がいる場合は非常に有力な手段となります。親族なら何年も前から後継者教育ができ、贈与や相続で資産を承継できるのも大きなメリットです。

しかし、親族間事業承継では、相続でほかの親族とトラブルになるケースもよくみられます。ほかの親族との折り合いをうまくつけることが、中小企業の親族間事業承継を成功させるコツだといえるでしょう。

2.事業承継を従業員に行う

もし従業員に後継者候補がいる場合、親族ではなく従業員に会社を継がせるのも有力な後継者不足対策となります。

従業員に会社を継がせることは、一般に「親族外事業承継」と呼ばれます。M&Aによる事業承継も親族外への事業承継ですが、親族外事業承継という時はM&Aを利用せず会社の従業員などに継がせることを指します。

親族外事業承継で問題になるのは、後継者が株式を取得する資金をどのように捻出するかという点です。いち社員が会社を買い取るほどの資金を持っていることは少ないため、普通は金融機関や投資ファンドなどから資金を借り入れることになります

このような事情もあり、中小企業の後継者不足対策として従業員への事業承継を行う事例は、親族間やM&Aに比べて少ない傾向があります。

3.M&Aにより事業承継を行う

親族や従業員への事業承継に代わって、近年普及してきているのがM&Aによる事業承継です。M&Aによる事業承継は幅広い候補から承継先を選べるので、中小企業の後継者不足対策として非常に有用です。

M&Aというと会社の乗っ取りのような偏ったイメージを持つ人もいますが、実際はほとんどのM&Aは友好的なものであり、中小企業のM&Aも業種を問わず活発に行われています。

特に近年は、中小企業の後継者不足対策として、中小企業庁を始めとする行政機関が積極的にM&Aの普及に努めており、税制を優遇するなどして中小企業のM&Aを推進しています。

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4.公的機関を活用する

中小企業庁を始めとする行政機関は、中小企業の後継者不足対策としてM&Aによる事業承継を積極的に推し進めており、全国に中小企業M&Aのための公的機関を設置するなどして対策に乗り出しています。

中小企業M&Aのための主な公的機関には、「事業引継ぎ支援センター」があります。事業引継ぎ支援センターは各都道府県に設置されており、近隣にM&A仲介会社がない地方の中小企業経営者でも、気軽に利用できるようになっています。

公的機関は、民間のM&A仲介会社に比べるとスタッフの経験や専門性などで劣ることもありますが、国が運営しているという安心感があるのがメリットです。

5.専門家に相談する

M&Aで中小企業の後継者不足を解決したい場合、M&A仲介会社などの専門家に相談することになります。M&Aは買い手となる相手探しが必要なので、中小企業経営者が独力で行うのは難しいと言わざるを得ません。

M&Aの相談ができる専門家には、仲介会社以外にもいくつかの選択肢があります。先述した事業引継ぎ支援センターや、税理士・会計士といった士業事務所、地方銀行や信用金庫といった金融機関などが考えられます。

士業事務所や金融機関は必ずしもM&Aに詳しいわけではないですが、普段から付き合いのある顧問税理士やメインバンクであれば、相談しやすいというメリットもあります

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6.廃業を選ぶ

事業承継の可能性が全くない場合は、最終的に廃業を選ぶことになります。廃業は後継者不足を解決したことにはなりませんが、場合によってはメリットもあり、事業承継以外の選択肢の一つとして考えておくべきものです

経営者が事業承継をする意思がない場合や、赤字続きで業績の回復が見込めない場合などは、廃業が有力な選択肢となり得ます。

ずるずると赤字経営を続けて破産という結果になるよりは、早めに廃業して会社をたたんでしまうのがよい決断となることもあります。

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中小企業が後継者不足の解決にM&Aを活用するメリット

近年は国もM&Aによる後継者不足の解決を後押ししていますが、中小企業経営者がM&Aを活用するにあたっては、そのメリットを正しく理解しておく必要があります。

M&Aは親族内事業承継に比べてメリットが多いものの、決して万能というわけではありません。さまざまな選択肢のメリット・デメリットを考えたうえで、M&Aのメリットが多いと判断した時に実行するべき手段です。

中小企業が後継者不足の解決にM&Aを活用する主なメリットとしては、以下の5つが挙げられます。この章では、これらのメリットについて詳しく解説します。

【中小企業が後継者不足の解決にM&Aを活用するメリット】

  1. 従業員の雇用先を確保できる
  2. 会社を残すことが出来る
  3. 幅広い交渉相手から探せる
  4. 廃業をまぬがれる
  5. 売却益の獲得

1.従業員の雇用先を確保できる

従業員の雇用先を確保できるのは、廃業で会社をたたんでしまう場合と比較した時の、M&Aのメリットだといえます。

しかし、従業員の雇用先を確保できること自体は親族内・親族外事業承継でも同じであるため、必ずしもM&A独自のメリットとはいえない部分もあります。

しかし、M&Aによる事業承継では、大手に買収されることにより従業員の雇用条件や労働条件を改善できる可能性があるのが、親族内・親族外事業承継にはない大きなメリットです。

2.会社を残すことが出来る

親族や従業員に後継者がいなくても、M&Aで事業承継ができれば会社を残すことができます。

M&Aによる事業承継を行うと親族や従業員でない第三者が後継者となるとともに、多くの場合買い手企業の子会社となります。経営基盤のしっかりした買い手の子会社となれば、会社の存続に関しての不安がなくなります。

その一方で、大手の傘下に入ることで、会社が今までとは違った形になってしまう可能性もあるので、会社をどのような形で残していくかについては、M&Aの交渉時に買い手候補としっかり話し合っておく必要があります。

3.幅広い交渉相手から探せる

M&Aでは、M&A仲介会社が持っている買い手候補のネットワークから、最も適した相手を洗い出して交渉することができます

親族や従業員から後継者を探すのに比べて、圧倒的に選択肢が多いのはM&Aを行う大きなメリットです。

選択肢が多いのはメリットですが、その選択肢をうまく活かせるかどうかは、仲介会社や中小企業経営者の手腕や努力次第となるのは注意点です。

例えば、選り好みし過ぎて結局M&Aを成約させられなかったり、納得いかない条件で成約してしまうというのはよくある失敗例です。

M&Aの幅広い選択肢を活かすためには、仲介会社とうまく信頼関係を築いて交渉を進めていくことが大切になります

4.廃業をまぬがれる

廃業は場合によってはメリットもある選択肢ですが、今まで育ててきた会社が消滅してしまうとともに、地域社会でその会社が果たしている役割も失われてしまうデメリットがあります。しかし、廃業をまぬがれることができるのは、M&Aによる後継者不足解決の大きなメリットです。

中小企業ではM&Aのことがよく分からないために、廃業すべきでない会社を廃業してしまう事例がよくみられますM&Aについて理解を深めておくことが、中小企業経営者にとって重要になるといえるでしょう。

5.売却益の獲得

事業譲渡や株式譲渡でM&Aを行うと、売却益が会社や経営者個人に入ります。売却益を得られるというのも、M&Aによる後継者不足の解決におけるメリットのひとつです。

大企業やベンチャー企業であればIPOで利益を得ることもできますが、中小企業で株式を上場するのは困難です。しかし、M&Aを利用すれば、いわゆる「イグジット」を中小企業でも行うことが可能となります

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中小企業がM&Aで後継者不足を解決する際の注意点

M&Aは成功率が50%とも30%ともいわれており、必ず成功するわけではないことを理解しておかなくてはなりません。

多大なコストをかけて結局成約できないとなれば費用と時間が無駄になるので、成功のためのポイントを押さえておくことが重要になります。

この章では、中小企業がM&Aで後継者不足を解決する際の5つの注意点について解説します。これらのポイントを押さえておけば、M&Aの成功率を上げることも可能となるでしょう。

【中小企業がM&Aで後継者不足を解決する際の注意点】

  1. 入念に準備を行う
  2. 譲れない条件を決めておく
  3. M&Aの専門家に相談する

入念に準備を行う

M&Aでは、事前の準備をしっかり行っておくことが重要です。例えば、買い手に自社を理解してもらいやすいように資料を作成したり経営状態を改善できる部分に手を入れておくなどすると、買い手との交渉がスムーズに進みます。

譲れない条件を決めておく

M&Aでは買い手と売り手にそれぞれ思惑があるので、交渉で両者の妥協点をうまく探っていくことが重要になります。

妥協点をうまくみつけるためには、これだけは譲れないという条件と、相手の希望によって妥協してもよい条件を事前にはっきりさせておく必要があります。

M&Aの専門家に相談する

M&Aを行うには、自社に合ったM&Aの専門家に相談することが大切です。M&A仲介会社は非常にたくさんありますが、中小企業に強いところや特定の業種に強いところなど、それぞれが独自の強みを持っています

担当スタッフとの人間的な相性も重要であるため、もしある仲介会社に相談して合わないと感じたら、勇気をもって別な仲介会社に変える決断も必要になります

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中小企業が後継者不足によりM&Aを検討する際は

中小企業が後継者不足によりM&Aを検討する際は、ぜひM&A総合研究所へご相談ください。M&A総合研究所では、売上規模一億円から数十億円の案件を主に手がけておりますので、中小企業の後継者不足対策のご相談先もお任せください。

当社では、さまざまな業種で仲介実績があるアドバイザーと弁護士が親身になってクロージングまでフルサポートいたします。

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まとめ

後継者不足の中小企業の割合は非常に多く、国もM&Aによる解決を推進して様々な取り組みを行っています。中小企業経営者にとっては、M&Aを始めとする様々な選択肢を考慮し、最適な解決策を選ぶことが重要になるでしょう。

【中小企業が後継者不足を抱える理由】

  1. 事業の将来性の不安
  2. 自分の代で辞める予定
  3. 後継者育成をやっていない
  4. 相談できる人がいない
  5. 後継者がいない

【中小企業による後継者不足対策】

  1. 事業承継を親族間で行う
  2. 事業承継を従業員に行う
  3. M&Aにより事業承継を行う
  4. 公的機関を活用する
  5. 専門家に相談する
  6. 廃業を選ぶ

【中小企業が後継者不足の解決にM&Aを活用するメリット】

  1. 従業員の雇用先を確保できる
  2. 会社を残すことが出来る
  3. 幅広い交渉相手から探せる
  4. 廃業をまぬがれる
  5. 売却益の獲得

【中小企業がM&Aで後継者不足を解決する際の注意点】

  1. 入念に準備を行う
  2. 譲れない条件を決めておく
  3. M&Aの専門家に相談する