塗料・塗料卸売業界の事業譲渡のメリットとは?業界のトレンドと事例をご紹介!

近年、塗料・塗料卸売業界は、関西ペイントや日本ペイントなどの大手企業による事業譲渡・M&Aが活発に行われています。

本記事では、塗料・塗料卸売業界の事業譲渡・M&Aについて、買い手・売り手のメリットや売却費用の相場と算定方法、事業譲渡・M&A事例などを解説します。

塗料・塗料卸売業界とは

塗装とは、建物や自動車などの表面に塗料を塗って処理することです。建物の壁にペンキを塗る処理などがよく知られていますが、それ以外にも焼付け塗装・電着塗装などさまざまな塗装の技術があります。

塗装には素地の調整から塗り付け・研磨と多くの工程があり、さらに塗膜は下塗り・中塗り・上塗りと多層構造になっています。

塗装は、昔からある技術なので進歩などないように思われがちですが、近年は塗装のニーズも細分化してきており、それに合わせた技術は日進月歩で進んでいます。

このような塗装に必要となる塗料を製造したり、卸売を行ったりするのが、塗料・塗料卸売業界です

塗料・塗料卸売業界の現状

この節では、塗料・塗料卸売業界の現状について解説します。塗料・塗料卸売業界は、関西ペイントや日本ペイントを始めとする大手が強く、各社がそれぞれ強みを持って住み分ける構造となっています

塗料・塗料卸売業界は国内市場と海外市場で現状が大きく異なるので、これらを分けて考える必要があります。国内市場・海外市場それぞれの現状を把握することが、塗料・塗料卸売業界の事業譲渡・M&Aにとって大切です。

国内市場

塗料・塗料卸売業界の国内市場は、1990年代以降徐々に市場規模が縮小、または横ばいの状態にあります。しかし、ここ数年は売り上げ高が伸びてきており、やや持ち直している印象もあります。

堅調な需要があるので衰退産業とはいえないものの、大きな伸びしろを得るのが難しい成熟産業の一つだといえるでしょう。

海外市場

国内市場が頭打ちになっているのに比べて、海外市場はまだ伸びしろがあるといえます。特に、発展途上国では日本の高い技術による塗装は需要が高く、それにともない塗料・塗料卸売業界もまだまだ市場規模を拡大できる余地があります。

塗料・塗料卸売業界の海外進出では、現地の塗料・塗料卸売業界の企業を事業譲渡などで買収して獲得する、クロスボーダーM&Aが活発です。

現地の塗料・塗料卸売業界の企業を事業譲渡で獲得すれば、その企業の設備をそのまま使うことや現地の人材を獲得することができ、コストを抑えて新規参入することが可能となります。

海外での塗料・塗料卸売業界の事業展開では、言語の壁なども大きなネックとなるので、現地の人材を獲得できるのも大きなメリットです。

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塗料・塗料卸売業界の主な用途

塗料・塗料卸売業界の用途はもちろん住宅などの建物もありますが、それ以外に自動車・船舶なども主な用途になっています。

この章では、塗料・塗料卸売業界の主な用途である自動車・船舶・建築について、塗料・塗料卸売業界がどのように関わっているかを解説します。

【塗料・塗料卸売業界の主な用途】

  1. 自動車
  2. 船舶
  3. 建築

自動車

自動車塗料・卸売は、塗料・塗料卸売業界で最も主要な業種の一つであり、自動車塗料に最も力を入れている塗料・塗料卸売業界の企業も多く存在します。塗料・塗料卸売業界の二大大手である関西ペイント・日本ペイントも、自動車塗料に強みを持っています

しかし、CO2排出量の多い自動車塗装は将来的になくなるという意見もあり、それを受けて関西ペイントでは他業種であるリチウムイオン電池事業に参入するなど、自動車塗料・塗料卸売業界をめぐって動きが出てきています。

船舶

船舶用塗料は日常生活でなじみがないのでイメージしにくいですが、塗料・塗料卸売業界における主要な分野の一つです。船舶は海水による腐食の防止など、自動車や建築にはない機能が求められるのが特徴です。

大手企業も船舶用塗料には力を入れており、関西ペイントマリンや日本ペイントマリンといった船舶用塗料専門の子会社による経営が行われています。

建築

建築物へ使用する塗料も、塗料・塗料卸売業界にとって大きな分野です。関西ペイント・日本ペイントを始めとする大手各社も、建築用塗料には力を入れています。

建築用の塗料・塗料卸売業界では、工期の短期化や労働人口の減少に対応するために、生産効率の向上を図れるかが問題の一つとなっています

しかし、ただ効率化するだけでは質が落ちてしまうので、質を保ちつついかに効率化するかが、建築の塗料・塗料卸売業界における課題だといえるでしょう。

また、環境に配慮した水性塗料の普及など、建築用の塗料・塗料卸売業界における需要の変化もみられます

塗料・塗料卸売業界の今後

塗料・塗料卸売業界の今後としては、国内市場が頭打ちの傾向にあることから、海外への事業拡大が進んでいくと考えられます

実際に、関西ペイントや日本ペイントなどの塗料・塗料卸売業界大手企業は、積極的に海外企業の買収を行っており、海外重視の傾向は今後ますます強まると予想されます。

自動車塗料・塗料卸売業界においては、今までは日系自動車メーカーの海外進出による事業拡大がメインでしたが、今後は非日系自動車メーカーへどう参入していくかがカギになると考えられます

拡大傾向

塗料・塗料卸売業界は国内市場は横ばいですが、海外市場が伸びているのに加えて、抗菌・防水・耐火などの機能を持った、いわゆる機能性塗料の市場が伸びており、塗料・塗料卸売業界は今後拡大傾向に向かう可能性も十分考えられます。

塗料・塗料卸売業界のM&A動向

塗料・塗料卸売業界の事業譲渡・M&A動向には、関西ペイントや日本ペイントといった大手が、海外の塗料メーカーを積極的に買収しているという特徴があります。

これは、大手が国内市場は頭打ちだと判断している結果だと考えられ、国内の塗料・塗料卸売業界は今後厳しい状況が続くと予想されます。

塗料・塗料卸売業界における中小企業の事業譲渡・M&Aに関してはあまり情報がありませんが、国内市場が頭打ちであることや経営者の高齢化が進んでいることなどから、廃業・倒産の回避や事業承継目的での事業譲渡・M&Aは増えてくるものと考えられます

塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡のメリット

塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡を成功させるには、そのメリットを正しく理解しておくことが重要です。

しかし、塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡のメリットというのは、買い手か売り手かで全く異なるので、買い手・売り手両者から見たメリットを把握しておく必要があります

この章では、塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡のメリットについて、買い手・売り手それぞれの立場から解説していきます。

売り手のメリット

塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の売り手のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

【塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の売り手のメリット】

  1. 売却益を得ることができる
  2. 倒産・廃業を回避できる
  3. 従業員の雇用を守ることができる
  4. 事業の一部だけを譲渡することができる
  5. アーリーリタイアの手段としても利用可能
  6. 後継者問題を解決できる

1.売却益を得ることができる

事業譲渡で塗料・塗料卸売業界の事業を売却すると、その対価として買い手から現金を受け取ることができます。売却益を得られるというのは、塗料・塗料卸売業界の事業譲渡の大きなメリットの一つです。

もし、塗料・塗料卸売業界の事業が不採算事業として重荷になっており、ほかにコア事業がある場合は、塗料・塗料卸売業界の事業を事業譲渡して資金を得て、それをコア事業に使うという経営戦略もとることができます。

2.倒産・廃業を回避できる

倒産・廃業を回避する手段として、塗料・塗料卸売業界の事業を事業譲渡するというケースもあります。

事業譲渡を行えば、その事業は譲受企業が引き続き運営していくことになるので、倒産・廃業する必要がなくなります

3.従業員の雇用を守ることができる

塗料・塗料卸売業界の事業を倒産・廃業してしまうと、そこで働いている従業員を解雇しなければならなくなります。

しかし、事業譲渡を利用すれば、譲受企業側で新たに雇用契約を結ぶことで、従業員の雇用を確保することができます

4.事業の一部だけを譲渡することができる

M&Aの手法として最も一般的なのは株式譲渡ですが、株式譲渡では会社を包括的に譲渡するのに対して、事業譲渡では事業の一部だけを譲渡できるという特徴があります。

もし、一つの会社が塗料・塗料卸売業界とそれ以外の事業を同時に営んでいる場合、そのどちらか一方だけを事業譲渡することができます。

5.アーリーリタイアの手段としても利用可能

アーリーリタイアの手段としては株式譲渡が一般的であり、株主に売却益が入るため、経営者個人が利益を得ることができます。

一方、事業譲渡では売却益が塗料・塗料卸売業界の企業の方に入るので、経営者個人は直接的に売却益を得ることはできません。

しかし、一旦塗料・塗料卸売業界の企業に入った売却益を、退職金などの形で経営者に給付すれば、事業譲渡でもアーリーリタイアを達成することは可能です

6.後継者問題を解決できる

経営者の高齢化による後継者問題は、塗料・塗料卸売業界においても深刻になっています。経営が黒字にもかかわらず、後継者がいないために廃業を決断せざるを得ないケースも今後増えてくるでしょう。

塗料・塗料卸売業界の事業を事業譲渡で別な会社に譲渡すれば、その会社のもとで事業を継続することができ、後継者問題を解決することができます

買い手のメリット

塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の買い手のメリットとしては、以下のような点が挙げられます。

【塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の買い手のメリット】

  1. 人材や設備を手早く獲得できる
  2. 必要な事業資産だけ譲受できる

1.人材や設備を手早く獲得できる

塗料・塗料卸売業界に新規参入しようとすると、人材や設備を一から準備しなければならず、ノウハウや顧客もない状態から塗料・塗料卸売業界のような成熟産業に参入するのは難しいのが現状です。

しかし、事業譲渡で塗料・塗料卸売業界の企業を譲受すれば、人材や設備を手早く獲得するとともに、その会社が築いてきたノウハウや顧客といった無形資産も引き継ぐことができます

2.必要な事業資産だけ譲受できる

一般的なM&A手法である株式譲渡では、会社を包括的に譲受するため、必要ない資産や負債も引き継ぐことになります。

一方、事業譲渡なら資産を個別に譲受できるため、不必要な資産や負債を引き継がなくて済みます

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塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の費用

塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の費用を決めるためには、企業価値評価(バリュエーション)を行う必要があります。

特に、非上場企業の場合は時価総額が分からないので、企業価値評価による理論的な売却価格の算定は、価格交渉におけるベースとなります。

ただし、企業の価値を評価して売却価格のベースとするのは、株式譲渡で会社を包括的に譲渡する場合です

事業譲渡では株式ではなく事業資産自体を売買するので、その資産の時価の合計が売却価格の基本になります。一般的にはそれに加えて、営業利益を数年分足すなどして調整します。

M&Aのスキームとして事業譲渡を用いるか株式譲渡を用いるかによって、売却価格の算定方法が大きく変わってくる点に注意しましょう。

相場

塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡は大手による海外企業の買収が多く、国内企業の事業譲渡・M&Aについては費用の相場が分かりにくいのが現状です

しかし、塗料・塗料卸売業界は比較的成熟した産業のため、例えばベンチャー企業でみられるような、企業価値評価を大きく上回る価格での売却は起こりづらいと考えられます

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塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の事例

この章では、塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡として、大手メーカーである関西ペイント・日本ペイント・大日本塗料が行った事例を解説します。

関西ペイントによるM&A・売却・事業譲渡の事例

関西ペイントによるM&A・売却・事業譲渡事例は他にも多くありますが、この節では主な事例として以下の4つを解説します。

【関西ペイントによるM&A・売却・事業譲渡の事例】

  1. 米国塗料メーカーの子会社化
  2. トルコ塗料メーカーの資本提携
  3. 欧州塗料メーカーの子会社化
  4. サウジアラビア塗料メーカーの子会社化

1.米国塗料メーカーの子会社化

2016年に、関西ペイントは米国の塗料メーカー「U.S.Paint Corporation」を約53億円で買収して子会社化しました。

北米の塗料・塗料卸売業界への事業拡大、特に自動車部品と工業塗料の生産拡大が目的となっています。

2.トルコ塗料メーカーの資本提携

2016年に、関西ペイントはトルコの塗料メーカー「Polisan Boya Sanayi ve Ticaret A.S.(PB社)」の株式を取得して資本提携しました。

PB社はトルコでは有名な塗料メーカーであり、トルコの塗料・塗料卸売業界への事業拡大がM&Aの目的となっています。

3.欧州塗料メーカーの子会社化

2017年に、関西ペイントは欧州の塗料メーカー「Annagab S.A.」を約700億円で買収して子会社化しました。欧州の塗料・塗料卸売業界への参入がM&Aの目的となっています。

4.サウジアラビア塗料メーカーの子会社化

2016年に、関西ペイントはサウジアラビアの塗料メーカーである「Saudi Industrial Paint Company(SIPCO社)」を買収して子会社化しました。

SIPCO社は防食用塗料のメーカーで、サウジアラビアの塗料・塗料卸売業界への参入がM&Aの目的となっています。

日本ペイントホールディングスによるM&A・売却・事業譲渡の事例

次にこの節では、日本ペイントホールディングスによるM&A・売却・事業譲渡の事例として、以下の4例を解説します。

【日本ペイントホールディングスによるM&A・売却・事業譲渡の事例】

  1. 米国塗料メーカーの子会社化
  2. 中国塗料メーカーの子会社化
  3. ドイツ塗料メーカーの資本提携
  4. 粉体塗料事業の事業譲渡

1.米国塗料メーカーの子会社化

2017年に、日本ペイントホールディングスは米国の塗料メーカー「DE Parent社」を買収して子会社化しました。

DE社は主に建築用の塗料を手がけているメーカーで、米国の塗料・塗料卸売業界への進出がM&Aの目的となっています。

2.中国塗料メーカーの子会社化

2017年に、日本ペイントホールディングスは中国の塗料メーカー「Huizhou CRF」を買収して子会社化しました。

Huizhou CRFは木工家具の塗料メーカーで、中国の塗料・塗料卸売業界における事業拡大がM&Aの目的となっています。

3.ドイツ塗料メーカーの資本提携

2013年に、日本ペイント株式会社がドイツの塗料メーカー「B&K」の株式の39%を取得し、資本提携を締結しました。海外での自動車塗料・塗料卸売業界における事業拡大がM&Aの目的となっています。

4.粉体塗料事業の事業譲渡

2013年に、日本ペイント株式会社の子会社であるNPA Coatings Inc(NPAC)が、粉体塗料事業をProtech Chemicals Ltdへ事業譲渡しました。

粉体塗料事業を売却し、コア事業である自動車用塗料事業へ集中することが事業譲渡の目的です。

大日本塗料によるM&A・売却・事業譲渡の事例

この節では、大日本塗料によるM&A・売却・事業譲渡の事例として、以下の2例を解説します。

【大日本塗料によるM&A・売却・事業譲渡の事例】

  1. 連結子会社の吸収合併
  2. ニッポ電機の子会社化

1.連結子会社の吸収合併

2012年に、大日本塗料株式会社が、連結子会社である東京ケミカル株式会社など4社を吸収合併しました。

2.ニッポ電機の子会社化

2012年に、大日本塗料株式会社はニッポ電機株式会社と株式交換を行い、完全子会社化しました。

ニッポ電機は照明器具などの製造・販売を手がける会社で、経営資源の効率的な分配による事業拡大が目的となっています。

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まとめ

塗料・塗料卸売業界の事業譲渡・M&Aは、大手による海外企業の買収事例が多く、中小の塗料・塗料卸売業界の企業では、現状それほど活発に事業譲渡・M&Aは行われていません。

しかし、事業譲渡・M&Aには、後継者問題の解決や売却益の獲得など多くのメリットがあります。事業譲渡・M&Aをうまく活用していくことが、塗料・塗料卸売業界にとってより重要になっていくでしょう。

【塗料・塗料卸売業界の主な用途】

  1. 自動車
  2. 船舶
  3. 建築

【塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の売り手のメリット】

  1. 売却益を得ることができる
  2. 倒産・廃業を回避できる
  3. 従業員の雇用を守ることができる
  4. 事業の一部だけを譲渡することができる
  5. アーリーリタイアの手段としても利用可能
  6. 後継者問題を解決できる

【塗料・塗料卸売業界のM&A・売却・事業譲渡の買い手のメリット】

  1. 人材や設備を手早く獲得できる
  2. 必要な事業資産だけ譲受できる