会社買収とは?【意味/仕組み/買収方法/メリット・デメリット】

会社買収とは?【意味/仕組み/買収方法/メリット・デメリット】

近年、さまざまな業界で再編が起きていることや、技術革新が進んでいることなどから、会社買収の件数は増加し続けています。

本記事では、会社買収とはどのような方法で行われるのか、会社買収のメリット・デメリットとは何かなどについて解説していきます。

会社買収とは

会社買収とは
 
会社買収とは、株式・事業部門・事業用資産の取得により、経営に関するさまざまな権利を獲得する方法です。
 
本記事では、会社買収の意味や仕組み、買収方法からメリット・デメリットまで広く解説していきますが、まずは会社買収とはどういうものか解説します。

会社買収は増えている?その理由は

近年、会社買収は近年増加傾向にあり、株式会社レコフデータの調査によると、M&Aの件数はリーマンショックによって一時落ち込んだ後に再び盛り返し、2017年には過去最高を記録した後は2018年・2019年と記録を更新し続けています。
 
会社買収が増えている要因には、あらゆる業界でAI技術を中心とした技術革新が起きていることや、大規模な業界再編が起き始めていることが挙げられます。
 
今後、業界大手による業界再編目的の会社買収は加速していき、いずれはあらゆる業界で一部の大手企業にほとんどのシェアが集中すると予測する専門家もいるほどです。
 
また、会社買収の増加には大企業だけでなく、中小企業の会社売却需要も影響しています。現在、百数十万社の中小企業が、近い将来に廃業のリスクを抱えています。
 
しかし、近年は廃業ではなく第三者への会社売却を選択する中小企業もみられるようになりました。優良企業が会社売却を選択するようになり、それに伴って買い需要も増加するという好循環が生まれています。

株式保有率と主張できる権利について

会社買収とは、株式・事業部門・事業用資産の取得により、経営に関するさまざまな権利を獲得する方法です。
 
株式の取得による会社買収の場合は、株式の取得割合に応じて得られる権利が変わってきます。
 
議決権のある株式を20%から50%を取得すると、買収した会社は関連会社となります。関連会社とは、支配権の獲得まではいかないものの、大きな影響力を及ぼすことのできる会社のことです。
 
議決権のある株式保有割合が1/3を超えると、株主総会特別決議での重要な決議を退けることが可能です。議決権のある株式保有割合が過半数を超えると、相手の会社は子会社となり、支配権を獲得できます。支配権とは、役員の選任・解任や配当など、経営上重要な決定権を持つことです。
 
議決権のある株式保有割合2/3を超えると、株主総会の特別決議での決定を単独で動かせます。株式を100%保有すると相手の会社は完全子会社となります。完全子会社とは、経営上のあらゆる決定権を親会社が持っている状態です。

会社買収を行う意味

会社買収を行う意味
 
会社買収を行う意味には、どのようなものがあるのでしょうか。ここでは、買収側と買収される側にとっての会社買収の意味を解説します。

買収側にとっての意味

買収側にとっての会社買収の意味とは、会社の成長や維持が難しくなったときの強力な成長手段です。
 
事業を拡大するには、技術やノウハウ・人材・取引先・営業網・顧客などを新たに獲得する必要が出てきます。
 
これらを自社の経営資源だけで育てていくには、多くの時間が必要であり、その分だけリスクも増えることになります。
 
会社買収とは、他社の経営資源を獲得することで事業育成の時間を短縮し、リスクを減らすことができる手法です。
 
国内市場が縮小していくなかで大企業が生き残っていくには、国内のシェア獲得とともに国外でも積極的に会社買収を行っていく必要があります。
 
また、衰退していく地方経済の活力を取り戻していくためにも、会社買収は有効な手段のひとつとなります。

買収された側にとっての意味

買収される側にとっての会社買収の意味とは、会社買収をきっかけに新しいステージへ踏み出すことができる手段です。
 
経営の成長や維持に行き詰まった際に、買収側の資本力を活用して行き詰まりを打開することが可能です。
 
オーナー経営者は創業者利潤を得ることで、新たな事業を開始したりセミリタイア生活を送ったりと、新たな人生に進むことができます。
 
また、後継者がいない場合は、会社売却によって会社を存続させることが可能です。経営自体には問題がないのに後継者がいないことで会社を畳んでしまっては、従業員やその家族・取引先・地域の社会インフラなどにとって打撃を与えます。
 
会社売却によって廃業を免れる会社が増えることで、地域経済を守ることにもつながります。

会社買収の仕組みを解説

会社買収の仕組みを解説
 
会社買収は、主に以下の手順で進められます。
  1. 会社買収の専門家に相談 
  2. 買収先の検討
  3. トップ同士の面談
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 最終契約書の締結
  7. クロージング・PMIの実施

1.会社買収の専門家に相談

会社買収を成功させるには、最適な戦略の策定と目的の明確化、的確な企業価値算定、最適な買収先の選定、的確で詳細な情報収集、買収先との交渉、各種契約手続きなど、専門的なノウハウが必要です。
 
自社内に会社買収部門を設けて取り組むとなると、多くのコストを割かなければならないため、M&A仲介会社やM&Aアドバイザリーなどの専門家に相談し、自社の状況に適したサポートを依頼します。

秘密保持契約の締結

会社買収を行う計画や、会社買収の際に提供しあった両社の社内情報が外に漏れてしまうと、経営上のリスクや信用リスクを負うことになりかねません。
 
そのため、会社買収の専門家と契約する際は、同時に秘密保持契約も締結します。秘密保持契約とは、内部情報が外に漏れた場合に賠償請求ができる契約です。
 
しかし、いくら秘密保持契約を結んでいても、情報漏えいによって失った信用は取り返しがつきません。専門家を選ぶ際は、信頼性の高い相手を選ぶことが重要です。

2.買収先の検討

会社買収先を選ぶ際によく用いられる方法としては、まず、M&Aの専門家が保有する相手企業のノンネームシートをみせてもらいながら、会社買収先を絞り込んでいきます。
 
ノンネームシートとは、企業名が特定されない程度の基本的な企業情報のみが公開されたリストのです。
 
ノンネームシートのなかから興味を持った企業をピックアップして、ネームクリアへと進みます。

ネームクリア

ネームクリアとは、買収側が興味を持った買収先の企業名を公開し、さらに情報提供を受ける段階のことです。提供された情報を踏まえて、会社買収側は次の段階に進むかどうかを判断します。
 
交渉段階に進めたい企業がみつかった場合は、企業情報を踏まえて交渉の準備をしたり、M&A戦略を細かく構築したりします。準備ができたら買収先へコンタクトを行います。

3.トップ同士の面談

トップ面談では、事前に提供された情報では足りなかった点についてヒアリングをしたり、相手企業の社内を確認したりして、条件をすり合わせていきます。
 
M&Aの専門家に面談のセッティングや、直接伝えにくい提案の代弁などを行ってもらうことで、交渉がスムーズに進みやすくなります。

意向表明書の提示

意向表明書とは、会社買収側が買収先企業に交渉したい気持ちを伝える書面です。法的に効力のあるものではありませんが、相手に本気度を伝えたり、他社に優先して交渉に臨んだりするために提示します。
 
意向表明書は、必ず提示しなければならない書面ではないので、提示しないケースもあります。

4.基本合意書の締結

会社買収当事者それぞれの希望条件や会社買収スキームを調整したら、叩き台となる基本合意書の原案を作成します。
 
原案をベースに調整を行い基本合意書が完成したら、公表のタイミングや公表の仕方などを確認したり、取締役会で基本合意書についての承認を得たりしながら次の手続き準備に入っていきます。
 
基本合意書は正式契約ではないので、法的拘束力はありません。そのことを明確にするために、基本合意書の中に法的拘束力はない旨を記載することもあります。

5.デューデリジェンスの実施

デューデリジェンスとは、企業監査のことです。会社買収される企業の公開した情報に間違いや嘘はないか、会社買収のリスク要因はないか、会社買収価格のディスカウント要素はないかなどを調査します。
 
デューデリジェンスを実施するにあたって、日程の調整や関係者との説明会、ミーティングなどを行いますが、この時点でまだ会社買収を公表していない場合は、情報漏えいに注意が必要です。
 
過去には、経営者が社員にデューデリジェンス用の資料収集や整理を任せたことで情報が漏れ、混乱したケースもあります。

6.最終契約書の締結

最終契約書とは、会社買収に用いる手法の名前が付けられた契約書のことです。株式譲渡であれば「株式譲渡契約書」となります。
 
デューデリジェンスの結果と基本合意書の内容を整理して検討し、最終合意に至ったら正式に契約締結となり、あとは会社買収の実行に移ります。

7.クロージング・PMIの実施

順調に会社買収が完了しても、最終的に会社買収が失敗に終わるケースは少なくありません。M&Aの成功にはクロージング後のPMIが重要です。
 
PMIとは、会社買収後の統合実務のことで、買収した会社の経営や組織の再構築、人事制度・営業の仕組みの見直し、財務会計・管理会計の改善などを行います。
 
PMIをどのように行うかが、成功率が3割~5割ともいわれる会社買収の成否を大きく左右します。
 

会社買収の方法一覧

会社買収の方法一覧
 
会社買収の手法としてよく用いられるのは、株式取得と事業譲受です。ここでは、株式取得と事業譲受とはどのような方法なのかについて解説します。

株式取得

株式取得とは、買収先企業の株式を一定数以上手に入れることで、経営に関する権利を獲得する方法です。
 
株式取得の手法には、株式譲渡とTOB(株式公開買付け)があります。株式譲渡とは、買収先企業の株式を譲り受ける契約を結ぶことで経営権を手に入れるM&A手法です。
 
株式譲渡は株主が変わるだけなので、買収した会社も買収された会社も資本金や組織に大きな変更はありません。手続き負担が小さく済むことから、多くの会社買収で用いられている手法です。
 
また、TOB(株式公開買付け)とは、株式取引市場外で買収対象株式の希望価格・数量・期間を公示し、株主から買い集める手法です。
 
必要な買収資金や期間を把握できるメリットがある一方で、手続き準備に手間と資金がかかる点がデメリットです。TOBは、経営陣が自社株を買い集めるMBOの際にも用いられます。

事業譲受

事業譲受とは、買収先企業の事業部門や事業用資産を譲り受ける手法です。事業譲受では譲り受ける事業を選択できるので、買収側にとっては不要な事業を譲り受ける必要がないメリットがあり、買収される側にとっては経営資源の選択と集中が可能です。
 
ただし、事業譲受の場合は事業用資産や各種契約などを個別に譲り受ける手続きが必要となるため、手続きにかかる手間が多くなるデメリットがあります。
 
また、事業を行ううえで必要な許認可なども事業譲受の際に切れてしまうので、買収側が許認可を持っていない場合は取得しておかなければなりません。
 

会社買収で用いられる友好的買収と敵対的買収とは

会社買収で用いられる友好的買収と敵対的買収とは
 
買収先企業の経営陣が買収に賛同しているか否かで、会社買収は友好的買収と敵対的買収に分かれます。ここでは、友好的買収と敵対的買収とはどのような買収なのかについて解説します。

友好的買収とは

友好的買収とは、買収先の経営陣が買収に賛同し協力的なケースを指し、日本では友好的買収が圧倒的多数を占めています。
 
日本では、中小企業の大半が株式譲渡制限を定款で定めているので、そもそもほとんどの会社では敵対的買収自体が不可能です。
 
株式譲渡制限のある株式を取得するには、買収先企業が承認機関で承認しなければならないからです。しかし、株式の売買が自由に行える公開会社の場合でも、日本では友好的買収が多くを占めます。
 
主な理由として、日本企業の場合は会社の所有者には、経営陣という価値観があるからとされています。
 
米国では、会社は株主のものという考え方があるので、株主の利益や意見が大事にされます。しかし、日本では株主よりも経営陣の意見が重視されるので、友好的買収が多いとされています。

敵対的買収とは

敵対的買収とは、買収される側の経営陣が買収に反対しているケースのことを指します。
 
日本では敵対的買収が行われることはなく、敵対的買収を行ったケースのほとんどは失敗に終わっています。
 
日本でも過去に敵対的買収が相次いだことはありましたが、大半が失敗に終わったことからその後ほとんど行われなくなりました。
 
敵対的買収を仕掛けられた会社の多くは、買収防衛策を講じて抵抗します。買収防衛策を実行することによって、買収を仕掛けた側も買収を仕掛けられた側も大きなダメージを負うことが多いので、買収のメリットが少なくなることも敵対的買収が減った原因のひとつです。
 
しかし、最近になって、再び敵対的買収が行われるようになってきています。

会社買収のメリット・デメリット

会社買収のメリット・デメリット
 
会社買収には、さまざまなメリットとデメリットがあるので、会社買収の際は適切なリスクコントロールが必要です。ここからは、会社買収のメリットとデメリットを紹介します。

会社買収のメリット

会社買収によって買収側は、以下のメリットが得られます。
  1. 新規事業への参入・成長スピードを上げる 
  2. 商品やサービスの関連販売ができる
  3. 人材や技術、ノウハウの獲得
  4. 事業拡大・スケールメリット
  5. リスクを分散できる

1.新規事業への参入・成長スピードを上げる

会社買収によって、新規事業参入と育成にかかる時間を短縮できます。新規事業を自社で立ち上げる場合、サービスの構築、土地・建物の準備、従業員の雇用と教育、取引先・顧客の開拓などに多くの時間がかかります。
 
しかし、会社買収によって目的の事業を取得できれば、目的の事業をすでに立ち上がった状態で獲得できます。

2.商品やサービスの関連販売ができる

魅力のある商品やサービスを自力で増やしていくのは簡単ではありません。いくら事前にマーケティングを行って商品やサービスを開発したとしても、顧客にとって魅力のある商品やサービスになるかどうかは、実際に投入してみなければわからない部分も多分にあります。
 
しかし、すでに実績のある商品やサービスを会社買収により取得し、自社で展開している商品やサービスに加えることができれば、顧客への営業力・提案力強化が少ないリスクで実現できます。

3.人材や技術、ノウハウの獲得

以前までは、事業拡大を目的とした会社買収が多く行われていましたが、近年は人材や技術の獲得が会社買収の大きな目的になってきています。
 
現在、日本では多くの業界で人材不足が進んでいます。特に、高い専門性を持った人材は国内企業で奪い合いが起きているだけでなく、外国企業に持っていかれるケースも少なくありません。
 
また、近年はさまざまな業界で技術の高度化やスピード化が進んでおり、変化のスピードについていくには会社買収が戦略上重要です。

4.事業拡大・スケールメリット

大企業は、国内市場が縮小していくなかでグローバル競争に対応するため、国内外で会社買収による事業拡大を進めています。
 
また、中堅企業や中小企業も、衰退していく地方経済のなかで生き残りをかけて、会社買収による事業拡大を進めています。
 
今後大企業による会社買収は加速していき、国内の企業は一部の大企業に収束していくと予測する専門家もいるほど、会社買収は活発化してきました。
 
会社買収による事業拡大を進めることで、スケールメリットを得られるとともに、今後の買収競争にも対応することができます。

5.リスクを分散できる

経営環境の変化スピードが高速化している現代では、今営んでいる事業が数年先にどうなっているかわからないほどです
 
会社買収によって複数の成長事業を育てることができれば、将来起きるであろう経営リスクを分散できます。
 
ただし、会社買収による事業の多角化は、やり方を間違えると大きなダメージを負う可能性があります。

会社買収のデメリット

会社買収によって、買収側は以下のデメリットが生じる可能性があります。
  1. 統合プロセスが失敗する可能性
  2. 簿外債務・のれん代減損などの可能性
  3. 人材の流出が起こる可能性
  4. 期待していたシナジーが得られない可能性
  5. 顧客離れが起きる可能性がある

1.統合プロセスが失敗する可能性

前述したように、会社買収を成功させるには、会社買収後の統合プロセスであるPMIを適切に行えるかが重要です。
 
自社の成功パターンを買収先企業のPMIに当てはめ、短期間で改革しようとする買収企業は多いですが、M&Aの成功率は3割~5割ともいわれるように、多くは失敗に終わっています。
 
また、社内の統合プロセスに力を入れすぎた結果、最終的に統合実務はうまくいったものの、その間に本業の営業力が落ちてしまうケースもみられます。

2.簿外債務・のれん代減損などの可能性

株式取得による会社買収の場合、簿外債務があることに気が付かないまま、M&Aを成立させてしまう可能性があります。
 
簿外債務とは、帳簿には記載されていない隠れた債務のことですが、買収された企業も簿外債務があることに気が付いていないケースもあります。
 
買収側がデューデリジェンスを徹底することで、簿外債務のリスクを減らすことは可能です。また、のれん代の減損リスクを被らないためにも、買収先企業のデューデリジェンスや企業価値評価は適切に実行しなければなりません。

3.人材の流出が起こる可能性

会社買収をきっかけに人材が流出するリスクもあります。買収直後も日常業務を維持するには、買収した会社の従業員の存在が重要です。
 
また、近年の慢性的な人材不足や優秀な人材の争奪戦により、会社買収による人材確保は大事な戦略のひとつです。
 
しかし、会社買収によってその人材が流出してしまっては、大きな痛手ともなりかねません。

4.期待していたシナジーが得られない可能性

いくら会社買収自体が成功しても、その後事業シナジーが得られないのであれば、意味がありません。
 
成功率が3割~5割ともいわれる会社買収の失敗原因として、想定していたようなシナジー効果が得られなかったというケースは少なくありません。
 
十分なシナジー効果を発揮するためには、PMIをいかに効果的に行うかが鍵といえるでしょう。

5.顧客離れが起きる可能性がある

会社買収によるサービスの変化で、顧客離れが起きる可能性も考慮しておかなければなりません。
 
特に、買収先企業が特有のカラーを持っていたり、経営者がカリスマ性を持っていたりする場合は注意が必要です。
 
顧客離れを防ぐためにも、買収先企業の経営介入は少しずつ慎重に行うなどの戦略が必要になります。
 

会社買収後の従業員・役員などへの待遇・処遇

会社買収後の従業員・役員などへの待遇・処遇
 
会社買収の際、従業員や役員の待遇をどうするかは、会社買収の成否にも関係してきます。ここからは、会社買収後の従業員や役員の待遇・処遇について解説します。

買収先の従業員・社員への待遇・処遇

会社買収によって、買収先従業員の待遇・処遇は以下のように変化します。

給与面の変化

株式取得による会社買収は従業員との雇用契約が継続されるので、特別な事情がない限り前の給与水準が維持されます。
 
買収後は、その後の業績や買収した会社の経営方針などによって、給与が変わっていくことはありますが、時間をかけて変えていくことがほとんどです。
 
一方、事業譲受によって買収した場合、雇用契約は一旦途切れるので、買収した会社と再雇用契約を結びます。
 
その際の給与水準は、買収した会社の水準に合わせることも多いですが、給与面も含め従業員の待遇に関しては会社買収の際の交渉によって決めます。

待遇面の変化

株式取得による会社買収では、従業員との雇用契約が継続されるので、特別な事情がない限り待遇面も引き続き適用されます。会社買収後は買収した会社の待遇に合わせていくことがほとんどです。
 
その際には、雇用保険の被保険者期間や有給休暇の日数など、継続性のあるものに関しては引き続き適用されます。
 
事業譲受による買収の場合は、会社買収のタイミングで清算する必要があるものは清算し、継続する必要のあるものは改めて契約を結ぶことで継続されます。

退職する場合の支払い

株式取得による買収では、退職金制度に関しても前の契約が引き継がれるので、会社買収のタイミングで退職する場合は買収前の退職金が適用されます。
 
事業譲受による買収の場合、退職金制度も買収した会社の制度に移行することになるので、退職金を誰が支払うかは買収側と買収される側の交渉次第になります。
 
退職金が出なかったり減額されることはなく、買収される会社が退職金を支払うか、買収した会社が退職金を支払うことで清算するのが一般的です。

買収先の役員への待遇・処遇

会社買収によって、買収先役員の待遇・処遇は以下のように変化します。

給与面の変化

買収した企業の方針や買収された企業の経営状況にもよりますが、役員の場合は一般社員と違い、業績や貢献度によって役員報酬も大きく変わる可能性があります。
 
また、買収された会社の代表取締役は買収によってポジションが変わることも多いので、それに伴って給与が大幅に変わることも考えられます。

待遇面の変化

役員の待遇面は会社買収の合意内容や買収後の経営方針などにより変わりますが、一般社員よりも待遇が変えられる可能性が高くなります。
 
代表取締役は、買収後に相談役などの形でしばらく会社に残ることも多いですが、ポジションが変わるので待遇も変わります。

退職する場合の支払い

役員が会社買収をきっかけに退職する場合、買収側は役員退職金を支払うことが一般的です。
 
役員退職金の支払いは税金対策にもなるので、退陣する役員に対して多めに役員退職金を支払う方法もよく用いられます。
 
ただし、役員退職金を支払わなければならないという法令があるわけでもないので、買収側の考え次第では役員退職金を支払わないという選択もあり得ます。

会社買収によって懸念される注意点

会社買収によって懸念される注意点
 
会社買収の際は、以下の4点に注意が必要です。
  1. 会社買収を行う目的を明確にする必要がある 
  2. デューデリジェンスを徹底する
  3. PMIの重要性を理解する
  4. M&A・会社売却の専門家に相談する

1.会社買収を行う目的を明確にする必要がある

会社買収に成功すれば大きなメリットを得られますが、安易な会社買収は失敗の確率が高くなります。
 
会社買収でなければならない理由は何なのか、会社買収以外で解決する方法は本当にないのか、会社買収自体が目的化していないかをなど、慎重に吟味しなければなりません。

2.デューデリジェンスを徹底する

デューデリジェンスを徹底することによって、会社買収の失敗確率を減らすことはできますが、デューデリジェンスを徹底するほど資金負担が大きくなるという側面もあります。
 
しかし、デューデリジェンスの手を抜いてしまうと、結果的に大きなリスクを負うことになりかねません。デューデリジェンスをどこまで行うかは、専門家と入念に確認しておきましょう。

3.PMIの重要性を理解する

会社買収後に専門家の手を借りず、自力でPMIを進めていく会社は少なくありません。特に、経営力に自信がある会社や、大企業が中小企業を買収した際にその傾向が強くみられます。
 
しかし、その結果買収した会社の良さを消してしまい、失敗した事例も多く見られます。
 
PMIを成功させるには、会社買収前から入念にPMIの準備もしておくことや、買収先企業とのコミュニケーションをしっかりと取ること、適切な人材配置を慎重に行うことなどが挙げられます。

4.M&A・会社買収の専門家に相談する

会社買収の失敗原因として、準備不足、コミュニケーション不足、知識・経験不足、目的・方向性のあいまいさなどが大きく影響します。
 
これらを自社だけでカバーするのは現実的ではありません。M&Aの専門家に相談することで、これらの穴を適切に埋めることが可能です。
 
ただし、M&Aの専門家は数多く存在し、特徴もそれぞれ大きく異なります。自社に合った専門家を選べるかが重要です。
 

会社買収の際におすすめの相談先

会社買収の際におすすめの相談先
 
上記のように、会社買収の失敗原因には準備不足、コミュニケーション不足、知識・経験不足、目的・方向性のあいまいさなどがあり、これらをカバーできる経験と専門性を持った専門家に相談する必要があります。
 
M&A総合研究所では、経験豊富なM&A専門の会計士と弁護士が会社買収をフルサポートするので、短期間でのM&A成約と高い顧客満足度を実現しています。
 
手数料は完全成功報酬制を採用しているので、会社買収が完了するまで支払いの心配はありません。
 
相談も無料で随時受け付けておりますので、会社買収をご検討の際はM&A総合研究所までお気軽にご相談ください。
 

まとめ

まとめ
 
本記事では、会社買収とはどのような仕組みや方法、メリット・デメリットがあるのかについて解説してきました。
 
会社買収とは、株式や事業部門、事業用資産の取得により、経営に関するさまざまな権利を獲得する方法のことです。
 
【会社買収の手順】
  1. 会社買収の専門家に相談 
  2. 買収先の検討
  3. トップ同士の面談
  4. 基本合意書の締結
  5. デューデリジェンスの実施
  6. 最終契約書の締結
  7. クロージング・PMIの実施
 
【会社買収によって買収側が得られるメリット】
  1. 新規事業への参入・成長スピードを上げる 
  2. 商品やサービスの関連販売ができる
  3. 人材や技術、ノウハウの獲得
  4. 事業拡大・スケールメリット
  5. リスクを分散できる
 
【会社買収によって買収側に生じ得るデメリット】
  1. 統合プロセスが失敗する可能性
  2. 簿外債務・のれん代減損などの可能性
  3. 人材の流出が起こる可能性
  4. 期待していたシナジーが得られない可能性
  5. 顧客離れが起きる可能性がある
 
【会社買収の際の注意点】
  1. 会社買収を行う目的を明確にする必要がある 
  2. デューデリジェンスを徹底する
  3. PMIの重要性を理解する
  4. M&A・会社売却の専門家に相談する
 
会社買収を成功させるには、準備不足、コミュニケーション不足、知識・経験不足、目的・方向性のあいまいさなどの課題をクリアする必要があります。
 
M&A総合研究所では、経験豊富なM&A専門の会計士と弁護士が会社買収をフルサポートするので、短期間でのM&A成約と高い顧客満足度を実現しています。
 
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